日向ごっこ
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「はーさーん。来たよーっ」
離れにやってきた。出迎えてくれたのはスーツ姿のはとり。久しぶりに会えてほっこりするところなのに私の顔はムスッとしている。わけはひとつしかない。
「ナマエはどうして不機嫌なんだ」
「お喋り禁止令出したから」
「ああ。慊人も暑さにやられて機嫌が悪いからちょうどいい」
「!?」
「はい、はーさんも僕の味方。ナマエは黙っておくこと。いいね?」
「…………はい」
「不満そう」
楽しげに笑う紫呉にいさんの言葉にぐぬぬ、となっているとはとりに頭を撫でられた。ぽんぽんと。ちょっと機嫌がなおる。我ながら単純だ。はとりを見ると目元が柔らかくなっていた。自然と顔が緩んだ。
「おやまあこれは分かりやすい。気をつけてね二人とも」
「!? うそっ! なんで分かったの!」
「いつからはーさんとナマエのことみてきたと思ってるの~」
「……私、行かないほうがいい?」
「大丈夫~慊人さんは気づかないよ」
「どっち! 紫呉にいさん!」
気をつけてと言ったり大丈夫と言ったり! どうしたらいいの!
「しかしまぁ紅野クンを連れて来たってのは謎だよねぇ。今まで十二支 さえ中々会わせようとしなかったクセに」
「えっ? 紅野いるの? 珍しい」
草摩の中でもレアの中のレアキャラだ。最後に会ったのいつだっけ?
「……側においておかないと不安なのかもしれない」
「不安? 不安ねぇ……あっ“楝”さんがちょっかいでもだしてきたとか?」
「禁句を口にするな」
「紫呉っ! いつまでコソコソ話しているつもりだ。着いたらすぐ僕の所に来いって言ってるだろ? いつも!」
はとりの言うとおり慊人の機嫌はよくないし、紅野がすぐ近くに控えている。私がいることに気づいた慊人は一瞬だけ表情を変えたけどすぐに不機嫌に戻った。
「ああ今日 は慊人さん。皆と挨拶に来ましたよ」
「遅いんだよ。馬鹿は馬鹿なりにもっと俊敏に行動してみろ」
「全くもってその通りですね。すみません」
薄い笑みを浮かべて謝る紫呉にいさんにどう思ったのか分からないけど慊人は紅野を下がらせた。誰とも会わなくていいと言って。……なんで紅野は十二支のみんなとも会わせたがらないんだろう。私みたいなただの中の人間ならともかく。
目の前で膝をついたはとりに甘えるように、慊人は両腕をはとりの首に手を回す。
「慊人……たまには紅野も皆と会わせてやったらどうだ」
「なんで? 必要ないよ。そんなことより僕さっき、由希に会ったよ」
「!」
前のめりになりそうになったところで腰の後ろの服を紫呉にいさんに引っ張られた。
「一人ぼっちで歩いてたから話し相手になってあげた」
「それはそれは……優しくしてあげたんですね」
「当たり前だろ。僕はいつだって由希を想ってるんだから。優しく諭してあげたよ」
「勘違いするのもいい加減にしたら? って」
手を後ろに回して手首をギュッとする。そうしないと口から余計なものが出そうだった。ここで口出ししたら標的になるのは由希だ。我慢しろ。
慊人は流れるように言葉を続ける。
「なんだかひどくショックを受けた顔してたかは今頃どこかでシクシク泣いてるんじゃない? それってすっごく由希らしいよね。ふ……ふふ、あはは! あいつってホント馬鹿!!」
「だからさっさと僕の処に帰ってくればいいのに。せっかく僕は必要としてやってるのに。あんなつまらない奴をさ!!」
「慊人……」
「……確かにその通りですがそろそろ皆の処へも行ってさしあげたら如何です?」
「ああ……そうだね。行ってやるか。……ナマエ」
「……なに?」
「おまえもこっちにいろ。命令だ」
「……はいはい了解」
「……紫呉、勝手に帰るなよ」
「帰りませんとも」
そのやりとりが最後となって慊人は部屋から出て行った。両手を離して頭をぐちゃぐちゃにした。なんだあれ! ムカつく!
「~~~っ!!」
「ナマエはともかく、はーさん……怒ってる?」
「……」
「その沈黙が怖いんだけど……」
「……いや、何もできずにいる俺よりはやり方はどうあれ変えようとしているおまえの方がマシかよしれない」
そう言ってはとりは立ち上がって私のぐちゃぐちゃの頭を直してくれる。手に頭をぐりぐりすると撫でてくれた。もっとして。すると紫呉にいさんも立ち上がってはとりの肩を両手で掴んでガクガク揺さぶる。自動的に私の頭もガクガクなる。やめて紫呉にいさん。
「何それちょっと!! はとりはこんな時ビシッと僕を説教するべきだろ!?」
「しない。触るなナマエの頭が揺れる」
「離せばいいだけでしょ! 汚いっ! 君のそういう態度が一番応えるって知ってるくせに!! ……はーさんは優しすぎるだけだよ。そして僕は優しくなくて腹黒いだけ。ねっ」
「……それは長所の話か? 短所の話か?」
「事実を述べているだけさ」
「そして由希はいつまでも閉じ込められていた頃の子どもじゃないさ。──さて、一番勘違いしたままのお馬鹿さんは誰だろうね」
「……本当に腹黒い……」
「何か言ったかい? ナマエちゃん?」
「なんでもないです」
慊人。紫呉にいさんをどうしたいのか知らないけどいい加減にしないとしっぺ返し食らうよ。
「ナマエ。あとで手首の手当てするからな」
「うん? うぇ血でてる」
「我慢はいいが、もっとやり方を考えろ」
「はーい……」
「おまえに傷がつくのは俺が許容できない。いいな?」
頬を優しく撫でられる。この手は不思議だ。ささくれ立った心が癒されていく。
「はい……」
「二人とも僕のこと忘れてない?」
「見たくないなら顔を逸らせ」
「はーさん本当に吹っ切れたね!?」
離れにやってきた。出迎えてくれたのはスーツ姿のはとり。久しぶりに会えてほっこりするところなのに私の顔はムスッとしている。わけはひとつしかない。
「ナマエはどうして不機嫌なんだ」
「お喋り禁止令出したから」
「ああ。慊人も暑さにやられて機嫌が悪いからちょうどいい」
「!?」
「はい、はーさんも僕の味方。ナマエは黙っておくこと。いいね?」
「…………はい」
「不満そう」
楽しげに笑う紫呉にいさんの言葉にぐぬぬ、となっているとはとりに頭を撫でられた。ぽんぽんと。ちょっと機嫌がなおる。我ながら単純だ。はとりを見ると目元が柔らかくなっていた。自然と顔が緩んだ。
「おやまあこれは分かりやすい。気をつけてね二人とも」
「!? うそっ! なんで分かったの!」
「いつからはーさんとナマエのことみてきたと思ってるの~」
「……私、行かないほうがいい?」
「大丈夫~慊人さんは気づかないよ」
「どっち! 紫呉にいさん!」
気をつけてと言ったり大丈夫と言ったり! どうしたらいいの!
「しかしまぁ紅野クンを連れて来たってのは謎だよねぇ。今まで
「えっ? 紅野いるの? 珍しい」
草摩の中でもレアの中のレアキャラだ。最後に会ったのいつだっけ?
「……側においておかないと不安なのかもしれない」
「不安? 不安ねぇ……あっ“楝”さんがちょっかいでもだしてきたとか?」
「禁句を口にするな」
「紫呉っ! いつまでコソコソ話しているつもりだ。着いたらすぐ僕の所に来いって言ってるだろ? いつも!」
はとりの言うとおり慊人の機嫌はよくないし、紅野がすぐ近くに控えている。私がいることに気づいた慊人は一瞬だけ表情を変えたけどすぐに不機嫌に戻った。
「ああ
「遅いんだよ。馬鹿は馬鹿なりにもっと俊敏に行動してみろ」
「全くもってその通りですね。すみません」
薄い笑みを浮かべて謝る紫呉にいさんにどう思ったのか分からないけど慊人は紅野を下がらせた。誰とも会わなくていいと言って。……なんで紅野は十二支のみんなとも会わせたがらないんだろう。私みたいなただの中の人間ならともかく。
目の前で膝をついたはとりに甘えるように、慊人は両腕をはとりの首に手を回す。
「慊人……たまには紅野も皆と会わせてやったらどうだ」
「なんで? 必要ないよ。そんなことより僕さっき、由希に会ったよ」
「!」
前のめりになりそうになったところで腰の後ろの服を紫呉にいさんに引っ張られた。
「一人ぼっちで歩いてたから話し相手になってあげた」
「それはそれは……優しくしてあげたんですね」
「当たり前だろ。僕はいつだって由希を想ってるんだから。優しく諭してあげたよ」
「勘違いするのもいい加減にしたら? って」
手を後ろに回して手首をギュッとする。そうしないと口から余計なものが出そうだった。ここで口出ししたら標的になるのは由希だ。我慢しろ。
慊人は流れるように言葉を続ける。
「なんだかひどくショックを受けた顔してたかは今頃どこかでシクシク泣いてるんじゃない? それってすっごく由希らしいよね。ふ……ふふ、あはは! あいつってホント馬鹿!!」
「だからさっさと僕の処に帰ってくればいいのに。せっかく僕は必要としてやってるのに。あんなつまらない奴をさ!!」
「慊人……」
「……確かにその通りですがそろそろ皆の処へも行ってさしあげたら如何です?」
「ああ……そうだね。行ってやるか。……ナマエ」
「……なに?」
「おまえもこっちにいろ。命令だ」
「……はいはい了解」
「……紫呉、勝手に帰るなよ」
「帰りませんとも」
そのやりとりが最後となって慊人は部屋から出て行った。両手を離して頭をぐちゃぐちゃにした。なんだあれ! ムカつく!
「~~~っ!!」
「ナマエはともかく、はーさん……怒ってる?」
「……」
「その沈黙が怖いんだけど……」
「……いや、何もできずにいる俺よりはやり方はどうあれ変えようとしているおまえの方がマシかよしれない」
そう言ってはとりは立ち上がって私のぐちゃぐちゃの頭を直してくれる。手に頭をぐりぐりすると撫でてくれた。もっとして。すると紫呉にいさんも立ち上がってはとりの肩を両手で掴んでガクガク揺さぶる。自動的に私の頭もガクガクなる。やめて紫呉にいさん。
「何それちょっと!! はとりはこんな時ビシッと僕を説教するべきだろ!?」
「しない。触るなナマエの頭が揺れる」
「離せばいいだけでしょ! 汚いっ! 君のそういう態度が一番応えるって知ってるくせに!! ……はーさんは優しすぎるだけだよ。そして僕は優しくなくて腹黒いだけ。ねっ」
「……それは長所の話か? 短所の話か?」
「事実を述べているだけさ」
「そして由希はいつまでも閉じ込められていた頃の子どもじゃないさ。──さて、一番勘違いしたままのお馬鹿さんは誰だろうね」
「……本当に腹黒い……」
「何か言ったかい? ナマエちゃん?」
「なんでもないです」
慊人。紫呉にいさんをどうしたいのか知らないけどいい加減にしないとしっぺ返し食らうよ。
「ナマエ。あとで手首の手当てするからな」
「うん? うぇ血でてる」
「我慢はいいが、もっとやり方を考えろ」
「はーい……」
「おまえに傷がつくのは俺が許容できない。いいな?」
頬を優しく撫でられる。この手は不思議だ。ささくれ立った心が癒されていく。
「はい……」
「二人とも僕のこと忘れてない?」
「見たくないなら顔を逸らせ」
「はーさん本当に吹っ切れたね!?」