出会い
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「今日は、、こっちか、、、」
今日もHLはいつも通り喧騒と狂騒と、どんよりとした霧と独特の甘く腐ったような香りに包まれている。それも日常と化した今日このごろ、俺は人とヒトならざる者の雑多を踏み分け仕事場へと向かう。
今日はstギルレモ・イン808号室、コロコロと入り口が変わる仕事場にも慣れた。はじめの頃はドアを探すので精一杯だったものの、慣れたものだ。だがしかし。
その足取りは決して軽くない、
原因は、スティーブンAスカーフェイス、上司である。、、 すこし語弊があるかもしれない。なぜなら普段の彼は 笑顔を絶やさず優男であり、何事にも冷静で頼れる上司なのだ。
しかし一変、積み上がる書類の中に頭を抱える彼は話が別だ。
普段の笑みは、意味深な春風のようなもの爽やかさの中に確実なる殺意を混ぜたものに変わり。今日で4徹目の顔色は良くない。事務所でザップさんと騒いでいたら 書類の山の中から殺意を投げられる。そんな日が続き、ザップさんは スティーブンさんの書類が片付いたら連絡をくれとここ2日間ライブラに顔を出していない。
賢明な判断だと今は思う。 昨日に至っては差し入れを持って行っても 「すまない、置いといてくれ、ありがとう」と書類から目を離さず、ぶっきらぼうな返事で返し。挙げ句の果てには女性の名前のようなものをうわ言のように呟きだした。
それなのに書類の数は減ってるようには見えない。終わりの見えぬ空気の悪さ。しかし俺に書類はどうにもできない。クラウスさんもスティーブンさんの身を案じて「すこし休んだらどうだ」「だがしかし」「いやいや」何度も声をかけるがテコでも動かない。
靴裏からため息が出そうな足取りで路地を曲がる。
8階まであがりstギルレモ・イン808号室を見ると、扉の前に人がいた。
女の人だ、白い紙袋を持っている。髪は腰まであるウェーブかかった紺色、でも光が当たると艶が光って、透明感があり、ガラス細工のようだ。
肌は白く。長い睫毛が見えた。
誰だろ、ライブラの人かな。不安が頭をよぎると 女性と目があった。
にこり 女性が柔らかく笑う。
どきりと心臓が大きく脈打った。ものすごい美人だ。 年上だろうか、ザップさんとかチェインさんと同じぐらいに見える。
「もしかして、レオナルド・ウォッチくん?」
「え?あ、え、はい!そうです。レオナルド・ウォッチです.....」
俺のどもった答えに女性は鈴の音のような声でくすくすと笑った。
瞬間的に顔が熱くなる。どうにも女性慣れしてない自分を恨んだ。
「はじめまして、クラウスさんから聞いてるわ。 私は空、よろしくね」
「あ、はい。よろしくお願いします、、」
聞き覚えのある名前に首を傾げながらも、扉をあけて二人で小さい箱の中に乗り込んだ。彼女は 会えて嬉しい 後輩は初めて すこし長い任務で帰るのは久々 と様々なことを話してくれた。
気の利いたことを言えない俺は、はぁ、えぇ、はい、とひたすら相槌を打った。
密室でこんな美人と二人きりとか心臓に悪い...!!
チン、と高い音が鳴って浮遊感が消えた。後輩であり男である俺は我先にと扉をあけて、空さんが出るのをエスコートした。
ありがとうと笑いかけてくれて、こんなのどうってことないっすよと 下手くそに笑った。
美人との密閉空間は今になって名残惜しく思うが、スティーブンさんを盗み見る。
あぁ、俺が来たのも気づいてない。黒いオーラを放って書類の海に溺れてる。
空さんはスティーブンさんを見ると困ったように笑って、クラウスさんのところに行った。
「クラウスさん、ただいま戻りました」
クラウスさんは待っていたと言わんばかりに空さんに駆け寄った
「待っていたよ空、 少年も一緒かい?」
「はい、下で一緒になったんです」
「自己紹介は…」
「軽くしました、クラウスさんの言ったとおり素敵な人ですね」
クラウスさんが自分をどのように紹介したのか気になる。三言会話をしたら「帰ってきて早々にすまないが…」とクラウスさんが申し訳なさそうにした。ーさんは「大丈夫ですよ」とにっこり微笑んでスティーブンさんの背後に足音を殺して回りこむ。。スティーブンさんは気づいていない。
「--」
高い音がした、ピアノの一番高い音の鍵盤を弾いたみたいな音。
その音に惹かれるように目を丸くしたスティーブンさんが振り向く
「……空……?」
「スティーブンさん、ただいま戻りました」
スティーブンさんの声で空さんの名前に聞き覚えがあった謎が解けた。ここ数日スティーブンさんがうわごとのようにつぶやいていた名前だ…!
変わらぬ笑顔で空さんが書類の山に手を伸ばす。
「遅くなって申し訳ありません」
書類の山からおもむろに一枚引き抜く
「頼まれていたお仕事はつつがなくおわりました」
次の書類の山から迷いなく 上のほうと下のほうから二枚引き抜く
「報告書は明日にでもまとめて提出いたします」
また別の山の中央から一枚引き抜く まるでブティック店で洋服を選ぶように
「ですので」
最後の山から また迷いなく一枚引き抜く。にっこりと笑い引き抜いた紙をまとめる。
「こちらの今日と明日までの期限の書類に目を通していただいて、今日はあがってください。後は私がまとめておきます」
スティーブンさんは目に涙を浮かべて
「空--!!」
勢いよくスティーブンさんは空さんに抱きついた。。抱きついた?!!!
「よく…!よく戻ってきてくれた!!今か今かと待ちわびていたよ!!」
ころころと空さんを撫で回すスティーブンさん、そこには女性だから丁寧なんて気持ちは感じられずまるで飼い犬を溺愛する主人のようだった、ガラス細工のような髪の毛をぐしゃぐしゃにされてもスティーブンさんの腕の中で変わらぬ笑顔を空さんは浮かべている。そのままーさんはちらりとクラウスさんを見て、察したようにクラウスさんが前に出た。
「スティーブン、空もこう言ってくれてることだし、休みたまえ」
「あぁ、申し訳ないけど、この書類を最後に今日は上がらせてもらうよ」
テディベアよろしく抱きつかれたまま空のさんはにこにこと笑っていた
「空!! 本当によく戻ってきてくれた!ありがとう!!もし君の事をspookなんていうやつがいたら俺に言え!二秒で氷漬けにしてやる!!!」
「そのときは、よろしくお願いします」
にこにこと笑っているが、抱きしめられている空さんはスティーブンさんとの身長差で少し足が浮いていた。
ものの数分で明日までの期限書類を終わらせ、もう一度空さんを撫で回しスティーブンさんは帰っていった。
「だ、、大丈夫ですか?」
おおよそ大丈夫には見えないほどぼさぼさになった髪を手でとかしている空さんに声をかけた。
「お気遣いありがとう、大丈夫よ」
やさしい笑顔で空さんは「レオ君とおそろいね」と乱れた自分の髪を指差した。
その辺のやつに言われたら 誰がぼさぼさ頭だ!と怒るところだが、美人に言われると でへでへと笑うことしかできなかった。。
「あ、そうだ。クラウスさん。出かけ先でおいしそうなドーナッツショップがあって、お土産に」
「なんと、すまないな。ありがとう 空の選ぶショップはいつも絶品ばかりだからな…期待だな」
入り口で見かけた白い紙袋をクラウスさんに渡すと、花が飛びそうなほど破頑してクラウスさんが笑った。
「みんなの分はとっておいて、今いる人でティータイムにしませんか?」
ギルベルトさんが入れてくれたお茶でなんとも和やかなティータイムとなった。ドーナッツめちゃくちゃ美味しい。
ティータイム中にさっき空さんが書類を引き抜いた業について聞いてみた。何でも、普通のヒューマンではなく、特別な器官が何個かあるらしい。中でも高い音を出してその音の反射で周りを把握する周音器官を使った業なんだとか
「事務作業でとても役に立ってます」
にこりと笑う空さんだが、クラウスさんに聞くと、印刷の凹凸を聞き分けるだけでも難しいのに、人の指紋や紙や部屋の湿度、埃や気温によっても左右されるものらしく。神業だと絶賛していた。チェインさんにも気づけるときがあるのだとか。
そのまま空さんは鼻歌交じりに書類を整理して、クラウスさんと花の話をしていた。俺はバイトの時間がきたので帰ろうとすると、「夜食にでも」とハムとチーズを挟んだフィローネをくれた。ありがたく頂いて、バイトに向かう。
いつもは何てことないバイトも、美人作の夜食を抱えたバイトとなるといつもより浮き足立って終わらせられた。
部屋に戻って食べたフィローネはとてもとても美味しかった。てか本当に美味しかった、目玉が飛び出るかと思った。ただのフィローネなのにここまで美味いとは、、!!!
ザップさんに「空さん、って方が戻ってきてスティーブンさんは幾分か機嫌が治りましたよ」とメッセージを送って。今日は寝た。
翌日ライブラに向かうと空さんがいて「おはよう」と声をかけられた。やはり美人の挨拶で始まる一日はよいものだ、別にチェインさんも美人だけど、愛想というか雰囲気が違う。
珍しく俺よりあとにスティーブンさんがライブラのドアをあわただしく開けて入ってきた
「すまない! さすがに寝すぎた…」
ネクタイも結びかけで飛び込んできたスティーブンさんを待っていたのは、足の踏み場もないほどにある書類ではなく。
ゴシップ雑誌ほどの厚さにまとめられた書類の束が机の上におかれていただけだった。
「もうすこしゆっくりでもよかったのに…」
空さんがスティーブンさんに笑いかけると、スティーブンさんは人攫いのように空さんを抱えて「ブラボー!!」と振り回した。空さんは変わらぬ笑顔で振り回されていた。
end.
今日もHLはいつも通り喧騒と狂騒と、どんよりとした霧と独特の甘く腐ったような香りに包まれている。それも日常と化した今日このごろ、俺は人とヒトならざる者の雑多を踏み分け仕事場へと向かう。
今日はstギルレモ・イン808号室、コロコロと入り口が変わる仕事場にも慣れた。はじめの頃はドアを探すので精一杯だったものの、慣れたものだ。だがしかし。
その足取りは決して軽くない、
原因は、スティーブンAスカーフェイス、上司である。、、 すこし語弊があるかもしれない。なぜなら普段の彼は 笑顔を絶やさず優男であり、何事にも冷静で頼れる上司なのだ。
しかし一変、積み上がる書類の中に頭を抱える彼は話が別だ。
普段の笑みは、意味深な春風のようなもの爽やかさの中に確実なる殺意を混ぜたものに変わり。今日で4徹目の顔色は良くない。事務所でザップさんと騒いでいたら 書類の山の中から殺意を投げられる。そんな日が続き、ザップさんは スティーブンさんの書類が片付いたら連絡をくれとここ2日間ライブラに顔を出していない。
賢明な判断だと今は思う。 昨日に至っては差し入れを持って行っても 「すまない、置いといてくれ、ありがとう」と書類から目を離さず、ぶっきらぼうな返事で返し。挙げ句の果てには女性の名前のようなものをうわ言のように呟きだした。
それなのに書類の数は減ってるようには見えない。終わりの見えぬ空気の悪さ。しかし俺に書類はどうにもできない。クラウスさんもスティーブンさんの身を案じて「すこし休んだらどうだ」「だがしかし」「いやいや」何度も声をかけるがテコでも動かない。
靴裏からため息が出そうな足取りで路地を曲がる。
8階まであがりstギルレモ・イン808号室を見ると、扉の前に人がいた。
女の人だ、白い紙袋を持っている。髪は腰まであるウェーブかかった紺色、でも光が当たると艶が光って、透明感があり、ガラス細工のようだ。
肌は白く。長い睫毛が見えた。
誰だろ、ライブラの人かな。不安が頭をよぎると 女性と目があった。
にこり 女性が柔らかく笑う。
どきりと心臓が大きく脈打った。ものすごい美人だ。 年上だろうか、ザップさんとかチェインさんと同じぐらいに見える。
「もしかして、レオナルド・ウォッチくん?」
「え?あ、え、はい!そうです。レオナルド・ウォッチです.....」
俺のどもった答えに女性は鈴の音のような声でくすくすと笑った。
瞬間的に顔が熱くなる。どうにも女性慣れしてない自分を恨んだ。
「はじめまして、クラウスさんから聞いてるわ。 私は空、よろしくね」
「あ、はい。よろしくお願いします、、」
聞き覚えのある名前に首を傾げながらも、扉をあけて二人で小さい箱の中に乗り込んだ。彼女は 会えて嬉しい 後輩は初めて すこし長い任務で帰るのは久々 と様々なことを話してくれた。
気の利いたことを言えない俺は、はぁ、えぇ、はい、とひたすら相槌を打った。
密室でこんな美人と二人きりとか心臓に悪い...!!
チン、と高い音が鳴って浮遊感が消えた。後輩であり男である俺は我先にと扉をあけて、空さんが出るのをエスコートした。
ありがとうと笑いかけてくれて、こんなのどうってことないっすよと 下手くそに笑った。
美人との密閉空間は今になって名残惜しく思うが、スティーブンさんを盗み見る。
あぁ、俺が来たのも気づいてない。黒いオーラを放って書類の海に溺れてる。
空さんはスティーブンさんを見ると困ったように笑って、クラウスさんのところに行った。
「クラウスさん、ただいま戻りました」
クラウスさんは待っていたと言わんばかりに空さんに駆け寄った
「待っていたよ空、 少年も一緒かい?」
「はい、下で一緒になったんです」
「自己紹介は…」
「軽くしました、クラウスさんの言ったとおり素敵な人ですね」
クラウスさんが自分をどのように紹介したのか気になる。三言会話をしたら「帰ってきて早々にすまないが…」とクラウスさんが申し訳なさそうにした。ーさんは「大丈夫ですよ」とにっこり微笑んでスティーブンさんの背後に足音を殺して回りこむ。。スティーブンさんは気づいていない。
「--」
高い音がした、ピアノの一番高い音の鍵盤を弾いたみたいな音。
その音に惹かれるように目を丸くしたスティーブンさんが振り向く
「……空……?」
「スティーブンさん、ただいま戻りました」
スティーブンさんの声で空さんの名前に聞き覚えがあった謎が解けた。ここ数日スティーブンさんがうわごとのようにつぶやいていた名前だ…!
変わらぬ笑顔で空さんが書類の山に手を伸ばす。
「遅くなって申し訳ありません」
書類の山からおもむろに一枚引き抜く
「頼まれていたお仕事はつつがなくおわりました」
次の書類の山から迷いなく 上のほうと下のほうから二枚引き抜く
「報告書は明日にでもまとめて提出いたします」
また別の山の中央から一枚引き抜く まるでブティック店で洋服を選ぶように
「ですので」
最後の山から また迷いなく一枚引き抜く。にっこりと笑い引き抜いた紙をまとめる。
「こちらの今日と明日までの期限の書類に目を通していただいて、今日はあがってください。後は私がまとめておきます」
スティーブンさんは目に涙を浮かべて
「空--!!」
勢いよくスティーブンさんは空さんに抱きついた。。抱きついた?!!!
「よく…!よく戻ってきてくれた!!今か今かと待ちわびていたよ!!」
ころころと空さんを撫で回すスティーブンさん、そこには女性だから丁寧なんて気持ちは感じられずまるで飼い犬を溺愛する主人のようだった、ガラス細工のような髪の毛をぐしゃぐしゃにされてもスティーブンさんの腕の中で変わらぬ笑顔を空さんは浮かべている。そのままーさんはちらりとクラウスさんを見て、察したようにクラウスさんが前に出た。
「スティーブン、空もこう言ってくれてることだし、休みたまえ」
「あぁ、申し訳ないけど、この書類を最後に今日は上がらせてもらうよ」
テディベアよろしく抱きつかれたまま空のさんはにこにこと笑っていた
「空!! 本当によく戻ってきてくれた!ありがとう!!もし君の事をspookなんていうやつがいたら俺に言え!二秒で氷漬けにしてやる!!!」
「そのときは、よろしくお願いします」
にこにこと笑っているが、抱きしめられている空さんはスティーブンさんとの身長差で少し足が浮いていた。
ものの数分で明日までの期限書類を終わらせ、もう一度空さんを撫で回しスティーブンさんは帰っていった。
「だ、、大丈夫ですか?」
おおよそ大丈夫には見えないほどぼさぼさになった髪を手でとかしている空さんに声をかけた。
「お気遣いありがとう、大丈夫よ」
やさしい笑顔で空さんは「レオ君とおそろいね」と乱れた自分の髪を指差した。
その辺のやつに言われたら 誰がぼさぼさ頭だ!と怒るところだが、美人に言われると でへでへと笑うことしかできなかった。。
「あ、そうだ。クラウスさん。出かけ先でおいしそうなドーナッツショップがあって、お土産に」
「なんと、すまないな。ありがとう 空の選ぶショップはいつも絶品ばかりだからな…期待だな」
入り口で見かけた白い紙袋をクラウスさんに渡すと、花が飛びそうなほど破頑してクラウスさんが笑った。
「みんなの分はとっておいて、今いる人でティータイムにしませんか?」
ギルベルトさんが入れてくれたお茶でなんとも和やかなティータイムとなった。ドーナッツめちゃくちゃ美味しい。
ティータイム中にさっき空さんが書類を引き抜いた業について聞いてみた。何でも、普通のヒューマンではなく、特別な器官が何個かあるらしい。中でも高い音を出してその音の反射で周りを把握する周音器官を使った業なんだとか
「事務作業でとても役に立ってます」
にこりと笑う空さんだが、クラウスさんに聞くと、印刷の凹凸を聞き分けるだけでも難しいのに、人の指紋や紙や部屋の湿度、埃や気温によっても左右されるものらしく。神業だと絶賛していた。チェインさんにも気づけるときがあるのだとか。
そのまま空さんは鼻歌交じりに書類を整理して、クラウスさんと花の話をしていた。俺はバイトの時間がきたので帰ろうとすると、「夜食にでも」とハムとチーズを挟んだフィローネをくれた。ありがたく頂いて、バイトに向かう。
いつもは何てことないバイトも、美人作の夜食を抱えたバイトとなるといつもより浮き足立って終わらせられた。
部屋に戻って食べたフィローネはとてもとても美味しかった。てか本当に美味しかった、目玉が飛び出るかと思った。ただのフィローネなのにここまで美味いとは、、!!!
ザップさんに「空さん、って方が戻ってきてスティーブンさんは幾分か機嫌が治りましたよ」とメッセージを送って。今日は寝た。
翌日ライブラに向かうと空さんがいて「おはよう」と声をかけられた。やはり美人の挨拶で始まる一日はよいものだ、別にチェインさんも美人だけど、愛想というか雰囲気が違う。
珍しく俺よりあとにスティーブンさんがライブラのドアをあわただしく開けて入ってきた
「すまない! さすがに寝すぎた…」
ネクタイも結びかけで飛び込んできたスティーブンさんを待っていたのは、足の踏み場もないほどにある書類ではなく。
ゴシップ雑誌ほどの厚さにまとめられた書類の束が机の上におかれていただけだった。
「もうすこしゆっくりでもよかったのに…」
空さんがスティーブンさんに笑いかけると、スティーブンさんは人攫いのように空さんを抱えて「ブラボー!!」と振り回した。空さんは変わらぬ笑顔で振り回されていた。
end.
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