日向ごっこ
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「本家に行ったらとりさんは皆と一緒に別荘に行ったとお手伝いさんからきいたので、ならばボクもご一緒したくてちょうどはす真向かいの家から出てきたナマエと共に出向した次第さ! 無論車で快適無敵っ」
二人くらいからおまえ何故止めなかったという視線が向けられてチクチク刺さる。二人くらいっていうか由希と夾。とても不本意なので全力で私の言い分を主張する。
「なんでアクセルとブレーキが隣同士にあるのか知らないのか。すぐに車を止められるようにあるんだよ。よってどこにブレーキがついているのか、そもそもついてるか分からないあーやなんて止められるわけないでしょうが!! 山道じゃない公道で常にアクセルベタ踏みだぞ! 絶対無理!!」
「逆ギレすんな!!」
夾が元気よく吠えてきたけど私はあーやのテンションマックス命ドキドキ運転を味わってきたばかりなのでそこまで元気になれない。目がしょぼしょぼする。
「お昼寝してくるね。眠い」
「おまえもたいがい自由人だよなぁ……っ」
「ありがとう」
素直にお礼を返して陽が気持ちよさそうなバルコニーにあるハンモックへ向かう。「お、おちついて下さいっ夾君……!」と透ちゃんのわたわたした声がしたけど由希とはとりがいるから大丈夫だろう。この旅行の趣旨が分かっていながらこんなこと思うのは駄目なのは分かっているが眠気には勝てない。といいわけしてはとりから逃げた。
****
「イヤしかしはーさんも結局式に行かなかったねェ。やっぱり会いたくないものなの?」
「フラッシュバックが怖い……佳菜には重ねがけを施してないし何かの拍子に思い出したりしたら……困るだろう」
「困るのかい? もしそれで思い出したとしてももう一度ラブラブになれるかもなのだよ?」
「終わったんだよ俺と佳菜は。もうやり直す事はない。──一緒にいても寂しくなるだけだ」
そういってはとりは目を伏せる。脳裏に浮かぶのは穏やかに笑う愛した人。
「……愛情が消えたとは思いたくない。でも側にいて欲しいとは思わない。会う気もない。今はもう祈るだけだ」
倖せになってほしい、と。
「納得がいかないねっ」
そういって空気を割ったのは綾女だった。
「ボクはとりさん派の人間だから片寄った意見であるのを承知でハッキリ言うがボクは納得いかないっ? 佳菜君はズルい!」
「だって佳菜君は全部忘れて倖せ掴んでとりさんだけが嫌な事総て背負わされている感じだっ。とりさんだけ置いてけぼり食わされている感は否めないっ」
「……そうか……?」
視線と考えを巡回させる。そこにいたのはハンモックで寝ているナマエの姿だった。
『はとり今日もきたー』
『はとり天気いいから縁側いこ』
『はとり課題教えて。いっぱい出てるの』
外出恐怖症。そう診断したナマエが自宅以外で唯一来ることが出来る場所がはとりの家だった。そのため自分の前では安定したように見えたが学校どころか前は歩けていた草摩の敷地内でも歩けなかったくらいだ。そのナマエが安心したような顔をしてバルコニーで昼寝している。学校にも行けている。
「……そうでもないさ」
「佳菜君とやり直せとは言わないよっ。その代わりキッパリ断言させて頂こうっ。ボクはねとりさんっ」
「とりさんには佳菜君よりも二千倍近く倖せいっぱいになってもらいたいのだよ!」
「…………」
綾女の真っ直ぐな言葉に口角が上がる。友の言葉は温かった。
「そういう……強気な態度。由希に見せればいいのにな……」
「え? そうかい?」
「でもまあともかく、今度こそ一緒にいて寂しくならない新しい女性と出会えるといいよね。……一緒にいることが倖せにつながる女性とね。…………まあもう近くにいるかもしれないんだけど」
最後のことばは小さすぎて耳に届かなかった。しかし紫呉のそれはかなり無茶な願いだと思った。呪われた十二支達にとっては。
「ふわぁ……よく寝たぁ……何の話してるの?」
起きてきたナマエがふらふらと隣に座ってきた。
「とりさんの倖せについてだよっナマエ」
「はとりの倖せ? それはとても大事」
うんうん、と腕を組んでナマエは思考している。口調がゆったりしている。まだ寝ぼけているらしい。
「はとりはね、だれよりも優しいから倖せにならなくちゃだめなの。呪いなんて関係ないもん。そんなのに邪魔されてたまるか」
「はとりにね倖せになって、ほしい……の」
「寝ちゃった」
「良いことを言っていたのにそこで寝るとは間が悪いのだよナマエ」
「……毛布をとってくる」
倖せ。今の自分には縁の無いようなものに思える。ただ友とナマエの思いは胸に秘めておこう。はとりはそう思いながらナマエに毛布をかけた。
二人くらいからおまえ何故止めなかったという視線が向けられてチクチク刺さる。二人くらいっていうか由希と夾。とても不本意なので全力で私の言い分を主張する。
「なんでアクセルとブレーキが隣同士にあるのか知らないのか。すぐに車を止められるようにあるんだよ。よってどこにブレーキがついているのか、そもそもついてるか分からないあーやなんて止められるわけないでしょうが!! 山道じゃない公道で常にアクセルベタ踏みだぞ! 絶対無理!!」
「逆ギレすんな!!」
夾が元気よく吠えてきたけど私はあーやのテンションマックス命ドキドキ運転を味わってきたばかりなのでそこまで元気になれない。目がしょぼしょぼする。
「お昼寝してくるね。眠い」
「おまえもたいがい自由人だよなぁ……っ」
「ありがとう」
素直にお礼を返して陽が気持ちよさそうなバルコニーにあるハンモックへ向かう。「お、おちついて下さいっ夾君……!」と透ちゃんのわたわたした声がしたけど由希とはとりがいるから大丈夫だろう。この旅行の趣旨が分かっていながらこんなこと思うのは駄目なのは分かっているが眠気には勝てない。といいわけしてはとりから逃げた。
****
「イヤしかしはーさんも結局式に行かなかったねェ。やっぱり会いたくないものなの?」
「フラッシュバックが怖い……佳菜には重ねがけを施してないし何かの拍子に思い出したりしたら……困るだろう」
「困るのかい? もしそれで思い出したとしてももう一度ラブラブになれるかもなのだよ?」
「終わったんだよ俺と佳菜は。もうやり直す事はない。──一緒にいても寂しくなるだけだ」
そういってはとりは目を伏せる。脳裏に浮かぶのは穏やかに笑う愛した人。
「……愛情が消えたとは思いたくない。でも側にいて欲しいとは思わない。会う気もない。今はもう祈るだけだ」
倖せになってほしい、と。
「納得がいかないねっ」
そういって空気を割ったのは綾女だった。
「ボクはとりさん派の人間だから片寄った意見であるのを承知でハッキリ言うがボクは納得いかないっ? 佳菜君はズルい!」
「だって佳菜君は全部忘れて倖せ掴んでとりさんだけが嫌な事総て背負わされている感じだっ。とりさんだけ置いてけぼり食わされている感は否めないっ」
「……そうか……?」
視線と考えを巡回させる。そこにいたのはハンモックで寝ているナマエの姿だった。
『はとり今日もきたー』
『はとり天気いいから縁側いこ』
『はとり課題教えて。いっぱい出てるの』
外出恐怖症。そう診断したナマエが自宅以外で唯一来ることが出来る場所がはとりの家だった。そのため自分の前では安定したように見えたが学校どころか前は歩けていた草摩の敷地内でも歩けなかったくらいだ。そのナマエが安心したような顔をしてバルコニーで昼寝している。学校にも行けている。
「……そうでもないさ」
「佳菜君とやり直せとは言わないよっ。その代わりキッパリ断言させて頂こうっ。ボクはねとりさんっ」
「とりさんには佳菜君よりも二千倍近く倖せいっぱいになってもらいたいのだよ!」
「…………」
綾女の真っ直ぐな言葉に口角が上がる。友の言葉は温かった。
「そういう……強気な態度。由希に見せればいいのにな……」
「え? そうかい?」
「でもまあともかく、今度こそ一緒にいて寂しくならない新しい女性と出会えるといいよね。……一緒にいることが倖せにつながる女性とね。…………まあもう近くにいるかもしれないんだけど」
最後のことばは小さすぎて耳に届かなかった。しかし紫呉のそれはかなり無茶な願いだと思った。呪われた十二支達にとっては。
「ふわぁ……よく寝たぁ……何の話してるの?」
起きてきたナマエがふらふらと隣に座ってきた。
「とりさんの倖せについてだよっナマエ」
「はとりの倖せ? それはとても大事」
うんうん、と腕を組んでナマエは思考している。口調がゆったりしている。まだ寝ぼけているらしい。
「はとりはね、だれよりも優しいから倖せにならなくちゃだめなの。呪いなんて関係ないもん。そんなのに邪魔されてたまるか」
「はとりにね倖せになって、ほしい……の」
「寝ちゃった」
「良いことを言っていたのにそこで寝るとは間が悪いのだよナマエ」
「……毛布をとってくる」
倖せ。今の自分には縁の無いようなものに思える。ただ友とナマエの思いは胸に秘めておこう。はとりはそう思いながらナマエに毛布をかけた。