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第7時間目「VSロボット」

髪木「お、おい、あんなデッケーのと戦えっていうのかよ…。」
さすがの髪木でも弱気になる。だがこの女、亜理子は唯一強気だった。彼女は余裕の表情でみんなを嘲る。
亜理子「やっぱり私が一番なのね!たかがロボットごときに気弱になるなんて、それでもヒーローになりたいのかしら?」
亜理子の言葉に逆に励まされるみんな。1人の男が亜理子に近づいて言う。
響「ずっとオマエのこと見てたけど…。あぁ!面白いヤツだな!オレ、オマエのことマジで尊敬するよ!」
鼻の下を指でこすりながら少年のようににぱっと笑う、ヘッドフォンをつけた男の名前は音音響。個性は爆音で、爆音波を発生させることができる、自称炎より熱い個性なのだ。
亜理子「何か用かしら?」
亜理子は無表情で言うが、響は全く気にせずに亜理子に近づいて、目をキラキラと輝かせた。
響「鏡沢!オマエの気合い、すっげー熱いな!オレも燃え尽きる精神でやんねーと!あ、自己紹介してなかったな。オレ、音音響って言うんだ!よろしくだぜ!」
響は亜理子と握手しようとしたが、亜理子はしれっと拒否した。響は「ワイルド!」と言って亜理子の反応に感激した。そしてロボットの方を向く。
響「先手必勝!さあ熱く!燃えるぜっ!!」
単純で真っ直ぐな性格の響は、勝手に体が動いてしまったのかロボットに一直線で走っていってしまった。あんなに巨大なロボットに1人で立ち向かうのはリスクが大きすぎる。だが響のポリシーは考えるよりまず行動。熱が入ると周りが見えなくなってしまうのだ。
髪木「おい!独りで行くとかアイツはバカか!」
翼「盾山ウンコと違う意味で馬鹿だ!」
守「違う意味ってどういう意味スか!?てかオレの名前にウンコつけないでくださいッス!」
みんなは響のところへ急いで向かう。だが1人だけ見ているだけで、ついていかなかった。
亜理子「…、なによアイツ。暑苦しいわね。あんなやつに絡まれるの面倒くさいわ!」


 響を追いかける一同は横からもロボットが迫っているのに気がついた。
蜘蛛美「またなのか!?」
剛「ロボットが増えちゃったじゃーん!」
一同は絶望したり、平常心を忘れつつある。花夫は先程の竜騎のように、焦りのせいでまた失敗を犯してしまわないようみんなに話す。
花夫「焦ったら負けだ。常に平常心を忘れるな!」
髪木「その通りだけど、その言葉、音音にも聞かせたいぜ!」
秀英「ブツブツブツブツブツブツ…」
1人の男がなぜかロボットの分析をし始めた。
秀英「あの人型ロボット、素材は間違いなく鋼だ…。形、塗装、動きを分析するとおよそ20年前にアメリカで製造されたものだな。その名もロボ・リーノーミー機F0218型だっ!」
月宮「君はなにを言っているんだい?難解すぎてさっぱり分からないよ。」
ロボットの分析をした男はメガネのズレを直した。シャキッと光るメガネに、周りは視線を向ける。
秀英「あのロボットの攻撃方法は殴る、レーザービーム、視野は360度センサーが付いているから奇襲も不可能。鋼の強度はアメリカ軍が極秘製造法を使って作ったからそう簡単にはへこまない!即ち、オレたちはただ攻撃するのではなく、テクニカルにあれを壊すしかない!」
月宮「キミはなかなか物知りじゃないか。」
秀英「フフフ、分析はオレに任せろ!」
鼻を膨らませてドヤ顔をした、メガネがアイデンティティの男は伊集院秀英。個性は頭脳明晰。頭の回転が人一倍速いのだ。
竜騎「ロボットが二体いるなら二手に分かれようぜ!早くしねーと、響がやられちまう!」
秀英「ちなみにアイツの死角は足元だ!」
翼「了解。」
みんなは二手に分かれてロボットと死闘することになったのだ。


 後から現れたロボットと戦う方では
月宮「こりゃあ大変だ…。」
剛「遠くからでもでっかく見えるけど、近くからだともっとでっかく見えるよ〜!」
パニック状態であたふたする剛。すると薫が剛の様子に気づいたのか、急いで剛の元へ駆け寄った。
薫「大丈夫ぅ?ほら、僕のアロマで落ち着いてぇ〜。」
薫はさっき救助した女性に放った香りとは違う、のどかな森を思わせる、木々のいい香りを発した。実は剛だけではなく周りもロボットの圧倒的な大きさに恐怖心を持っていたが、薫のアロマに癒されて、平常心を取り戻すことができた。薫に救われた一同は、ロボットと戦闘する態勢をとる。
薫「僕も戦うよぉ!」
秀英「甘露は治療に専念するべきだ。」
薫「そっかぁ〜、分かったよぉ!傷ついたらすぐに助けるから、安心して戦ってねぇ!」
花夫「助かる。ありがとう。」
守「めっちゃ甘露さんに助けてもらってるから、オレは甘露さんを守る係になるッス!」
一同はロボットの方を向いて戦闘態勢をとった。
蜘蛛美「うむ、技術で戦うというのは、妾にとっては得意分野じゃ。」
時「はい。ワタクシがあのロボットの動きを止めて、その間に攻撃をする…。」
秀英「俺が指示を出す。みんなが聞き取れるように精一杯声を出すからな。」
月宮「…。ボクには役目がないなぁ。」
月宮はみんなに聞こえないくらいの声量でぼそっと呟いた。
零「…。」
剛「それじゃあ、レッツゴー!!」
剛の掛け声と同時に全員ロボットに向かって走っていった。
蜘蛛美「皆よ!時の援護を頼む!」
花夫「任せてくれ!」
時が真っ先にロボットの死角である足もとへかけて行く。その後ろに花夫、蜘蛛美、月宮、そして無口なボブの女がついて行き、またその後に秀英、薫、守がついて行く。ロボットは彼らを感知したのか、のしっとロボットアームを降り下ろした。
蜘蛛美「時よ!警戒するのじゃ!」
時「はい!…?こっちに落ちて来る感じがしません!」
秀英「何!?」
剛「ボクのところに来ても、すり抜けちゃうから意味ないよ!ってあれ?ボクの真上にロボットの腕がないなぁ。」
月宮「やれやれ、ボクを潰したところで大した違いはないよ!…って、ボクを潰す気もないみたい。」
秀英はハッと重大なことに気付いてしまった。
秀英「これは一大事だ!アイツは戦闘能力がない甘露を狙うつもりだ!」
薫「ひえぇっ!?」
秀英は、ロボットは戦闘能力が乏しく、味方を回復できる薫から潰していく作戦であると分析した。秀英は引き続き拳を顎に当てて考える。
秀英「アイツは自分でそう判断しているのか、マリア先生がそうプログラミングしているのか…。」
剛「それはどうでもいいから!とにかく薫、早く逃げて!」
薫「ひ、ひゃあああ!!」
薫は突然のことすぎて体が逃げるという動作に追いつかなかった。薫は反射で目をつぶり、腕で頭を守って腰を抜かした。周りがロボットアームを攻撃しても攻撃が追いつかずアームに届かない。薫は絶体絶命のピンチだった。
守「あの!何に絶望してるんスか!?オレのこと忘れないでほしいッスね!!」
守は薫の前に立ち手をぴっと前に出した。すると手の前から守と薫を覆うようにバリアが張られた。直後にロボットアームがバリアを攻撃するが、バリアは全く壊れない。
守「こんなもんスか〜?マジでクソッスね〜!」
守はヘラヘラと舐めた態度で言う。
薫「守くん、ありがとう…。」
守「どうでしたスか…。オレの魅力はこんなもんじゃないッスよ…。」
蜘蛛美「いきなりどうしたんじゃ?」
薫「ま、守くん!?」
薫の感謝の言葉を聞く前に、蜘蛛美に自分の魅力をアピールし始めた守。
守「この試験が終わったらオレと一緒に遊ぶッス!」
時「なっ…!蜘蛛美様にはしたない真似をするな!」
蜘蛛美の使いとして蜘蛛美を全力で守る時。だが守はチャラチャラしながら笑っていった。
守「だって〜、巣胚田パイセンめっちゃカワイイじゃないすか!」
時「蜘蛛美様はあなたみたいな低俗な人ではない!」
守「男はみんなナンパしますッスよ!」
時「ワタクシも男ですが、そんなことしませんから!」
守「えー、止皆賀パイセン嘘つき〜!男ならみんなナンパするッスから!そうッスよね?甘露パイセン!」
いきなり話を振られて動揺する薫。
薫「ひえっ!?ぼ、ボクはするわけないよぉ!」
守「甘露パイセンは男の娘なので例外とするッス!」
薫「ええっ…?」
守の話を聞いていた時は心情をあらわにするように大きな声で言った。
時「低俗な人だけがナンパをするのです!」
守「…もしかして止皆賀パイセン、そうやって自分カッコいいアピールしてるんスか?」
時「わ、ワタクシはこうして蜘蛛美様をお守りしているだけです!」
顔を赤らめながら反論する時に追い討ちをかけるように、守はヒソヒソと言った。
守「えー?…ぶっちゃけ、巣胚田パイセンのこと、好きスか?」
時「お、お黙ください!とにかく早くロボットの動きを止めますよ!」
時は話から逃げるように全力でロボットの足もとへ駆ける。
蜘蛛美「空気のせいで止める気になれなかったぞ…。」
呆れる蜘蛛美に対して、2人の会話を感心しなら聞いていた花夫。
花夫「これが思春期の男子の会話なんだな。…まあ、そんなことはいい。とにかく今のうちにたたみかけるぞ!」
蜘蛛美「そうじゃの。妾もやるぞ!粘度最大の蜘蛛の糸じゃ!」
蜘蛛美は手の指先からしゅるるっと蜘蛛の糸をロボットアームにめがけて出した。ロボットアームにくっつき、ロボットが糸を剥がそうとするとその腕も蜘蛛の糸にくっついてしまった。
蜘蛛美「ろぼっとが怯んでるぞ!今が好機じゃ!」
時は全力を超えた全力でロボットへ走っていく。そしてロボットの足もとへ着いてすぐにロボットに触れた。ロボットはさっきまで動いていたがそのままの体勢で電池が切れたようにピタッと動きを止め、ロボットの色がセピア色に変わった。
時「ワタクシに触れられたモノは、色がセピア色に変わって動きを止めるんです!」
蜘蛛美「確かそうじゃったの。」
秀英「さあ今だ!ロボットを転倒させて、身動きを取れなくするんだ!」
花夫「ならば私がやってみせよう。」
花夫は近くに生えていた大木に話しかけた。そして「行けっ!」とロボットの足元を指差す。すると大木はぐぐーんと生長してロボットの足元をギュッと縛った。大木は電車ほどの太さになり、何が攻撃しても絶対に切れないほど丈夫になった。また、生長中に木が揺れたからか、手のひらほどの大きさがある深緑の葉っぱが視界を遮ってしまうほど大量に落ちてきた。そしてロボットの時が戻り、ロボットが歩こうとするがそれはもう不可能。足に巻きつけられた大木によってコケてしまった。
零「正直なところ、あれが転倒したら周りにいる人が潰されて大惨事になると思う。私がロボットを凍らせて、今度こそ動けなくするね。」
珍しくボブの女が喋った。そしてロボットに触れるとあっという間に巨大なロボットが斜めの体勢のままカチンコチンに凍ってしまった。
剛「つ、強〜。」
零「…。」
強い氷の個性を持つ女は摂氏零。個性は絶対零度で、どんなモノでも凍らせてしまう、とても強い個性なのだ。だがあまり使いすぎると自分も凍ってきてしまう。そのため彼女はどんな時もカイロを常備しているのだ。
秀英「これでロボット一体を潰せたな。」
ようやくロボットを片付けたと思ったそのとき、また後ろから同じ形のロボットが現れた。
守「何度やっても同じッス!さっさと片付けるッスよ!」
月宮「ボクは何にも役に立たなかったけどね。」
秀英「それなら次は一緒に指示を出してほしい。」
月宮「喜んでやらせてもらうよ。」
零(自分…、凍るんですけど。)
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