迷走ソネット
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チームVとZの会合が終わって解散となったところで、そそくさと端っこへ行ってご飯を食べることにした。チームZは裏切り糸目くんがいたから食堂にいただけで食事は終わっていたらしい。よかった。ゆっくり食べられる。焼き魚定食を前にいただきますする。
「あの、絵心さん」
「い、潔選手……」
いただきます出来なかった。
魚を隠そうとする前に「好きなもの食べていいんだよ」とフォローされた。なんか言動がバレてる気がする。
潔選手は私の前の席に座った。
「あの、前に言ってくれたことだけど」
「ちょ、調子にのったやつですか…」
「調子にのったって全然そんな風に思ってないよ……って俺ずっとタメ口だけど絵心さん何歳?」
「17の歳になります……」
「えっじゃあタメじゃん。普通に話して大丈夫だよ」
「いつも敬語なんです……」
「そうなんだ」
違います嘘つきましたすみません。罪悪感まみれの私に対して潔選手は爽やかに笑う。
「絵心さんが言ってくれた過程を考えるって考え方のおかげで自分の武器に気づいたというか納得がいったというか……とにかくありがとうって言いたかったんだ。ありがとう」
「いえっどういたしまして?」
「なんで疑問系なの」
あははと笑う潔選手と硬直する私。温度差がすごいのに全く気にしてないこの方。コミュ力高い人だ……!
「そういえばあの絵心と苗字一緒だけど兄妹? 親戚?」
「いとこなんです」
「そうなんだ。あんまり似てないもんね」
「はい、似てなくて幸いでした」
「幸いでしたって、ははっ。そうだ絵心同士でややこしいから下の名前で呼んでもいい?」
「オスキニドウゾ」
「じゃあ名前ちゃんって呼ぶな」
すごい。日本人でこんなにさらっと下の名前呼びできる人ってなかなかいないのでは……。日本離れてた時期あるからその間変わったのかもしれないけど。
「あ、あの明日がんばってくださいね」
「うん? 名前ちゃんはチームVを応援するのに?」
「あうあ……」
「冗談だよ」
なんか手のひらでコロコロされてる感がある気がする。
***
大学の仲間達と作った会社に私も入っていた。アプリ作ったりゲーム作ったりロボット作ったりの趣味の延長線上みたいな会社だけど一応大事な場所なのだ。あとブルーロックプロジェクトにも携わっている。こういうのに誘われたんだけど、といったらなんか楽しそう! って理由で参入してきた。お気楽な会社である。
「うぬぬ、世知辛い……」
敵(仮)がスポンサーの息子だなんて。いや、これを気にチームZ贔屓をなくすか。……うーんそれはやだなぁ。なんだか応援したくなるんだよなチームZ。
とかなんとか思っていたら一気に三点も入れられていた。ちょっと展開が早すぎませんかチームVさん。
「凪選手やばい……なんであんな動きできるの?」
「あれは天性のものだ。サッカー歴半年じゃ到底身につかん」
「サッカーれきはんとし……てんさいじゃん……」
「小一で微分積分やってたお前には言われたくないだろうな」
それとこれとは全く別物じゃん。高校生でやることやってただけだし。運動神経はどうやっても身につく人と身につかない人がいるんだから程度が違う。
「うぅ……がんばれチームZ」