日向ごっこ
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透ちゃんが熱を出したと大賑わいだ。
まず紅葉に誘われ透ちゃんの代わりのバイトを一緒にやった。紅葉は可愛さに極振りしてるから戦力になるのか微妙だった。透ちゃんの職場の人たちは可愛いからいっかとなってるから良かったみたいだけど。緩いな透ちゃんの職場。
「紅葉、袖まくってあげるからこっちおいで」
「ハーイっ!」
「できないと思ったらちゃんと訊くんだよ? 私たち普段掃除なんて自宅くらいしかやらないんだから」
「リョウカイ!」
四苦八苦しながらバイトをやる。私のバイトなんてお父さんの仕事の手伝いくらいしかやってないから肉体労働は初めてで、明日筋肉痛になるのは必至だった。透ちゃん絶対に私より体力あるな。
「これ片付けておいてもいいですか?」
「え、ええいいわよ。もーやだわぁ、紅葉ちゃんもナマエちゃんも顔が綺麗で可愛いからおばさん戸惑っちゃう」
ストレートに顔のこと褒められたのは久しぶりだ。草摩の血筋は顔面偏差値高くなる傾向にあるからな。紫呉にいさんの顔“は”100点という含みありまくりのほめ言葉(イヤミ)を日常的に受けてるから普通にえへへ、と照れてしまった。もっと褒めてください。
緩やかな空気でバイトを終わらせた。多分普段の透ちゃんとの戦力の違いがあっただろうけど、顔面力でカバーした感がすごかった。あと紅葉のマスコット感。これが一番強い。マスコットは掃除してるだけで可愛い。最強。
終わったら連絡しろとはとりに言われていたので電話を繋げる。……初電話だ。ちょっと緊張する。
『もしもし』
低い声。安心する声。……ドキドキする声。それが耳元でしてすこしそわそわした。
「バイト終わったよ」
『少し待っていろ。車を回す。杞紗も本田君が心配だと家を訪ねてきた』
「大勢でおしかけて大丈夫かな?」
『病人の前で騒ぐなよ』
「私を何才だと思ってるんですか」
『慊人の前では遠慮なしに騒いでるだろう』
慊人の場合は鬱屈してるから盛り上げようとした結果うるさくなってるだけです。
「紅葉と待ってるね。はとり」
『…………』
「ん? 聞いてる?」
『おまえと電話するのは可笑しな気分になるな』
「何でよ」
『毎日顔を見合わせてるからだろうな。それが当たり前になっている。………。』
「はとり?」
『……いや、すぐ向かう』
待っていろ。そう言って初電話は切られた。あっさりだ。すこし寂しくなったのを無視してはとりが来るまで紅葉とじゃれて遊んだ。
***
「間違えないでねハリィっトールが痛がったらすぐやめてねっ」
紅葉と杞紗が心配そうにピラミッドになってくっ付いて注射を見守っている。可愛いと可愛いがくっつくと可愛いな。
「大丈夫ですよ。全然痛くないですよ」
「でもシーちゃんは痛いって言ってたよ! すごくすごく痛いんだって!! 何回も何回も打ち間違えるんだって!!」
「いや、それはたぶん……」
「あれはワザとやったんだ」
はとりがさらりと言う。やっぱり。でも紫呉にいさんだから全く心が痛まない。普段の行動がアレだからな。とうんうん頷いてたら後ろからガタッと音がした。
「はーさん……っひどいよワザとなんて……っ なんとなく気づいていたけどね!!」
「騒ぐだけなら出ていけ。病人の体に障る」
はとりは紫呉にいさんと紅葉を追い出した。扉の向こうからつれないつれないと苦情が聞こえる。そういうとこですよ。
「あのはとりさん。薬代を……」
「──……早く元気になるんだな。君が床に伏しているとどうも落ち着かない奴が多いらしいからな。何かあったら呼べ」
そう言ってはとりは透ちゃんの部屋から出て行った。
「……はとりのおじちゃんも落ち着かないのかな……?」
「あはは、そんな事は……えっ! おじちゃん!? ですか!?」
「はとりはお兄さんです。杞紗ちゃーん?」
「ナマエお姉ちゃんほっぺむにむにしないで……」
「お兄さんと言いなさい」
「はとりお兄さん」
「よしいい子」
杞紗の頭をなでなでする。透ちゃんはおじちゃん発言に頭ぐるぐるしてそうだ。はとりはお兄さんです。そんなことを思ってきたらコンコンとひかえめに部屋の扉がノックされた。絶対夾じゃないな。そんな確信を持ちつつ現れたのは由希だった。
「今……大丈夫?」
「あっはいっもちろんですっ」
「はとり……何だって?」
「もう回復するだろうって……」
「じゃあとりあえずコレ……」
「え?」
「追試対策の問題まとめてみたんだ」
ノートを渡す由希に透ちゃんはびっくりした顔をした。
「え……!!」
「これをやればきっと大丈夫だと思うんだ。だから元気になったら一緒にやってみよう?」
「……あ、ありがとうございます……!!」
透ちゃんが笑ってそう言うと由希は嬉しそうに口角を上げた。……由希は誰かの為に何かやるって機会を奪われてたからな。そんな余裕なかったとも言う。本当に紫呉にいさんの家に来て……透ちゃんと会ってからか。よかったね、由希。
微笑ましくなって由希の頭を撫でる。
「なに、ナマエ」
「由希はいい子だねって」
「子ども扱いはやめて」
「昔は喜ばれたのになぁ」
「!! 昔の話だろっ」
カッと由希の頬が赤くなる。これやぶ蛇だったな。でも喜んでたのは否定しないのが由希は可愛げあるよなぁ。
「いつでもナマエお姉ちゃんが撫でてあげるからね。年は関係ないよ。もちろん透ちゃんと杞紗もウェルカムだから」
恥ずかしそうにぷいとする由希に「はいっ」と返事してくれる透ちゃん。嬉しそうに笑う杞紗。温かい空気がそこにあった。
****
紫呉にいさんの家を去って紅葉と杞紗を家に送り届けてからはとりの家の前まで来てバイバイしようとした。
「……ナマエ」
「なに?」
「頂き物の紅茶があるから持って行け」
「えっ! やったっ紅茶大好き! でもはとり飲まないの?」
「珈琲で十分だ」
「確かにはとりが紅茶飲んでるのみたことないや。お客様用にとっておかなくていいの?」
「患者には出さないしな。客もおまえくらいだ。……やはり渡さなくていいか」
「何で上げて落とすの!?」
はとりの手のひら返しにびっくりしてツッコむ。なんでそういうこと言うの。むっとしてはとりの腕を引っ張ってたら逆の手でふわりと掴まれた。
「毎日来るから別にいいだろう」
「……たしかに?」
一気に腑に落ちた。確かに。私勝手にお茶菓子と飲み物用意するもんね。納得してはとりの腕を離す。けどはとりの腕はそのままだった。
「はとり?」
「…………小さいのは変わらないのにな」
ぼそりと何かを言って手を離された。
「今なんて言ったの?」
「大したことじゃない」
あ、これ訊かれたくないときの声のトーンだ。なんとなく分かる。だから話をすぐ替えた。
「はとりとのお茶会にお楽しみが一個増えたな」
「……そうか」
「うん。私の日課で大事な行事」
事実を言った。知られてもなんてことのない事実を。それなのにはとりの表情は違っていた。ふわりと柔らかく笑った。まるで同意するかのように。
「~~~っ、私帰るね! おやすみはとり!」
「ああ、おやすみ」
なんだあの顔。ずるい。ずるい。勝手に嬉しくなっちゃうじゃんか。そんな事を思いつつすぐそこの自分の家の扉を勢いよく開けて「ただいまー!」と言った。
まず紅葉に誘われ透ちゃんの代わりのバイトを一緒にやった。紅葉は可愛さに極振りしてるから戦力になるのか微妙だった。透ちゃんの職場の人たちは可愛いからいっかとなってるから良かったみたいだけど。緩いな透ちゃんの職場。
「紅葉、袖まくってあげるからこっちおいで」
「ハーイっ!」
「できないと思ったらちゃんと訊くんだよ? 私たち普段掃除なんて自宅くらいしかやらないんだから」
「リョウカイ!」
四苦八苦しながらバイトをやる。私のバイトなんてお父さんの仕事の手伝いくらいしかやってないから肉体労働は初めてで、明日筋肉痛になるのは必至だった。透ちゃん絶対に私より体力あるな。
「これ片付けておいてもいいですか?」
「え、ええいいわよ。もーやだわぁ、紅葉ちゃんもナマエちゃんも顔が綺麗で可愛いからおばさん戸惑っちゃう」
ストレートに顔のこと褒められたのは久しぶりだ。草摩の血筋は顔面偏差値高くなる傾向にあるからな。紫呉にいさんの顔“は”100点という含みありまくりのほめ言葉(イヤミ)を日常的に受けてるから普通にえへへ、と照れてしまった。もっと褒めてください。
緩やかな空気でバイトを終わらせた。多分普段の透ちゃんとの戦力の違いがあっただろうけど、顔面力でカバーした感がすごかった。あと紅葉のマスコット感。これが一番強い。マスコットは掃除してるだけで可愛い。最強。
終わったら連絡しろとはとりに言われていたので電話を繋げる。……初電話だ。ちょっと緊張する。
『もしもし』
低い声。安心する声。……ドキドキする声。それが耳元でしてすこしそわそわした。
「バイト終わったよ」
『少し待っていろ。車を回す。杞紗も本田君が心配だと家を訪ねてきた』
「大勢でおしかけて大丈夫かな?」
『病人の前で騒ぐなよ』
「私を何才だと思ってるんですか」
『慊人の前では遠慮なしに騒いでるだろう』
慊人の場合は鬱屈してるから盛り上げようとした結果うるさくなってるだけです。
「紅葉と待ってるね。はとり」
『…………』
「ん? 聞いてる?」
『おまえと電話するのは可笑しな気分になるな』
「何でよ」
『毎日顔を見合わせてるからだろうな。それが当たり前になっている。………。』
「はとり?」
『……いや、すぐ向かう』
待っていろ。そう言って初電話は切られた。あっさりだ。すこし寂しくなったのを無視してはとりが来るまで紅葉とじゃれて遊んだ。
***
「間違えないでねハリィっトールが痛がったらすぐやめてねっ」
紅葉と杞紗が心配そうにピラミッドになってくっ付いて注射を見守っている。可愛いと可愛いがくっつくと可愛いな。
「大丈夫ですよ。全然痛くないですよ」
「でもシーちゃんは痛いって言ってたよ! すごくすごく痛いんだって!! 何回も何回も打ち間違えるんだって!!」
「いや、それはたぶん……」
「あれはワザとやったんだ」
はとりがさらりと言う。やっぱり。でも紫呉にいさんだから全く心が痛まない。普段の行動がアレだからな。とうんうん頷いてたら後ろからガタッと音がした。
「はーさん……っひどいよワザとなんて……っ なんとなく気づいていたけどね!!」
「騒ぐだけなら出ていけ。病人の体に障る」
はとりは紫呉にいさんと紅葉を追い出した。扉の向こうからつれないつれないと苦情が聞こえる。そういうとこですよ。
「あのはとりさん。薬代を……」
「──……早く元気になるんだな。君が床に伏しているとどうも落ち着かない奴が多いらしいからな。何かあったら呼べ」
そう言ってはとりは透ちゃんの部屋から出て行った。
「……はとりのおじちゃんも落ち着かないのかな……?」
「あはは、そんな事は……えっ! おじちゃん!? ですか!?」
「はとりはお兄さんです。杞紗ちゃーん?」
「ナマエお姉ちゃんほっぺむにむにしないで……」
「お兄さんと言いなさい」
「はとりお兄さん」
「よしいい子」
杞紗の頭をなでなでする。透ちゃんはおじちゃん発言に頭ぐるぐるしてそうだ。はとりはお兄さんです。そんなことを思ってきたらコンコンとひかえめに部屋の扉がノックされた。絶対夾じゃないな。そんな確信を持ちつつ現れたのは由希だった。
「今……大丈夫?」
「あっはいっもちろんですっ」
「はとり……何だって?」
「もう回復するだろうって……」
「じゃあとりあえずコレ……」
「え?」
「追試対策の問題まとめてみたんだ」
ノートを渡す由希に透ちゃんはびっくりした顔をした。
「え……!!」
「これをやればきっと大丈夫だと思うんだ。だから元気になったら一緒にやってみよう?」
「……あ、ありがとうございます……!!」
透ちゃんが笑ってそう言うと由希は嬉しそうに口角を上げた。……由希は誰かの為に何かやるって機会を奪われてたからな。そんな余裕なかったとも言う。本当に紫呉にいさんの家に来て……透ちゃんと会ってからか。よかったね、由希。
微笑ましくなって由希の頭を撫でる。
「なに、ナマエ」
「由希はいい子だねって」
「子ども扱いはやめて」
「昔は喜ばれたのになぁ」
「!! 昔の話だろっ」
カッと由希の頬が赤くなる。これやぶ蛇だったな。でも喜んでたのは否定しないのが由希は可愛げあるよなぁ。
「いつでもナマエお姉ちゃんが撫でてあげるからね。年は関係ないよ。もちろん透ちゃんと杞紗もウェルカムだから」
恥ずかしそうにぷいとする由希に「はいっ」と返事してくれる透ちゃん。嬉しそうに笑う杞紗。温かい空気がそこにあった。
****
紫呉にいさんの家を去って紅葉と杞紗を家に送り届けてからはとりの家の前まで来てバイバイしようとした。
「……ナマエ」
「なに?」
「頂き物の紅茶があるから持って行け」
「えっ! やったっ紅茶大好き! でもはとり飲まないの?」
「珈琲で十分だ」
「確かにはとりが紅茶飲んでるのみたことないや。お客様用にとっておかなくていいの?」
「患者には出さないしな。客もおまえくらいだ。……やはり渡さなくていいか」
「何で上げて落とすの!?」
はとりの手のひら返しにびっくりしてツッコむ。なんでそういうこと言うの。むっとしてはとりの腕を引っ張ってたら逆の手でふわりと掴まれた。
「毎日来るから別にいいだろう」
「……たしかに?」
一気に腑に落ちた。確かに。私勝手にお茶菓子と飲み物用意するもんね。納得してはとりの腕を離す。けどはとりの腕はそのままだった。
「はとり?」
「…………小さいのは変わらないのにな」
ぼそりと何かを言って手を離された。
「今なんて言ったの?」
「大したことじゃない」
あ、これ訊かれたくないときの声のトーンだ。なんとなく分かる。だから話をすぐ替えた。
「はとりとのお茶会にお楽しみが一個増えたな」
「……そうか」
「うん。私の日課で大事な行事」
事実を言った。知られてもなんてことのない事実を。それなのにはとりの表情は違っていた。ふわりと柔らかく笑った。まるで同意するかのように。
「~~~っ、私帰るね! おやすみはとり!」
「ああ、おやすみ」
なんだあの顔。ずるい。ずるい。勝手に嬉しくなっちゃうじゃんか。そんな事を思いつつすぐそこの自分の家の扉を勢いよく開けて「ただいまー!」と言った。