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「コンコンッ、」

「工藤?頭ちゃんと拭けたん……何や、寝てんのかいな。」

びしょ濡れになった平次がそのままシャワーを浴びて部屋を覗くと
新一は小さな寝息を立てていた。

そっと近付いてベッドに横たわる新一の顔を見つめる。
予想通り、髪はキチンと乾かしておらず
ポタポタと頬を雫が伝っていく。
その僅かな刺激に うん‥と小さく反応して真上を向く形になる。


綺麗に整った目鼻
意外に長いまつげ
知的な眉

カァッと体が火照るのを平次は実感した

「変態」

と言われてから20分と経っていないのに、生理現象は止められない


本当は
その瞳に
瞼に
額に
唇に
触れたい
許されるなら…

衝動に突き動かされそうになるのを必死に堪えて、平次は新一の髪を指でそっと梳く事で満足しようとした。

「(綺麗な顔やなぁ…)」

片思いがこんなにしんどいとは思っていなかった。
ましてや相手は同性の男…一筋縄にはいかないのは当然だが…
ああいうストレートな態度を取られると嬉しい反面困ってしまう自分も居て……
唯一、自分を拒絶する態度を取られていない事が平次にとっての救いだった



好きやから

強気で押すと引かれるんやないか?

好きやから
出ていけと言われるんやないか?

と不安で
あれ以来キスはおろか、ふざけ半分の言葉しか囁けずにいる。
新一が護られる事を極端に嫌がっているのを平次は感じ取っていた

『小さな体だった頃の俺じゃねー!』

と虚勢を張る新一に
『それは違う』
と言おうとしては言葉をつぐんだ……


『好きな人を護りたいだけなんや』

素直な感情は抑えようとしても抑えられない。
だから危険に晒されるとつい庇ってしまう
傷付いて欲しくないから……


プライドが高い新一にとって同性に護られる事が尚更苦痛なのは仕方の無いことだ

結果的に新一を傷付けるというなら

“もう、離れた方がええんやろか…”

そんな事さえ考えてしまう。
 
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