第1章
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1週間に1度。
わたしがサボに会えるのは日曜日だけだった。
「ねぇサラ。わたし変じゃない?」
「いいえアリス様。とっても可愛らしいですよ」
うーん、と鏡に写る自分を見てはやっぱり可笑しいのではないかと悩んでしまう。
それにサラは何を着ても似合うしか言わないから正直宛にならない。
初めてサボに会った日から1年が経とうとしていた。
あの晩はもちろんたっぷりと怒られたけれど全部サボとの思い出で乗り越えられたので辛くはなかった。
そして、今回は初めてサボの家に行くのだ。
今までは安全面とか色々なことがあり、わたしの家でやっていたけれど、わたしの誕生日を明日に控えた今日、初めてサボの家に招待されたのだった。
「アリス!」
バタン!と大きな音をさせてノックもせずに入ってきたのはお姉様。
「お姉様どうしたの?」
「え?アリスが呼んだんじゃない」
ドレスを見てもらおうと思っていたことを思い出しあの時の自分を少し恨む。
お姉様はわたしがサボのところに行くと知ったら面倒くさいほど色々なことを聞いてくるのだ。
「いえ、ドレスを見てもらいたくて」
「サボくんのところね!だったら赤よりも断然青ね!!だってアリスは青が似合うもの!!」
あはは…と若干引き気味に笑っていることにお姉様は全く気が付かずにどんどん話を進めていく。
きっと1年前のわたしはこんな状況を想像すら出来なかったと思う。
全部サボのおかげだ。
お姉様を見てもモヤモヤは心の中に生まれない。
だってわたしにはサボがいるから。
サボに出会ってからお姉様のことを大好きになれたのだ。
「アリスは本当にサボくんが好きね」
「え?あ、うん。大好きよ」
そう答えればお姉様は頭を抱えて唸った。
そしてパッと顔をあげてビシッとわたしの方に指を突き出すと宣言するようにして言った。
「貴方はLIKEの方で大好きって言ってるでしょ!!LOVEは!?LOVEの方は!?」
面倒臭いことこの上ない。
今度は私が頭を抱えて唸る番だった。
ちなみにこんな時でもお姉様は美しい。
「わからないわ。サボは大切なのよ。LOVEかLIKEかって言われても答えられないわ」
「うっそだぁぁぁ!好きでもない人のためにここまでオシャレする??」
はいはい、と軽くあしらってお姉様が選んだドレスに袖を通す。
本当はこの気持ちがどっちなのかわかっている。
最初は本当に分からなかったけれど、1年も経てば否が応でも分かってしまうのだ。
あの時のキスの意味も今ならわかる。
わたしは彼が好き。
もちろんLOVEの方で。
でも言うと面倒臭いからこの気持ちは隠しておくのだ。
「アリス様。出発致します」
「はい、わかりましたわ」
最後に祖母の形見を付けて部屋を出る。
柄にもなく浮足立つのを感じていた。
「いらっしゃいませ、アリス様」
「本日はお招きいただきましてありがとうございます」
親の手前だから堅苦しい挨拶をきちんとするけれどサボの顔を見ると笑いそうになってしまう。
「サボ、アリス様をお部屋に連れて行きなさい」
お義父様に言われたサボはスっとわたしの傍にきて腕を差し出す。
慣れたものね、なんて思いつつその腕に自らの腕を絡めて歩き出す。
しばらく歩いてサボの部屋らしきところに着いた瞬間わたしたちは力を抜いた。
「アリスよく来たな!」
「サボ、エスコートありがとう」
「いえいえ、当然ですよ」
いつもみたいにふざけあって笑う。
いつもと違うのはここがわたしの部屋じゃなくてサボの部屋だと言うことくらい。
「アリス」
呼ばれて振り向けば、小さな箱を持ったサボが立っていた。
意味が分からなくて怪訝そうな顔をしてしまい、サボに笑われる。
「怪しい物じゃねぇよ?」
「いや、サボが持ってるだけで充分怪しいわよ」
「ひっでぇ」
そう言いながらサボはわたしに近づくとわたしの瞼に手を添えてゆっくりと落とさせた。
「なにかしら」
「黙ってて」
ひんやりとしたサボの手がわたしの耳に当たって、少しするとサボの気配が離れた。
「目、開けて」
言われるがままに目を開ければ鏡を持ったサボ。
そして鏡に写るわたしの耳には綺麗な青い星のピアスがあった。
「これ…サファイア?」
「どうだ?明日のプレゼントは見栄で買ったようなもんだからよ、これは兄弟と一緒に選んだんだ」
まるでサボのような輝きを持ったピアスはわたしの耳元で綺麗に光っている。
「嬉しい」
「悩んだかいがあるな」
「でも、どうしてピアスにしたの?わたし、穴開けてるの言ったことあった?」
これは素直な疑問だった。
ネックレスとかブレスレットとか、プレゼントならたくさん候補はあったはずなのにサボはピアスを選んだ。
しかもわたしはピアスについて話したことなんて1度もない。
「だってよ、ブレスレットはアリスが嫌いって言ってたから、ネックレスは形見の大切な物があるって言ってたからあげても毎日は付けてもらえねぇなって、だからピアスならいいかなって」
考えすぎ?なんて頭を掻きながら照れ臭そうに笑うサボに思わず抱きつく。
わたしの小さなことに気がついてくれる。
サボはわたしを見てくれてる。
確かにわたしはブレスレットが嫌いだし、ネックレスは祖母に貰った大切な形見がある。
「ありがとう」
ギュッと抱きしめながら言った言葉が伝わってるかどうかは分からないけれど、サボも抱き締め返してくれたからきっと伝わってる。
そう思ってわたしは幸せに浸った。
翌日。
わたしの誕生日会は盛大に行なわれ、そこでサボからはダイヤの指輪が送られた。
指輪を送るということ、すなわちそれはわたしがサボの物だから手を出すなという牽制。
わたしの赤くなった顔を見てお姉様がからかってきたのは言うまでもない。
わたしがサボに会えるのは日曜日だけだった。
「ねぇサラ。わたし変じゃない?」
「いいえアリス様。とっても可愛らしいですよ」
うーん、と鏡に写る自分を見てはやっぱり可笑しいのではないかと悩んでしまう。
それにサラは何を着ても似合うしか言わないから正直宛にならない。
初めてサボに会った日から1年が経とうとしていた。
あの晩はもちろんたっぷりと怒られたけれど全部サボとの思い出で乗り越えられたので辛くはなかった。
そして、今回は初めてサボの家に行くのだ。
今までは安全面とか色々なことがあり、わたしの家でやっていたけれど、わたしの誕生日を明日に控えた今日、初めてサボの家に招待されたのだった。
「アリス!」
バタン!と大きな音をさせてノックもせずに入ってきたのはお姉様。
「お姉様どうしたの?」
「え?アリスが呼んだんじゃない」
ドレスを見てもらおうと思っていたことを思い出しあの時の自分を少し恨む。
お姉様はわたしがサボのところに行くと知ったら面倒くさいほど色々なことを聞いてくるのだ。
「いえ、ドレスを見てもらいたくて」
「サボくんのところね!だったら赤よりも断然青ね!!だってアリスは青が似合うもの!!」
あはは…と若干引き気味に笑っていることにお姉様は全く気が付かずにどんどん話を進めていく。
きっと1年前のわたしはこんな状況を想像すら出来なかったと思う。
全部サボのおかげだ。
お姉様を見てもモヤモヤは心の中に生まれない。
だってわたしにはサボがいるから。
サボに出会ってからお姉様のことを大好きになれたのだ。
「アリスは本当にサボくんが好きね」
「え?あ、うん。大好きよ」
そう答えればお姉様は頭を抱えて唸った。
そしてパッと顔をあげてビシッとわたしの方に指を突き出すと宣言するようにして言った。
「貴方はLIKEの方で大好きって言ってるでしょ!!LOVEは!?LOVEの方は!?」
面倒臭いことこの上ない。
今度は私が頭を抱えて唸る番だった。
ちなみにこんな時でもお姉様は美しい。
「わからないわ。サボは大切なのよ。LOVEかLIKEかって言われても答えられないわ」
「うっそだぁぁぁ!好きでもない人のためにここまでオシャレする??」
はいはい、と軽くあしらってお姉様が選んだドレスに袖を通す。
本当はこの気持ちがどっちなのかわかっている。
最初は本当に分からなかったけれど、1年も経てば否が応でも分かってしまうのだ。
あの時のキスの意味も今ならわかる。
わたしは彼が好き。
もちろんLOVEの方で。
でも言うと面倒臭いからこの気持ちは隠しておくのだ。
「アリス様。出発致します」
「はい、わかりましたわ」
最後に祖母の形見を付けて部屋を出る。
柄にもなく浮足立つのを感じていた。
「いらっしゃいませ、アリス様」
「本日はお招きいただきましてありがとうございます」
親の手前だから堅苦しい挨拶をきちんとするけれどサボの顔を見ると笑いそうになってしまう。
「サボ、アリス様をお部屋に連れて行きなさい」
お義父様に言われたサボはスっとわたしの傍にきて腕を差し出す。
慣れたものね、なんて思いつつその腕に自らの腕を絡めて歩き出す。
しばらく歩いてサボの部屋らしきところに着いた瞬間わたしたちは力を抜いた。
「アリスよく来たな!」
「サボ、エスコートありがとう」
「いえいえ、当然ですよ」
いつもみたいにふざけあって笑う。
いつもと違うのはここがわたしの部屋じゃなくてサボの部屋だと言うことくらい。
「アリス」
呼ばれて振り向けば、小さな箱を持ったサボが立っていた。
意味が分からなくて怪訝そうな顔をしてしまい、サボに笑われる。
「怪しい物じゃねぇよ?」
「いや、サボが持ってるだけで充分怪しいわよ」
「ひっでぇ」
そう言いながらサボはわたしに近づくとわたしの瞼に手を添えてゆっくりと落とさせた。
「なにかしら」
「黙ってて」
ひんやりとしたサボの手がわたしの耳に当たって、少しするとサボの気配が離れた。
「目、開けて」
言われるがままに目を開ければ鏡を持ったサボ。
そして鏡に写るわたしの耳には綺麗な青い星のピアスがあった。
「これ…サファイア?」
「どうだ?明日のプレゼントは見栄で買ったようなもんだからよ、これは兄弟と一緒に選んだんだ」
まるでサボのような輝きを持ったピアスはわたしの耳元で綺麗に光っている。
「嬉しい」
「悩んだかいがあるな」
「でも、どうしてピアスにしたの?わたし、穴開けてるの言ったことあった?」
これは素直な疑問だった。
ネックレスとかブレスレットとか、プレゼントならたくさん候補はあったはずなのにサボはピアスを選んだ。
しかもわたしはピアスについて話したことなんて1度もない。
「だってよ、ブレスレットはアリスが嫌いって言ってたから、ネックレスは形見の大切な物があるって言ってたからあげても毎日は付けてもらえねぇなって、だからピアスならいいかなって」
考えすぎ?なんて頭を掻きながら照れ臭そうに笑うサボに思わず抱きつく。
わたしの小さなことに気がついてくれる。
サボはわたしを見てくれてる。
確かにわたしはブレスレットが嫌いだし、ネックレスは祖母に貰った大切な形見がある。
「ありがとう」
ギュッと抱きしめながら言った言葉が伝わってるかどうかは分からないけれど、サボも抱き締め返してくれたからきっと伝わってる。
そう思ってわたしは幸せに浸った。
翌日。
わたしの誕生日会は盛大に行なわれ、そこでサボからはダイヤの指輪が送られた。
指輪を送るということ、すなわちそれはわたしがサボの物だから手を出すなという牽制。
わたしの赤くなった顔を見てお姉様がからかってきたのは言うまでもない。
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