日向ごっこ
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婚約者になってはとりの家に泊まることが七対三の割合で増えた。実家は徒歩30秒の距離なのに甘えすぎでは……と思っていたら、はとりに抱きしめられてこう言われた。
「一緒にいさせてくれ」
あのはとりが甘えるように言うので即答で「もちろんです」と抱きしめ返した。甘えるはとり。もう響きが最高すぎて1ヶ月はそれでテンションが上がっていた。1ヶ月はこれでご飯食べられる、とアホなことを考えていたせいか、1ヶ月がちょうど過ぎてから風邪をひいた。
「げほっげほっ」
「季節の変わり目にやられたな」
「うぅ……実家に帰らせていただきます……」
「なぜだ」
「はとりに移る」
「風邪ひく度に実家に帰られたらたまったもんじゃない。家にいろ」
「……なんかもうここが私の家みたい」
ぽつりと言うとはとりは笑って私の頭を撫でた。
「そのつもりだが?」
「……倖せで泣けてきた」
「風邪でじゃないか」
「倖せで、です」
強調して言うとはとりは穏やかに「そうか」と言った。そうなんです。
アイス枕を交換してくれて気持ちよくて眠くなってくる。でも医者モードで婚約者モードのはとりって最高に格好いいからこの近くで見られる機会をふいにしたくない。そう思ってガン見していると「寝ろ」と大きな手で目隠しされた。
「私が風邪ひくの数年に一回あるかないかだからこのはとりモードを逃したくない」
「寝ろ」
聞く耳もたずだった。はとりは分かってない。自分の医者姿がどれだけ格好いいか。絶対草摩一族の中で病気中にはとりに惚れた人いるからね。諭吉をかけていい。そんな事をはとりに言うと「友達みたいに呼ぶな。あと賭けるな」と言われた。
「ううぅ……はとりが自分の魅力に気づいてない……どうしてくれるんだ……そんなに格好良くて……どうやって活きているんだ……」
「ナマエ、熱を計れ」
「はい」
ぴぴっと音がしたのではとりに渡すと「やはり上がっている」とため息つかれた。
「お前は子供のときから熱が上がるにつれて変に元気になる」
「なにその馬鹿みたいな人」
「草摩ナマエというな」
「私かぁ」
風邪ひかせちゃ駄目な奴だな。
「はとりはさ、私のどんなときが好きってなる?」
「何だ急に」
「私は山ほどあるから聞きたくなったの。あ、聞きたい?」
「あまり喋るな」
「じゃあはとりが言って」
「…………」
駄目かな。風邪につけこんで甘えてるんだけどバレてるかな。……バレてるな。なぜなら7歳くらいのとき風邪ひいて何がほしい? って聞かれて「はとり」って答えたアホな歴史がある。はとりはそのとき中学生。子供なのに律儀に私のお見舞いに来てくれたから、風邪をひいたら私が甘ったれになるのはばっちり知っている。
「はとり」
風邪のときだけの特権を使う。はとりは私が風邪のときにこんな風にはとりを呼んだら折れてくれるのだ。本当に甘ったれだ。でも今は婚約者なんだから好きってなるときを教えてくれてもいいのでは? と思ってしまう。人ってわがままだ。愛されてるのちゃんと知ってるのにそれ以上に知りたがるんだから。
「……些細なことでも喜んでくれるとき」
「!」
「誰かの為に怒っているとき」
「……」
「俺のために哀しんでくれているとき」
「……」
「何にでも楽しそうにしているとき」
「……はとり」
「なんだ」
「喜怒哀楽って知ってる?」
「知らないな」
笑ってそういうはとりに「手抜きしたなー!」とのど声で言う。くそぅ喜怒哀楽に沿っただけじゃん。そう思うのに普通に嬉しいから私は単純だしはとりはズルい。
「もー怒りました。はとりの好きな所180個をしたためて診療室に貼ります」
「絶対にやめろ」
「しらないもんね。怒ったもん」
拗ねましたモードに突入した私にはとりはため息を吐いた。顔が絶対にコイツやる……って言ってる。よく分かってるね、やるよ。
「ナマエ」
「ふん」
「ナマエ」
「……ほ、ほだされないよ、そんなに優しく呼んでも」
「全部本心だ」
目を和らげて私の頬を優しく触れるはとり。何でだろう。泣きそうだ。
「お前は知らないと思うが、お前だって一族の中じゃ人気者だ」
「? 遊び人的な人気じゃない……?」
「女としてだ。お前と婚約してから何人から睨まれたことか」
「私がにらみ返しておくから誰か教えて」
「死体蹴りはやめろ」
そして関わらなくていい、とはとりは言う。
「お前が思っている以上に俺はお前のことを愛している。だからお前に岡惚れした奴と関わってほしくない」
「……はとり」
「なんだ」
「岡惚れってなんですか」
めちゃくちゃ大きくため息をつかれた。いやだって気になって……。
「わきからひそかに恋焦がれることだ」
「なるほど。心当たりが全くないです」
「それでいい。……伝わったか?」
「めちゃくちゃ伝わりました。はとり大好き」
「だったらもう寝ろ」
「絶対いい夢みれるよ」
確信して言うとはとりは表情をゆるめて「おやすみ」と優しく言ってくれた。
熱は一晩で下がり、はとりパワーすごいと思いっきり抱きついた。
「一緒にいさせてくれ」
あのはとりが甘えるように言うので即答で「もちろんです」と抱きしめ返した。甘えるはとり。もう響きが最高すぎて1ヶ月はそれでテンションが上がっていた。1ヶ月はこれでご飯食べられる、とアホなことを考えていたせいか、1ヶ月がちょうど過ぎてから風邪をひいた。
「げほっげほっ」
「季節の変わり目にやられたな」
「うぅ……実家に帰らせていただきます……」
「なぜだ」
「はとりに移る」
「風邪ひく度に実家に帰られたらたまったもんじゃない。家にいろ」
「……なんかもうここが私の家みたい」
ぽつりと言うとはとりは笑って私の頭を撫でた。
「そのつもりだが?」
「……倖せで泣けてきた」
「風邪でじゃないか」
「倖せで、です」
強調して言うとはとりは穏やかに「そうか」と言った。そうなんです。
アイス枕を交換してくれて気持ちよくて眠くなってくる。でも医者モードで婚約者モードのはとりって最高に格好いいからこの近くで見られる機会をふいにしたくない。そう思ってガン見していると「寝ろ」と大きな手で目隠しされた。
「私が風邪ひくの数年に一回あるかないかだからこのはとりモードを逃したくない」
「寝ろ」
聞く耳もたずだった。はとりは分かってない。自分の医者姿がどれだけ格好いいか。絶対草摩一族の中で病気中にはとりに惚れた人いるからね。諭吉をかけていい。そんな事をはとりに言うと「友達みたいに呼ぶな。あと賭けるな」と言われた。
「ううぅ……はとりが自分の魅力に気づいてない……どうしてくれるんだ……そんなに格好良くて……どうやって活きているんだ……」
「ナマエ、熱を計れ」
「はい」
ぴぴっと音がしたのではとりに渡すと「やはり上がっている」とため息つかれた。
「お前は子供のときから熱が上がるにつれて変に元気になる」
「なにその馬鹿みたいな人」
「草摩ナマエというな」
「私かぁ」
風邪ひかせちゃ駄目な奴だな。
「はとりはさ、私のどんなときが好きってなる?」
「何だ急に」
「私は山ほどあるから聞きたくなったの。あ、聞きたい?」
「あまり喋るな」
「じゃあはとりが言って」
「…………」
駄目かな。風邪につけこんで甘えてるんだけどバレてるかな。……バレてるな。なぜなら7歳くらいのとき風邪ひいて何がほしい? って聞かれて「はとり」って答えたアホな歴史がある。はとりはそのとき中学生。子供なのに律儀に私のお見舞いに来てくれたから、風邪をひいたら私が甘ったれになるのはばっちり知っている。
「はとり」
風邪のときだけの特権を使う。はとりは私が風邪のときにこんな風にはとりを呼んだら折れてくれるのだ。本当に甘ったれだ。でも今は婚約者なんだから好きってなるときを教えてくれてもいいのでは? と思ってしまう。人ってわがままだ。愛されてるのちゃんと知ってるのにそれ以上に知りたがるんだから。
「……些細なことでも喜んでくれるとき」
「!」
「誰かの為に怒っているとき」
「……」
「俺のために哀しんでくれているとき」
「……」
「何にでも楽しそうにしているとき」
「……はとり」
「なんだ」
「喜怒哀楽って知ってる?」
「知らないな」
笑ってそういうはとりに「手抜きしたなー!」とのど声で言う。くそぅ喜怒哀楽に沿っただけじゃん。そう思うのに普通に嬉しいから私は単純だしはとりはズルい。
「もー怒りました。はとりの好きな所180個をしたためて診療室に貼ります」
「絶対にやめろ」
「しらないもんね。怒ったもん」
拗ねましたモードに突入した私にはとりはため息を吐いた。顔が絶対にコイツやる……って言ってる。よく分かってるね、やるよ。
「ナマエ」
「ふん」
「ナマエ」
「……ほ、ほだされないよ、そんなに優しく呼んでも」
「全部本心だ」
目を和らげて私の頬を優しく触れるはとり。何でだろう。泣きそうだ。
「お前は知らないと思うが、お前だって一族の中じゃ人気者だ」
「? 遊び人的な人気じゃない……?」
「女としてだ。お前と婚約してから何人から睨まれたことか」
「私がにらみ返しておくから誰か教えて」
「死体蹴りはやめろ」
そして関わらなくていい、とはとりは言う。
「お前が思っている以上に俺はお前のことを愛している。だからお前に岡惚れした奴と関わってほしくない」
「……はとり」
「なんだ」
「岡惚れってなんですか」
めちゃくちゃ大きくため息をつかれた。いやだって気になって……。
「わきからひそかに恋焦がれることだ」
「なるほど。心当たりが全くないです」
「それでいい。……伝わったか?」
「めちゃくちゃ伝わりました。はとり大好き」
「だったらもう寝ろ」
「絶対いい夢みれるよ」
確信して言うとはとりは表情をゆるめて「おやすみ」と優しく言ってくれた。
熱は一晩で下がり、はとりパワーすごいと思いっきり抱きついた。
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