竜の逆鱗を求める
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ーーー数分後…。
「ほらよこいつが神子の桜ブンチョウだ」
「あらま!なんてかわいいっ。幸ちゃん初めまして!」
鳥籠を片手で軽々と持ち運びながら片倉が戻って来ると晴雅は待ってましたと言わんばかりに駆け寄って声を掛けていた。
だが名前を親しげに呼ばれ優しく声を掛けられても幸と言う名の桜ブンチョウは沈黙したままだった。
「うーん…やっぱり駄目かぁ」
「起きてはいるんだがな。ちゃんとメシも食ってやがるし水浴びもするが、俺相手でも触るとなると威嚇する」
「俺も試したが同じResultだったぜ。良く人を見てるな」
今に至るまで聞いていた話から予想出来ていた事だがやはり気落ちしてしまう。
落ち込む晴雅を背後で案じる三成が声を掛けながら肩に手を置き、同じく体験済みな片倉も自分なりの言葉で慰めてくれた。
目の前の光景を眺めていた伊達も幸をまじまじと見ながら発言した。
「うむむ…ある意味賢いとも言える。流石は刑部さんが選んで迎えた子だね」
「コイツはいつまで預かっているつもりだ」
「今日一日だけだ。明日には迎えに来るらしい。いくら俺でも神子達以外の奴じゃストレスになるだろうからな」
駄目元ながらそーっと指を近付けてみれば鳥籠へ触れるまで後数センチといった所で『ピピーッ!!』と鳴き声を上げて翼を開き体を少しばかり膨らませて威嚇する幸。
「鳴いてくれた!でも威嚇なのは正直ショックで傷付く〜!!」
「晴雅っ!?」
どうしても諦めきれない晴雅は幸の鳴き声を聞いたり反応を示す姿を見たかったが為、接触を試みたが案の定だった。
胸元を押さえて泣き顔でへたり込む彼女を三成が声を荒がえて介助していた。
「指は大丈夫か!?噛まれたのか!!」
「大丈夫だよありがとう三成…そもそも籠にすら触れなかったから…」
「預かった当初は俺が籠を持ってるだけでも鳴き続けてたぜ。まだマシな方だ」
ある意味で経験者でもある三成が血相を変えて寄り添ってくれるので晴雅はしょんぼりしつつヨヨ…と涙する。
この中で一番接触し世話を焼いているであろう片倉は鳥籠に布を掛けてやりそっとしてやる為に住まいの屋敷へ踵を返した。
「そろそろ本題に入るか、何を買いたいんだ?」
「ひとまず夏が旬のお野菜全部下さい。費用なら秀吉様と半兵衛様から預かってます」
「そんな大量で大丈夫なのかよ?」
「足ならば用意してある。さっさとしろ」
まだ口惜しそうに「幸ちゃん〜〜〜…」と泣き事を溢す晴雅へ片倉が促せば気を取り直して対応を始めた。
すると一般市民ではなかなか出来ない贅沢な注文をするのだが二人が居候する豊臣宅は豪邸なのでこれ位ではまだまだ安い方なのである。
とは言いつつも世話を受けている身として無駄遣いせずキチンと半兵衛から言い渡された金額や量を当てはめて購入する。
別段、初めての取り引きでもないので片倉は驚く事もなくテキパキと動き次々と夏野菜を運んで来る。
呆れ気味の伊達が言及すると三成はキッと睨みながら顎でここへ来訪する際に乗車してきた高級車を指した。
屋敷内の門前に停車し大型で光沢が強く注がれた太陽の光で反射する車へ「お前らの所らしいVehicleだな」と呟いていた。
「おらよこれで費用分だ」
「どうもありがとうございます。じゃあお支払いを」
「間違いねぇな。また気が向いたら来てもいいぞ」
「半兵衛様もここのお野菜は手料理に相性がいいって言ってましたし、神子さんからも美味しいって良く聞いてたのでまた来ます」
「そうか」
往復を終えた片倉から告げられた金額を確認し預かっていた費用を全部渡せば手慣れた動作で数え出し頷いた。
最初は色々と一悶着あったのだがなんだかんだで農産者と購入者として良い関係は築けている。
「ごめんね三成。重いお野菜ばかり積んで貰っちゃって」
「気にするな。秀吉様、半兵衛様にお前の為であらば造作もない」
購入した野菜が詰められた箱を全て積み終えた二人は使いの者が運転する車へ乗り込み伊達宅を後にした。
去り際、片倉へ「刑部さんと神子さん達が迎えに来るまで幸ちゃんをしっかり見てあげてて下さいよー」と晴雅が言い残せば彼は手を上げて返してくれた。
「それにしても里帰りか…私もお母さん達にまた会いたくなってきちゃった」
「行けばいいだろう。何を躊躇する」
「んー…」
車内の後部座席で晴雅がポツリと溢せば隣で座る三成がすかさず反応を見せてくれるもピンとこない様子。
「そうだ!三成も一緒に来ればいいんだ!!」
「!!何故そうなる!?」
「いいじゃない一緒に行こうよ三成。婚約の報告してから会ってないでしょ」
ポンと思いついた拍子に握り拳で手を叩くと声量を張り上げて提案してきた。
予想外な言葉に驚愕した三成が更に大声を出すので運転手の豊臣家使いの者はビクリと肩を震わせていた。
それに気付いていた晴雅が「ちょっ三成、声大きい。運転手さんびっくりしちゃってるじゃない」と注意を混じえる。
「………それはそうだが、お前と父母達の水を差す様な真似はしたくない」
「水を差すって…もう三成の事は息子みたいに思ってていつも会うのを楽しみにしてるって、お母さんもお父さんも言ってたんだよ」
「………」
俯くだけでなく伏し目がちに話す恋人に遠慮しなくてもいいのにと呟きながら膝に置かれていた両手を取る。
「家族水入らずの為に気を利かせてくれるのも嬉しいけれど、そんな三成と一緒に帰って会わせてあげたいの。駄目…?」
「っ……分かった、晴雅がそこまで言うならば」
「ありがとう三成」
不意打ちで取られ握られた両手で感じる彼女の温度に身が震え顔が熱くなる。
それでも自分を見上げ見つめてくる晴雅に小恥ずかしさを押し殺してなんとか向き合う。
最初は遠慮から気が進まなかったが恋人の言葉に背を押され前向きに考え決意した。
願いを了承してくれた嬉しさからかたまらず晴雅は手を握ったまま三成の胸元へ顔を寄せる。
更なる密接に白い肌の頬まで赤く染まり出した三成だったが晴雅の喜ぶ顔とぬくもりにぎこちないながら笑みを浮かべた。
(今日も仲がよろしいな…皆に教えてやろう)
そんな空間に乗り合わせている運転中の使いの者は二人の仲睦まじさになごみながら仲間達に報告しようと考えていたのだった。
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「ほらよこいつが神子の桜ブンチョウだ」
「あらま!なんてかわいいっ。幸ちゃん初めまして!」
鳥籠を片手で軽々と持ち運びながら片倉が戻って来ると晴雅は待ってましたと言わんばかりに駆け寄って声を掛けていた。
だが名前を親しげに呼ばれ優しく声を掛けられても幸と言う名の桜ブンチョウは沈黙したままだった。
「うーん…やっぱり駄目かぁ」
「起きてはいるんだがな。ちゃんとメシも食ってやがるし水浴びもするが、俺相手でも触るとなると威嚇する」
「俺も試したが同じResultだったぜ。良く人を見てるな」
今に至るまで聞いていた話から予想出来ていた事だがやはり気落ちしてしまう。
落ち込む晴雅を背後で案じる三成が声を掛けながら肩に手を置き、同じく体験済みな片倉も自分なりの言葉で慰めてくれた。
目の前の光景を眺めていた伊達も幸をまじまじと見ながら発言した。
「うむむ…ある意味賢いとも言える。流石は刑部さんが選んで迎えた子だね」
「コイツはいつまで預かっているつもりだ」
「今日一日だけだ。明日には迎えに来るらしい。いくら俺でも神子達以外の奴じゃストレスになるだろうからな」
駄目元ながらそーっと指を近付けてみれば鳥籠へ触れるまで後数センチといった所で『ピピーッ!!』と鳴き声を上げて翼を開き体を少しばかり膨らませて威嚇する幸。
「鳴いてくれた!でも威嚇なのは正直ショックで傷付く〜!!」
「晴雅っ!?」
どうしても諦めきれない晴雅は幸の鳴き声を聞いたり反応を示す姿を見たかったが為、接触を試みたが案の定だった。
胸元を押さえて泣き顔でへたり込む彼女を三成が声を荒がえて介助していた。
「指は大丈夫か!?噛まれたのか!!」
「大丈夫だよありがとう三成…そもそも籠にすら触れなかったから…」
「預かった当初は俺が籠を持ってるだけでも鳴き続けてたぜ。まだマシな方だ」
ある意味で経験者でもある三成が血相を変えて寄り添ってくれるので晴雅はしょんぼりしつつヨヨ…と涙する。
この中で一番接触し世話を焼いているであろう片倉は鳥籠に布を掛けてやりそっとしてやる為に住まいの屋敷へ踵を返した。
「そろそろ本題に入るか、何を買いたいんだ?」
「ひとまず夏が旬のお野菜全部下さい。費用なら秀吉様と半兵衛様から預かってます」
「そんな大量で大丈夫なのかよ?」
「足ならば用意してある。さっさとしろ」
まだ口惜しそうに「幸ちゃん〜〜〜…」と泣き事を溢す晴雅へ片倉が促せば気を取り直して対応を始めた。
すると一般市民ではなかなか出来ない贅沢な注文をするのだが二人が居候する豊臣宅は豪邸なのでこれ位ではまだまだ安い方なのである。
とは言いつつも世話を受けている身として無駄遣いせずキチンと半兵衛から言い渡された金額や量を当てはめて購入する。
別段、初めての取り引きでもないので片倉は驚く事もなくテキパキと動き次々と夏野菜を運んで来る。
呆れ気味の伊達が言及すると三成はキッと睨みながら顎でここへ来訪する際に乗車してきた高級車を指した。
屋敷内の門前に停車し大型で光沢が強く注がれた太陽の光で反射する車へ「お前らの所らしいVehicleだな」と呟いていた。
「おらよこれで費用分だ」
「どうもありがとうございます。じゃあお支払いを」
「間違いねぇな。また気が向いたら来てもいいぞ」
「半兵衛様もここのお野菜は手料理に相性がいいって言ってましたし、神子さんからも美味しいって良く聞いてたのでまた来ます」
「そうか」
往復を終えた片倉から告げられた金額を確認し預かっていた費用を全部渡せば手慣れた動作で数え出し頷いた。
最初は色々と一悶着あったのだがなんだかんだで農産者と購入者として良い関係は築けている。
「ごめんね三成。重いお野菜ばかり積んで貰っちゃって」
「気にするな。秀吉様、半兵衛様にお前の為であらば造作もない」
購入した野菜が詰められた箱を全て積み終えた二人は使いの者が運転する車へ乗り込み伊達宅を後にした。
去り際、片倉へ「刑部さんと神子さん達が迎えに来るまで幸ちゃんをしっかり見てあげてて下さいよー」と晴雅が言い残せば彼は手を上げて返してくれた。
「それにしても里帰りか…私もお母さん達にまた会いたくなってきちゃった」
「行けばいいだろう。何を躊躇する」
「んー…」
車内の後部座席で晴雅がポツリと溢せば隣で座る三成がすかさず反応を見せてくれるもピンとこない様子。
「そうだ!三成も一緒に来ればいいんだ!!」
「!!何故そうなる!?」
「いいじゃない一緒に行こうよ三成。婚約の報告してから会ってないでしょ」
ポンと思いついた拍子に握り拳で手を叩くと声量を張り上げて提案してきた。
予想外な言葉に驚愕した三成が更に大声を出すので運転手の豊臣家使いの者はビクリと肩を震わせていた。
それに気付いていた晴雅が「ちょっ三成、声大きい。運転手さんびっくりしちゃってるじゃない」と注意を混じえる。
「………それはそうだが、お前と父母達の水を差す様な真似はしたくない」
「水を差すって…もう三成の事は息子みたいに思ってていつも会うのを楽しみにしてるって、お母さんもお父さんも言ってたんだよ」
「………」
俯くだけでなく伏し目がちに話す恋人に遠慮しなくてもいいのにと呟きながら膝に置かれていた両手を取る。
「家族水入らずの為に気を利かせてくれるのも嬉しいけれど、そんな三成と一緒に帰って会わせてあげたいの。駄目…?」
「っ……分かった、晴雅がそこまで言うならば」
「ありがとう三成」
不意打ちで取られ握られた両手で感じる彼女の温度に身が震え顔が熱くなる。
それでも自分を見上げ見つめてくる晴雅に小恥ずかしさを押し殺してなんとか向き合う。
最初は遠慮から気が進まなかったが恋人の言葉に背を押され前向きに考え決意した。
願いを了承してくれた嬉しさからかたまらず晴雅は手を握ったまま三成の胸元へ顔を寄せる。
更なる密接に白い肌の頬まで赤く染まり出した三成だったが晴雅の喜ぶ顔とぬくもりにぎこちないながら笑みを浮かべた。
(今日も仲がよろしいな…皆に教えてやろう)
そんな空間に乗り合わせている運転中の使いの者は二人の仲睦まじさになごみながら仲間達に報告しようと考えていたのだった。
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