迷走ソネット
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『殺してやるからさっさと来い。おまえらのぬるい球蹴りごっこはここで終わりだ』
「口が悪い! すごいこの人! 甚八くん並みに口悪いかもしれない!」
「おい」
3rdステージの3対3。潔選手、蜂楽選手、凪選手VS糸師選手、蟻生選手、時光選手の戦いだ。スコアは1-3。潔選手達の劣勢だ。
うぅと前のめりになっているところで甚八くんから声がかかった。
「同時通訳イヤホンの出来はどうだ」
「………………七割くらい」
「嘘だろ。こっちを向け」
「今忙しいの」
「おまえの仕事はなんだ?」
「……………機器のプログラミング責任者です」
「やれ」
「…………はい」
泣く泣く立ち上がった。がんばれ潔選手。私もがんばる。
***
5thステージの食堂は閑散としている。まだ誰も到達していないからだ。完成の目処が立つまでここから出てくるなと名前は厳命されていた。
今日の名前の晩御飯はトマトリゾット。疲れた身体が温まる一品だ。
「うーん、言語化の微妙なニュアンスの設定がなぁ」
誰もいないからテーブルの上にノートパソコンを開きっぱなしだ。アンリがいたらお行儀! と言われそうだがアンリ自身も忙しいからここに来ることはないだろう。今日はずっと一人で部屋にこもってたからアンリのツッコミが恋しくなったきた名前。いとこと同じで面倒かけすぎである。
「……潔選手は負けちゃったか」
しょんぼりする名前の手が止まる。潔と凪は二人チームになって2ndステージに落とされている。次負けたらどちらかが敗退だ。そして数値という客観的事実を元に考えたらきっと落とされるのは──
「やだなそれ」
ムッと眉を寄せる。決して凪が落とされればいいと思っているわけではない。でも一瞬でも過った事柄は想像以上に不快で悲しかった。
「勝てばいいんだ勝てば」
そう結局はそれしかないのである。ここはブルーロック。そういう場所なのだ。
「…………でもなんでこんなに潔選手のこと気になるんだろ」
不思議そうに首を傾げた名前の問いに答えるものはいなかった。