日向ごっこ
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「ここはおまえの部屋じゃないぞ」はとりによく言われる言葉だ。ため息のオプション付きで。それを言われたら「だって居心地いいんだもん」と返す。するとまたため息をつき、早々に諦めて仕事を続けるというのが私とはとりがほぼ毎日やっているやりとりだ。
こんな理由なのにはとりは私を無理やり仕事部屋から追い出したことはない。だから居座られるのになぁと自分勝手なことを思いながら仕事をしている横顔を見る。髪がかかって表情は分からないし、見えたとしてもそこにあるのはいつもの仏頂面だ。見えても見えなくても表情は変わらないのに少し離れたここからはとりを見るのが好きだ。落ちつく。
「…………大学はちゃんと行っているのか?」
視線がうっとうしいのか、世話焼きの性か仕事が退屈なのか分からないけどぽつりとはとりが呟いた。仕事中にはとりが話しかけてくるのは珍しかった。
「行ってるよ。友達100人ノルマをふた月でこなした私に大学の授業なんて敵じゃないね」
「高校から不登校児になったおまえがそれを言うか」
「よく卒業できたよね~」
「他人事のように言うな。おまえの両親の苦悩が目に浮かぶ」
実際お母さんは大号泣してた。私は高卒試験受ける気満々だったのだけどそれでもちゃんと卒業できたことにすごく喜んでて、良心が痛んだ。私が学校に行かなくなった理由なんて私以外の人にとったらとてつもなく下らない理由だったから尚更。そして卒業できるなら二次で大学行こうかなぁっていって学年教師共々泣かれたのは余談である。お世話になりました。今はちゃんと学校に行ってます。
「あっそういえば紅葉が由希達の文化祭?のチラシ見て「行きたい!」って騒いで、同じくそのチラシを見た慊人がめちゃくちゃキレたの知ってる?」
「…………いつの話だ」
「ここにくる前だから五分くらい前かなぁ。体調悪いのにハッスルするから布団に叩きつけといた」
はとりは早く言えと言わんばかりの顔をして部屋から出て行った。僕も行くって言ってたけどあの調子じゃ無理そうだ。慊人も私も高校の文化祭なんて縁ないからね。わくわくしちゃうよね。でも慊人がいったら由希達が泣くから止めようね。お土産は買ってくるよ。こんな事を言った気がする。…火に油ぶっこんだの私だな。謝りにいこ。ごめんね慊人。悪気はなかった。でも本気でそう思ってる。
はとりの家を出て本日二度目の慊人の家に向かう。入り口からいったら100%の確率で止められるので慊人の部屋の窓のある方へぐるりと回る。小さい時からの侵入ルートだ。泥棒みたいな侵入しかしてないのは慊人のお付の方々が私と慊人が会うことにいい顔をしないからだ。歳が近いからって理由で幼児期からほぼ一緒にいさせた癖に、小学校上がる前くらいから露骨に嫌がるようになった。大人って勝手だ。そのせいで私が泥棒みたいな動きをする羽目になってる。草摩という括りだったら一応自分の家でもあるのに。
「慊人~体調大丈夫?」
無遠慮に窓を開けるとちょうど診察が終わったらしく慊人は寝間着の袂を整えていた。窓が開いた音にびっくりしたのか少し肩を揺らしている。
「っ、急に来るなよ」
「だって表から行ったら入れてもらえないし」
「そうじゃなくて!声かけろっていつも言ってるだろ!」
「そっちか。入りまーすおじゃましまーす」
「おまえ…!」
「慊人あまり興奮するな。熱が上がる。ナマエは慊人をおちょくるな」
おちょくってない…。そう思ったけど慊人も「そうだ!そうだ!」みたいな顔をしてたので口を噤み、横になった慊人の隣に行く。
「慊人さっきはごめんね。言いすぎた」
「……ふん」
「でも慊人はやっぱり行かない方がいいと思う。体調悪化するよ」
「おまえがそれを言うな」
「えっ?」
慊人が何を言ってるか分からなくて首を傾げていると「そうだな。ナマエはそろそろ帰れ」とはとりが言った。今来たばかりですが?
「お土産を持ってこなかったから…?」
「今さらそんなものいるか」
「ああそうだよね。慊人が寝込む度にお土産持ってきてたら破産する」
「…………」
「ナマエ」
はとりが語気を強めた。目が帰れって言ってる。邪魔者感がすごく…伝わってきます…。
こんな理由なのにはとりは私を無理やり仕事部屋から追い出したことはない。だから居座られるのになぁと自分勝手なことを思いながら仕事をしている横顔を見る。髪がかかって表情は分からないし、見えたとしてもそこにあるのはいつもの仏頂面だ。見えても見えなくても表情は変わらないのに少し離れたここからはとりを見るのが好きだ。落ちつく。
「…………大学はちゃんと行っているのか?」
視線がうっとうしいのか、世話焼きの性か仕事が退屈なのか分からないけどぽつりとはとりが呟いた。仕事中にはとりが話しかけてくるのは珍しかった。
「行ってるよ。友達100人ノルマをふた月でこなした私に大学の授業なんて敵じゃないね」
「高校から不登校児になったおまえがそれを言うか」
「よく卒業できたよね~」
「他人事のように言うな。おまえの両親の苦悩が目に浮かぶ」
実際お母さんは大号泣してた。私は高卒試験受ける気満々だったのだけどそれでもちゃんと卒業できたことにすごく喜んでて、良心が痛んだ。私が学校に行かなくなった理由なんて私以外の人にとったらとてつもなく下らない理由だったから尚更。そして卒業できるなら二次で大学行こうかなぁっていって学年教師共々泣かれたのは余談である。お世話になりました。今はちゃんと学校に行ってます。
「あっそういえば紅葉が由希達の文化祭?のチラシ見て「行きたい!」って騒いで、同じくそのチラシを見た慊人がめちゃくちゃキレたの知ってる?」
「…………いつの話だ」
「ここにくる前だから五分くらい前かなぁ。体調悪いのにハッスルするから布団に叩きつけといた」
はとりは早く言えと言わんばかりの顔をして部屋から出て行った。僕も行くって言ってたけどあの調子じゃ無理そうだ。慊人も私も高校の文化祭なんて縁ないからね。わくわくしちゃうよね。でも慊人がいったら由希達が泣くから止めようね。お土産は買ってくるよ。こんな事を言った気がする。…火に油ぶっこんだの私だな。謝りにいこ。ごめんね慊人。悪気はなかった。でも本気でそう思ってる。
はとりの家を出て本日二度目の慊人の家に向かう。入り口からいったら100%の確率で止められるので慊人の部屋の窓のある方へぐるりと回る。小さい時からの侵入ルートだ。泥棒みたいな侵入しかしてないのは慊人のお付の方々が私と慊人が会うことにいい顔をしないからだ。歳が近いからって理由で幼児期からほぼ一緒にいさせた癖に、小学校上がる前くらいから露骨に嫌がるようになった。大人って勝手だ。そのせいで私が泥棒みたいな動きをする羽目になってる。草摩という括りだったら一応自分の家でもあるのに。
「慊人~体調大丈夫?」
無遠慮に窓を開けるとちょうど診察が終わったらしく慊人は寝間着の袂を整えていた。窓が開いた音にびっくりしたのか少し肩を揺らしている。
「っ、急に来るなよ」
「だって表から行ったら入れてもらえないし」
「そうじゃなくて!声かけろっていつも言ってるだろ!」
「そっちか。入りまーすおじゃましまーす」
「おまえ…!」
「慊人あまり興奮するな。熱が上がる。ナマエは慊人をおちょくるな」
おちょくってない…。そう思ったけど慊人も「そうだ!そうだ!」みたいな顔をしてたので口を噤み、横になった慊人の隣に行く。
「慊人さっきはごめんね。言いすぎた」
「……ふん」
「でも慊人はやっぱり行かない方がいいと思う。体調悪化するよ」
「おまえがそれを言うな」
「えっ?」
慊人が何を言ってるか分からなくて首を傾げていると「そうだな。ナマエはそろそろ帰れ」とはとりが言った。今来たばかりですが?
「お土産を持ってこなかったから…?」
「今さらそんなものいるか」
「ああそうだよね。慊人が寝込む度にお土産持ってきてたら破産する」
「…………」
「ナマエ」
はとりが語気を強めた。目が帰れって言ってる。邪魔者感がすごく…伝わってきます…。