消夏
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「おやおや金吾さんこんな所にいらっしゃったのですね、随分と探しましたよ」
「あっ天海様ぁ!!」
数分もしない内に小早川が天ぷらを食べ尽くしたタイミングで丁寧な口振りをした一人の男が現れる。
訪問してから開きっ放しにされていた玄関の扉越しで見える男の姿は白色の長髪で変わったマスクで口元を覆い隠していた。
「金吾さんがお世話になった様で。初めまして私は天海と申します。どうぞお見知り置きを」
「いえそんな、大した事も出来てませんので…大谷神子と申します」
「ああ、貴方が神子さんですか。金吾さんがよくお話して下さる方ですね」
天海と言う名のこの男は小早川から聞いていた話を思い出せば彼の家に教育係として雇われているらしい僧侶だった。
実家が寺でそこの住職を務める神子の父親とある意味同僚者と言えるが少し風変わりな姿で本当にそうなのかとよろしくないが疑ってしまいそうになる。
話し方や内容からすれば至って普通の会話をしているのだが話し込む妻の後ろ姿を見つめながら大谷は眉を潜めていた。
「今回は金吾さんが少しでも一人で動けるか観察したかったのですが、まだ早かった様ですね」
「流石に一人で夜はまだ怖いよ天海様〜!」
「ククク…すみません。では長居しては迷惑ですのでそろそろ帰りますよ」
「はーい。神子さんお邪魔しました!天ぷらご馳走様っ!!」
「気をつけて帰ってね」
自分なりのやり方で修行の一環を組み込んでいたらしいが小早川は抗議の声を上げ天海は笑ってから謝り帰還を促す。
腹が満たされ迎えも来た事で完全に落ち着いた小早川は上機嫌に頭を下げて挨拶をし玄関から出て行った。
手の動きも加えて同じ様にだが丁寧に頭を下げて出てゆく天海にも声を掛けて見送ればちょうど玄関を境目にした外側でピタリと止まる。
「神子さん、貴方は相変わらずお人好しな方ですね」
「え…?」
「帰るならばさっさと帰るがよい」
「おぉっと失礼しました。お二人の仲を邪魔するつもりはありません、では」
ポツリと呟かれた言葉と彼から受ける視線に神子は思わず身が固まった。
穏やかそうな筈の目はどこか鋭くてまるで違う自分を見ている様な刺し貫かれる様な錯覚を受ける。
すかさず大谷が間へ割って入るが如く神子の前に身を出し己の背中へと隠す。
低音の声色や目付きから天海は詫びるつもりか会釈をしてやっと立ち去って行った。
こちらへ背中を見せた瞬間に大谷がピシャリと扉を締め鍵まで締め切った。
「大谷さん…?」
「………」
その後に食事を再開する為か無言で踵を返す夫の名前を呼びながら後を追いかけるも少しばかり話しずらかった。
だが結局、数が減った天ぷらもそうめんと共に二人で食べ切ると立ち上がって夕餉前に書いていたレポートを仕上げたいので片付けの手伝いを出来ずに申し訳ないと言い出し神子は困惑した。
元から食器等の後片付けや洗い物は進んで自分からやるつもりなので問題ないのだが言い終わるなり背中を向けて歩き出し自室に篭り始めた大谷が気がかりだった。
なるべく手早く家事を終わらせるとレポートの息抜きとして淹れたお茶を差し入れる為に部屋へと向かう。
本当はとっておきの和菓子も付け足そうと考えていたのだが夕餉に出した天ぷらの量を思い出し取りやめた。
「大谷さん、お茶を持って来ましたので入ってもよろしいですか」
お盆に乗せて運んできたお茶入りの湯呑みを一度廊下で置き両膝も着けてから中の大谷へ呼びかければ間があったものの入室許可を出してくれたので静かに襖を開ける。
再びお盆を持って中に入れば和机へ向かってレポートの入り筆を進める大谷の背中が一番で目に入る。
「息抜きにお茶を淹れましたのでどうぞ」
「………あいわかった」
畳に置いたお盆からお茶の湯呑みだけを手にし和机へ置けば返事はしてくれたがこちらを見てはくれなかった。
僅かな寂しさを感じるもの夫の邪魔はしたくないのでこの場から出ようと考えた。
「私はお風呂の準備をしてきますので、」
「そろそろ終い故、まちと待て」
「あっ、はい…分かりました」
静かに伝えると大谷は背を向けたままながら部屋での滞在を告げるので神子は困惑するも素直に従った。
待てと言われたからと言ってもじっと見つめていては気が散ってしまうだろうからと縁側の方で腰を下ろしながら待つ事にした。
「神子」
今日は今日で色々あったな、と思い出していれば大谷から呼ばれたので返事をしつつ振り返った。
「全くもう…いつまでむくれてるんですか」
「………」
つもりだったのだが動くよりも早く神子の膝へ横向きながら己の頭を乗せて占領する大谷に反応が遅れる。
突然の夫の動きに戸惑うも嫌ではないのでそのまま受け入れる事にした。
「いつまでも金吾くんにあんな態度なのはよくないと思いますよ」
「………神子の膝は我のものよ」
「そんな子供みたいな事を言って…」
そっと夫の額辺りに手を乗せながら語りかければむすっとした様子で溢しながら両腕を妻の腰へ回し膝へ顔をより深く沈めた。
「困った旦那様ですね」
困り顔ながら楽しげな笑みも浮かべ額に乗せていた手で神子は大谷の頭を撫でる。
それでも機嫌が直りそうになかったので小恥ずかしいが自ら夫の額へ口付けを落とす。
「大谷さんもこんなに嫉妬する事があるんですね」
「ぬしもそうであったろ」
思わずそう続ければ即反応を見せてこちらを見上げてくる。
逸らさず真っ直ぐ見つめ返していれば手が伸びてきて頬に添えられ固定されると大谷が神子に唇を交わしてくるので拒む事なく受け入れた
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「あっ天海様ぁ!!」
数分もしない内に小早川が天ぷらを食べ尽くしたタイミングで丁寧な口振りをした一人の男が現れる。
訪問してから開きっ放しにされていた玄関の扉越しで見える男の姿は白色の長髪で変わったマスクで口元を覆い隠していた。
「金吾さんがお世話になった様で。初めまして私は天海と申します。どうぞお見知り置きを」
「いえそんな、大した事も出来てませんので…大谷神子と申します」
「ああ、貴方が神子さんですか。金吾さんがよくお話して下さる方ですね」
天海と言う名のこの男は小早川から聞いていた話を思い出せば彼の家に教育係として雇われているらしい僧侶だった。
実家が寺でそこの住職を務める神子の父親とある意味同僚者と言えるが少し風変わりな姿で本当にそうなのかとよろしくないが疑ってしまいそうになる。
話し方や内容からすれば至って普通の会話をしているのだが話し込む妻の後ろ姿を見つめながら大谷は眉を潜めていた。
「今回は金吾さんが少しでも一人で動けるか観察したかったのですが、まだ早かった様ですね」
「流石に一人で夜はまだ怖いよ天海様〜!」
「ククク…すみません。では長居しては迷惑ですのでそろそろ帰りますよ」
「はーい。神子さんお邪魔しました!天ぷらご馳走様っ!!」
「気をつけて帰ってね」
自分なりのやり方で修行の一環を組み込んでいたらしいが小早川は抗議の声を上げ天海は笑ってから謝り帰還を促す。
腹が満たされ迎えも来た事で完全に落ち着いた小早川は上機嫌に頭を下げて挨拶をし玄関から出て行った。
手の動きも加えて同じ様にだが丁寧に頭を下げて出てゆく天海にも声を掛けて見送ればちょうど玄関を境目にした外側でピタリと止まる。
「神子さん、貴方は相変わらずお人好しな方ですね」
「え…?」
「帰るならばさっさと帰るがよい」
「おぉっと失礼しました。お二人の仲を邪魔するつもりはありません、では」
ポツリと呟かれた言葉と彼から受ける視線に神子は思わず身が固まった。
穏やかそうな筈の目はどこか鋭くてまるで違う自分を見ている様な刺し貫かれる様な錯覚を受ける。
すかさず大谷が間へ割って入るが如く神子の前に身を出し己の背中へと隠す。
低音の声色や目付きから天海は詫びるつもりか会釈をしてやっと立ち去って行った。
こちらへ背中を見せた瞬間に大谷がピシャリと扉を締め鍵まで締め切った。
「大谷さん…?」
「………」
その後に食事を再開する為か無言で踵を返す夫の名前を呼びながら後を追いかけるも少しばかり話しずらかった。
だが結局、数が減った天ぷらもそうめんと共に二人で食べ切ると立ち上がって夕餉前に書いていたレポートを仕上げたいので片付けの手伝いを出来ずに申し訳ないと言い出し神子は困惑した。
元から食器等の後片付けや洗い物は進んで自分からやるつもりなので問題ないのだが言い終わるなり背中を向けて歩き出し自室に篭り始めた大谷が気がかりだった。
なるべく手早く家事を終わらせるとレポートの息抜きとして淹れたお茶を差し入れる為に部屋へと向かう。
本当はとっておきの和菓子も付け足そうと考えていたのだが夕餉に出した天ぷらの量を思い出し取りやめた。
「大谷さん、お茶を持って来ましたので入ってもよろしいですか」
お盆に乗せて運んできたお茶入りの湯呑みを一度廊下で置き両膝も着けてから中の大谷へ呼びかければ間があったものの入室許可を出してくれたので静かに襖を開ける。
再びお盆を持って中に入れば和机へ向かってレポートの入り筆を進める大谷の背中が一番で目に入る。
「息抜きにお茶を淹れましたのでどうぞ」
「………あいわかった」
畳に置いたお盆からお茶の湯呑みだけを手にし和机へ置けば返事はしてくれたがこちらを見てはくれなかった。
僅かな寂しさを感じるもの夫の邪魔はしたくないのでこの場から出ようと考えた。
「私はお風呂の準備をしてきますので、」
「そろそろ終い故、まちと待て」
「あっ、はい…分かりました」
静かに伝えると大谷は背を向けたままながら部屋での滞在を告げるので神子は困惑するも素直に従った。
待てと言われたからと言ってもじっと見つめていては気が散ってしまうだろうからと縁側の方で腰を下ろしながら待つ事にした。
「神子」
今日は今日で色々あったな、と思い出していれば大谷から呼ばれたので返事をしつつ振り返った。
「全くもう…いつまでむくれてるんですか」
「………」
つもりだったのだが動くよりも早く神子の膝へ横向きながら己の頭を乗せて占領する大谷に反応が遅れる。
突然の夫の動きに戸惑うも嫌ではないのでそのまま受け入れる事にした。
「いつまでも金吾くんにあんな態度なのはよくないと思いますよ」
「………神子の膝は我のものよ」
「そんな子供みたいな事を言って…」
そっと夫の額辺りに手を乗せながら語りかければむすっとした様子で溢しながら両腕を妻の腰へ回し膝へ顔をより深く沈めた。
「困った旦那様ですね」
困り顔ながら楽しげな笑みも浮かべ額に乗せていた手で神子は大谷の頭を撫でる。
それでも機嫌が直りそうになかったので小恥ずかしいが自ら夫の額へ口付けを落とす。
「大谷さんもこんなに嫉妬する事があるんですね」
「ぬしもそうであったろ」
思わずそう続ければ即反応を見せてこちらを見上げてくる。
逸らさず真っ直ぐ見つめ返していれば手が伸びてきて頬に添えられ固定されると大谷が神子に唇を交わしてくるので拒む事なく受け入れた
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