完結済み
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夏休み最終日。学校の図書室で本を借りてなんとなく教室に寄ってみると、窓側の席に見慣れた背中が。
「出水くん?」
「な、んで名字がいんだよ」
名前を呼ばれて肩をビクッと動かしたからか少し恥ずかしそうな様子だ。笑う私にジト目で見てくる出水くん。教室に入って出水くんの前の席に座る。後ろから四番目、黒板から三番目の席。お昼は過ぎたのに日差しが掛かってまだ暑い。これは堪らないだろうな。
「夏休みでも図書室は開いてるから本を借りにきたの」
「明日学校始まるだろ」
「続きが気になっちゃったから。出水くんは……それ日本史の宿題?」
「なんで日本史なのに宿題あんだよ……」
さっき三輪から教えてもらった、と憎々しげに言う出水くん。プリントがなかったために学校に来てみると案の定引き出しの中に眠っていたらしい。
「しかも歴史の地域レポートなんて意味分かんねえ」
「あの先生ひねくれてるからねぇ。普通の宿題じゃ気が済まないんだよ」
「………名字は終わったのか?」
「さっさと終わらせたよ。博物館行ってきた。そして見せないからね」
「けちだなおまえ」
なんとでも言うがいい。私だってこの暑い中がんばって行ってきたんだから。
「もういいか…なかったことにしよう…」
「新学期早々にいじられちゃうよ」
「じゃあ見せて」
「やだ」
くそ…夏休み最後なのに…と出水くんは力無く机に突っ伏した。
「防衛任務ばっかで夏らしいことしてねーんだよ。宿題くらい免除しろよ…」
「それはお疲れさまだけどあの先生だからなぁ」
お勤めごくろーさんとかそれくらいしか返ってこなさそう。うわぁ簡単に想像できた。出水くんもそう思ったのか「おれ、日本史きらい…」と悲しそうな声を出した。
「うーん…丸写しはちょっと駄目だけどお手伝いはするよ?」
「手伝いって…」
「近くにある歴史関係の場所探したり」
「却下。……名字の行った博物館ってどこ」
「電車で五つ離れた所。それからちょっと歩くから大変だよ」
それに今日は日差しも強い。この弱り切った出水くんだったら熱中症でやられちゃいそう。そう言ったら無言でデコピンされた。痛い。
「親切心で言ったのに…」
「うるさい。手伝うって言ったんだから名字も道連れだ」
「ええ…二回も行きたくないよ」
「べ、別に博物館じゃなくてもいいんだけどな」
なぜかどもる出水くんに疑問符を出しつつ携帯で検索する。…いいのないなぁ。
「あ、歴史だったら何でもいいんだからボーダーの歴史とかどうかな?出水くんボーダー隊員だし」
「ボーダー発足して四年だぞ。歴史もくそもねえよ」
「わがままな…」
「夏休み最後までボーダーの事考えたくねーの」
この調子じゃ白紙で提出することになりそうだ。…うーん仕方ないなぁ。
「私の写していいよ。いつも市民と街を守ってもらってるんだからこのくらいね」
「…………」
「え、無視?」
「いや、ぶっちゃけ宿題はもうどうでもいい。……本当は、夏休み入る前に聞こうと思ってた」
「なにを?」
そう質問すると突っ伏していた顔を上げ、真っ直ぐに私を見た。…が、すぐに逸らして口元を押さえた。耳まで真っ赤だ。「あーくそ…カッコつかねえ」とぶつぶつ言っている。
「………つーか今さらなんだけどさ、」
「うん」
「名字って、彼氏いんの」
耳まで真っ赤にして、決まりの悪そうな顔で、窺うような目線でそんなことを聞かれた。途端に心臓が騒ぎ出す。
「い、ないけど」
伝染したかのように顔に熱が籠もっていく。そして私から伝染したのか出水くんの顔も更に赤くなった。手元のプリントがぐしゃりとなっていたが出水くんは気づいていない。
「あー…なんだこれ。想像してたのと全くちげえ。かっこ悪い」
「かっこ、悪くはないと思う」
「そ、そうか」
やっと目が合う。多分二人して似たような顔をしているんだろうな、と思いつつ出水くんの言葉を待った。
「出水くん?」
「な、んで名字がいんだよ」
名前を呼ばれて肩をビクッと動かしたからか少し恥ずかしそうな様子だ。笑う私にジト目で見てくる出水くん。教室に入って出水くんの前の席に座る。後ろから四番目、黒板から三番目の席。お昼は過ぎたのに日差しが掛かってまだ暑い。これは堪らないだろうな。
「夏休みでも図書室は開いてるから本を借りにきたの」
「明日学校始まるだろ」
「続きが気になっちゃったから。出水くんは……それ日本史の宿題?」
「なんで日本史なのに宿題あんだよ……」
さっき三輪から教えてもらった、と憎々しげに言う出水くん。プリントがなかったために学校に来てみると案の定引き出しの中に眠っていたらしい。
「しかも歴史の地域レポートなんて意味分かんねえ」
「あの先生ひねくれてるからねぇ。普通の宿題じゃ気が済まないんだよ」
「………名字は終わったのか?」
「さっさと終わらせたよ。博物館行ってきた。そして見せないからね」
「けちだなおまえ」
なんとでも言うがいい。私だってこの暑い中がんばって行ってきたんだから。
「もういいか…なかったことにしよう…」
「新学期早々にいじられちゃうよ」
「じゃあ見せて」
「やだ」
くそ…夏休み最後なのに…と出水くんは力無く机に突っ伏した。
「防衛任務ばっかで夏らしいことしてねーんだよ。宿題くらい免除しろよ…」
「それはお疲れさまだけどあの先生だからなぁ」
お勤めごくろーさんとかそれくらいしか返ってこなさそう。うわぁ簡単に想像できた。出水くんもそう思ったのか「おれ、日本史きらい…」と悲しそうな声を出した。
「うーん…丸写しはちょっと駄目だけどお手伝いはするよ?」
「手伝いって…」
「近くにある歴史関係の場所探したり」
「却下。……名字の行った博物館ってどこ」
「電車で五つ離れた所。それからちょっと歩くから大変だよ」
それに今日は日差しも強い。この弱り切った出水くんだったら熱中症でやられちゃいそう。そう言ったら無言でデコピンされた。痛い。
「親切心で言ったのに…」
「うるさい。手伝うって言ったんだから名字も道連れだ」
「ええ…二回も行きたくないよ」
「べ、別に博物館じゃなくてもいいんだけどな」
なぜかどもる出水くんに疑問符を出しつつ携帯で検索する。…いいのないなぁ。
「あ、歴史だったら何でもいいんだからボーダーの歴史とかどうかな?出水くんボーダー隊員だし」
「ボーダー発足して四年だぞ。歴史もくそもねえよ」
「わがままな…」
「夏休み最後までボーダーの事考えたくねーの」
この調子じゃ白紙で提出することになりそうだ。…うーん仕方ないなぁ。
「私の写していいよ。いつも市民と街を守ってもらってるんだからこのくらいね」
「…………」
「え、無視?」
「いや、ぶっちゃけ宿題はもうどうでもいい。……本当は、夏休み入る前に聞こうと思ってた」
「なにを?」
そう質問すると突っ伏していた顔を上げ、真っ直ぐに私を見た。…が、すぐに逸らして口元を押さえた。耳まで真っ赤だ。「あーくそ…カッコつかねえ」とぶつぶつ言っている。
「………つーか今さらなんだけどさ、」
「うん」
「名字って、彼氏いんの」
耳まで真っ赤にして、決まりの悪そうな顔で、窺うような目線でそんなことを聞かれた。途端に心臓が騒ぎ出す。
「い、ないけど」
伝染したかのように顔に熱が籠もっていく。そして私から伝染したのか出水くんの顔も更に赤くなった。手元のプリントがぐしゃりとなっていたが出水くんは気づいていない。
「あー…なんだこれ。想像してたのと全くちげえ。かっこ悪い」
「かっこ、悪くはないと思う」
「そ、そうか」
やっと目が合う。多分二人して似たような顔をしているんだろうな、と思いつつ出水くんの言葉を待った。