日向ごっこ
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「化け物 に触りすぎて気持ち悪い……ああ……そうだ夾ね、本田透が嫌いなんだって。本当かな……?」
「………多分」
「私が知るわけないじゃん」
水音が嫌に響く。夾がさっき来たばかりなのに由希と共に洗面台で手を洗う慊人を見つけた。手を洗う理由は同上。くそみたいな理由だ。眉を寄せないように大げさに肩をすくめた。納得したのかしてないのか。慊人は無言で出て行った。由希が流しっぱの水を止める。
「……嫌い なことあるわけないだろ……」
「だねぇ」
「ナマエ、声が怒ってる」
「顔は可愛いからオーケー。というか由希君もですよ」
「……俺も格好いいからオーケー?」
「オーケーオーケー」
由希と軽口を叩き合いながら洗面台を出る。
「紅葉が花火持ってきたの知ってる?」
「いや……」
「明日しよって。透ちゃんとみんなと」
「それは……いいね」
「だね」
由希と向き合って笑う。きっと楽しくなる。想像しなくても分かる明日に顔を緩めた。
そのはずだったのに。
「やられたな……」
「はーさん手当てなら僕がやるよ。慊人さんと一緒に帰るんでしょ?」
「雨にうたれたから余計に不機嫌な慊人ね」
「へ!? はとりさ……紫呉さん!? にナマエさん!? え、あ、何故あのこちらに……」
「少しくらい待たせても大丈夫だろう」
おろおろする透ちゃんの頭を撫でて頬の傷に当たらないように髪の毛を耳にかける。くっきり慊人の爪痕が残ってる。思いっきり引っ掻いたな慊人め。
「もみっちがね、血相変えて呼びにくるから何事かと」
「……っ紅葉く……紅葉君怪我を……!! 紅葉君は……」
「心配ない。そこにいる」
「……っ紅葉君……っ紅葉君は大丈夫ですか……!?」
「ご…………っ、う……っ」
紅葉は顔を上げ悔いたように顔を歪めて再び顔を下げた。噛み締めた口からは嗚咽が漏れる。そんな紅葉を透ちゃんは抱きしめた。ボンと音が鳴って紅葉は兎になる。
「風邪ひくよー。ま、もみっちはよくガンバリましたね。それに比べて若者たちは……」
「“それに比べて大人達 は”……だろ」
「本当にね。タオルとってくる」
建物に入って洗面所に向かう。バスタオルとフェイスタオルを何枚もとって玄関に戻った。
「透ちゃん、紅葉こっちおいで。タオル持ってきたから」
「あ、ありがとうございます……っ」
「紅葉かして? 兎のままのほうが乾かしやすいから。そして透ちゃんもちゃんと乾かすこと!」
「わっわかりました……!」
「おまえも濡れてるだろう」
はとりに頭にタオルを乗せられてわしゃわしゃ乾かされる。雑ですよはとりさん。あとはとりも濡れてるし。スーツだから乾きにくいのに。
「風邪ひくよはとり」
「医者は頑丈にできている」
「じゃあ風邪ひいたときは看病してあげる」
「ああ」
紅葉を一通り乾かしてバスタオルで包んで床に置く。しばらくしてボンと元に戻った。
「紅葉、着替え勝手に持ってくるよ?」
「……ウン、お願いね」
「了解。……がんばったね紅葉」
ぽんぽん、と紅葉の頭を撫でて男子棟へ足を運ぶ。階段を登って少しして。紅葉の部屋は……ここか。兎の部屋プレートを見つけて中に入る。クローゼットをあさって着替えを取り出す。可愛いのにして少しでもテンション上げてけ……と思ったけど紅葉の服全部可愛かったわ。
リビングに戻るとはとりに手当されている透ちゃんと紫呉にいさんに手当されている紅葉。それを見守っている由希、夾、春の姿があった。
「二人の傷どう?」
「痕にはならない」
はとりの言葉にほっと息をつく。痕にならないなら二人とも思い出してお互いを気にしすぎることはないだろう。痛い思いしたのはいただけないけど。
紅葉たちを囲んでいる由希達の顔はお通夜みたいになっている。見てたのか。なら仕方ない……とはならない。透ちゃん達が気にするでしょうが。手始めに夾の背中をバン! と叩く。
「いてぇ!?」
「声だしてけー。暗い顔しても傷は治らんぞ」
「……そりゃそうだが叩く必要ねーだろうが!」
「叩きやすい背中が夾の背中だった」
「てめぇ!」
半分茶番だが夾も乗ってきてくれたのでこれでよし。春の周りを回って逃げて夾をおちょくっていると透ちゃんはおろおろして紅葉はふふふ、と笑った。
「ナマエネズミみたい!」
「お、由希みたいだって? それは素敵なほめ言葉」
「俺を巻き込むな」
「由希ちょっと照れてる……素敵って言われて……」
「春!」
「もみっち笑いすぎてガーゼよれちゃうよ」
「ごめんなさーいっ」
紅葉の笑い声につられて透ちゃんも顔が緩やかになる。よし、ミッションコンプリート。
「………多分」
「私が知るわけないじゃん」
水音が嫌に響く。夾がさっき来たばかりなのに由希と共に洗面台で手を洗う慊人を見つけた。手を洗う理由は同上。くそみたいな理由だ。眉を寄せないように大げさに肩をすくめた。納得したのかしてないのか。慊人は無言で出て行った。由希が流しっぱの水を止める。
「……
「だねぇ」
「ナマエ、声が怒ってる」
「顔は可愛いからオーケー。というか由希君もですよ」
「……俺も格好いいからオーケー?」
「オーケーオーケー」
由希と軽口を叩き合いながら洗面台を出る。
「紅葉が花火持ってきたの知ってる?」
「いや……」
「明日しよって。透ちゃんとみんなと」
「それは……いいね」
「だね」
由希と向き合って笑う。きっと楽しくなる。想像しなくても分かる明日に顔を緩めた。
そのはずだったのに。
「やられたな……」
「はーさん手当てなら僕がやるよ。慊人さんと一緒に帰るんでしょ?」
「雨にうたれたから余計に不機嫌な慊人ね」
「へ!? はとりさ……紫呉さん!? にナマエさん!? え、あ、何故あのこちらに……」
「少しくらい待たせても大丈夫だろう」
おろおろする透ちゃんの頭を撫でて頬の傷に当たらないように髪の毛を耳にかける。くっきり慊人の爪痕が残ってる。思いっきり引っ掻いたな慊人め。
「もみっちがね、血相変えて呼びにくるから何事かと」
「……っ紅葉く……紅葉君怪我を……!! 紅葉君は……」
「心配ない。そこにいる」
「……っ紅葉君……っ紅葉君は大丈夫ですか……!?」
「ご…………っ、う……っ」
紅葉は顔を上げ悔いたように顔を歪めて再び顔を下げた。噛み締めた口からは嗚咽が漏れる。そんな紅葉を透ちゃんは抱きしめた。ボンと音が鳴って紅葉は兎になる。
「風邪ひくよー。ま、もみっちはよくガンバリましたね。それに比べて若者たちは……」
「“それに比べて
「本当にね。タオルとってくる」
建物に入って洗面所に向かう。バスタオルとフェイスタオルを何枚もとって玄関に戻った。
「透ちゃん、紅葉こっちおいで。タオル持ってきたから」
「あ、ありがとうございます……っ」
「紅葉かして? 兎のままのほうが乾かしやすいから。そして透ちゃんもちゃんと乾かすこと!」
「わっわかりました……!」
「おまえも濡れてるだろう」
はとりに頭にタオルを乗せられてわしゃわしゃ乾かされる。雑ですよはとりさん。あとはとりも濡れてるし。スーツだから乾きにくいのに。
「風邪ひくよはとり」
「医者は頑丈にできている」
「じゃあ風邪ひいたときは看病してあげる」
「ああ」
紅葉を一通り乾かしてバスタオルで包んで床に置く。しばらくしてボンと元に戻った。
「紅葉、着替え勝手に持ってくるよ?」
「……ウン、お願いね」
「了解。……がんばったね紅葉」
ぽんぽん、と紅葉の頭を撫でて男子棟へ足を運ぶ。階段を登って少しして。紅葉の部屋は……ここか。兎の部屋プレートを見つけて中に入る。クローゼットをあさって着替えを取り出す。可愛いのにして少しでもテンション上げてけ……と思ったけど紅葉の服全部可愛かったわ。
リビングに戻るとはとりに手当されている透ちゃんと紫呉にいさんに手当されている紅葉。それを見守っている由希、夾、春の姿があった。
「二人の傷どう?」
「痕にはならない」
はとりの言葉にほっと息をつく。痕にならないなら二人とも思い出してお互いを気にしすぎることはないだろう。痛い思いしたのはいただけないけど。
紅葉たちを囲んでいる由希達の顔はお通夜みたいになっている。見てたのか。なら仕方ない……とはならない。透ちゃん達が気にするでしょうが。手始めに夾の背中をバン! と叩く。
「いてぇ!?」
「声だしてけー。暗い顔しても傷は治らんぞ」
「……そりゃそうだが叩く必要ねーだろうが!」
「叩きやすい背中が夾の背中だった」
「てめぇ!」
半分茶番だが夾も乗ってきてくれたのでこれでよし。春の周りを回って逃げて夾をおちょくっていると透ちゃんはおろおろして紅葉はふふふ、と笑った。
「ナマエネズミみたい!」
「お、由希みたいだって? それは素敵なほめ言葉」
「俺を巻き込むな」
「由希ちょっと照れてる……素敵って言われて……」
「春!」
「もみっち笑いすぎてガーゼよれちゃうよ」
「ごめんなさーいっ」
紅葉の笑い声につられて透ちゃんも顔が緩やかになる。よし、ミッションコンプリート。