ライン風シリーズ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※管理人はふなっしーが大好きです※

****
好きな人にゆるキャラ扱いされているのはダメでしょう。そういうわけで脱ゆるキャラを目指すことにした。とりあえずふなっしーの動きに似ているという縄飛びは永遠に封印することにした。部活休憩中の後輩の輪に突っ込んで訊ねる。
「私からにじみ出るふなっしー要素を上げなさい後輩共」
「意外と口悪い」
「予想外の跳躍力」
「予想外な動き」
侑、治、角名からの意見をスマホにメモる。どれも身に覚えがなくて困惑した。困った顔をする私に銀島が「ゆるキャラの先導者みたいなものですよ!」と励ますように言う。先導者だからふなっしー似を認めろと? 花の女子高生に?
「じゃあお前らふなっしーとつき合えますか。真剣交際できますか」
「ふなっしーと真剣交際って字面がもうおもろいですわ」
「つまりノーじゃん! ダメじゃんふなっしー!」
体育館の床をバンバン叩く。いやだぁああと叫んでいると「声高いとこも似とるわな」と治がのんびり言った。
「なんで? 最初に私がふなっしーに似てるって言ったの誰?」
「気づいたらバレー部で広まっとりましたよ」
「犯人絶対にみつけてやるからな!」
「ええですやん。ナマエさんはふなっしーがお似合いですよ」
「侑お前今最後にかっこわら付けただろうが!」
そう言うと笑いながら逃げる侑。そしてしばらく追いかけっこをした。壁に追い詰めてジャンプしてから侑の背中に飛びつく。そのままコブラツイストをかけていると後ろから「おい」と声がかかる。すぐに誰か分かった。北だ。
「休憩の意味分かっとるか? お前ら。学校の休み時間とちゃうねんぞ」
「す、すみません!」
侑はビシッとして北に謝ったが私は不服だ。口をむっとして侑を指差す。
「だって北。侑が私にはふなっしーがお似合いって言った」
「……ふなっしー扱いは嫌なんか?」
北は二、三回瞬きしてからそう言った。予想外です、と顔が言っていた。好きな人にそう思われていたのがもう不服すぎて右手をビシッと挙げる。
「当たり前です! 私は人間! しかも女子高生!」
「ふなっしーかわええやろ」
「かわっ……? え? 北にかわいいという感情があったの?」
「お前俺のことなんやと思てんねん」
いやだって……。
侑の方を見ると私の視線に同意するように頷きかけていた。我に返って「ナマエさん! 北さんに失礼ですよ!」とか言ってきたけど頷いたの見たからな。
「……まあイヤな事言うたらあかんわな。侑、もう名字の事をふなっしーって言うたらあかん」
「はい」
「名字もこれでええか?」
「……はい」
なんだこの小学校の先生に間に入ってもらったみたいなの。
完全に不完全燃焼だ。部活で『名字ナマエをふなっしーと言うの禁止令』が出ても私がふなっしー似というのは変わらない。だってみんなが言ってた。梨汁ぶしゃあああとか言ったことないのに。くそう。
部活が終わって自主練時間になる。差し入れのおにぎりは怨念を込めて作った。これを食べた人間はみんなふなっしーです。
そんなアホなことを思いながら作ったおにぎりを渡して回って最後に北のところにやってきた。……北の分は「私を好きになーれ」的な念を込めればよかった。このおにぎりは全部ふなっしーの念で出来ている。しまった。
「北、おにぎり」
「ありがとうな」
綺麗にパクリと食べる北になんだか心がそわそわする。バレーが好きだからマネージャーやってる。でもこういう好きな人に自分の手作りのものを食べてもらえるというシチュエーションがやってくると、マネージャーやってて良かったと思ってしまうのだ。
「今日も旨いわ」
「んふ、あ、ありがとうございます」
「何でどもんねん」
そう言って口端を上げて笑う北を見て思わずおにぎりの皿で顔を隠す。顔が! 顔がにやついちゃうの! 北が笑ったって喜んじゃうの!
どうしようもなく北が好きだと自覚する。笑ってくれた。頭に好きな人が、がつくだけでこんなにも特別だ。
「ふなっしーの件やけどな」
「あ、はい」
出たなふなっしー。乙女気分に水差しやがって。そんな心境の中北の言葉を聞く。
「ごめんな」
「? なにが?」
「最初に名字がふなっしーに似てるって言うたの俺やねん」
「!!?」
犯人絶対みつけてやるからな! と意気込んでいた相手がまさかの北だった。そのことに目をぱちくりさせていると北は言葉を続ける。
「似とると思ってん。明るくて元気でみんなを元気にしてくれるところが。まあ動きも何か似とると思ったけどな」
「…………」
「嫌がらせのつもりじゃなくても本人が嫌ならそんなの言い訳やな。やからごめんな」
「……ふなっしーのことかわいいって言ってたの本心?」
「?」
不思議そうに頷く北。それに何かが触発されて口が開いていた。
「わ、私もかわいいですか」
言ってから違う、そうじゃない。ゆるキャラをかわいいと思うイコールそれに似てる人をかわいいと思うは成り立たないとすぐに気づいた。逃げたい。ものすごく逃げたい。ダッシュで逃げようとする準備をしていると北から「ははっ」と笑う声がした。
「比べもんにならんわそんなの」
「…………あじゃっす」
笑顔の北に今日が命日なのではともう一人の私が囁いた。
今日あったいいこと。
好きな人が笑ってくれた。
好きな人が直接的じゃなくてもかわいいと言ってくれた。
多分一生忘れないと思った。

****
好きな人にゆるキャラ扱いされているのはダメでしょう。そういうわけで脱ゆるキャラを目指すことにした。とりあえずふなっしーの動きに似ているという縄飛びは永遠に封印することにした。部活休憩中の後輩の輪に突っ込んで訊ねる。
「私からにじみ出るふなっしー要素を上げなさい後輩共」
「意外と口悪い」
「予想外の跳躍力」
「予想外な動き」
侑、治、角名からの意見をスマホにメモる。どれも身に覚えがなくて困惑した。困った顔をする私に銀島が「ゆるキャラの先導者みたいなものですよ!」と励ますように言う。先導者だからふなっしー似を認めろと? 花の女子高生に?
「じゃあお前らふなっしーとつき合えますか。真剣交際できますか」
「ふなっしーと真剣交際って字面がもうおもろいですわ」
「つまりノーじゃん! ダメじゃんふなっしー!」
体育館の床をバンバン叩く。いやだぁああと叫んでいると「声高いとこも似とるわな」と治がのんびり言った。
「なんで? 最初に私がふなっしーに似てるって言ったの誰?」
「気づいたらバレー部で広まっとりましたよ」
「犯人絶対にみつけてやるからな!」
「ええですやん。ナマエさんはふなっしーがお似合いですよ」
「侑お前今最後にかっこわら付けただろうが!」
そう言うと笑いながら逃げる侑。そしてしばらく追いかけっこをした。壁に追い詰めてジャンプしてから侑の背中に飛びつく。そのままコブラツイストをかけていると後ろから「おい」と声がかかる。すぐに誰か分かった。北だ。
「休憩の意味分かっとるか? お前ら。学校の休み時間とちゃうねんぞ」
「す、すみません!」
侑はビシッとして北に謝ったが私は不服だ。口をむっとして侑を指差す。
「だって北。侑が私にはふなっしーがお似合いって言った」
「……ふなっしー扱いは嫌なんか?」
北は二、三回瞬きしてからそう言った。予想外です、と顔が言っていた。好きな人にそう思われていたのがもう不服すぎて右手をビシッと挙げる。
「当たり前です! 私は人間! しかも女子高生!」
「ふなっしーかわええやろ」
「かわっ……? え? 北にかわいいという感情があったの?」
「お前俺のことなんやと思てんねん」
いやだって……。
侑の方を見ると私の視線に同意するように頷きかけていた。我に返って「ナマエさん! 北さんに失礼ですよ!」とか言ってきたけど頷いたの見たからな。
「……まあイヤな事言うたらあかんわな。侑、もう名字の事をふなっしーって言うたらあかん」
「はい」
「名字もこれでええか?」
「……はい」
なんだこの小学校の先生に間に入ってもらったみたいなの。
完全に不完全燃焼だ。部活で『名字ナマエをふなっしーと言うの禁止令』が出ても私がふなっしー似というのは変わらない。だってみんなが言ってた。梨汁ぶしゃあああとか言ったことないのに。くそう。
部活が終わって自主練時間になる。差し入れのおにぎりは怨念を込めて作った。これを食べた人間はみんなふなっしーです。
そんなアホなことを思いながら作ったおにぎりを渡して回って最後に北のところにやってきた。……北の分は「私を好きになーれ」的な念を込めればよかった。このおにぎりは全部ふなっしーの念で出来ている。しまった。
「北、おにぎり」
「ありがとうな」
綺麗にパクリと食べる北になんだか心がそわそわする。バレーが好きだからマネージャーやってる。でもこういう好きな人に自分の手作りのものを食べてもらえるというシチュエーションがやってくると、マネージャーやってて良かったと思ってしまうのだ。
「今日も旨いわ」
「んふ、あ、ありがとうございます」
「何でどもんねん」
そう言って口端を上げて笑う北を見て思わずおにぎりの皿で顔を隠す。顔が! 顔がにやついちゃうの! 北が笑ったって喜んじゃうの!
どうしようもなく北が好きだと自覚する。笑ってくれた。頭に好きな人が、がつくだけでこんなにも特別だ。
「ふなっしーの件やけどな」
「あ、はい」
出たなふなっしー。乙女気分に水差しやがって。そんな心境の中北の言葉を聞く。
「ごめんな」
「? なにが?」
「最初に名字がふなっしーに似てるって言うたの俺やねん」
「!!?」
犯人絶対みつけてやるからな! と意気込んでいた相手がまさかの北だった。そのことに目をぱちくりさせていると北は言葉を続ける。
「似とると思ってん。明るくて元気でみんなを元気にしてくれるところが。まあ動きも何か似とると思ったけどな」
「…………」
「嫌がらせのつもりじゃなくても本人が嫌ならそんなの言い訳やな。やからごめんな」
「……ふなっしーのことかわいいって言ってたの本心?」
「?」
不思議そうに頷く北。それに何かが触発されて口が開いていた。
「わ、私もかわいいですか」
言ってから違う、そうじゃない。ゆるキャラをかわいいと思うイコールそれに似てる人をかわいいと思うは成り立たないとすぐに気づいた。逃げたい。ものすごく逃げたい。ダッシュで逃げようとする準備をしていると北から「ははっ」と笑う声がした。
「比べもんにならんわそんなの」
「…………あじゃっす」
笑顔の北に今日が命日なのではともう一人の私が囁いた。
今日あったいいこと。
好きな人が笑ってくれた。
好きな人が直接的じゃなくてもかわいいと言ってくれた。
多分一生忘れないと思った。