物置というか供養所というか
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その日、わたしはいつも通りの1日を過ごしたと思う。
雇われ店長をしているバーで働いて、常連さんなんかとポツポツ会話をしながら程よく飲んで、夜更けに店を閉めて、繁華街を通って帰るときには通りで喧嘩してる人がいてやかましかったことを覚えている。
帰ってシャワーを浴びて、ベッドに入って、それで。
今わたしの目の前には青い空が広がっています。
我が家の天井と上層階、なんらかの理由で全部吹っ飛んだのかなあ。それにしても視界が全部青空なのはおかしくないか?
布団で寝てたはずなのに、背中に感じるのはなんだか硬い感触で、こころなしか背中も痛い。ザワザワと近くから聞こえる耳障りどよめきにムクリと起き上がってみれば、強面の屈強な男達に囲まれていた。
なるほど、夢か。
何の影響でこんな夢?
早く覚めるようもう一度寝転んで目を瞑る。すると突然閉じた視界がスッと暗くなった。
「おいお前、どっから来たんだ?」
バーでよく聞く「どこ住みなの?」くらい軽やかなその問いに目を開くと、そばかすの、テンガロンハットをかぶった男の子がしゃがみ込んでわたしの顔を覗き込んでいた。距離が近くないか。というかこれはもしや…
「…夢じゃ、ない…?」
咄嗟に口に出た疑問を無視して、そばかすの男の子がニッと笑った。
「オレはエース、お前は?」
「…名前です」
一応正式(?)に挨拶を交わした以上、いつまでも寝転んだままなのは失礼かなと身を起こす。
エースと名乗る男の子はニコニコしているが、周りのイカつい男の人たちは各々何とも言い難い表情でこちらを見ていた。
「で、お前どっから来たんだ?」
どっから、と言われても…?
「ほんとに、夢じゃないの…?……自分の部屋で寝てたはず、なんだけど…。」
「…能力者じゃねェのか?」
「能力者…?って、なに…?」
「…?」
おっと会話が噛み合ってない。
ここでは完全にわたしがアウェーのようだし、まずは自己紹介から始めよう。
「えーとわたしは、バーで働く普通の一般市民です。昨日も普通に仕事して家に帰って自分のベッドで寝たはずなんだけど、目が覚めたらここにいて…………ていうか、ここどこでしょう?」
遮るもののない青い空。自分を取り囲む屈強な男たち。しかも服装がだいぶラフ…を通り越して目の前のエースとやらに至っては半裸である。何この状況。
「ここはグランドライン、この船はモビーディック号。名前が乗ってんのは白髭海賊団の本船で、おれらは白髭海賊団の一味だ。お前が突然甲板に現れたから、そういう能力者なのかとばっかり…」
「………言ってることがほぼわかりません…」
同じ言語なのに一つも意味がわからないのがすごい。とりあえずグランドラインは日本なのか日本じゃないのかだけでも教えてほしい。いやでもこの人たち日本語喋ってるしな…。ていうかここ船なの?ん?それより海賊って言った?…海賊ってこの時代存在してるっけ?
「…ぜんぶ口に出てるぞ…」
「え?!え、あ、ほんとだ、失礼しました。えーと、」
「ニホン?つーのはよくわからねェな」
「………」
「念のため一つだけ確認しとくが…敵じゃねェんだな?」
「……………は?え、何の敵…?」
「…ッ、ハッハッハ。まぁそうだろうなと思ったけどよ、何の敵意も感じねェし」
破顔一笑。とはこういうことだろう。
話せば話すほど頭上にクエスチョンマークが浮かぶわたしに対して、エースは突然吹き出して大笑いをした。
「え、なんの爆笑?!」
「ハハ、名前が敵じゃねェのはわかった。なんか事情あんだろ?中に隊長陣がいるから、とりあえず来てくれ」
「え、は、はい…………」
言われるがままに船内に入り(エースさんの後をついてったらモーセの海割りの如く屈強な男たちが道を開けたのがおもしろかった)、これまたキャラクターの濃そうな面々に身の上話しをしたところ、どうやらここは異世界というやつらしいということが分かった。
「え、海賊ってやつですよね?すみませんわりと犯罪者的なイメージなんですけど…この後犯されて売られたりするやつです?」
中途半端がすぎる…!
白髭海賊団はキャラが多いので、嫉妬話とか書けそうで楽しそうだなと思って書き始めてました。