日向ごっこ
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杞紗がいなくなったと連絡が来て、しばらく探していたところ紫呉にいさんの家で確保されたと聞いてほっと息をついた。そして紆余曲折あってしばらく杞紗を紫呉にいさん家で預かることになったらしい。それで私は杞紗の着替えとか日用品とか暇つぶし道具とかを持って行く係りになった。免許とっておいてよかった。
「杞紗になにか伝えておくことありますか?」
「いえ……ナマエちゃんにも面倒かけてごめんなさい」
「暇だから大丈夫ですよ」
杞紗ママの顔色よくないな。やっぱり心労が重なってるらしい。
「杞紗の好きな食べ物ってなんですか?」
「え……? ニラ玉、だけど……」
「じゃあそれ透ちゃんに伝えてあげてください。きっと作ってくれますから」
こんな簡単なことしか思いつかないけど杞紗との接点が消えるのは駄目だと思った。
***
「杞紗~! ナマエねえちゃんがきたよ~!」
「!」
「今日も可愛いな杞紗は~!」
「ナマエうるせえ!」
「夾は可愛くないねえ杞紗」
杞紗の頭を撫でながら夾の恐喝を受ける。同意していいのかどうなのかちょっと困ってる。真面目可愛いのが杞紗のいいところ。
「杞紗、暇だったら勉強しない? 嫌だったら全然いいけどしといて損はないよ? 私教えるから」
「…………(コクン)」
「おまえ教えられんのかよ」
「生まれてこのかた学年一位しかとったことないんだよねぇ」
「バカのくせにかッ!?」
「本気で驚いててこっちがビックリしたよ」
夾が驚愕して顎外れそうになってる。うそちょっと盛った。でもそのくらい驚いてた。君が私のことどんな風に思ってるかよく分かったよ。まあ杞紗がちょっと笑ってるから身体張った甲斐あったかな。
「教科は、ん~どれの気分?」
今は話せないからどれがいいかな。国語英語社会理科とかなら面白可笑しく話せることできるんだけど。数学はね、数式覚えて解くだけだからね。教えがいがない。そう思ってたら杞紗は理科の教科書を指差した。気が合うね杞紗。最初から選択の幅が広かったとか言っちゃいけない。
そんなこんなで紫呉にいさんの家の居間で杞紗と勉強していたら日が暮れはじめて透ちゃんと由希が帰ってきた。のんびりだらりとやってたから時間が経つの早い。夾はさっさと自分の部屋に行っていない。
「おかえりー」
「ナマエさんっただいま帰りました! 杞紗さんも!」
杞紗は一目散に透ちゃんのところへパタパタ走っていった。おや、懐いてる。透ちゃんも杞紗が可愛いみたいで抱き合ってる。平和。
「普通にナマエがいるからびっくりしたよ」
「杞紗ママに頼まれて杞紗の着替えとかね」
「ああ……」
杞紗に聞こえないように言うと由希は色々察したらしくちらりとこっちを見てきた。……杞紗ママも結構重傷だからはとりのとこへ通っている。私は杞紗の様子を刺激を与えない程度にお話する役だ。十二支の親は不必要なほど過保護になるか拒絶するかが多い。杞紗ママは前者だった。杞紗の件と重なって疲れてしまったのだ。誰も悪くない。ちょっとすれ違っただけ。でもこのままじゃ解決しない。
「どうしたもんかな」
そう思いつつ勉強を教える名目で紫呉にいさんの家へ通った。
通って数日。杞紗が我が家にやってきた。なにゆえ? と思いつつ出迎えたらギュッと抱きついてきて「ナマエお姉ちゃん」と。
「……やっぱ杞紗の声は可愛いなぁ」
さすがに中学生の杞紗を抱っこは出来ないので屈んで抱き締める。
「ナマエお姉ちゃん、お勉強教えてくれてありがとう」
「ん~杞紗の為ならいつでも。ナマエ姉ちゃん暇人だからまたおいで」
「うん」
「あと一緒に紫呉にいさん家遊びに行ったりね」
「うん……!」
後者の方が嬉しそうだ。よほど透ちゃんのことが好きになったらしい。微笑ましくなって杞紗の頭を撫でていると、はす向かいのはとりの家の扉が開く。はとりと杞紗ママが家から出てきた。
杞紗ママには杞紗が紫呉にいさん家から帰ってきてもうちで預かっていいと言ってあった。徐々に杞紗と接する機会を増やせばいいと。また同じことになってもお互い不幸になるだけだから。
杞紗はお母さんに気づいたらしく少し身体を強ばらせた。背中をぽんぽん叩く。顔を見合わせてうん、と頷いた杞紗は一歩、お母さんに近づいた。
「杞紗」
「お母さん……」
「杞紗、おかえり」
腕を広げるお母さんに杞紗は一歩、一歩と近づいて胸に飛び込んでいった。
「杞紗になにか伝えておくことありますか?」
「いえ……ナマエちゃんにも面倒かけてごめんなさい」
「暇だから大丈夫ですよ」
杞紗ママの顔色よくないな。やっぱり心労が重なってるらしい。
「杞紗の好きな食べ物ってなんですか?」
「え……? ニラ玉、だけど……」
「じゃあそれ透ちゃんに伝えてあげてください。きっと作ってくれますから」
こんな簡単なことしか思いつかないけど杞紗との接点が消えるのは駄目だと思った。
***
「杞紗~! ナマエねえちゃんがきたよ~!」
「!」
「今日も可愛いな杞紗は~!」
「ナマエうるせえ!」
「夾は可愛くないねえ杞紗」
杞紗の頭を撫でながら夾の恐喝を受ける。同意していいのかどうなのかちょっと困ってる。真面目可愛いのが杞紗のいいところ。
「杞紗、暇だったら勉強しない? 嫌だったら全然いいけどしといて損はないよ? 私教えるから」
「…………(コクン)」
「おまえ教えられんのかよ」
「生まれてこのかた学年一位しかとったことないんだよねぇ」
「バカのくせにかッ!?」
「本気で驚いててこっちがビックリしたよ」
夾が驚愕して顎外れそうになってる。うそちょっと盛った。でもそのくらい驚いてた。君が私のことどんな風に思ってるかよく分かったよ。まあ杞紗がちょっと笑ってるから身体張った甲斐あったかな。
「教科は、ん~どれの気分?」
今は話せないからどれがいいかな。国語英語社会理科とかなら面白可笑しく話せることできるんだけど。数学はね、数式覚えて解くだけだからね。教えがいがない。そう思ってたら杞紗は理科の教科書を指差した。気が合うね杞紗。最初から選択の幅が広かったとか言っちゃいけない。
そんなこんなで紫呉にいさんの家の居間で杞紗と勉強していたら日が暮れはじめて透ちゃんと由希が帰ってきた。のんびりだらりとやってたから時間が経つの早い。夾はさっさと自分の部屋に行っていない。
「おかえりー」
「ナマエさんっただいま帰りました! 杞紗さんも!」
杞紗は一目散に透ちゃんのところへパタパタ走っていった。おや、懐いてる。透ちゃんも杞紗が可愛いみたいで抱き合ってる。平和。
「普通にナマエがいるからびっくりしたよ」
「杞紗ママに頼まれて杞紗の着替えとかね」
「ああ……」
杞紗に聞こえないように言うと由希は色々察したらしくちらりとこっちを見てきた。……杞紗ママも結構重傷だからはとりのとこへ通っている。私は杞紗の様子を刺激を与えない程度にお話する役だ。十二支の親は不必要なほど過保護になるか拒絶するかが多い。杞紗ママは前者だった。杞紗の件と重なって疲れてしまったのだ。誰も悪くない。ちょっとすれ違っただけ。でもこのままじゃ解決しない。
「どうしたもんかな」
そう思いつつ勉強を教える名目で紫呉にいさんの家へ通った。
通って数日。杞紗が我が家にやってきた。なにゆえ? と思いつつ出迎えたらギュッと抱きついてきて「ナマエお姉ちゃん」と。
「……やっぱ杞紗の声は可愛いなぁ」
さすがに中学生の杞紗を抱っこは出来ないので屈んで抱き締める。
「ナマエお姉ちゃん、お勉強教えてくれてありがとう」
「ん~杞紗の為ならいつでも。ナマエ姉ちゃん暇人だからまたおいで」
「うん」
「あと一緒に紫呉にいさん家遊びに行ったりね」
「うん……!」
後者の方が嬉しそうだ。よほど透ちゃんのことが好きになったらしい。微笑ましくなって杞紗の頭を撫でていると、はす向かいのはとりの家の扉が開く。はとりと杞紗ママが家から出てきた。
杞紗ママには杞紗が紫呉にいさん家から帰ってきてもうちで預かっていいと言ってあった。徐々に杞紗と接する機会を増やせばいいと。また同じことになってもお互い不幸になるだけだから。
杞紗はお母さんに気づいたらしく少し身体を強ばらせた。背中をぽんぽん叩く。顔を見合わせてうん、と頷いた杞紗は一歩、お母さんに近づいた。
「杞紗」
「お母さん……」
「杞紗、おかえり」
腕を広げるお母さんに杞紗は一歩、一歩と近づいて胸に飛び込んでいった。