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第2時間目「個性豊かなクラスメート」

 大騒ぎが収まり、4人全員席に座った。そして静かになった。時間が経つにつれて、これから切磋琢磨していく仲間たちが教室に入ってきた。走太は率直に思った。
走太(みんな髪の毛に個性ありすぎじゃない…!?)


 クラスメート全員が集まった。突然亜理子が立ち上がり、教卓に向かって歩き始めた。
亜理子「これで全員かしら。」
翼「鏡沢、今度は何がしたいんだ。」
亜理子は教卓を強く叩き、クラスメートの顔をゆっくりと見る。
亜理子「みんな面白い姿ね!」
    (唐突にどうしたぁー。)
全員が思った。1人の女が戸惑いながらも言う。
妖子「面白いっていうよりかは、個性の影響でこの姿なのよ。私の個性は「変化」なんだけど、その個性の影響で、ほら。」
女は体をクルッと1回転した。
妖子「ね?尻尾や耳が生えているのよ。」
この女の名前は狐妖子。黄金色で毛並みが良い獣耳と尻尾が生えている。もちろん頭から生えている髪も艶々だ。セクシー、容姿端麗、美しさはここまでで充分かもしれないが、加えて高身長である。まるでモデルのようだ。
亜理子「なるほど、あなたはそういう個性なのね。それにしても…、そこのボロ布を被ったボク?」
亜理子に呼ばれたボク君は、背が小学校低学年並みに小さい。そして顔がボロ布で覆われているのでどんな顔か分からない。
剛「ボクって名前じゃないよ!ボクの名前は死野田剛!個性はゴースト、よろしくっ!」
剛は自己紹介を終えると「レッツゴー!」と言いながらふわっと宙に浮いた。クラス一同おおっと驚く。そして席に戻った。
亜理子「空を飛ぶ個性…。普通ね。」
剛「ふ、ふつう!!!???」
何度も言うが、剛はボロ布を被っているので顔が見えないが、ボロ布の中で口をあんぐり開けて絶望していることだろう。
翼「それ俺のこともさりげなくディスってるよな…。」
剛「ぼぼぼ、ボクは空を飛べるだけじゃないもん!オバケだから、透明化したり、すり抜けたりできるもん!」
亜理子「次!そこの龍が絡まっている男!」
竜騎「俺ですか?」
剛「聞いてないしぃ…!」
隣の席の翼が慰める。亜理子はそれを気にせずに続ける。
亜理子「なんで龍が絡まってるの?」
竜騎「こいつらか〜!いいところに目をつけたな!絡まってんじゃねーよ。一緒にいるだけだ!おっと、自己紹介遅れたな!俺、龍ヶ崎竜騎!で、愛するドラゴンたちの名前はドラちゃんとリューくんだ!」
       (名前普通…!)
名前を呼ばれたドラゴンたちは竜騎にじゃれつき、竜騎はよしよしで返す。
竜騎「俺の可愛い可愛いドラゴンたち!どうだ?いいだろ〜!」
亜理子「興味ない。」
竜騎「き、興味ない…!?」
竜騎とドラゴンたちは息ぴったりにガックリする。翼はまあまあ席が離れているが、竜騎を慰めに行く。
亜理子「次はー」
マリア「あら、初日から盛り上がってるわね。」
大人の声が聞こえて、みんなが肩をピクリと動かして一斉に扉を見る。そこには体のラインが出ているピチピチのヒーロースーツを纏い、色気を醸し出している女がいた。年齢不詳だが若々しく見える、言わば美魔女だ。
マリア「でもヒーローは連携も重視しなければならないわ。だからお互いを知っておくのもいいわね。」
生徒たちは一気に緊張した。この人はきっとクラスの担任である。ヒーロー科の教員ということは、プロヒーローでもある。自分たちが目指すべき人なのだ。さっきまで余裕の表情だった亜理子も緊張した面持ちで席に座った。亜理子が席を退いたのと同時にマリアはそこに立った。
マリア「自己紹介するわ。私はマリアよ。私の個性、見てみる?」
マリアという名の担任は手を前に向けて力を入れた。すると
       Bommmmm!!!!!!!
手のひらで爆破が起こった!生徒たちは光、音、熱、そして個性のギャップに驚く。走太、髪木、翼はこの時、先ほどの亜理子はマリアから個性を真似してきたと分かった。
マリア「ま、こんな感じの個性なの。ちなみにテレビでよく見るプロヒーローさんとはなんの繋がりもないわ。」
ここまでは普通の自己紹介だったが。
マリア「年齢は永遠の18歳よ!」
    (突然オバさん出たー。)
そのようなことを言わなければマリアはみんなの憧れ、カッコいいヒーローのままだった。すると竜騎が禁断の言葉を発してしまった。
竜騎「え?俺40代から50代だと思ってた。」
ドラゴンたち「シャーッ!!」
         (あ)
生徒たちが気づいた時には遅かった。マリアの目が死んだ。そして口も半笑いになった。マリアはさっきよりも力を込めて、感情が爆発したように爆破させた。爆風で生徒たちの髪がなびき、一部の生徒は熱で汗をかいてしまった。マリアは声のトーンを落としてゆっくりと言う。
マリア「なーにーかーしーら?」
竜騎「な、なんでもないです。」
竜騎とドラゴンたちは身をすぼめる。
マリア「まあいいわ。さ、話を進めましょう。」
竜騎、そして他の生徒たちは安心して息をはいて、顔を緩めた。さっきの爆破で汗をかかなかった生徒も、冷や汗をかいた。
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