文よりも確信的なもの
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「今日はこんな天気でも歩いたんだろう。暑いから中で涼みなさい」
「はーい!行こう三成」
「………分かった」
話もそこそこに白昼が区切りをつけて歩み出してから屋敷の玄関口へ改めて向かうと戸を横に開きながら二人を案内する。
間延びした返事をしつつ傍らの三成にも声をかけて晴雅は生まれ育った実家へと帰宅した。
「今お茶と冷たい物を持って来るから居間で座っててくれ」
「ありがとうお父さん。冷たい物って何?」
「それは見てからのお楽しみだ」
屋敷内に入れば外とは全く違う温度差に生き返る〜と溢しながら伸びをする晴雅へ三成が早く靴を脱ぐ様に催促し三和土にて並び終えると同時で父親が言い残し台所へ向かって行った。
「ふぅ暑かった…三成大丈夫?体調悪くない?」
「私の事はどうでもいい。お前の方こそどうなんだ」
「全然元気だけど聞き捨てならない言葉が聞こえたなぁ!」
畳部屋で何台かの箪笥が置かれた居間に敷かれていた座布団へ座りのんびりとお喋りを始めたつもりが流せない発言をした為に晴雅が三成へ語尾を強める。
「三成はいつもそうだよね!昔よりはしっかりご飯も食べたりちゃんと寝てるのが増えてきたけど、時々ご飯抜きで徹夜したりさぁ!いくら秀吉様と半兵衛様からお願いされたからってっ!」
「だからなんだ。お前にも面倒事は回していないだろう」
「あーもう!最近は昔程の心配は要らなくてホッとしてるって刑部さんから聞いてたのに!また心労させるの!?」
まるで意地を張る弟の様に反応する三成へ晴雅は説教をする姉の如く話し出した。
「刑部さんは三成のお母さんじゃなくて神子さんの旦那さんなんだからね!?」
「うるさい!!何を奇矯な事を口走っている!!?」
「あんまり刑部さんに心配させちゃうと神子さんが嫉妬しちゃうと思うんだけど」
「佐伯が私に?何故そうなる」
とある言葉を強調し繰り返すも彼は全く聞き入れない。
旧知の間柄でもある大谷の名を出しても効かない様で晴雅は頭を抱えた。
最後には思わず溢してしまった彼の妻、神子の話が出て三成は珍しく首を傾げた。
「神子さんの刑部さん愛をご存知でない?」
「刑部やお前から耳を切り落としたくなる程に聞かされているが?」
「冗談にならないからやめてね!!……私も刑部さんみたいに愛されたいだけなんだけどな〜」
「っ…!晴雅っ貴様…!!」
そっぽを向いて友人夫妻の仲に和みつつ羨ましながら呟き続ける晴雅が突然顔を近距離に近付けそう言うので三成は不意打ちを貰った。
下手をしたら屋敷内どころか外の近所にまで響き渡りそうな咆哮をどうにか堪えて目の前の彼女へ鋭い視線を送る事しか出来ない。
ーーーとある屋敷。
「っ……!」
「大丈夫ですか大谷さん」
『ピッ?』
「ふむ、恐らく暗の奴が噂でもしてるのであろ」
「まさかそんな…夏風邪じゃないですか?お熱計ってみましょう」
「この炎天でまともに測量出来るか」
「もしも本当にお風邪をひいてお体に響いたら嫌じゃないですか、くしゅっ」
『ピーッ!?』
「やれ不幸が騒いでおるぞ。ぬしも蓋然よ」
ーーー月夜野邸。
「すまんすまん、ぴったりなお茶を準備してたのになかなか見つからなくってな。お待た…何をやってるんだ二人共」
手にしたお盆を運びながら部屋に到着した白昼が謝りつつ説明しているとわちゃわちゃしている娘とその恋人を見つめた。
父親の登場に二人は動きを止め彼を見た。
「お父さん聞いてよ!三成ったら自分の体なのに全然気にしないで無茶するの!!」
「貴様の体には影響などないだろう!!」
「だから物理的な影響は無くても私の他に秀吉様と半兵衛様に刑部さん達が心配するんだってば!!」
「秀吉様、半兵衛様、刑部の名を出せば私が聞くと思うのか。さっさとこの手を放せっ!」
「二人共、言いたい事はよく分かるけどひとまず落ち着きなさい。お互いに伝えたい事がちゃんと伝わらないぞ」
第三者による意見を聞きたかったのか晴雅は三成の頬を両手で押さえながら白昼に訴える。
己の頬に添えられているだけなのに固定されて何故かなかなか放せない晴雅の手を振り解こうと三成はもがいていた。
恋人の彼女の手から感じる感触は温度は嫌でもないが状況的にされるがままには居られなかった。
当人達だけでは言い合いが終わりそうにないので父親が静かに諭してやっとおさまった。
「ほら、お楽しみの冷たい物だ。これと合う様に深蒸し茶を用意してみた」
「わぁ綺麗なゼリー!どうしたのコレ?」
「先月に立花さんってご夫婦が占って欲しいとやって来てな。いつも通りの対応をしたんだが何故か大層喜ばれてお礼にと送ってくれたんだ」
喧嘩とまではいかないが押し問答を繰り広げた二人を沈めて目の前にお茶と虹色のゼリーを並べた。
興味津々に晴雅が聞けば白昼はありのままにあった過程を話す。
出された刹那で匙を取りゼリーの一部を掬って口まで運べば、ほのかな甘さと冷たさが相俟って思わず片手で頬を押さえてしまった。
「美味しい!三成も食べてごらんよ!」
「いや、私は、」
「三成くんも遠慮せず食べてくれ」
「………」
つい舌鼓を打ってしまう程の美味しさに歓喜する晴雅を見ていた三成だが彼女に加えてにこやかな白昼にも催促されてしまいおずおずと己も口にし始めた。
「お母さんは何してるの?」
「朔夜ならまだお客さんの応待をしててな、もう直ぐ来ると思う」
「あなた、なんだか賑やかだったけど何かあったの」
時折にお茶を挟みながらゼリーを食べていると帰宅してから気になっていた事を聞いてみれば直ぐに答えていると、ちょうど話の種になっていた人物が現れる。
「お母さんっ!」
「まぁ晴雅!早めに帰って来たのね」
「三成も居るよ!」
「まぁまぁ二人して帰って来てくれたの。わざわざありがとう三成くん」
「……大した事ではない」
時間差があったものの母親と再会出来た晴雅は堪らず立ち上がって抱き着いてしまった。
抱擁の衝撃で軽く仰け反りかけるも気にせず母親、月夜野朔夜は娘を笑顔で抱き締め返す。
先月にも里帰りをしたのだがその際よりも割と早い訪問になるも両親はいつもと変わらない歓迎を示してくれた。
腕の中の晴雅から恋人も来訪していると教えられ彼へ目線を向ければ変わらぬ笑みのまま朔夜が礼を言ってくるので三成は小恥ずかしさから目を逸らしながら返した。
常人ならば失礼だと言及してくるかも知れないが晴雅を始めとした朔夜と白昼達は三成の性格を熟知し理解している為、誰も咎めたりせずむしろニコニコと微笑ましく思っていた。
「これを、秀吉様と半兵衛様方からお預かりしてきた」
「秀吉と半兵衛から?もう、また二人して高級茶菓子を選んだ訳じゃないわよね」
「あー…ごめんお母さん、量については変更してくれたんだけどやっぱり品質は変えられないみたい」
落ち着いてきたのかぎこちない動きながらも屋敷を出発してからずっと持ち続けていたシワ一つ無い紙袋を差し出すので母親は礼を言いながら受け取った。
もしやと前例を忘れていない朔夜が呟けば娘は気まずそうに返した。
「いやはや、あの時の土産は凄かった。みんなにも食べて貰おうと配りまくったんだがそれでも余ってな。本当に凄かった」
「半兵衛が居る筈なのに何でそうなるのかしらね。秀吉は私達を大喰らいだと思ってたり?」
「たぶん半兵衛様も秀吉様並の感情をお母さん達に向けてるから…」
笑い話のつもりで語り出す父親と違い昔馴染みの二人へ呆れる母親が溜め息を吐くので晴雅も困り果てた様子だった。
「三成からもなんとか言って貰えない?」
「私からお二人に進言する事は何もない」
「ええー…」
隣の恋人へ助け船を求めても茶を啜る三成は即答で迷わず答えるのでどうしようもなくなった。
目の前で「そんな事言わないでさ三成〜」と娘が懇願しても「日頃からお二人の御好意を受け入れないお前に幇助はしない」と顔まで背け始めた三成達のやり取りを眺めて「三成くんは本当に秀吉達が好きなのね〜」とほのぼのする。
「ところで、二人はまだ結婚しないの?」
「っ!!?」
「お母さん!私と三成はまだ大学生だけど!?」
「あらあらそうだったわね。あんまりにも仲良しさんだから、もうそんな位でもいいかなって思っちゃってたわ」
「流石に早とちり過ぎるぞ朔夜」
唐突に出た朔夜の発言で三成は真っ赤になり晴雅が鋭く指摘すると口に手を当てて笑うも夫から諭されていた。
「出会った小さい頃から私が好きだったのになかなか伝えてくれない誰かさんが居たから、もどかしいのよねぇ」
「うっ…それは仕方ないだろう。あの時はまだ立場の問題が…」
「それでも結局は貴方から積極的になってくれたからいいんだけれども」
「…晴雅と三成くんの前では勘弁してくれ」
すると妻は少し拗ねた声色で横目を向けながら言うので白昼はバツが悪そうに目を泳がせ言葉に詰まる。
「また始まった…お母さんとお父さんの惚気が」
「…もう慣れたから安心しろ」
「流石三成。略してさすみつ」
自分達が居るにも関わらず夫婦仲良く(?)会話する両親にいくらの晴雅でもその場から立ち去りたくなる。
目が朧げな恋人に三成は小さく溜め息をしつつそう言ってくれるので溢さずには居られなかった。
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「はーい!行こう三成」
「………分かった」
話もそこそこに白昼が区切りをつけて歩み出してから屋敷の玄関口へ改めて向かうと戸を横に開きながら二人を案内する。
間延びした返事をしつつ傍らの三成にも声をかけて晴雅は生まれ育った実家へと帰宅した。
「今お茶と冷たい物を持って来るから居間で座っててくれ」
「ありがとうお父さん。冷たい物って何?」
「それは見てからのお楽しみだ」
屋敷内に入れば外とは全く違う温度差に生き返る〜と溢しながら伸びをする晴雅へ三成が早く靴を脱ぐ様に催促し三和土にて並び終えると同時で父親が言い残し台所へ向かって行った。
「ふぅ暑かった…三成大丈夫?体調悪くない?」
「私の事はどうでもいい。お前の方こそどうなんだ」
「全然元気だけど聞き捨てならない言葉が聞こえたなぁ!」
畳部屋で何台かの箪笥が置かれた居間に敷かれていた座布団へ座りのんびりとお喋りを始めたつもりが流せない発言をした為に晴雅が三成へ語尾を強める。
「三成はいつもそうだよね!昔よりはしっかりご飯も食べたりちゃんと寝てるのが増えてきたけど、時々ご飯抜きで徹夜したりさぁ!いくら秀吉様と半兵衛様からお願いされたからってっ!」
「だからなんだ。お前にも面倒事は回していないだろう」
「あーもう!最近は昔程の心配は要らなくてホッとしてるって刑部さんから聞いてたのに!また心労させるの!?」
まるで意地を張る弟の様に反応する三成へ晴雅は説教をする姉の如く話し出した。
「刑部さんは三成のお母さんじゃなくて神子さんの旦那さんなんだからね!?」
「うるさい!!何を奇矯な事を口走っている!!?」
「あんまり刑部さんに心配させちゃうと神子さんが嫉妬しちゃうと思うんだけど」
「佐伯が私に?何故そうなる」
とある言葉を強調し繰り返すも彼は全く聞き入れない。
旧知の間柄でもある大谷の名を出しても効かない様で晴雅は頭を抱えた。
最後には思わず溢してしまった彼の妻、神子の話が出て三成は珍しく首を傾げた。
「神子さんの刑部さん愛をご存知でない?」
「刑部やお前から耳を切り落としたくなる程に聞かされているが?」
「冗談にならないからやめてね!!……私も刑部さんみたいに愛されたいだけなんだけどな〜」
「っ…!晴雅っ貴様…!!」
そっぽを向いて友人夫妻の仲に和みつつ羨ましながら呟き続ける晴雅が突然顔を近距離に近付けそう言うので三成は不意打ちを貰った。
下手をしたら屋敷内どころか外の近所にまで響き渡りそうな咆哮をどうにか堪えて目の前の彼女へ鋭い視線を送る事しか出来ない。
ーーーとある屋敷。
「っ……!」
「大丈夫ですか大谷さん」
『ピッ?』
「ふむ、恐らく暗の奴が噂でもしてるのであろ」
「まさかそんな…夏風邪じゃないですか?お熱計ってみましょう」
「この炎天でまともに測量出来るか」
「もしも本当にお風邪をひいてお体に響いたら嫌じゃないですか、くしゅっ」
『ピーッ!?』
「やれ不幸が騒いでおるぞ。ぬしも蓋然よ」
ーーー月夜野邸。
「すまんすまん、ぴったりなお茶を準備してたのになかなか見つからなくってな。お待た…何をやってるんだ二人共」
手にしたお盆を運びながら部屋に到着した白昼が謝りつつ説明しているとわちゃわちゃしている娘とその恋人を見つめた。
父親の登場に二人は動きを止め彼を見た。
「お父さん聞いてよ!三成ったら自分の体なのに全然気にしないで無茶するの!!」
「貴様の体には影響などないだろう!!」
「だから物理的な影響は無くても私の他に秀吉様と半兵衛様に刑部さん達が心配するんだってば!!」
「秀吉様、半兵衛様、刑部の名を出せば私が聞くと思うのか。さっさとこの手を放せっ!」
「二人共、言いたい事はよく分かるけどひとまず落ち着きなさい。お互いに伝えたい事がちゃんと伝わらないぞ」
第三者による意見を聞きたかったのか晴雅は三成の頬を両手で押さえながら白昼に訴える。
己の頬に添えられているだけなのに固定されて何故かなかなか放せない晴雅の手を振り解こうと三成はもがいていた。
恋人の彼女の手から感じる感触は温度は嫌でもないが状況的にされるがままには居られなかった。
当人達だけでは言い合いが終わりそうにないので父親が静かに諭してやっとおさまった。
「ほら、お楽しみの冷たい物だ。これと合う様に深蒸し茶を用意してみた」
「わぁ綺麗なゼリー!どうしたのコレ?」
「先月に立花さんってご夫婦が占って欲しいとやって来てな。いつも通りの対応をしたんだが何故か大層喜ばれてお礼にと送ってくれたんだ」
喧嘩とまではいかないが押し問答を繰り広げた二人を沈めて目の前にお茶と虹色のゼリーを並べた。
興味津々に晴雅が聞けば白昼はありのままにあった過程を話す。
出された刹那で匙を取りゼリーの一部を掬って口まで運べば、ほのかな甘さと冷たさが相俟って思わず片手で頬を押さえてしまった。
「美味しい!三成も食べてごらんよ!」
「いや、私は、」
「三成くんも遠慮せず食べてくれ」
「………」
つい舌鼓を打ってしまう程の美味しさに歓喜する晴雅を見ていた三成だが彼女に加えてにこやかな白昼にも催促されてしまいおずおずと己も口にし始めた。
「お母さんは何してるの?」
「朔夜ならまだお客さんの応待をしててな、もう直ぐ来ると思う」
「あなた、なんだか賑やかだったけど何かあったの」
時折にお茶を挟みながらゼリーを食べていると帰宅してから気になっていた事を聞いてみれば直ぐに答えていると、ちょうど話の種になっていた人物が現れる。
「お母さんっ!」
「まぁ晴雅!早めに帰って来たのね」
「三成も居るよ!」
「まぁまぁ二人して帰って来てくれたの。わざわざありがとう三成くん」
「……大した事ではない」
時間差があったものの母親と再会出来た晴雅は堪らず立ち上がって抱き着いてしまった。
抱擁の衝撃で軽く仰け反りかけるも気にせず母親、月夜野朔夜は娘を笑顔で抱き締め返す。
先月にも里帰りをしたのだがその際よりも割と早い訪問になるも両親はいつもと変わらない歓迎を示してくれた。
腕の中の晴雅から恋人も来訪していると教えられ彼へ目線を向ければ変わらぬ笑みのまま朔夜が礼を言ってくるので三成は小恥ずかしさから目を逸らしながら返した。
常人ならば失礼だと言及してくるかも知れないが晴雅を始めとした朔夜と白昼達は三成の性格を熟知し理解している為、誰も咎めたりせずむしろニコニコと微笑ましく思っていた。
「これを、秀吉様と半兵衛様方からお預かりしてきた」
「秀吉と半兵衛から?もう、また二人して高級茶菓子を選んだ訳じゃないわよね」
「あー…ごめんお母さん、量については変更してくれたんだけどやっぱり品質は変えられないみたい」
落ち着いてきたのかぎこちない動きながらも屋敷を出発してからずっと持ち続けていたシワ一つ無い紙袋を差し出すので母親は礼を言いながら受け取った。
もしやと前例を忘れていない朔夜が呟けば娘は気まずそうに返した。
「いやはや、あの時の土産は凄かった。みんなにも食べて貰おうと配りまくったんだがそれでも余ってな。本当に凄かった」
「半兵衛が居る筈なのに何でそうなるのかしらね。秀吉は私達を大喰らいだと思ってたり?」
「たぶん半兵衛様も秀吉様並の感情をお母さん達に向けてるから…」
笑い話のつもりで語り出す父親と違い昔馴染みの二人へ呆れる母親が溜め息を吐くので晴雅も困り果てた様子だった。
「三成からもなんとか言って貰えない?」
「私からお二人に進言する事は何もない」
「ええー…」
隣の恋人へ助け船を求めても茶を啜る三成は即答で迷わず答えるのでどうしようもなくなった。
目の前で「そんな事言わないでさ三成〜」と娘が懇願しても「日頃からお二人の御好意を受け入れないお前に幇助はしない」と顔まで背け始めた三成達のやり取りを眺めて「三成くんは本当に秀吉達が好きなのね〜」とほのぼのする。
「ところで、二人はまだ結婚しないの?」
「っ!!?」
「お母さん!私と三成はまだ大学生だけど!?」
「あらあらそうだったわね。あんまりにも仲良しさんだから、もうそんな位でもいいかなって思っちゃってたわ」
「流石に早とちり過ぎるぞ朔夜」
唐突に出た朔夜の発言で三成は真っ赤になり晴雅が鋭く指摘すると口に手を当てて笑うも夫から諭されていた。
「出会った小さい頃から私が好きだったのになかなか伝えてくれない誰かさんが居たから、もどかしいのよねぇ」
「うっ…それは仕方ないだろう。あの時はまだ立場の問題が…」
「それでも結局は貴方から積極的になってくれたからいいんだけれども」
「…晴雅と三成くんの前では勘弁してくれ」
すると妻は少し拗ねた声色で横目を向けながら言うので白昼はバツが悪そうに目を泳がせ言葉に詰まる。
「また始まった…お母さんとお父さんの惚気が」
「…もう慣れたから安心しろ」
「流石三成。略してさすみつ」
自分達が居るにも関わらず夫婦仲良く(?)会話する両親にいくらの晴雅でもその場から立ち去りたくなる。
目が朧げな恋人に三成は小さく溜め息をしつつそう言ってくれるので溢さずには居られなかった。
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