続きもの(恋の病/マルコ)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
水平線まですっかり夕闇に呑まれた頃、ちょうど夕飯時を迎えたモビーディック号の船上は、ガヤガヤとした賑やかな声で溢れかえっていた。
今晩は書類仕事を片付けてしまおうと思っていたマルコは、仲間たちから晩酌に引き止められるも早々に食事を切り上げ、自室に向かっていた。
足早に歩みを進めながらも、その視線の先には無意識にいつも一人の女性の姿を探している。書類仕事を片付けたら、少しくらいは会う時間がとれるだろうか。控えめに周囲に目を配りつつ、そんなことを考える。とはいえ彼女のことだから、事前に伝えておかなければ自主的に部屋に来ることはきっとないだろう。恋人同士が一つ船の上という同じ場所で日々生活しているのにも関わらず、2人きりで会うために調整が必要なんてことがあるだろうかと、最近はしばしば焦燥感に駆られることもあった。
そんなことを考えながら歩いていると、ふと聞こえてきた耳馴染みのある声に、足を止めた。
視線の先では、秘密の恋人、といえば聞こえはいいが、彼にとっては自分の恋人だと宣言したいのにできないという非常にもどかしい状態の愛しい相手である名前が、他のクルーと談笑しているところだった。
マルコの目が少しだけ細められる。
笑顔で何事か話している名前。相手は、普段からよく話しているところを見かける、歳の近い男性クルーたちだ。大口を開けて笑っているその顔は、普段自分には見せないものであり、楽しそうな名前の様子に少しだけ口元が綻んだものの、チリチリとした感情が湧き上がってくるのを感じた。
これだから、早く言ってしまいたいのに。
今までは気にならなかったであろう、こんな些細なことですら気に食わないと感じてしまう自分自身に、内心辟易する。大したことをしているわけでもないだろう、日常のワンシーンに過ぎない。見なければいいだけのことだと頭ではわかっていても、そこから足を動かす気にはなれなかった。
そのまま様子を伺っていると、男性クルーの一人が名前の腕あたりを指さした。しかし意図が伝わらなかったのか、相手は笑いながらそのまま腕を掴み、怪訝な顔をしている名前の腕を少しだけ持ち上げた。名前は少しだけ驚いたような表情を浮かべ、笑いながら相手の腕を叩く。
瞬間、自分の取る行動の意味など考える前に足は勝手に動きだしていて、そのまま会話に割り込む形で名前に声をかけた。
「名前」
「…マルコ隊長」
驚いた顔でどうしたんですか、と言葉を続ける名前の、その仕事モードを崩さない姿勢にはさすがと思いつつも、さらにチリチリとしたもどかしさが募った。
「確認したいことがあるんだが、今ちょっといいかよい」
「あ、はい、もちろん」
名前が話していたクルーにアイコンタクトをとったのを目の端で確認し、踵を返して歩き出す。
後ろから名前が着いてくる気配を確認しながら、名前の歩調に合うようにややゆっくりめに足を進めた。
そのまま上司と部下としての距離を保ちつつ無言で数分歩くと、ようやく自室に辿り着いた。ドアを開けて中に入る。後ろに目をやると、名前は部下らしくドアの外で一旦立ち止まっていた。人通りの多い時間帯のため、周囲の目を気にしてのことだろう。彼女らしい配慮である。
マルコもそれに合わせ、入札の許可を与える。
「入れ」
「はい」
部屋に入りドアを閉めると、名前は仕事モードが解けてないせいか、いつもよりは堅苦しい口調で尋ねた。
「マルコ隊長、どうしましたか」
「………」
「……マルコ隊長?」
咄嗟に連れ出してしまったものの、そういえば何と切り出そうか。言葉を探していると、名前が繰り返し自分の名前を呼んだ。その気遣わしげな表情に、先ほどまでのイライラや自分のとった態度に途端に申し訳無さが込み上げてきて、年甲斐もなく何をやっているんだという、反省と自戒の念に駆られた。
一つ溜息をつき、名前へと目を向けると、パチリと目が合った彼女は不安そうな顔をしていて。
なんとも言えない焦燥感を掻き消すように、その細い身体を抱き寄せた。
「………?!?!」
「悪い、確認云々は嘘だよい」
「……??」
ただ、と呟き、抱き締める腕の力を少し強める。
「……………二人きりに、なりたかっただけだよい」
「…え?!え、あ、あの、あ、わたしも、です…」
視線を下へ向けてみると、名前の頬が耳まで赤いのがわかった。それを隠すように俯き、マルコの顔を全然見ようとしない名前ではあるが、おずおずと自分の背中に回されたその腕には幾分力が込められていて、抱き締め返してくれていることがわかる。
もどかしさや些細な嫉妬、焦燥感や、そんな自分自身への苛立ちも、いろんな感情が一気に解けるように消えていく。
自分はこんなに、簡単で単純だっただろうか。
気分が晴れたマルコは、そのまま名前を抱き上げてベッドまで移動し、膝の上におろした。膝の上に抱き抱えている形になった結果、身長差的にちょうど名前の顔が間近に見える。例の如く困惑して視線を泳がせている名前の腰に手を回し、捕まえるように両手の指を組ませると、一瞬驚いたようにこちらを見たが、慌ててまた視線を外してしまった。
そんな仕草も、何もかもが、愛おしくて仕方がない。頬が自然と緩むのを感じながら、少しの沈黙の後、口を開いた。
「…話してるとこ、悪かったな」
「え、いえ全然。大したこと話してなかったですし」
なんてことない話を振られたことで少し落ち着いたのか、名前はゆっくりと視線を合わせ、いつもの口調で答えた。
「…………何、話してたんだよい」
「え?えー、と、、、」
名前が言葉に詰まる、珍しい。
再度目線を下げたその様子に、じわじわと意地悪い感情が染み出してくる。
「…ここ、触られてたな」
細い腕を掴み、引き寄せる。触れられていたあたりにそっと口付けた。わざとチュ、というリップ音を出すと、名前の身体がビクリと反応した。
「……?!?!!」
目を白黒させ、頬を染めた名前にチラリと目をやり、再度その腕に口付けを落とす。
「マ、マルコ隊長、ちょっと待って、」
慌てる名前を無視して、今度は名前の右手をうしろから包み込むように絡めとった。指を絡めて握りしめれば、マルコの手の中にすっぽりと隠れてしまう、細くて華奢な、小さな掌。先ほどクルーの腕を叩いていたのは、こちらの手だったな、とぼんやり考える。
チラリと視線を向ければ、状況が掴めないと言った表情の名前。その細い指に舌を這わせる。
「?!ひぁッ?!マルコ隊長?!」
反射的に手を引っ込めようとした名前だったが、マルコはそれを許さなかった。
中指の先を咥え込み、口内で舌を這わせ、そのまま中指と薬指の間を舐め上げる。
ピチャ、とわざと水音を出して舐めると、名前は真っ赤な顔で目を潤ませた。
「や、」
ビクリと震え、指を握りしめようと力を込めた名前の手に、指を絡めて制止する。
食べちまえそうなくらいに小さい手だな、なんて頭のどこかで冷静に考えながら、その細い指にもう一度舌で触れる。
「ん、…マルコ隊長、…あの、なに、なんで、」
指先を震わせながら、名前が小さく呟いた。
なんで。
なんで、こんなこと。
そんなことはもはやマルコにもわからなかった。ただ明確に言葉にできないくらいには、気持ちが荒れているのは確かで。
強いていえば、この年になって久方ぶりに抱いた嫉妬心というやり場の無い感情を、名前にぶつけているに過ぎなかった。
「…腕、なんかあったのかよい」
「…え?」
名前の右手を掴んだまま己の方へ引き、再度腕に口付ける。白くて柔らかいその肌は、力を入れて掴んだら壊れてしまいそうだ。いっそ噛み跡でもつけてしまおうか、そんな凶暴な感情が湧き上がるのを抑えながら、甘噛みをしてペロリと舐めてみた。
……これは。
「あの、なんか、ついてるって……」
と、同時にか細い声が聞こえた。
これは、そう、今日の夕食に出ていたカレーの味で間違いなかった。
マルコのポカンとした顔を見て、名前が顔を歪める。
「………腕に、カレーかなんかついてるって、言われたんですけど…その、どこかわからなくて。洗いに行こうかと思ったら、マルコ隊長が来て、それで、」
それで、今この状況なのだろう。
先ほどよりさらに頬を赤くする名前。状況が掴めない彼女にとっては、とんだ羞恥プレイになってしまったようだった。
「だから、あの、ちょっと、洗ってきます!!!!」
脱兎の如く部屋から走り去る名前。
一人残されて頭の冷えたマルコは、しばらく放心したのち、やってしまったと言わんばかりに額を抑えた。
部屋で一人頭を抱えていると、コンコン、とノックの音がして、名前が戻ってきたであろうことがわかった。先ほどと同じように「入れ」と促す。
失礼します、と遠慮がちに入室した名前は、チラリと様子を伺うとベッドに腰掛けたままのマルコのところまでやってきて、その目の前で歩みを止めた。
「…すみません、」
何の謝罪だろうか。話途中で退室したことへの?名前は、何もしていないというのに。
先ほどの失態を謝ろうと顔を上げると、パチリと目が合い、喉まで出かかっていた言葉を思わずぐっと飲み込んでしまった。
「あの、マルコ隊長、…何か、ありましたか?」
赤みの引かない顔で、気遣わしげにまっすぐ自分を見つめる名前のその瞳に、眉根を寄せた情けない顔の自分がふと映った気がした。名前の手を、今度は己の両手で、手を繋ぐようにそっと握る。優しく握り返してくれたその手は、少し冷たくなっていた。
自分がいかに小さな男なのかと自責の念に駆られる。独占欲が過ぎた。ここのところ、どうにも己の感情へのセーブが効かない。
自然と深いため息が漏れ、繋いでいた手の力が抜けて、名前の胸にもたれかかり顔を埋めた。
「ま、マルコ隊長?どうしました、大丈夫ですか」
「…いや、」
自分の愚かさを心底思い知っているところだ。とは、口には出せなかった。
返事もできずにいると、名前の手がおずおずとマルコの頬に触れた。その吸い付くような肌が、少し温まってきた手のとろとろとした体温が、気持ちが良くてされるがままになっていると、触れていた手の親指が、優しくマルコの頬を撫でた。
その手に、自分の手を重ねる。驚いたのか、動きが止まった名前の手を、ぐっと握って頬に押し付けた。
「…他の男が、お前に触れるのが、いやだ」
ああ、口に出してしまった。
年甲斐もなく嫉妬だなんて、みっともねェと視線を下げる。
だから、名前が大きく目を見開いたのを、マルコは見ていなかった。
「…すまん、本当にこれはただの、オレのわがままだよい」
先ほどまで困惑に次ぐ困惑でさっぱり状況が掴めなかった名前であったが、今、最推しがなんだか非常に尊い発言をしたことだけは理解した。
(な、なんて…?!?!?!)
尊い。尊すぎる。心を整えた状態でなんとかもう一度聞くことはできないだろうか。今後はいついかなるときも録音機械を持ち歩かなくては。次の給料をつぎこもう。
マルコ隊長には申し訳ないけれど、脳みその処理が追いつくまで少し待ってもらうことにした。最近気絶に変わる技として編み出した、名付けてフリーズして衝撃を緩和しよう作戦である。キャパを超える事象が発生した場合に、時間をかけて脳内処理を行うことにより気絶を防ぐという利点がある。
問題は相手(マルコ)との会話中に空白の時間が発生するというところだろうか。
(いいいいまなんかすごいことを言われたような…?!)
幻聴でなければ、わたしの思い上がりからくる妄想の類でなければ、ここここここれは、嫉妬、、、ってやつではなかろうか…?
あの、マルコ隊長が、嫉妬…?しっと…?sit…?
先ほどなんかエロちっくに指とか舐められたのも嫉妬…?他の男が触ったところなんてオレが消毒してやるぜ的な…?そういうやつ?
いやーーーーーーカレーつけたままマルコ隊長の部屋に来ちゃって本当どうしようかと思ったけど、こうであればカレーにGJと言わざるを得ない…。
ていうか嫉妬…嫉妬って…
もう、もう……好き…!(トゥンク…)
たっぷり数分固まってしまったが、一通り脳内の処理が終わるといてもたってもいられなくなり、感情の昂るままにマルコ隊長の頭をそっと抱きしめてみた。
上から見下ろすことなんてほとんどない。今、どんな顔をしているのだろう。下を向いてしまったままのその姿が、なんだかとても愛おしく感じた。
マルコ隊長がピクリと反応したのがわかったけれど、何も言われなかったのでそのままの体勢でいることにする。
「…すみません、つい」
「…いや」
「………もう少し、このままでいてくれ」
「…!!」
かっこよい可愛い尊い…!
もう全力でギューっとしたい。そんな気持ち。これが愛しいということ…?!?!とはいえマルコ隊長の尊い頭部にそんな恐れ多いことはできないので、髪の毛に軽く頬を寄せてみた。硬めの髪質の金髪が頬に触れ、そういえば初めて触るかも、なんて思った。
…いやあもう、可愛すぎんか???
されるがままのマルコ隊長、可愛すぎない?
もしかしてもしかすると、顔が見えない状態でマルコ隊長が動かないでいてくれたら、わたしから接触する分には平気なのでは…?これは大発見かもしれない。この感じでわたしが攻めるならベッドイン成功の可能性も僅かに見えてきたか…?!
そんな機会はそうそうないということにも気づかず脳内考察を続けていると、マルコ隊長の腕が遠慮がちに腰に回され、意識が現実に引き戻された。
俯いたままのマルコ隊長が、ポツリと一言呟く。
「…悪かったよい」
「…??なにがですか?」
「……」
声をかけられて顔を上げてみたものの、また押し黙ってしまったマルコ隊長。ずっとこちらを見ないから、どんな気持ちでいるのかわからない。
「…マルコ隊長、」
いつもわたしが逃げ回ってて、マルコ隊長はいつも余裕があって、こんなにこっちを見てくれないことだって初めてで。
さっきのことを、気にしているのだろうか。全然大したことじゃないのにな。いやぁまぁ突然何プレイが始まったのかとは思ったけどね???
視線を下げれば、変わらず間近にマルコ隊長の頭があって。謝ってもらうことなんて何一つないのだけれど、マルコ隊長が気にしているのはわかった。
なんだかしょげてるらしいマルコ隊長もいじらしくてかわいくて、全力で抱きしめたいけれど。
そんなこと、伝えてもいいのだろうか。
でも、今は、なんだか未だかつてないほどわたしの脳内キャパシティに余裕があるし。
伝えたいことは全部言うって決めているから。
少しの逡巡の後、口を開いた。
「…わたし、ずっと、マルコ隊長はこう…遠くて、尊くて、憧れで、雲の上の人みたいに思ってたんですけど。…ていうかまぁ、今も思ってるんですけど。
わたしに好きって言ってくれるのも、未だになんで?って気持ちが大きいし。
でも、他の人には見せないだろうなって顔を向けてもらえるのとか…いろんな顔を見せてもらえるのが、嬉しいというか…。…だから、こうやってちょっと感情的、、、というかなんというか、人間味溢れるマルコ隊長のことも知っていって、もっと好きになるし、…マルコ隊長のことなら、なんでも知りたいなって、思うんですよ…?
今んとこ全部かっこいいから、かっこよくないところも、いろんなとこ全部見たいなぁって。
……とか言ってまぁどんなところ見ても結局素敵!尊い!ってなるような気もしますけどね。へへ。
……最初は本当、マルコ隊長に触れるのも恐れ多い感じだったけど、今は、こう、、、、、
ぎゅー
ってね?
したい気持ちになってます。
…ていうかまぁ、してますけど…」
「………」
「………」
「……。」
沈 黙
「…ね!えーとだからあの、多少は慣れてきたっていうか!あ、でも嫌だったり痛かったりしたら言ってもらって!すぐに離しますし!あのー、髪とか、崩れるとアレですし?」
つらつら喋ってみたものの、沈黙に恥ずかしさを煽られた結果、笑って誤魔化してしまった。
ママママルコ隊長!早くなんか言って!!
「………」
「………」
「………」
そんな願いも虚しく、再度沈黙が訪れる。
「…なんかこう、マルコ隊長と同じような体格の人を3人用意して、抱き締めてどれがマルコ体調か当てろって言われても、全然当てられると思います!」
「………」
「………」
「………」
沈黙に耐えられないからといって、一体何を口走っているんだわたしは…。
返事を待つ間の沈黙をなんとかしようと思うと、わたしのようなちっぽけな人間はこんな訳わかんないことを口にしてしまうんだなぁ。これは完全にやってるわ…。
そしてマルコ隊長は、依然沈黙を貫いている。
「だから、その、、、」
「……」
「さっき言われたのも、普通に嬉しかったですよ…?」
「……」
「マルコ隊長…」
「……」
「……」
「……」
「…好きですよ」
「…………オレもだよい」
ようやく言葉を発してくれたことに驚いてその顔を見ると、いつものように余裕のある笑みを浮かべていて。揶揄われたのかと文句の一つでも言おうしかと思ったけれど、次の瞬間には視界がマルコ隊長でいっぱいになっていて、キスされたことがわかった。
「マママ、マルコたいちょう?!」
「もう一回言ってくれよい」
「?!?!無理ですよ?!」
「さっきは言えたのに?」
「さささささっきは!顔も見えなかったし!」
上機嫌なマルコ隊長は、スックと立ち上がると抱き上げるようにわたしの身体を抱え上げ、そしてそのままゆっくりとベッドに倒れ込んだ。
「?!??!」
「今日はこのまま一緒に寝るか」
「…?!?!?!」
「はは、まぁ手は出さねェように努力はするよい」
「努力?!」
素っ頓狂な声を出したわたしに、マルコ隊長がカラカラと笑う。確かに、恋人同士が夜密室に二人きりでいるというのだから、普通に考えたらそうなる流れではあるだろう。
「あ、いや、えっと、、、」
ヤバいまた拒否の姿勢から入ってしまったと慌てていると、マルコ隊長は、優しく笑った。
「…無理しなくていいよい。ただオレが、名前と一緒にいたいだけだ」
「………はい」
わたしもです、と小声で呟けば、マルコ隊長はその笑みをさらに深めた。
ああ神様、寝る前に見たら世界で一番幸せな夢を見られるであろうものが、ここにあります。
それはそうとこうも簡単に形勢逆転するだろうかと思いつつ、先ほどのわたしの心の余裕はやはり奇跡的なものだったのだろうと思い直したのだった。
「キスと、…抱き締めるまでは大丈夫なんだよな?」
「え、あ、はい、、、いやでも耐久性についてはちょっと自信ないっていうか」
「じゃあどれだけ保つのかためしてみるか」
「え?!ええ?!」
就寝にはまだ早い時間だったが、今日も名前は自分の横で安らかに眠りについた。(気絶ともいう)
このまま2人で寝てもいいし、彼女がもし目を覚ましたら、この続きをしてもいいだろう。
名前を見つめ、そっとその頰に触れる。
驚くほどに穏やかな気持ちでいる自分がわかった。
そして、彼女が目を覚ますまでと、眼鏡をかけて机に向かうことにしたのだった。
5/5ページ