完結済み
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振られる前に振られた(一切の矛盾がない)中2の春。それから二年経った。家柄はAクラスだけど頭が大分足りていないので私はいつもC組だ。馨くんと同じクラスになりたい!と初等部のときから頑張って勉強してるのだけどいつもC組。主席しか取ったことのない幼なじみ曰わく「物事を記憶する機能がおまえにはない」らしい。これを言われたとき少しだけAクラス行きは諦めた。少しだけ。まだ諦めてはない。授業中の馨くんを見たい。絶対格好いい。そしてそんな私に幼なじみはこう言った。「さっさと諦めろ」と。
「諦められないから恋なのに」
「ふふっ名前ちゃんは一途ね。でも私も諦めた方がいいと思うわ」
「笑顔で言わないで香南ちゃん傷つく」
綺麗な所作と綺麗な微笑みで毒を吐くもう一人の幼なじみの香南ちゃん。あと一人いるけど…何か、うん。幼なじみって言いたくないからいいや…知り合いのTくんでいいや…定期的にオレンジ送ってくるのやめてTくん…「馬鹿にはオレンジだ!」とか変な格言いらないからやめて…。
「名前ちゃんはちょっとお馬鹿さんだけどもっと良い人がいると思うの。鏡夜君とか」
「身近で済まそうとするの止めて。そして鏡夜くんは永遠のラスボス枠だからちょっと…」
鏡夜くんと恋愛だなんてどんな修業なの。メンタル強化修業かな。そして昔から代々事業提携やらなんやらで仕事で強い関係のある鳳さん家と私のお家名字家。鳳のおじさまとうちのお父さんも幼なじみで(お父さん曰く)ずっと仲がいい。打算的な鳳のおじさまが「名字家と血縁関係を結べたら鳳の大きな利益になる。………が、名字の阿呆の血縁をうちに入れるわけにはいかない」とむちゃくちゃ拒否しているから鏡夜くんと私がどうこうなる事は一生ないだろう。鏡夜くんが相手に選ぶ人は自分の益になる人だと思うし。そして大前提として鏡夜くんの私への認識が『出来の悪いペット』だ。どうこうなるわけがない。
「名前ちゃん。少し真面目な話をするわ」
「え…香南ちゃんの話はいつもこわいからやだ…」
「私にとって名前ちゃんは可愛い妹のようなものだからもっと報われる恋をしてほしいの」
普通に無視された。でも本当に真面目な話のようだから少し背筋を伸ばして香南ちゃんの話を聞く。
「二年前の事は私は今も覚えているわ。あの名前ちゃんが大泣きしてたから。小さい頃からやんちゃでお馬鹿さんで『空を飛んでみたかった』なんて理由で木から飛び降りて両足骨折したときも、鏡夜君の一週間の外国旅行の話を一生帰って来ないと勝手に勘違いして、鏡夜君のトランクに無理やり忍び込んで酸欠状態で病院へ運ばれたときも、名前ちゃんは全く平気そうな顔で泣くどころか『次は上手くやります』なんて言うポジティブお馬鹿さんがずっと泣いていたから私も猛も鏡夜君も心配したのよ」
「真面目な話じゃなかったの…?」
私の黒歴史の話だった。そして鏡夜くんは心配というよりも俺を巻き込むなとすごく怒ってたよ。般若だったよ。Tくんは安定のオレンジ攻撃してきたよ。「泣いてるときはオレンジだ!」とか意味不明なこと言ってたよ。余計に目に沁みたよ。
「常陸院君のしたことは正直まだ許せないの。名前ちゃん以外の女の子にも同じことをやっていたと聞いたときは腸が煮えくり返るかと思ったわ」
「よかった。本当によかった。香南ちゃんの怒りが表に出なくて本当によかった!」
馨くんが無事でよかったと安心していると香南ちゃんは綺麗な顔を少ししかめた。
「名前ちゃん、確かに常陸院君は二年前とは変わったと思うわ。でも私は人の本質はそう簡単には変われないと思う。それに名前ちゃんにしたことは人として絶対にやってはいけないことよ」
「…………」
馨くんがしたこと。
双子のお兄さんの光くんと入れ替わった振りをして告白してくる相手を試すというゲーム。その事が分かったとき、また泣いてしまった。信じられていなかったのだと分かって悲しくて、苦しくて、ちょっとだけムカッと来たけどやっぱり悲しくて泣いた。
でも仲良くもない、クラスも違う相手のことを信用できるかな。そう思ったとき、もっと信頼関係を築いておけばよかったと後悔した。そうしたら、ちゃんと告白を聞いてくれたのかもしれない。もちろん馨くん達のしたことは酷いけど私ももっと方法があったんじゃないかな、と思うのだ。
「…うん。香南ちゃんが言いたいこともちゃんと分かってるよ。香南ちゃんが心配してくれてるのも、分かってる。でも、」
「……………」
「あの、うん…その」
「………もう。名前ちゃんと猛はやっぱりそっくりね。お馬鹿さんなところと言いたいことを上手く言えないところ」
「それはないと思う」
「敵対心を持っている相手に対してすぐに反論の言葉が出るのもそっくり」
「…………」
頭に浮かんだのは鏡夜くんに噛みつくTくんの姿だった。…私あんな感じなの…?えぇ…ショック…
精神的ショックを受けていると香南ちゃんがふぅ、とため息を吐いて私に微笑んだ。
「次に泣きつくのは鏡夜君じゃなくて私にしてね?」
「香南ちゃん…!」
そのときは思わず感極まって香南ちゃんに抱きついたけどあれは応援じゃなかった。失恋したらおいでねの誘いだった。香南ちゃんこわい。
「諦められないから恋なのに」
「ふふっ名前ちゃんは一途ね。でも私も諦めた方がいいと思うわ」
「笑顔で言わないで香南ちゃん傷つく」
綺麗な所作と綺麗な微笑みで毒を吐くもう一人の幼なじみの香南ちゃん。あと一人いるけど…何か、うん。幼なじみって言いたくないからいいや…知り合いのTくんでいいや…定期的にオレンジ送ってくるのやめてTくん…「馬鹿にはオレンジだ!」とか変な格言いらないからやめて…。
「名前ちゃんはちょっとお馬鹿さんだけどもっと良い人がいると思うの。鏡夜君とか」
「身近で済まそうとするの止めて。そして鏡夜くんは永遠のラスボス枠だからちょっと…」
鏡夜くんと恋愛だなんてどんな修業なの。メンタル強化修業かな。そして昔から代々事業提携やらなんやらで仕事で強い関係のある鳳さん家と私のお家名字家。鳳のおじさまとうちのお父さんも幼なじみで(お父さん曰く)ずっと仲がいい。打算的な鳳のおじさまが「名字家と血縁関係を結べたら鳳の大きな利益になる。………が、名字の阿呆の血縁をうちに入れるわけにはいかない」とむちゃくちゃ拒否しているから鏡夜くんと私がどうこうなる事は一生ないだろう。鏡夜くんが相手に選ぶ人は自分の益になる人だと思うし。そして大前提として鏡夜くんの私への認識が『出来の悪いペット』だ。どうこうなるわけがない。
「名前ちゃん。少し真面目な話をするわ」
「え…香南ちゃんの話はいつもこわいからやだ…」
「私にとって名前ちゃんは可愛い妹のようなものだからもっと報われる恋をしてほしいの」
普通に無視された。でも本当に真面目な話のようだから少し背筋を伸ばして香南ちゃんの話を聞く。
「二年前の事は私は今も覚えているわ。あの名前ちゃんが大泣きしてたから。小さい頃からやんちゃでお馬鹿さんで『空を飛んでみたかった』なんて理由で木から飛び降りて両足骨折したときも、鏡夜君の一週間の外国旅行の話を一生帰って来ないと勝手に勘違いして、鏡夜君のトランクに無理やり忍び込んで酸欠状態で病院へ運ばれたときも、名前ちゃんは全く平気そうな顔で泣くどころか『次は上手くやります』なんて言うポジティブお馬鹿さんがずっと泣いていたから私も猛も鏡夜君も心配したのよ」
「真面目な話じゃなかったの…?」
私の黒歴史の話だった。そして鏡夜くんは心配というよりも俺を巻き込むなとすごく怒ってたよ。般若だったよ。Tくんは安定のオレンジ攻撃してきたよ。「泣いてるときはオレンジだ!」とか意味不明なこと言ってたよ。余計に目に沁みたよ。
「常陸院君のしたことは正直まだ許せないの。名前ちゃん以外の女の子にも同じことをやっていたと聞いたときは腸が煮えくり返るかと思ったわ」
「よかった。本当によかった。香南ちゃんの怒りが表に出なくて本当によかった!」
馨くんが無事でよかったと安心していると香南ちゃんは綺麗な顔を少ししかめた。
「名前ちゃん、確かに常陸院君は二年前とは変わったと思うわ。でも私は人の本質はそう簡単には変われないと思う。それに名前ちゃんにしたことは人として絶対にやってはいけないことよ」
「…………」
馨くんがしたこと。
双子のお兄さんの光くんと入れ替わった振りをして告白してくる相手を試すというゲーム。その事が分かったとき、また泣いてしまった。信じられていなかったのだと分かって悲しくて、苦しくて、ちょっとだけムカッと来たけどやっぱり悲しくて泣いた。
でも仲良くもない、クラスも違う相手のことを信用できるかな。そう思ったとき、もっと信頼関係を築いておけばよかったと後悔した。そうしたら、ちゃんと告白を聞いてくれたのかもしれない。もちろん馨くん達のしたことは酷いけど私ももっと方法があったんじゃないかな、と思うのだ。
「…うん。香南ちゃんが言いたいこともちゃんと分かってるよ。香南ちゃんが心配してくれてるのも、分かってる。でも、」
「……………」
「あの、うん…その」
「………もう。名前ちゃんと猛はやっぱりそっくりね。お馬鹿さんなところと言いたいことを上手く言えないところ」
「それはないと思う」
「敵対心を持っている相手に対してすぐに反論の言葉が出るのもそっくり」
「…………」
頭に浮かんだのは鏡夜くんに噛みつくTくんの姿だった。…私あんな感じなの…?えぇ…ショック…
精神的ショックを受けていると香南ちゃんがふぅ、とため息を吐いて私に微笑んだ。
「次に泣きつくのは鏡夜君じゃなくて私にしてね?」
「香南ちゃん…!」
そのときは思わず感極まって香南ちゃんに抱きついたけどあれは応援じゃなかった。失恋したらおいでねの誘いだった。香南ちゃんこわい。