日向ごっこ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
花火は初っぱなからヘビ花火から始まり、ロケット花火で春が夾を攻撃しかけようとし、紅葉が爆竹を大量に鳴らして威嚇しと大変賑やかな花火日和となった。それを先に帰ったはとりに話していると「普通に遊べ」と言われた。普通にも遊んだよ。燈路と杞紗が一番真っ当に楽しんでいた。成人済みの保護者として誇らしいです。高校生たちが一番はしゃいでいたのはそういう年頃だからそれはそれでよし。
「はとりって花火したのいつが最後?」
「覚えていないな」
「じゃあ線香花火でいいからやろっ夏の思い出!」
「……たまにはいいか」
「やったっ実はもう買ってるの! はとりの家の縁側でやろ!」
「おまえ断っても駄々こねる気だったな」
バレてる。でも合意はもらったので。
笑ってごまかしてバッグから線香花火を取り出した。念のためバケツも用意して縁側の下に置く。ろうそくに火を灯して小皿の上に立てた。準備万端だ。
白衣を脱いだはとりがやってきた。私の隣に座って線香花火を見つめる。
「二人でやる量か? これは」
「余ったらお母さんとお父さんやるよ~」
「……帰ってきてお二人から何か話があったか?」
「うん? 避暑どうだった? って聞かれたけど。なんで?」
「いやそれならいい」
「……なにか企んでない?」
声のトーンが怪しかった。手をついてぐいっと顔を寄せる。ジーッと見つめているとちゅ、と唇が重なった。
「っ、! はとり今ごまかした!」
「今はごまかされてくれ。いつか必ず話す」
「……ならいいけど。……ちゅーもう一回してくれるなら」
ふてくされた風に言うとはとりは笑ってキスしてくれた。嬉しい。
二人でやった線香花火はぱちぱちと静かな音が響いて綺麗な火花が舞って倖せな時間となった。
****
大学のゼミ終わり。さて帰るかーと荷物をまとめていたときだった。同じゼミの男の子から話しかけられた。
「草摩さんっ」
「うん?」
「今度のゼミ合宿参加しないってほんと?」
「うん。予定が詰まっていて」
嘘である。ただはとりと離れる時間が嫌なだけ。そんなことは口にせず表面上にこにこ言葉を交わす。草摩ナマエちゃんはいいところのお嬢様で才色兼備らしいので。友達が爆笑しながら教えてくれた。本性バレてる友達からしたらこの上なく面白いことだったらしい。お嬢様はあってますよ。勉強もできますよ。顔もいいと評判。あれ? 合ってるんじゃないか? なんで爆笑された?
「……草摩さんって彼氏いたりする?」
「いないけど好きな人はいるよ」
顔を赤くして聞かれたらどうしても分かってしまう。過去何回もあったことだ。さすがに学ぶ。ちなみに彼氏いないと言うのはどこから漏れるか分からないからそう言ってるだけである。はとりが彼氏です!! って本当は全力で言いたい。
「あ……そう、なんだ」
「うん。大好きなんだ」
だからごめんなさい。
心で返してゼミ室から出て行った。
****
「今日は元気がないな」
いつものはとりの家。課題をやっていると仕事が一段落したらしいはとりが私の前のソファーに座って話し出した。
「そう、かな?」
「いつもは聞いてもないのに何があったが話始めるだろう」
「なんかそれだけ聞いたら私が迷惑かけてる人みたいに聞こえる……? やめた方がいい……?」
「おまえがいないと変わりない日々なんだ。気にせず話せ」
口角を上げてそう言ってくれるはとりに早速あのね! と話そうとしてさっきのゼミ室の出来事を思い出す。自然と口が閉じてしまった。
「……本当にどうした?」
こっちに回ってきて隣にはとりが座る。頭を撫でられて口が開きそうになるけど、さすがにはとりには言えない。勝手に人の気持ちを話すなんて気が重くなる。たとえ恋人でも。
「……話さないなら実力行使に入るが?」
「!? はとりが!?」
「おまえの事は何でも知っておきたいらしい」
ぽすっとソファーの座る場所に背が当たる。はとりが私の上に移動してきた。お、押し倒されてる……! カーっと顔が赤くなる。雰囲気がえっちじゃないですか!?
「言えナマエ」
「~~~っいわない!」
「そうか」
そう言ってはとりは首元のブラウスを少し下げてそこに顔を寄せた。ちくっと痛みが走る。
「言わないなら数を増やしていく」
「数……?」
「これのだ」
肌を撫でられる。胸をそらして見ると赤くなっていた。……これキスマークでは?
「はとりのえっち!」
「嫌なら言え」
「嫌……じゃないけど! 言わない!」
「嫌じゃないのか」
くく、と喉を鳴らして嬉しそうに言うはとりに手で顔を隠す。恥ずかしい。恥ずかしい。足をバタバタするけど全くビクともしない。
「太ももにつけるぞ」
「!? だめです!!!」
「言え。あと一秒待つ」
「短い! 告白されそうになっただけです!」
スカートから出ている太ももをはとりに触られて口が勝手に動いていた。あああー……と頭を押さえる私とは反対にはとりは眉を寄せた。
「されそうになっただと?」
「彼氏いるか聞かれて……その雰囲気的に好かれてるなー……って」
「おまえは何て返したんだ」
「大好きな人がいるって言ったよ」
「…………」
「はとり?」
無言になったはとりに首を傾げているとはとりは私の左手を手に取った。そして薬指に唇を寄せる。
「!!」
「油断も好きもない」
「……はとり一筋ですよ?」
「知っているがそれとこれとは話が別だ」
「……やきもちですか?」
「恋人に恋慕してる存在がいてつまらなく感じない人間はいない。……ここに証しをつけれたら一番いいんだがな」
そう言って薬指の付け根に歯を立てられる。背筋がゾクッとした。
「ナマエ」
「は、はい……」
「俺は、」
──ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン
「…………紫呉だな」
何かを確信したようにそう言ってゆらりとはとりは私の上から退いて玄関の方へ歩いて行った。顔が前髪で見えなかったけどあれは絶対怒っていた。玄関から二人の会話が聞こえる。
「はーさんスーツありがとう。僕の匂いがこもったこのスーツ返しにきたよ~」
「……そんな服 もういらん。燃やして捨てろ」
バシィ!!!
そんな音がリビングまで響いた。あれ思いっきり扉閉めたやつ。めちゃくちゃ怒ってる。
戻ってきたはとりにびくりとしつつ迎える。私の反応にはとりは「はぁ……」とため息をついて私のおでこにキスした。
「はとり……?」
「また今度だ」
「なにが……?」
「何でもだ」
いつになく圧の強いはとりに背筋を伸ばして「はい」と返した。
「はとりって花火したのいつが最後?」
「覚えていないな」
「じゃあ線香花火でいいからやろっ夏の思い出!」
「……たまにはいいか」
「やったっ実はもう買ってるの! はとりの家の縁側でやろ!」
「おまえ断っても駄々こねる気だったな」
バレてる。でも合意はもらったので。
笑ってごまかしてバッグから線香花火を取り出した。念のためバケツも用意して縁側の下に置く。ろうそくに火を灯して小皿の上に立てた。準備万端だ。
白衣を脱いだはとりがやってきた。私の隣に座って線香花火を見つめる。
「二人でやる量か? これは」
「余ったらお母さんとお父さんやるよ~」
「……帰ってきてお二人から何か話があったか?」
「うん? 避暑どうだった? って聞かれたけど。なんで?」
「いやそれならいい」
「……なにか企んでない?」
声のトーンが怪しかった。手をついてぐいっと顔を寄せる。ジーッと見つめているとちゅ、と唇が重なった。
「っ、! はとり今ごまかした!」
「今はごまかされてくれ。いつか必ず話す」
「……ならいいけど。……ちゅーもう一回してくれるなら」
ふてくされた風に言うとはとりは笑ってキスしてくれた。嬉しい。
二人でやった線香花火はぱちぱちと静かな音が響いて綺麗な火花が舞って倖せな時間となった。
****
大学のゼミ終わり。さて帰るかーと荷物をまとめていたときだった。同じゼミの男の子から話しかけられた。
「草摩さんっ」
「うん?」
「今度のゼミ合宿参加しないってほんと?」
「うん。予定が詰まっていて」
嘘である。ただはとりと離れる時間が嫌なだけ。そんなことは口にせず表面上にこにこ言葉を交わす。草摩ナマエちゃんはいいところのお嬢様で才色兼備らしいので。友達が爆笑しながら教えてくれた。本性バレてる友達からしたらこの上なく面白いことだったらしい。お嬢様はあってますよ。勉強もできますよ。顔もいいと評判。あれ? 合ってるんじゃないか? なんで爆笑された?
「……草摩さんって彼氏いたりする?」
「いないけど好きな人はいるよ」
顔を赤くして聞かれたらどうしても分かってしまう。過去何回もあったことだ。さすがに学ぶ。ちなみに彼氏いないと言うのはどこから漏れるか分からないからそう言ってるだけである。はとりが彼氏です!! って本当は全力で言いたい。
「あ……そう、なんだ」
「うん。大好きなんだ」
だからごめんなさい。
心で返してゼミ室から出て行った。
****
「今日は元気がないな」
いつものはとりの家。課題をやっていると仕事が一段落したらしいはとりが私の前のソファーに座って話し出した。
「そう、かな?」
「いつもは聞いてもないのに何があったが話始めるだろう」
「なんかそれだけ聞いたら私が迷惑かけてる人みたいに聞こえる……? やめた方がいい……?」
「おまえがいないと変わりない日々なんだ。気にせず話せ」
口角を上げてそう言ってくれるはとりに早速あのね! と話そうとしてさっきのゼミ室の出来事を思い出す。自然と口が閉じてしまった。
「……本当にどうした?」
こっちに回ってきて隣にはとりが座る。頭を撫でられて口が開きそうになるけど、さすがにはとりには言えない。勝手に人の気持ちを話すなんて気が重くなる。たとえ恋人でも。
「……話さないなら実力行使に入るが?」
「!? はとりが!?」
「おまえの事は何でも知っておきたいらしい」
ぽすっとソファーの座る場所に背が当たる。はとりが私の上に移動してきた。お、押し倒されてる……! カーっと顔が赤くなる。雰囲気がえっちじゃないですか!?
「言えナマエ」
「~~~っいわない!」
「そうか」
そう言ってはとりは首元のブラウスを少し下げてそこに顔を寄せた。ちくっと痛みが走る。
「言わないなら数を増やしていく」
「数……?」
「これのだ」
肌を撫でられる。胸をそらして見ると赤くなっていた。……これキスマークでは?
「はとりのえっち!」
「嫌なら言え」
「嫌……じゃないけど! 言わない!」
「嫌じゃないのか」
くく、と喉を鳴らして嬉しそうに言うはとりに手で顔を隠す。恥ずかしい。恥ずかしい。足をバタバタするけど全くビクともしない。
「太ももにつけるぞ」
「!? だめです!!!」
「言え。あと一秒待つ」
「短い! 告白されそうになっただけです!」
スカートから出ている太ももをはとりに触られて口が勝手に動いていた。あああー……と頭を押さえる私とは反対にはとりは眉を寄せた。
「されそうになっただと?」
「彼氏いるか聞かれて……その雰囲気的に好かれてるなー……って」
「おまえは何て返したんだ」
「大好きな人がいるって言ったよ」
「…………」
「はとり?」
無言になったはとりに首を傾げているとはとりは私の左手を手に取った。そして薬指に唇を寄せる。
「!!」
「油断も好きもない」
「……はとり一筋ですよ?」
「知っているがそれとこれとは話が別だ」
「……やきもちですか?」
「恋人に恋慕してる存在がいてつまらなく感じない人間はいない。……ここに証しをつけれたら一番いいんだがな」
そう言って薬指の付け根に歯を立てられる。背筋がゾクッとした。
「ナマエ」
「は、はい……」
「俺は、」
──ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン
「…………紫呉だな」
何かを確信したようにそう言ってゆらりとはとりは私の上から退いて玄関の方へ歩いて行った。顔が前髪で見えなかったけどあれは絶対怒っていた。玄関から二人の会話が聞こえる。
「はーさんスーツありがとう。僕の匂いがこもったこのスーツ返しにきたよ~」
「……そんな
バシィ!!!
そんな音がリビングまで響いた。あれ思いっきり扉閉めたやつ。めちゃくちゃ怒ってる。
戻ってきたはとりにびくりとしつつ迎える。私の反応にはとりは「はぁ……」とため息をついて私のおでこにキスした。
「はとり……?」
「また今度だ」
「なにが……?」
「何でもだ」
いつになく圧の強いはとりに背筋を伸ばして「はい」と返した。