迷走ソネット
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「せっかくだし皆で遊ぼ!」
「いいね!」
「の……乗った!」
玲王達と合流して遊ぶことになった。名前は予想していたのか狼狽する様子はない。深く深呼吸はしているが。
「……凪は? 潔と一緒じゃねーの?」
「あー寝坊で遅れるって言ってたけど、お。噂をすれば……」
スマホを扱っているときにちょうどよく凪からメッセージがきた。内容は……
《そっち行く途中でゲーセン見つけたからちょっとやってくので遅れる》
ほとばしる俺! というスタンプと共にこれが送られてきた。あのやろう。
「自分勝手……」
「みんなでシメにいく?」
シメにいくことになった。
***
「おいそこのゲーム廃人面倒臭王子。友達無くすぞてめぇコラ!」
「うぎょ」
「現行犯逮捕ぉ!」
烏と蟻生に身体と頭を掴まれた凪は椅子から転げ落ちた。笑いながらそれを見ているとキョロキョロ周囲を見渡す名前が視界に入る。
「どうしたの? 名前ちゃん」
「あ、ゲームセンター初めてだから音おっきくてビックリして」
「「「ゲーセンはじめて!?」」」
「うわ、は、はい」
数人で詰めると肯定が返ってきた。全員で視線を交わす。これは染めるしかない。ブルーロックは一致団結した。
「遊ぶぜにゃっはー♪」
***
「見よ俺の“FLOW”!」
「いける!」
「いけるよぉ!」
「アームぷるぷるしてる……! がんばれ!」
「アホ! お前ら揺らすな!」
「名前ちゃんこれとれたらあげるね」
「えっ、ありがとう……?」
「なんか微妙な反応」
「この人形自体が微妙なんやろ」
「あ、落ちた……」
***
「ブル!」
「オシャユッキー!」
「ねえ! あっちと遊び方違うよ!? 本当にあってるこれ!?」
「動くな凪」
「罰ゲーム執行じゃ」
「ごめんなさいでした」
「やっぱり違うんだこれ……」
***
「しりとり卓球ぅー」
「……みかん」
「はいアウト!」
「ドボン!」
「お前みかんはないやろ!」
「うーんじゃあ名前が代わりにしりとりやって。俺が卓球やるから」
「えっ! が、がんばります!」
「それ意味あるか!?」
***
「疲れた?」
ベンチに座ってジュースを飲む名前にそう訊ねるとニコニコした顔で首を横に振った。
「ううん! 楽しい!」
「みんなにも慣れてきたね」
「……確かに。みんなキャラ濃いから途中からあんまり気にならなくなってたかも」
嬉しそうに話す名前に良かったと思う反面今日の目的である“名前は潔を恋愛対象として見てくれているか”の検証は微妙な結果に終わりそうだ。……まあいいか。名前が楽しいかどうかのほうが今は大切である。
ああでもひとつだけ。
「俺も名前って呼んでいい?」
凪がしれっと呼んでいたのがちょっとだけ気に食わなかったのだ。ちょっとだけ。……嘘だ。本当はだいぶ気に食わなかった。最初に下の名前で呼び始めたのは俺なのに、と。
「いいよ?」
そんなこと? と不思議そうな顔をしてるが、潔にとったら勇気のいる伺いだった。許可されてどれだけ安心してるか伝わっていないだろう。
「あ、いたいた。カラオケいかね? 名前ちゃん、カラオケは初めて?」
「カラオケはあるよ! 大学の友だちと行った!」
どこか誇らしげなのが微笑ましい。玲王もそう思ったのか「ならトップバッターで歌ってもらお」と笑っている。
「いーね!」
「えっ最初はちょっと……!」
「マー♪マー♪マー♪」
「ほら、蜂楽くん発声練習してるし!」
「聞こえませーん」
「えええっ」
焦る名前もやっぱり可愛かった。