ライン風シリーズ
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猫ちゃんみたいに癒やして!!の角名の続き

*******
まあ、別におっさんくしゃみでも気にはしないな。そう思った。脳裏に豪快にくしゃみをするナマエが頭に浮かぶ。浮かんでしまった。はくしゅーん! と勢いよくくしゃみをした脳内ナマエは「すっきりした!」と角名に報告してきた。よかったね。そんなことを脳内で繰り広げた翌日。休日練習の昼休憩のときだった。
「は、くしっ」
「えっナマエちゃんくしゃみも可愛い!」
「え、全然おっさんくしゃみじゃないじゃん」
侑の言うとおり普通にかわいかった。角名の言葉に「どこから来たおっさん」と治は疑問符を出している。ナマエはふふんと胸を張った。
「弟と研究したのです!」
「シスコンの?」
「シスコンの! くしゃみはどうしようもない。意識すればするほど不細工になるのがくしゃみ。だから潔く諦めましょう! って結論に至った」
「研究失敗してない?」
「諦めが大事って学んだよ! さっきのは偶然の産物なので期待は禁物ですよ!」
「はいはい。分かったから俺のジャージ着て」
少し肌寒そうにしているので肩にかけてたジャージを被せると「彼氏ジャージ!」とナマエは喜んでいた。同じ稲荷崎高校バレー部のジャージなのに。相変わらず単純だ。
「ありがとう!」
「うん」
ブカブカだったが袖で調節できるからいいだろう。
「写真撮って! 彼ジャー自慢する!」
「いいけど誰に」
「お姉ちゃんと弟とお母さんとお父さん!」
「名字家全員じゃん」
ナマエの本元となったナマエの両親はそれはもうナマエの両親といった感じである。元気で明るくて単純。家族勢揃いしてるなかではじめてお家ご飯に誘われた角名は柄にないほど緊張したのに、行ったらナマエ×4だったので呆気にとられた。唯一クールだったナマエの姉は「疲れたら帰っても大丈夫だからね」と角名を気づかった。そしてなぜか名字家のグループラインに角名が入っている。ナマエのお父さんから招待されたのだ。断るわけにもいかず、そのまま入った。だから名字家の事情は筒抜けなので、今日の彼氏ジャージ自慢は恐らく角名も見ることになる。どういう状況だ。
「ブカブカのジャージ着てるナマエちゃんかわええなあ」
「ありがとう侑くん」
「俺の彼女にならん?」
「ならんよ!」
「ツムいつになったらそれ飽きるん? めちゃくちゃ笑顔で断られてるやん」
「うっさいわ!」
侑はナマエを狙ってたらしくナマエが角名と付き合ってから一番キレた人間だった。キレられても……とローテンションで言う角名に何かの火がついたのか「横恋慕したるわ!」と堂々と宣言してああやってナマエを口説いている。成果はゼロだ。三角関係のはずなのに侑以外誰も本気にしてないあたり、いつものギャグ扱いされている。侑は「俺にせえへんナマエちゃん!」とまた口説いている。
「倫太郎一筋です! 侑くんとは付き合えません!」
満面の笑顔で断られた侑は「酷いこと言われとるのにときめいてまう……」とアホなことを言っていた。侑……に限らないがナマエに好意を持っている人間は、1日五回は「倫太郎大好き!」と言ってるナマエを見て落ち込まないのだろうか。無理と思わないのか。嫉妬とかそういうのではなく単純にそう思った。
そしてその三日後。平日の部活オフの日。放課後前の掃除時間。ナマエとデートの約束をしていたので放課後は一緒に出かける予定だ。新作のドリンクが飲みたいらしい。「バナナチョコは絶対においしい!」と三回くらい写真を見せられた。俺は何飲もうかな、と箒片手に考えているとトン、と背中に軽い衝撃が走った。そのまま角名のお腹に回った腕を見てナマエだと分かって「ゴミ捨ておつかれさま」と言う。
「…………」
「? ナマエ?」
いつもなら「がんばりました!」とか「倫太郎におつかれさまって言われるの好き!」とか言うのに無言である。首を傾げてナマエの腕をほどいて半周して向き合った。ナマエは下を向いている。
「どうかした?」
「……告白された」
「そっか」
しつこい相手だったのかな、と思って頭を撫でるとナマエは顔を上げた。ナマエは頬を赤らめていた。
「え」
「すごい……すごく告白されたの」
ナマエは照れながら話す。
熱烈にナマエのことが好きで尊敬もしていると。可愛くて明るくて誰とでも仲良く出来るところも大好きだと。バレー部のマネージャーを頑張っている姿は格好いいと思う、と。言われたらしい。
「あんなこと言われたの初めてで照れちゃった」
「…………」
はにかむナマエは可愛いのに、いつもなら可愛いと思うのに今ばかりは思えなかった。その表情をナマエにさせた顔も知らない男に殺意が沸いていたからだ。ナマエは告白してきた相手への態度は一律である。「倫太郎一筋です!」だ。プツンと何かが切れる音がした。
「ナマエは一番可愛いし、部活一生懸命やってるのも俺もちゃんと見てるし、いつも笑顔で元気くれるところも好きだし、単純ですぐに何か感化されるとこあるけどいつも楽しそうだから俺も一緒に楽しくなるし、俺が落ち込んでたらすぐに気づいて励ましてくれたりするところ嬉しくて更に好きになるし、優しいし、可愛いし、」
ああ、可愛い二回目だ。いやでもまだあるだろう。ナマエの好きなところ。どっかの間男よりもナマエの魅力は知っているのだ。負けてられるか。そう思い、さらに続けようとしたらナマエから「ストップー!」と手を口に伸ばされた。身長差からあごに当たったが。
「出血大サービスすぎて心配だよ!? でもありがとうね! でもどうしたの!?」
「どうしたって……ナマエが告白してきた男の言葉を喜んでるから」
嫉妬した。素直な言葉が出た。それくらいに焦っていた。ナマエがとられる、と。
ナマエは目をパチパチとまばたいて首を傾げた。そして不思議そうな顔をして口を開く。
「男じゃなくて女の子だよ?」
「……えっ?」
「というか、一年生のみっちゃんだよ?」
一年生のみっちゃん。
角名もよく知っている。なんせバレー部の後輩女子マネージャーだからだ。
「……告白されたんだよね?」
「うん。私のことメイクとかおそろいにしたいくらい大好きで今度のお休みにメイク教えてほしいって。マネージャーの仕事ももっと頑張りたいって言われたの。尊敬してるって! 照れちゃったー!」
「照れちゃったーじゃなくて……」
えへえへ嬉しそうなナマエに一気に気が抜けてその場にしゃがみ込む。カッコ悪。額を押さえた。
ナマエが毎日好きだと言ってくれるからの慢心だろうか。ナマエは角名以外になびかないという。いや、今も全くなびいていないのだが、肝が冷えた。そう思ってたらナマエもしゃがみこんで下から角名を見上げた。
「ちゃんとみっちゃんに告白されたって言えばよかったね。ごめんね」
「いや……俺もちょっと余裕かましてたから」
「いや! 倫太郎はそれでいいんです! 余裕かましてて!」
倫太郎が不安にならないようにもっと好きを言いたいから!
ナマエはそう言って笑って角名の手をギュッと握りしめた。角名よりもずっとずっと小さい手。それなのにこの頼もしさといったらなんだろうか。ナマエはこれからも好きを伝えてくれるらしい。今よりももっと多く。……言わせっぱなしじゃホントカッコ悪いな。
「ナマエ」
「はい?」
「好きだよ」
角名の言葉に顔を輝かせたナマエは「私も大好きー!」といって角名に抱きついた。普通に尻餅をついたがナマエを抱き返すほうが先だった。
あとで治から「お前らのイチャイチャみるの慣れたなあ」と呑気な声で言われて「仲良いから」と平然とした顔で返すのはご愛嬌だ。

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まあ、別におっさんくしゃみでも気にはしないな。そう思った。脳裏に豪快にくしゃみをするナマエが頭に浮かぶ。浮かんでしまった。はくしゅーん! と勢いよくくしゃみをした脳内ナマエは「すっきりした!」と角名に報告してきた。よかったね。そんなことを脳内で繰り広げた翌日。休日練習の昼休憩のときだった。
「は、くしっ」
「えっナマエちゃんくしゃみも可愛い!」
「え、全然おっさんくしゃみじゃないじゃん」
侑の言うとおり普通にかわいかった。角名の言葉に「どこから来たおっさん」と治は疑問符を出している。ナマエはふふんと胸を張った。
「弟と研究したのです!」
「シスコンの?」
「シスコンの! くしゃみはどうしようもない。意識すればするほど不細工になるのがくしゃみ。だから潔く諦めましょう! って結論に至った」
「研究失敗してない?」
「諦めが大事って学んだよ! さっきのは偶然の産物なので期待は禁物ですよ!」
「はいはい。分かったから俺のジャージ着て」
少し肌寒そうにしているので肩にかけてたジャージを被せると「彼氏ジャージ!」とナマエは喜んでいた。同じ稲荷崎高校バレー部のジャージなのに。相変わらず単純だ。
「ありがとう!」
「うん」
ブカブカだったが袖で調節できるからいいだろう。
「写真撮って! 彼ジャー自慢する!」
「いいけど誰に」
「お姉ちゃんと弟とお母さんとお父さん!」
「名字家全員じゃん」
ナマエの本元となったナマエの両親はそれはもうナマエの両親といった感じである。元気で明るくて単純。家族勢揃いしてるなかではじめてお家ご飯に誘われた角名は柄にないほど緊張したのに、行ったらナマエ×4だったので呆気にとられた。唯一クールだったナマエの姉は「疲れたら帰っても大丈夫だからね」と角名を気づかった。そしてなぜか名字家のグループラインに角名が入っている。ナマエのお父さんから招待されたのだ。断るわけにもいかず、そのまま入った。だから名字家の事情は筒抜けなので、今日の彼氏ジャージ自慢は恐らく角名も見ることになる。どういう状況だ。
「ブカブカのジャージ着てるナマエちゃんかわええなあ」
「ありがとう侑くん」
「俺の彼女にならん?」
「ならんよ!」
「ツムいつになったらそれ飽きるん? めちゃくちゃ笑顔で断られてるやん」
「うっさいわ!」
侑はナマエを狙ってたらしくナマエが角名と付き合ってから一番キレた人間だった。キレられても……とローテンションで言う角名に何かの火がついたのか「横恋慕したるわ!」と堂々と宣言してああやってナマエを口説いている。成果はゼロだ。三角関係のはずなのに侑以外誰も本気にしてないあたり、いつものギャグ扱いされている。侑は「俺にせえへんナマエちゃん!」とまた口説いている。
「倫太郎一筋です! 侑くんとは付き合えません!」
満面の笑顔で断られた侑は「酷いこと言われとるのにときめいてまう……」とアホなことを言っていた。侑……に限らないがナマエに好意を持っている人間は、1日五回は「倫太郎大好き!」と言ってるナマエを見て落ち込まないのだろうか。無理と思わないのか。嫉妬とかそういうのではなく単純にそう思った。
そしてその三日後。平日の部活オフの日。放課後前の掃除時間。ナマエとデートの約束をしていたので放課後は一緒に出かける予定だ。新作のドリンクが飲みたいらしい。「バナナチョコは絶対においしい!」と三回くらい写真を見せられた。俺は何飲もうかな、と箒片手に考えているとトン、と背中に軽い衝撃が走った。そのまま角名のお腹に回った腕を見てナマエだと分かって「ゴミ捨ておつかれさま」と言う。
「…………」
「? ナマエ?」
いつもなら「がんばりました!」とか「倫太郎におつかれさまって言われるの好き!」とか言うのに無言である。首を傾げてナマエの腕をほどいて半周して向き合った。ナマエは下を向いている。
「どうかした?」
「……告白された」
「そっか」
しつこい相手だったのかな、と思って頭を撫でるとナマエは顔を上げた。ナマエは頬を赤らめていた。
「え」
「すごい……すごく告白されたの」
ナマエは照れながら話す。
熱烈にナマエのことが好きで尊敬もしていると。可愛くて明るくて誰とでも仲良く出来るところも大好きだと。バレー部のマネージャーを頑張っている姿は格好いいと思う、と。言われたらしい。
「あんなこと言われたの初めてで照れちゃった」
「…………」
はにかむナマエは可愛いのに、いつもなら可愛いと思うのに今ばかりは思えなかった。その表情をナマエにさせた顔も知らない男に殺意が沸いていたからだ。ナマエは告白してきた相手への態度は一律である。「倫太郎一筋です!」だ。プツンと何かが切れる音がした。
「ナマエは一番可愛いし、部活一生懸命やってるのも俺もちゃんと見てるし、いつも笑顔で元気くれるところも好きだし、単純ですぐに何か感化されるとこあるけどいつも楽しそうだから俺も一緒に楽しくなるし、俺が落ち込んでたらすぐに気づいて励ましてくれたりするところ嬉しくて更に好きになるし、優しいし、可愛いし、」
ああ、可愛い二回目だ。いやでもまだあるだろう。ナマエの好きなところ。どっかの間男よりもナマエの魅力は知っているのだ。負けてられるか。そう思い、さらに続けようとしたらナマエから「ストップー!」と手を口に伸ばされた。身長差からあごに当たったが。
「出血大サービスすぎて心配だよ!? でもありがとうね! でもどうしたの!?」
「どうしたって……ナマエが告白してきた男の言葉を喜んでるから」
嫉妬した。素直な言葉が出た。それくらいに焦っていた。ナマエがとられる、と。
ナマエは目をパチパチとまばたいて首を傾げた。そして不思議そうな顔をして口を開く。
「男じゃなくて女の子だよ?」
「……えっ?」
「というか、一年生のみっちゃんだよ?」
一年生のみっちゃん。
角名もよく知っている。なんせバレー部の後輩女子マネージャーだからだ。
「……告白されたんだよね?」
「うん。私のことメイクとかおそろいにしたいくらい大好きで今度のお休みにメイク教えてほしいって。マネージャーの仕事ももっと頑張りたいって言われたの。尊敬してるって! 照れちゃったー!」
「照れちゃったーじゃなくて……」
えへえへ嬉しそうなナマエに一気に気が抜けてその場にしゃがみ込む。カッコ悪。額を押さえた。
ナマエが毎日好きだと言ってくれるからの慢心だろうか。ナマエは角名以外になびかないという。いや、今も全くなびいていないのだが、肝が冷えた。そう思ってたらナマエもしゃがみこんで下から角名を見上げた。
「ちゃんとみっちゃんに告白されたって言えばよかったね。ごめんね」
「いや……俺もちょっと余裕かましてたから」
「いや! 倫太郎はそれでいいんです! 余裕かましてて!」
倫太郎が不安にならないようにもっと好きを言いたいから!
ナマエはそう言って笑って角名の手をギュッと握りしめた。角名よりもずっとずっと小さい手。それなのにこの頼もしさといったらなんだろうか。ナマエはこれからも好きを伝えてくれるらしい。今よりももっと多く。……言わせっぱなしじゃホントカッコ悪いな。
「ナマエ」
「はい?」
「好きだよ」
角名の言葉に顔を輝かせたナマエは「私も大好きー!」といって角名に抱きついた。普通に尻餅をついたがナマエを抱き返すほうが先だった。
あとで治から「お前らのイチャイチャみるの慣れたなあ」と呑気な声で言われて「仲良いから」と平然とした顔で返すのはご愛嬌だ。