花言葉は、

 花柱であった最愛の姉――胡蝶カナエを殺した鬼――上弦の弐・童磨との戦いでその命を散らした少女は、仇敵の血肉となることでその首を討ち取ったのだ。
 骨のひと欠片はもちろん、髪の毛の一本さえも遺せないことを承知の上で、藤の花の毒でその身を満たし、憎い相手に喰わせるためだけに己を磨きあげて……。
 そんな彼女の墓に納められたのは、鬼の始祖――鬼舞辻無惨との最終決戦後にカクシが瓦礫の中から探し出してきた彼女の日輪刀と、カナエの形見でもあった羽織のみ。

 義勇は左腕に抱いていた花をしのぶの墓前に手向け、ゆっくりとその場に腰をおろした。
「胡蝶。おまえはここにはいない。それでも、俺の言葉はおまえに届くだろうか。おまえに話したいことが……聞いてほしいことがあるんだ」
 春風に揺れる供花を眺めながら、義勇はぽつりぽつりと語りだす。

「そうだな……他の者からすでに聞いているかもしれないが、まずは最終決戦の顛末から話そうと思う」
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