日向ごっこ
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「隼人~紫利ちゃんですよ~」
「ちっちゃ……」
眠っている赤ちゃんをみて隼人は恐る恐るのぞき込んでいる。そんな隼人をみてはとりは「おまえもまだ小さい」と笑っている。確かに。まだ4歳だもんね。私もふふっと笑いながら我が家の長男の隼人の初めての赤ちゃん対面を見守る。
「生きてる……? っ、生きてる……」
「隼人くん? 珍獣じゃないんだから。赤ちゃんだよ?」
「おまえが初めてカブトムシを見たときと同じ反応をしている」
「えっ嘘」
こんな所で血の繋がりを感じなくても。隼人は見た目は完全にはとり似だけど中身は私が八割とよく言われる。赤ちゃん寝てるから静かにね、はとりのちゃんとしてる所も似てくれたけども。
「! 手が手の形してる……!」
「だから赤ちゃんは人間だってば」
「だってお猿さんみたい」
「隼人も最初はお猿さんみたいだったよ?」
「!?」
「写真みたことあるだろう」
「記憶にございません」
「ナマエ」
「えっ? これ私のせい?」
「確実におまえの言動だ」
キリッとした顔で堂々と「記憶にない」という隼人の言い方が完全に私の真似みたいになってるらしい。記憶にございません。……言ってるわ。犯人は私です。息子よ母をよく見てるなと頭を撫でてると、はとりははあ……と息を吐いた。
「ゆかりちゃんずっとお猿さん?」
「違う。人によるがおまえのときは1ヶ月ほどで個性が出てきていた」
「パパの言葉むずかしい」
「お猿さんじゃなくなるよってパパは言ってるの」
「ママの言葉らくしょー」
「はとりこれバカにされてる?」
「赤ん坊の前で怒るな」
いや怒りませんよさすがに。お家だったら威厳を見せねば……ってなったけど。
「ふーん、猿じゃなくなるんだ。よかったね」
「お猿さんでも可愛いでしょう」
「んーびみょう」
「微妙ってあなたね」
「いやいや、正直でなにより」
「紫呉にいさん」
部屋にやってきたのは紫呉にいさんだった。
「慊ちゃんと一緒に寝ててよかったのに」
「一応お客さんだしねぇ」
「まだまだミルク作れますよ」
「うち使用人いるから」
「それはそう」
だから慊人は適度に休めるのに初子だから張り切って面倒をみているらしい。今日は私とはとりがみるから! と無理やり寝かせた。慊人の体調ははとりが診て寝不足と診断された。
「いや~ナマエが来ると安心して寝れるみたいでよかったよ」
「紫呉にいさん……夫なのに信用されてない……」
「紫利の顔を初めてみたとき爆笑しちゃってねぇ。あんなにお猿と思わなかった」
「第一声で爆笑したのこの人」
嘘でしょ……とドン引きする私に「だってぇ~」といい歳してぶりっ子してる紫呉にいさんをはとりは「その口調やめろ」とばっさり切っている。
「子育ての齟齬は早く解消しないと一生ものってテレビで言ってたよ」
「爆笑してごめんね? って言うの?」
「なんかそれ煽ってるな……」
「でしょ? お猿さんだから可愛くないって言ってるわけじゃないのにねぇ紫利」
そう言って紫利ちゃんを覗き込んで微笑む紫呉にいさん。ああ、なんだ。ちゃんとお父さんの顔してる。私で分かるんだから慊人にだってちゃんと通じてる。……まあ通じた上でムカつくってのはあるかもしれないけど。
「紫呉おじちゃん」
「なんだい隼人」
「ゆかりちゃんの手触ってもいい?」
「いいよ~」
紫呉にいさんの軽い返事とは裏腹に隼人は腰を据えて「よし」と気合いを入れてる。この子まだ同じ人間と思ってないな。恐る恐る手を伸ばして紫利ちゃんの小さな手に向かって人差し指を近づけている。そしてちょこん、と触れてからバッ! と離れた。
「骨がない」
「そんなわけないでしょ」
「ふにゃってしてた!」
「隼人、声が大きいぞ」
「ふにゃってしてた」
こそっと告げてきた隼人に私も最初隼人の手触ったときびっくりしたなぁと思い出す。やっぱり私似だな隼人は。
「ふぎゃあああ!!」
「あ、起きちゃった。んートイレじゃないな」
「あ、私に抱っこさせてさせて」
ひさしぶりの赤ちゃん。ミルクの匂いがしてあったかい。頬がゆるみながらよしよしとあやしていたら紫利ちゃんはゆっくりと泣き止んでくれた。
「いい子いい子」
「さすが先輩」
「夫はこの間にミルク作るの」
「先輩は厳しいねぇ」
「ナマエ、ミルク貰ってきた」
「ほらはとりはいい旦那さんでしょ」
「はいはい見習いますよ」
その場に座って紫利ちゃんにミルクをあげるとぐいぐい吸って飲んでくれる。おおっいい飲みっぷりですねぇ。
「はーいゲップ出来るかなぁ?」
肩にハンカチしいて紫利ちゃんのあごを乗せてぽんぽん背中を叩く。紫利ちゃんはげぷっとちょっとミルク吐いちゃった。
「ゆゆ紫利っ! ミルク吐いたけど大丈夫なのか!?」
「あれ慊ちゃん寝てたはずでは?」
「泣き声がして起きたんだ! それより吐いたけど身体が不調なんじゃ……」
「いつも吐いちゃう?」
「いや」
「なら大丈夫だよ。ね、はとり」
「赤ん坊の胃は吐きやすい形をしているからある程度は仕方がない。毎回吐くなら受診したほうがいいが」
「そ、そうか……」
慊人は安心したように私の前に座り込んだ。まだ目の下はくまが出来てる。疲れもとれてないみたいだ。
「慊人。休むのもお母さんの役目だよ。いざってときの変化に気づいてあげられるのは親なんだから」
「……うん」
「使用人と交代でちゃんと睡眠とれるようにしよう」
「……紫利は僕がお母さんって分かってくれるかな」
ぽつりとした声。でもきっと慊人の大きな悩みだ。
「毎日笑って話しかけてたら赤ちゃんも分かってくれるよ。大丈夫。大丈夫だよ慊ちゃん」
「……なんだかナマエの方がお母さんみたいだ」
「隼人のお母さん四年目だからね。慣れですよ慣れ。慊ちゃんはお母さん0年目だから不安に思うことあって当たり前なの! それを払拭するために周りの人頼るんだよ!」
まかせなさい! と胸の上を強く叩いてそれが痛くて叩いたところをさすってたらやっと慊人が笑ってくれて。私も同じように笑った。
「いやぁやっぱりママ友って大事なんだねぇ」
「慊人は不安なんだろう。自分が母親に面倒をみてもらえなかったから」
「頑張ってるよとか伝えても頑張るのが当たり前だと思いこむから育児って大変なんだと実感したよ。頑張ってるは頑張ってるでいいのにね」
「そうだな」
「紫呉おじちゃんは頑張ってる?」
「頑張ってるよ~。なんせ愛妻家の子煩悩パパだから」
「うそくさっ」
「君やっぱりナマエの子どもだね」
「ちっちゃ……」
眠っている赤ちゃんをみて隼人は恐る恐るのぞき込んでいる。そんな隼人をみてはとりは「おまえもまだ小さい」と笑っている。確かに。まだ4歳だもんね。私もふふっと笑いながら我が家の長男の隼人の初めての赤ちゃん対面を見守る。
「生きてる……? っ、生きてる……」
「隼人くん? 珍獣じゃないんだから。赤ちゃんだよ?」
「おまえが初めてカブトムシを見たときと同じ反応をしている」
「えっ嘘」
こんな所で血の繋がりを感じなくても。隼人は見た目は完全にはとり似だけど中身は私が八割とよく言われる。赤ちゃん寝てるから静かにね、はとりのちゃんとしてる所も似てくれたけども。
「! 手が手の形してる……!」
「だから赤ちゃんは人間だってば」
「だってお猿さんみたい」
「隼人も最初はお猿さんみたいだったよ?」
「!?」
「写真みたことあるだろう」
「記憶にございません」
「ナマエ」
「えっ? これ私のせい?」
「確実におまえの言動だ」
キリッとした顔で堂々と「記憶にない」という隼人の言い方が完全に私の真似みたいになってるらしい。記憶にございません。……言ってるわ。犯人は私です。息子よ母をよく見てるなと頭を撫でてると、はとりははあ……と息を吐いた。
「ゆかりちゃんずっとお猿さん?」
「違う。人によるがおまえのときは1ヶ月ほどで個性が出てきていた」
「パパの言葉むずかしい」
「お猿さんじゃなくなるよってパパは言ってるの」
「ママの言葉らくしょー」
「はとりこれバカにされてる?」
「赤ん坊の前で怒るな」
いや怒りませんよさすがに。お家だったら威厳を見せねば……ってなったけど。
「ふーん、猿じゃなくなるんだ。よかったね」
「お猿さんでも可愛いでしょう」
「んーびみょう」
「微妙ってあなたね」
「いやいや、正直でなにより」
「紫呉にいさん」
部屋にやってきたのは紫呉にいさんだった。
「慊ちゃんと一緒に寝ててよかったのに」
「一応お客さんだしねぇ」
「まだまだミルク作れますよ」
「うち使用人いるから」
「それはそう」
だから慊人は適度に休めるのに初子だから張り切って面倒をみているらしい。今日は私とはとりがみるから! と無理やり寝かせた。慊人の体調ははとりが診て寝不足と診断された。
「いや~ナマエが来ると安心して寝れるみたいでよかったよ」
「紫呉にいさん……夫なのに信用されてない……」
「紫利の顔を初めてみたとき爆笑しちゃってねぇ。あんなにお猿と思わなかった」
「第一声で爆笑したのこの人」
嘘でしょ……とドン引きする私に「だってぇ~」といい歳してぶりっ子してる紫呉にいさんをはとりは「その口調やめろ」とばっさり切っている。
「子育ての齟齬は早く解消しないと一生ものってテレビで言ってたよ」
「爆笑してごめんね? って言うの?」
「なんかそれ煽ってるな……」
「でしょ? お猿さんだから可愛くないって言ってるわけじゃないのにねぇ紫利」
そう言って紫利ちゃんを覗き込んで微笑む紫呉にいさん。ああ、なんだ。ちゃんとお父さんの顔してる。私で分かるんだから慊人にだってちゃんと通じてる。……まあ通じた上でムカつくってのはあるかもしれないけど。
「紫呉おじちゃん」
「なんだい隼人」
「ゆかりちゃんの手触ってもいい?」
「いいよ~」
紫呉にいさんの軽い返事とは裏腹に隼人は腰を据えて「よし」と気合いを入れてる。この子まだ同じ人間と思ってないな。恐る恐る手を伸ばして紫利ちゃんの小さな手に向かって人差し指を近づけている。そしてちょこん、と触れてからバッ! と離れた。
「骨がない」
「そんなわけないでしょ」
「ふにゃってしてた!」
「隼人、声が大きいぞ」
「ふにゃってしてた」
こそっと告げてきた隼人に私も最初隼人の手触ったときびっくりしたなぁと思い出す。やっぱり私似だな隼人は。
「ふぎゃあああ!!」
「あ、起きちゃった。んートイレじゃないな」
「あ、私に抱っこさせてさせて」
ひさしぶりの赤ちゃん。ミルクの匂いがしてあったかい。頬がゆるみながらよしよしとあやしていたら紫利ちゃんはゆっくりと泣き止んでくれた。
「いい子いい子」
「さすが先輩」
「夫はこの間にミルク作るの」
「先輩は厳しいねぇ」
「ナマエ、ミルク貰ってきた」
「ほらはとりはいい旦那さんでしょ」
「はいはい見習いますよ」
その場に座って紫利ちゃんにミルクをあげるとぐいぐい吸って飲んでくれる。おおっいい飲みっぷりですねぇ。
「はーいゲップ出来るかなぁ?」
肩にハンカチしいて紫利ちゃんのあごを乗せてぽんぽん背中を叩く。紫利ちゃんはげぷっとちょっとミルク吐いちゃった。
「ゆゆ紫利っ! ミルク吐いたけど大丈夫なのか!?」
「あれ慊ちゃん寝てたはずでは?」
「泣き声がして起きたんだ! それより吐いたけど身体が不調なんじゃ……」
「いつも吐いちゃう?」
「いや」
「なら大丈夫だよ。ね、はとり」
「赤ん坊の胃は吐きやすい形をしているからある程度は仕方がない。毎回吐くなら受診したほうがいいが」
「そ、そうか……」
慊人は安心したように私の前に座り込んだ。まだ目の下はくまが出来てる。疲れもとれてないみたいだ。
「慊人。休むのもお母さんの役目だよ。いざってときの変化に気づいてあげられるのは親なんだから」
「……うん」
「使用人と交代でちゃんと睡眠とれるようにしよう」
「……紫利は僕がお母さんって分かってくれるかな」
ぽつりとした声。でもきっと慊人の大きな悩みだ。
「毎日笑って話しかけてたら赤ちゃんも分かってくれるよ。大丈夫。大丈夫だよ慊ちゃん」
「……なんだかナマエの方がお母さんみたいだ」
「隼人のお母さん四年目だからね。慣れですよ慣れ。慊ちゃんはお母さん0年目だから不安に思うことあって当たり前なの! それを払拭するために周りの人頼るんだよ!」
まかせなさい! と胸の上を強く叩いてそれが痛くて叩いたところをさすってたらやっと慊人が笑ってくれて。私も同じように笑った。
「いやぁやっぱりママ友って大事なんだねぇ」
「慊人は不安なんだろう。自分が母親に面倒をみてもらえなかったから」
「頑張ってるよとか伝えても頑張るのが当たり前だと思いこむから育児って大変なんだと実感したよ。頑張ってるは頑張ってるでいいのにね」
「そうだな」
「紫呉おじちゃんは頑張ってる?」
「頑張ってるよ~。なんせ愛妻家の子煩悩パパだから」
「うそくさっ」
「君やっぱりナマエの子どもだね」