日向ごっこ
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「ナマエ、寝ちゃったねぇ」
「ああ」
タオルケットをナマエにかける。目元が赤くなっているのが痛ましかった。はとりは目元優しく触った。
「昔からなんだかんだ言ってほっとけない質の子なんだから。由希には慊人さんにバレないように一緒に遊んだり、夾も一人にさせないように輪にいれようとしたり」
「そうだな」
「中は閉鎖的だから集まって遊ぶとかほとんどないのにナマエが騒ぐから主に十二支の子達で集まって遊んでたしね。まあそれも慊人さんの不況を勝ってからこそこそ外で集まるようになったみたいだけど」
「…………」
「どっちに嫉妬してたんだか」
冷たい声で言い放つ紫呉。目はいつものように飄々としてるくせに面倒な男だとはとりは内心息をついた。
「ナマエと外に行く計画は順調?」
「ああ。ナマエの両親も祖父母も手伝ってくれることになった」
「そこが協力者なら慊人さんと言えども何も出来ないし一生見つけられないだろうねぇ」
紫呉は愉しげに笑う。本当に性根から歪んでいる男だ。はとりのやろうとしていることは裏切りに近いというのにそれを喜んで後押ししようとしている。そうなったら慊人がどうなるか分かっているくせに。まあそれが分かっていて実行する手立てをしているはとりには何も言うことはないのだが。……ただ、
「ナマエが気にするだろうな。皆を置いていくことに」
「携帯あるんだから連絡はとれるでしょ。問題なし問題なし。また慊人さんが同じことやろうとしたらナマエだって踏ん切りつくでしょ。はーさんと同じように」
そう。もし慊人が同じことをしたら。
大切なものを壊そうとしたら。はとりはナマエをとる。すでに心に決めている。自分の中の十二支が反発をみせていないわけではない。しかしそれでも決めたのだ。ナマエと共に生きると。
「僕だってナマエを遠くに連れて行ってくれるのならそれに越したことはないからね」
「お前のナマエ嫌いは根っからだからな」
「嫌いなんかじゃないよ。少し邪魔だと思っているだけ」
「それが嫌っているというんだ」
小さい慊人とナマエが遊んでいる姿。それすらも許容してなかったのだから根っからだ。慊人がただ純粋にナマエといられた時間は少ないというのに。
「ナマエに何かしたら許さないからな」
「したことないでしょ。昔からはーさんが目を光らせてるんだから」
「十分怖がらせておいて何を言う」
「それはご愛嬌ってやつですよ」
「どこがだ」
紫呉と言い合いつつも視線はナマエから離さない。思っているより深く眠っているようだ。これは今日はこちらで寝かせるしかないかもしれない。こういう時に運んでやれない自分の体質に嫌気がさす。
「はとり……」
するとナマエが何か呟きだした。呼ばれたので耳を口元にやる。
「はとり……白ご飯……」
「…………」
どんな夢をみているのか。まあ悪夢ではなさそうなのでよしとするか。そう考えていると「気をつけなよはーさん」と声がかかる。
「はーさんのナマエを見る目、優しすぎ。はーさんは慊人さんのお気に入りなんだから」
「ナマエには大丈夫だとか言っていなかったか?」
「あのこはナマエの事になると余計に視野が狭くなるから気づく余裕なんてないよ。バレるとしたらはーさんの態度からだね。まあ結局いつかはバレるの前提なんだからそれはそれでいいと思うけど」
「…………」
ナマエを見る目。それは相当意識しないと変えられないだろう。今も無自覚だったのだから。紫呉の前だからというのもあるが。
もしバレたとき。慊人はどちら に怒るのだろうか。ふとそう思った。
****
泣いて爆睡。子どもか。そうツッコみながら離れで用意してもらった部屋で寛ぐ。もう遅いからこちらに泊まることになった。用意してもらった部屋ははとりの隣。そう、はとりの隣。
「……………」
いや、慊人がいる建物で堂々と二人で会うなんて自殺行為なんて絶対しないけど。心で言い訳しながらもそわそわする。電話……慊人がはとりの部屋にいたら言い訳どうしよう。逆に変だよね。隣同士なのに何で電話だってなるし。暇つぶしって言う? 今は特に透ちゃんに対抗して十二支は僕の物モードだから怒られそう。お腹痛くて? なんで体調悪いなら隣の部屋に来ないんだってなるな。駄目だ。詰んでる。くそう。頭冷やそう。
そう思ってベランダに出る。用意された部屋は二階だから空が広く見える。昨日は蒸し暑かったのに今日はちょっとひんやりしてるな。手で腕をさする。
「ナマエ」
「! は、はとり」
声のした方を見るとはとりがベランダに寄りかかって煙草を吸っていた。そんな姿も格好良くてドキドキする。
「響くから大きな声は出すな」
こくんと頷づいてはとりのいる方のベランダに近づく。はとりもこっちに寄ってきてくれた。顔がほころぶ。
「電話しようかなとか部屋行こうかなとか色々考えてやめたから顔みれて嬉しい」
そう言うと煙草を持ってないほうの手で頬を撫でてくれた。大きな優しい手に擦りよる。あったかくて安心する。手の温かい人は心が冷たいって言い出したの誰なんだろう。絶対間違えだ。確信で言える。
「はとり」
じっと見つめる。なんならちょこっと背伸びした。目もつぶろうか。そこまでいくと恥ずかしいかな。じーっと視線をやり続ける。
「煙草を吸ってる」
「知ってます」
「苦いぞ」
「どんとこい」
そう言うとはとりは口元を上げて煙草を携帯灰皿に入れた。頬を包まれて軽く上に顔を上げられる。ベランダ越しに唇はすぐに降りてきた。ちゅ、ちゅ、とリップ音が静かな夜に響く。頭の後ろに手をやられ、深く口が交わったと思ったら熱いものが口の中に入ってきた。
「!」
「ん……」
はとりの色っぽい声と絡まる舌に動揺してはとりの腕を掴む。けれどはとりの動きは止まらない。煙草の味と共に上あごをなぞられたり舌を吸われたり軽く噛まれたり。なにこれ。知らない。唾液が勝手に出てそれをジュッと吸われたのがギブアップのサインだった。え、えっちすぎる。
力が抜けてひょろひょろその場に座り込む。そんな私をみてはとりは喉を鳴らした。
「腰ぬけたぁ……」
「喜んでもらえてなによりだ」
「! 言い方いじわる!」
「こんな俺は嫌か?」
「……今度は聞き方いじわる」
声に出して言うのもなんだかしゃくなので口パクで「すき」と言ってみる。そしたら「俺もだ」と返ってくる。
「~~~っはとりはずるい」
「お前より大人だからな」
「私も成人しました!」
「時期に慣れる」
それはこれからもさっきみたいなことをするという事で。心臓持つだろうか。そう思いつつ胸を押さえた。
「ああ」
タオルケットをナマエにかける。目元が赤くなっているのが痛ましかった。はとりは目元優しく触った。
「昔からなんだかんだ言ってほっとけない質の子なんだから。由希には慊人さんにバレないように一緒に遊んだり、夾も一人にさせないように輪にいれようとしたり」
「そうだな」
「中は閉鎖的だから集まって遊ぶとかほとんどないのにナマエが騒ぐから主に十二支の子達で集まって遊んでたしね。まあそれも慊人さんの不況を勝ってからこそこそ外で集まるようになったみたいだけど」
「…………」
「どっちに嫉妬してたんだか」
冷たい声で言い放つ紫呉。目はいつものように飄々としてるくせに面倒な男だとはとりは内心息をついた。
「ナマエと外に行く計画は順調?」
「ああ。ナマエの両親も祖父母も手伝ってくれることになった」
「そこが協力者なら慊人さんと言えども何も出来ないし一生見つけられないだろうねぇ」
紫呉は愉しげに笑う。本当に性根から歪んでいる男だ。はとりのやろうとしていることは裏切りに近いというのにそれを喜んで後押ししようとしている。そうなったら慊人がどうなるか分かっているくせに。まあそれが分かっていて実行する手立てをしているはとりには何も言うことはないのだが。……ただ、
「ナマエが気にするだろうな。皆を置いていくことに」
「携帯あるんだから連絡はとれるでしょ。問題なし問題なし。また慊人さんが同じことやろうとしたらナマエだって踏ん切りつくでしょ。はーさんと同じように」
そう。もし慊人が同じことをしたら。
大切なものを壊そうとしたら。はとりはナマエをとる。すでに心に決めている。自分の中の十二支が反発をみせていないわけではない。しかしそれでも決めたのだ。ナマエと共に生きると。
「僕だってナマエを遠くに連れて行ってくれるのならそれに越したことはないからね」
「お前のナマエ嫌いは根っからだからな」
「嫌いなんかじゃないよ。少し邪魔だと思っているだけ」
「それが嫌っているというんだ」
小さい慊人とナマエが遊んでいる姿。それすらも許容してなかったのだから根っからだ。慊人がただ純粋にナマエといられた時間は少ないというのに。
「ナマエに何かしたら許さないからな」
「したことないでしょ。昔からはーさんが目を光らせてるんだから」
「十分怖がらせておいて何を言う」
「それはご愛嬌ってやつですよ」
「どこがだ」
紫呉と言い合いつつも視線はナマエから離さない。思っているより深く眠っているようだ。これは今日はこちらで寝かせるしかないかもしれない。こういう時に運んでやれない自分の体質に嫌気がさす。
「はとり……」
するとナマエが何か呟きだした。呼ばれたので耳を口元にやる。
「はとり……白ご飯……」
「…………」
どんな夢をみているのか。まあ悪夢ではなさそうなのでよしとするか。そう考えていると「気をつけなよはーさん」と声がかかる。
「はーさんのナマエを見る目、優しすぎ。はーさんは慊人さんのお気に入りなんだから」
「ナマエには大丈夫だとか言っていなかったか?」
「あのこはナマエの事になると余計に視野が狭くなるから気づく余裕なんてないよ。バレるとしたらはーさんの態度からだね。まあ結局いつかはバレるの前提なんだからそれはそれでいいと思うけど」
「…………」
ナマエを見る目。それは相当意識しないと変えられないだろう。今も無自覚だったのだから。紫呉の前だからというのもあるが。
もしバレたとき。慊人は
****
泣いて爆睡。子どもか。そうツッコみながら離れで用意してもらった部屋で寛ぐ。もう遅いからこちらに泊まることになった。用意してもらった部屋ははとりの隣。そう、はとりの隣。
「……………」
いや、慊人がいる建物で堂々と二人で会うなんて自殺行為なんて絶対しないけど。心で言い訳しながらもそわそわする。電話……慊人がはとりの部屋にいたら言い訳どうしよう。逆に変だよね。隣同士なのに何で電話だってなるし。暇つぶしって言う? 今は特に透ちゃんに対抗して十二支は僕の物モードだから怒られそう。お腹痛くて? なんで体調悪いなら隣の部屋に来ないんだってなるな。駄目だ。詰んでる。くそう。頭冷やそう。
そう思ってベランダに出る。用意された部屋は二階だから空が広く見える。昨日は蒸し暑かったのに今日はちょっとひんやりしてるな。手で腕をさする。
「ナマエ」
「! は、はとり」
声のした方を見るとはとりがベランダに寄りかかって煙草を吸っていた。そんな姿も格好良くてドキドキする。
「響くから大きな声は出すな」
こくんと頷づいてはとりのいる方のベランダに近づく。はとりもこっちに寄ってきてくれた。顔がほころぶ。
「電話しようかなとか部屋行こうかなとか色々考えてやめたから顔みれて嬉しい」
そう言うと煙草を持ってないほうの手で頬を撫でてくれた。大きな優しい手に擦りよる。あったかくて安心する。手の温かい人は心が冷たいって言い出したの誰なんだろう。絶対間違えだ。確信で言える。
「はとり」
じっと見つめる。なんならちょこっと背伸びした。目もつぶろうか。そこまでいくと恥ずかしいかな。じーっと視線をやり続ける。
「煙草を吸ってる」
「知ってます」
「苦いぞ」
「どんとこい」
そう言うとはとりは口元を上げて煙草を携帯灰皿に入れた。頬を包まれて軽く上に顔を上げられる。ベランダ越しに唇はすぐに降りてきた。ちゅ、ちゅ、とリップ音が静かな夜に響く。頭の後ろに手をやられ、深く口が交わったと思ったら熱いものが口の中に入ってきた。
「!」
「ん……」
はとりの色っぽい声と絡まる舌に動揺してはとりの腕を掴む。けれどはとりの動きは止まらない。煙草の味と共に上あごをなぞられたり舌を吸われたり軽く噛まれたり。なにこれ。知らない。唾液が勝手に出てそれをジュッと吸われたのがギブアップのサインだった。え、えっちすぎる。
力が抜けてひょろひょろその場に座り込む。そんな私をみてはとりは喉を鳴らした。
「腰ぬけたぁ……」
「喜んでもらえてなによりだ」
「! 言い方いじわる!」
「こんな俺は嫌か?」
「……今度は聞き方いじわる」
声に出して言うのもなんだかしゃくなので口パクで「すき」と言ってみる。そしたら「俺もだ」と返ってくる。
「~~~っはとりはずるい」
「お前より大人だからな」
「私も成人しました!」
「時期に慣れる」
それはこれからもさっきみたいなことをするという事で。心臓持つだろうか。そう思いつつ胸を押さえた。