お試し期間
一方平次は洗い残しが無いように細心の注意を払いながら
『細い髪やなぁ…』
と自分とは違う色素の薄い髪に見とれつつ
腰にタオル一枚の目の前の恋心を抱く男の白い肌と、ほんのり蒸気した顔を見ていると
この髪を振り乱して快感に鳴く新一を妄想してしまう………。
「………服部…お前、勃ってねーか?」
「へっ!?!?あ、イヤ‥そ、そんな」
図星を差され、思わず慌てる。
「もういい、自分でやっから!!」
「片手じゃ無理や、我慢しぃや」
「我慢すんのはテメーだ、バーロ-!!こンの“変態”っっ!!」
「へ…変態はないやろ!?工藤が綺麗なんが悪いんや!!」
「はぁっ!?意味わかんねー!!人の髪の毛でおっ勃ててる奴は変態以外の何者でもねーだろ!!」
「変態変態言いなやっ!!」
手元が狂う。
「うあっ!?目に入った!!!」
「す、すまんっ!!」
訴えた方の目を平次が湯で濯いでやる。
「……大丈夫か?痛く‥ないか?」
「………ああ、大丈夫。‥落ちた。」
「ホッ。…髪、流すで。」
「ああ」
「シャアアアアアアア…」
「………………」
「………………」
何となくうやむやになり、無言になってしまう2人。
すすぎも終わろうかという頃
「あん手紙」
「え?」
「断ったよって‥せやから、…機嫌直せや」
「どんっ!!!」
「ぅあ!!?」
押されたせいで平次は濡れたタイルに尻餅をつき、シャワーノズルを持っていた手がズレて
だばだばと頭から自分に掛ける事になる。
「~~~~★」
茫然としたまま座り込んでいる平次をよそに
新一は振り返らずにすっくと立ち上がり、
「オメー、美容師にだけはなんなよ」
とだけ言って風呂場を出た。
「バタン!!」
「---何やねん?」