マリアは黄色いチョークで黒板に字を書き始めた。とても綺麗な楷書だ。黄色を使ったのは文字を目立たせるためである。
マリア「ヒーロー相応試験っと…。」
字を書き終えると生徒に向かって言った。
マリア「黒板を見て。今から入学したばかりのあなたたちに、この学校のヒーロー科にふさわしいかテストするわ。」
　　　（ふさわしいかテスト…？）
生徒たちは「ふさわしいか」という言葉に引っかかっていた。
マリア「みんなハテナが浮かぶのは分かってたわ。今から説明するわね。」
マリアは黒板に大きな模造紙を貼った。そこにはどこかの施設の図が描かれてあった。
マリア「黒板に書いてある通り、名付けて「ヒーロー相応試験」ね。簡単に説明すると、あなたたちはこれからヒーロー科専用の施設に行ってもらって、個性を使って様々な試練をクリアしてもらう、ただそれだけ。」
個性を使うという言葉に、生徒たちの目はキラキラし始めた。マリアは「可愛いわね。」と言って微笑んだ。だがすぐに顔が真剣になる。
マリア「でもこの試験、不合格になったら在学取り消しになるのよ。」
生徒たちの目は一気に輝きを失った。妖子が手を上げて「それはつまり学校を退学するということですか。」と言った。マリアは「その通りよ。」と頷いた。
竜騎「それって冗談だよな！？」
竜騎は不安を和らげるためにこう言ったのだろう。だがマリアは首を横に振った。
マリア「いいえ。過去にそうなったクラスは何回かいたわ。」
竜騎もさすがに顔が青ざめてしまった。
マリア「本当は才能があって将来のある子たちだけど、ここの試験に失敗したらもうおしまい。だから気を引き締めてちょうだい。」