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第9時間目「トップヒーロー」

 ロボットの手が男子達を潰しそうになった。その時だった。ロボットの動きがピタッと止まり、ロボットがセピア色に変化したのだ。
髪木「…!?」
髪木はなにが起こったのか理解できなかった。するとロボットの後ろから誰かがやってきた。そう、髪木にとって負けていられない、大きなリボンと金髪が目障りの女である。
亜理子「こんなロボットにも太刀打ちができないなんて、雑魚ってやつね!」
亜理子は高笑いをする。髪木は亜理子が自分たちのことを助けてくれたのだとようやく分かった。亜理子は笑うのをやめると、気絶している男子を侮蔑した。
亜理子「あら?あなたたち、怖くて気絶しちゃったのかしら?まだまだ私には勝てないわね!」
亜理子は男子達の顔を叩くと、男子達は意識を取り戻した。走太と大地は心臓がびくんと飛び上がったように立った。
大地「そういえばオラたち戦闘中だっただよ!」
走太「はっ!ロボットは!ロボットはどこだ!」
亜理子「ロボットなら私が動きを止めておいわ。感謝することね!」
亜理子は自信たっぷりの笑みを浮かべた。
髪木「鏡沢…。」
髪木は亜理子に負けてしまったと考えた。同じ特待生として入学したのに、実力、そしてヒーローとしての心構えが亜理子の方が圧倒的に上だと知ってしまった。髪木の性格なら悔しいと思うだろう。だが、今の彼女は違かったのだ。なぜか悔しいという感情が浮かばなかったのだ。むしろ、自分たちを助けてくれたことへの感謝の気持ちが強くなっていったのだ。髪木は亜理子の方へ向かう。
髪木「鏡沢。」
亜理子「なにかしら。」
髪木は少しためらったが、感謝の気持ちを伝えると決めた。
髪木「助けてくれてありがとう…。」
少しだけ声が小さくなってしまったが、しっかりと言えたことに安心した。
亜理子「ふうん、あなた、ついに私より下だって認めたのね!」
髪木「は?」
亜理子は「オーホッホッホッ!」と嬉しそうに笑った。
亜理子「やっぱり私が一番!世界の雄英高校でトップ、つまり世界一のヒーローなのよ!」
亜理子は甲高い声で笑った。髪木の言葉が、亜理子のプライドを余計に高くしてしまったのだ。
髪木「やっぱり、こいつなんかに負けたくない!!」
髪木はさっきまでの気持ちをすぐに忘れてしまった。そして亜理子に対する敵対心が湧いてきたのだった。
髪木「クソっ!トップヒーロー目指すなら、まずはこの雄英でトップにならねぇと!速光!古代!戦うぞ!」
走太「うん!戦おう!」
大地「もちろんだべ!」
妖子「私もやるわ!」
髪木「狐!お前ケガがー」
妖子「仲間のためならば、トップヒーローに怪我なんて関係ないわ。」
髪木「狐…。」
髪木は仲間たちにいつの間にか励まされているのだった。
髪木「よし…、行くぜっ!」
髪木たちは力強く一歩を踏み出した。髪木の目は、元の鋭さを取り戻していた。

 みんなはもうロボットに対する恐怖心など、忘れてしまっていたのだった。
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