日向ごっこ
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はとりとプール。似合わなくて想像つかなかったので全力でだだをこねて連れて来てもらった。成人女のだだは恐ろしいだろうと堂々と言うと、ため息をつきながら頭をポンと叩かれた。
「俺は草摩のプライベートビーチの海と中、高校のプールしか泳いだことないぞ」
「え? なんで?」
「あんな人だらけのプールなんて行けるか」
ああ、そうだった。こんにちはタツノオトシゴしちゃう。最近挨拶代わりに抱きついているからうっかり忘れちゃうな。そしてはたと気づく。つまりはとりはレジャープール初心者。胸を張って腰に両手をやる。
「草摩家の遊び人! 草摩ナマエのレジャープールの遊び方を伝授しましょう!」
「遊び人……」
大丈夫か? という顔された。大丈夫ですよ。
更衣室の前で分かれて水着に着替える。水着は紅葉主催の避暑のときに買ったやつ。レースのトップスとショーパンのタンキニ。水色と白のチェック柄。とても可愛い。着替えて足元から胸まで見てハッとする。そういえばこれがはとりに初水着披露になる。紅葉先生はじめ透ちゃんも可愛いと言ってくれた。くれたけどはとりに見せるのはハードルが更に上がる。今さら照れてきた。でも早く遊びたい。はとりと一緒にいたい。
よし! と気合いを入れて女子更衣室から出る。少し離れたオブジェの所で待ち合わせにしていた。私と似たような待ち合わせをしている人が結構いるが、私のはとり歴は長い。すぐに発見した。……ナンパされてるはとりを。
「お兄さんカッコいいー!」
「ね? 一緒に遊びましょうよ」
「だから婚約者がいると言っている」
はとりの顔が疲れている。あれはしつこくされてる。おのれどこぞの女。はとりを困らせたな。私ははとり過激派だぞ。
そう思って小走りで走って女共の間を通ってはとりに抱きついた。首に腕を回して顔を近づける。
「待たせてごめんね」
「待っていないから大丈夫だ」
「そっか」
くるりと顔を女共に向けると固まっていた。にっこり笑って首を傾げる。
「私の婚約者になにか?」
女共は無言で走り去って行った。私の顔面はあのひねくれた紫呉にいさんが顔は100点と言うくらいなのだ。威嚇にはもってこいだ。
「ふん!」
「おまえが来る前に追い返すつもりが長引いた。すまなかったな」
「いいよ。はとりを守るのは私の役目!」
「守る、か」
ふっ、と笑うはとりにそうですよ? と笑いながら返す。すると頬を優しく撫でられた。心地よくて目が細まる。
「ナンパされたら大声で私を呼ぶんだよ」
「それはしない」
「それはそう」
はとりの大声なんて聞いたことない。
「はとりさ、幼児期以降で大声出したことある?」
「…………」
首を捻るはとりに絶句する。この人子供時代もはとりやってる! もっと大声だそうよ!
「よし。ウォータースライダーいこ! ここのスリルあって楽しいんだから!」
大声出してストレス発散を今日の目標にしてはとりの手を握って歩き出す。途中で大きな木で影になるところに持ってきたレジャーシートを敷く。荷物も置いてよし行こう! と立ち上がる。するとはとりがジッとこちらを見ているのに気づいた。
「なあに?」
「いや……レジャーシートを使うなんて昔過ぎて記憶になくてな」
「これからいっぱい使うよ? 今もだけどこれから家族になる子供と一緒にいっぱい遊ぶんだから」
私がそう言うとはとりは瞬きした。え? 変なこと言った? 少し焦っているとはとりは目を緩めて「そうだな」と言った。いつもより穏やかな声だった。よし、大丈夫そう。
「いこ! はとり!」
私の伸ばした手にはとりは笑って握ってくれた。そしてメインと言うべきウォータースライダーでははとりは無言で私だけがキャーキャー言ってたことをここに明記します。
「風がきって気持ちがよかった」
「なんか思ってた感想とちがう」
レンタルした二人用の浮き輪に入って(はとりは当初猛烈に拒否した)流れるプールで流れながらのんびり話す。
「さっき私が浮き輪の前に座ったから今度ははとりが座る?」
「ああ」
「リベンジだ!」
そんなことを言った瞬間にお腹がぐーっと鳴った。無言になった私にはとりはクツクツ笑いながら「先に腹になにかいれるか」と言った。異議なし。
レジャーシートの元に戻って浮き輪を置いて財布を取り出す。
「私食べ物係りやるよ。はとりは飲み物を買ってきて?」
「持てるか?」
「任せなさい。ここ集合ね」
そう言ってはとりと分かれた。混んでるから別々の方が早く食にありつける。その分いっぱい遊ぶのだ。まあ一緒にご飯もレジャーでは特別だけど。そしてはとりはご飯に頓着しないからなぁ。美味しそうなやつ買おう。
そんなことを思いつつ、はっと思い出した。カメラを更衣室のロッカーに入れたままだった! 小走りで更衣室に戻る。ロッカーを開けてバッグを確認したらちゃんとカメラが入っていた。よかった。はとりとの思い出は残したいもんね。
安心してロッカーを閉めたときだった。背後からバタッと大きな音がした。振り返るとロッカーに寄りかかるように立っている人がいた。慌てて側に行く。
「大丈夫ですか?」
「ちょっと立ちくらみが……」
そう言った瞬間フラフラとその場に座り込んでしまった。これは大変だ。
「施設の方呼んできます!」
すぐに更衣室から出て受付の人に女子更衣室に体調不良の人がいると伝える。受付の人は施設内の医務室に電話してくれた。しかし、ここにいるスタッフは男性しかいなくて女子更衣室に入れないと困っていた。
「私がおんぶして連れてきます!」
そう言ってからは慌ただしく時が進んだ。ぐったりした女性をおんぶして更衣室から出て、そのまま近くのスタッフルームまで運んだ。そして医者の先生が来るまで私もそこで待たせてもらった。心配で仕方なかったから。先生が来てから色々診断した結果、熱中症だと判明。重度の状態だった為に救急車を呼ぶことになった。
ゲートの外に出て救急車に運ばれていく女性を見送る。途中からポツポツと話せていたから大丈夫だと信じたい。スタッフの人が付き添いをしていたから私はお役ごめんとなった。回復しますように。そんなことを思っていると「ナマエッ!!」と大きな声で呼ばれた。
「!? あ、なんだはとりか。びっくりした」
「…………」
「え? なんだなんだ」
はとりから抱きしめられる。ぎゅううと力強く離さないといった様子で。
「どうしたの? はとり」
「……おまえと人相が似た人物が倒れたと騒がれていた」
「似てた……似てたね。そういえば背格好とか髪の毛とか」
「おまえかと思った」
後頭部にはとりの大きな手が回った。そこでやっと気づく。私、はとりに連絡しないで女の人に付きっきりだった。
「わああ! はとりごめんね! 女の人が目の前で倒れたから心配ではとりに連絡しなかった!」
「それはもういい。病人を前にしたらおまえがそうするのは分かる。……でも心配した」
はとりが大きく息を吐いた。やっと息が出来たと言わんばかりのそれに、はとりの背中に手を回す。
「ごめんね。心配かけてごめんね」
「ああ」
「怖かったね。ごめんね」
はとりの腕が離れるまで私たちは抱きしめ合っていた。
***
私のお腹は空気を読まずにまたぐううと鳴った。でもはとりがまた笑ってくれたので結果オーライです。美味しそうな焼きそばを二人前買ってからレジャーシートまで戻る。そこに置かれた飲み物はすっかりと温くなっていた。申し訳ない。
「でも焼そば美味しい」
「そうだな」
「…………」
「どうした?」
「不謹慎ですが」
「? ああ」
「はとりが大声出したの見れたね」
「…………」
「誰かと思ったもん」
本当に。
私の言葉にはとりは気まずそうな顔をした。でも私は笑って口を開いた。
「それだけ心配してくれたということで、私はさらに愛されてる事がしれました」
「…………」
「ありがとうはとり」
「……もうこれっきりにしてくれ」
心臓が持たない。
はとりの言葉に「遊び人のナマエちゃんに任せなさい」と胸を叩くと「信憑性がないから遊び人はやめろ」とツッコミが入った。確かに。
後に家族と来ることになるレジャープール。今日のことがあってから買い出しはずっと一緒という慣習が出来た。
「俺は草摩のプライベートビーチの海と中、高校のプールしか泳いだことないぞ」
「え? なんで?」
「あんな人だらけのプールなんて行けるか」
ああ、そうだった。こんにちはタツノオトシゴしちゃう。最近挨拶代わりに抱きついているからうっかり忘れちゃうな。そしてはたと気づく。つまりはとりはレジャープール初心者。胸を張って腰に両手をやる。
「草摩家の遊び人! 草摩ナマエのレジャープールの遊び方を伝授しましょう!」
「遊び人……」
大丈夫か? という顔された。大丈夫ですよ。
更衣室の前で分かれて水着に着替える。水着は紅葉主催の避暑のときに買ったやつ。レースのトップスとショーパンのタンキニ。水色と白のチェック柄。とても可愛い。着替えて足元から胸まで見てハッとする。そういえばこれがはとりに初水着披露になる。紅葉先生はじめ透ちゃんも可愛いと言ってくれた。くれたけどはとりに見せるのはハードルが更に上がる。今さら照れてきた。でも早く遊びたい。はとりと一緒にいたい。
よし! と気合いを入れて女子更衣室から出る。少し離れたオブジェの所で待ち合わせにしていた。私と似たような待ち合わせをしている人が結構いるが、私のはとり歴は長い。すぐに発見した。……ナンパされてるはとりを。
「お兄さんカッコいいー!」
「ね? 一緒に遊びましょうよ」
「だから婚約者がいると言っている」
はとりの顔が疲れている。あれはしつこくされてる。おのれどこぞの女。はとりを困らせたな。私ははとり過激派だぞ。
そう思って小走りで走って女共の間を通ってはとりに抱きついた。首に腕を回して顔を近づける。
「待たせてごめんね」
「待っていないから大丈夫だ」
「そっか」
くるりと顔を女共に向けると固まっていた。にっこり笑って首を傾げる。
「私の婚約者になにか?」
女共は無言で走り去って行った。私の顔面はあのひねくれた紫呉にいさんが顔は100点と言うくらいなのだ。威嚇にはもってこいだ。
「ふん!」
「おまえが来る前に追い返すつもりが長引いた。すまなかったな」
「いいよ。はとりを守るのは私の役目!」
「守る、か」
ふっ、と笑うはとりにそうですよ? と笑いながら返す。すると頬を優しく撫でられた。心地よくて目が細まる。
「ナンパされたら大声で私を呼ぶんだよ」
「それはしない」
「それはそう」
はとりの大声なんて聞いたことない。
「はとりさ、幼児期以降で大声出したことある?」
「…………」
首を捻るはとりに絶句する。この人子供時代もはとりやってる! もっと大声だそうよ!
「よし。ウォータースライダーいこ! ここのスリルあって楽しいんだから!」
大声出してストレス発散を今日の目標にしてはとりの手を握って歩き出す。途中で大きな木で影になるところに持ってきたレジャーシートを敷く。荷物も置いてよし行こう! と立ち上がる。するとはとりがジッとこちらを見ているのに気づいた。
「なあに?」
「いや……レジャーシートを使うなんて昔過ぎて記憶になくてな」
「これからいっぱい使うよ? 今もだけどこれから家族になる子供と一緒にいっぱい遊ぶんだから」
私がそう言うとはとりは瞬きした。え? 変なこと言った? 少し焦っているとはとりは目を緩めて「そうだな」と言った。いつもより穏やかな声だった。よし、大丈夫そう。
「いこ! はとり!」
私の伸ばした手にはとりは笑って握ってくれた。そしてメインと言うべきウォータースライダーでははとりは無言で私だけがキャーキャー言ってたことをここに明記します。
「風がきって気持ちがよかった」
「なんか思ってた感想とちがう」
レンタルした二人用の浮き輪に入って(はとりは当初猛烈に拒否した)流れるプールで流れながらのんびり話す。
「さっき私が浮き輪の前に座ったから今度ははとりが座る?」
「ああ」
「リベンジだ!」
そんなことを言った瞬間にお腹がぐーっと鳴った。無言になった私にはとりはクツクツ笑いながら「先に腹になにかいれるか」と言った。異議なし。
レジャーシートの元に戻って浮き輪を置いて財布を取り出す。
「私食べ物係りやるよ。はとりは飲み物を買ってきて?」
「持てるか?」
「任せなさい。ここ集合ね」
そう言ってはとりと分かれた。混んでるから別々の方が早く食にありつける。その分いっぱい遊ぶのだ。まあ一緒にご飯もレジャーでは特別だけど。そしてはとりはご飯に頓着しないからなぁ。美味しそうなやつ買おう。
そんなことを思いつつ、はっと思い出した。カメラを更衣室のロッカーに入れたままだった! 小走りで更衣室に戻る。ロッカーを開けてバッグを確認したらちゃんとカメラが入っていた。よかった。はとりとの思い出は残したいもんね。
安心してロッカーを閉めたときだった。背後からバタッと大きな音がした。振り返るとロッカーに寄りかかるように立っている人がいた。慌てて側に行く。
「大丈夫ですか?」
「ちょっと立ちくらみが……」
そう言った瞬間フラフラとその場に座り込んでしまった。これは大変だ。
「施設の方呼んできます!」
すぐに更衣室から出て受付の人に女子更衣室に体調不良の人がいると伝える。受付の人は施設内の医務室に電話してくれた。しかし、ここにいるスタッフは男性しかいなくて女子更衣室に入れないと困っていた。
「私がおんぶして連れてきます!」
そう言ってからは慌ただしく時が進んだ。ぐったりした女性をおんぶして更衣室から出て、そのまま近くのスタッフルームまで運んだ。そして医者の先生が来るまで私もそこで待たせてもらった。心配で仕方なかったから。先生が来てから色々診断した結果、熱中症だと判明。重度の状態だった為に救急車を呼ぶことになった。
ゲートの外に出て救急車に運ばれていく女性を見送る。途中からポツポツと話せていたから大丈夫だと信じたい。スタッフの人が付き添いをしていたから私はお役ごめんとなった。回復しますように。そんなことを思っていると「ナマエッ!!」と大きな声で呼ばれた。
「!? あ、なんだはとりか。びっくりした」
「…………」
「え? なんだなんだ」
はとりから抱きしめられる。ぎゅううと力強く離さないといった様子で。
「どうしたの? はとり」
「……おまえと人相が似た人物が倒れたと騒がれていた」
「似てた……似てたね。そういえば背格好とか髪の毛とか」
「おまえかと思った」
後頭部にはとりの大きな手が回った。そこでやっと気づく。私、はとりに連絡しないで女の人に付きっきりだった。
「わああ! はとりごめんね! 女の人が目の前で倒れたから心配ではとりに連絡しなかった!」
「それはもういい。病人を前にしたらおまえがそうするのは分かる。……でも心配した」
はとりが大きく息を吐いた。やっと息が出来たと言わんばかりのそれに、はとりの背中に手を回す。
「ごめんね。心配かけてごめんね」
「ああ」
「怖かったね。ごめんね」
はとりの腕が離れるまで私たちは抱きしめ合っていた。
***
私のお腹は空気を読まずにまたぐううと鳴った。でもはとりがまた笑ってくれたので結果オーライです。美味しそうな焼きそばを二人前買ってからレジャーシートまで戻る。そこに置かれた飲み物はすっかりと温くなっていた。申し訳ない。
「でも焼そば美味しい」
「そうだな」
「…………」
「どうした?」
「不謹慎ですが」
「? ああ」
「はとりが大声出したの見れたね」
「…………」
「誰かと思ったもん」
本当に。
私の言葉にはとりは気まずそうな顔をした。でも私は笑って口を開いた。
「それだけ心配してくれたということで、私はさらに愛されてる事がしれました」
「…………」
「ありがとうはとり」
「……もうこれっきりにしてくれ」
心臓が持たない。
はとりの言葉に「遊び人のナマエちゃんに任せなさい」と胸を叩くと「信憑性がないから遊び人はやめろ」とツッコミが入った。確かに。
後に家族と来ることになるレジャープール。今日のことがあってから買い出しはずっと一緒という慣習が出来た。