完結済み
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お昼休み。朝寝坊したらしいお母さんに五百円玉を渡されたので今日のお昼は売店だ。お母さんのお弁当も好きだけど、たまには売店でご飯を買うのもいいかもしれない。なんだか新鮮で楽しい。
……そう思っていた私が甘かった。
「戦争が起きている…」
飛び交う生徒達の叫ぶ声。もみくちゃにされながらも進む勇ましい人が多々見られる。いつもお弁当だから知らなかったけどお昼の売店ってこんなに混むんだ…。ごめんなさい。やっぱりお母さんのお弁当が一番です。
どうやってあの戦場に乱入していくか悩んでいると「あ、名字さんだ」とちょうど人混みから出てきた米屋くん。熱気が凄いからか額に少し汗をかいていた。そして手にはパンが五つとお茶が二つ。勇者だ。
「今日売店?珍しいなー」
「うん。今日は売店で買おうかなって思ってたんだけど」
「今行ったら死ぬぞ」
「お昼抜きかぁ…」
体育なくて良かった。そう前向きに考えた瞬間にお腹が鳴った。空気読んでください。あと二限がんばって、とお腹を撫でていると「米屋!」と出水くんが走ってくるのが見えた。
「おまえもう買った!?」
「何で出水まで来るんだよ。ジャンケンの意味ねー」
「あー…新発売のヨーグルト味の水?に代えようと思ったのに」
「まず礼をいえ礼を」
そう言って出水くんにヘッドロックをかける米屋くん。暑いのによくやるなぁ。相変わらず仲良しだ。
「いてて!つーか何で名字もいんだよ。いつも弁当だろ」
「お母さんが寝坊しちゃったから今日は売店なの」
「弁当くらい自分で作らねーの?」
「私をキッチンに立たせてくれないんだよねぇ…お願いだから止めてって泣かれちゃった」
「…………」
途端に無言になる出水くんと米屋くん。何で黙るの?と聞くと「本当に見かけと中身のギャップすごいな」と真顔で出水くんに言われる。喜んでいいのかなこれ。うーんと首を捻ると私たちのやりとりを見ていた米屋くんが口を開いた。
「それより名字さん昼飯どうすんの?」
「お茶はいっぱいあるからそれで耐えようと思う」
「ああ、あのデッカい水筒な」
どこがツボをついたのか分からないけど笑いながらそう言う米屋くんの言葉に頷いた。夏は熱中症が怖いから大きな水筒を持ち歩いている私。なんと野球部の男の子と同じ水筒だった。それを見た友達に「女子高生が持ってくる水筒じゃない」と引かれたけど熱中症になるよりはいいと思う。でも隣のクラスの米屋くんがなんで私の水筒の大きさなんか知っているんだろう。お昼はうちのクラスに来るからかな。やっぱり目立つのかなぁあの水筒。カバンから出すとギョッとされるから薄々そう思っていたんだけど。
「名字、これやる」
水筒の大きさについて考えていると出水くんが米屋くんの持っていたパンを一つ取り、それを私に差し出した。これ米屋くんのじゃ…と出水くんと米屋くんを交互に見る。
「それ俺が米屋に頼んだやつだからいいの」
「でも出水くんのお昼は、」
「弁当あっから」
その言葉と共にさらにパンを押し付けてくる出水くん。パンが潰れる…!反射的に受け取ると「よし」と満足げに笑う出水くん。なので好意に甘えることにした。
「ありがとう出水くん。これいくら?」
「いらねーから」
「うえ…それは駄目だよ」
「俺一応働いてるから。つーかうえってなんだうえって」
「同い年なのに気前いいなって…」
「尚更うえっておかしいだろ!」
やっぱ返せ!と怒っていた出水くんだったが私のお腹が再び鳴ったことで何も言わなくなった。素直すぎるよ私のお腹。
「……そんなに仲良かったか?」
訝しげに出水くんを見ながら言う米屋くん。するとばつが悪そうに視線を逸らす出水くん。
「べ、別に普通だろ」
「普通じゃねえだろ。散々俺に、」
「あー!!おまえうるさい!じゃあな名字!!」
そう言って米屋くんの口を押さえて連れて行った出水くん。何だったのかなぁ。そう思いつつもらったパンを眺める。メロンパン、カロリー420。……男の子はカロリー気にしないのかな。
……そう思っていた私が甘かった。
「戦争が起きている…」
飛び交う生徒達の叫ぶ声。もみくちゃにされながらも進む勇ましい人が多々見られる。いつもお弁当だから知らなかったけどお昼の売店ってこんなに混むんだ…。ごめんなさい。やっぱりお母さんのお弁当が一番です。
どうやってあの戦場に乱入していくか悩んでいると「あ、名字さんだ」とちょうど人混みから出てきた米屋くん。熱気が凄いからか額に少し汗をかいていた。そして手にはパンが五つとお茶が二つ。勇者だ。
「今日売店?珍しいなー」
「うん。今日は売店で買おうかなって思ってたんだけど」
「今行ったら死ぬぞ」
「お昼抜きかぁ…」
体育なくて良かった。そう前向きに考えた瞬間にお腹が鳴った。空気読んでください。あと二限がんばって、とお腹を撫でていると「米屋!」と出水くんが走ってくるのが見えた。
「おまえもう買った!?」
「何で出水まで来るんだよ。ジャンケンの意味ねー」
「あー…新発売のヨーグルト味の水?に代えようと思ったのに」
「まず礼をいえ礼を」
そう言って出水くんにヘッドロックをかける米屋くん。暑いのによくやるなぁ。相変わらず仲良しだ。
「いてて!つーか何で名字もいんだよ。いつも弁当だろ」
「お母さんが寝坊しちゃったから今日は売店なの」
「弁当くらい自分で作らねーの?」
「私をキッチンに立たせてくれないんだよねぇ…お願いだから止めてって泣かれちゃった」
「…………」
途端に無言になる出水くんと米屋くん。何で黙るの?と聞くと「本当に見かけと中身のギャップすごいな」と真顔で出水くんに言われる。喜んでいいのかなこれ。うーんと首を捻ると私たちのやりとりを見ていた米屋くんが口を開いた。
「それより名字さん昼飯どうすんの?」
「お茶はいっぱいあるからそれで耐えようと思う」
「ああ、あのデッカい水筒な」
どこがツボをついたのか分からないけど笑いながらそう言う米屋くんの言葉に頷いた。夏は熱中症が怖いから大きな水筒を持ち歩いている私。なんと野球部の男の子と同じ水筒だった。それを見た友達に「女子高生が持ってくる水筒じゃない」と引かれたけど熱中症になるよりはいいと思う。でも隣のクラスの米屋くんがなんで私の水筒の大きさなんか知っているんだろう。お昼はうちのクラスに来るからかな。やっぱり目立つのかなぁあの水筒。カバンから出すとギョッとされるから薄々そう思っていたんだけど。
「名字、これやる」
水筒の大きさについて考えていると出水くんが米屋くんの持っていたパンを一つ取り、それを私に差し出した。これ米屋くんのじゃ…と出水くんと米屋くんを交互に見る。
「それ俺が米屋に頼んだやつだからいいの」
「でも出水くんのお昼は、」
「弁当あっから」
その言葉と共にさらにパンを押し付けてくる出水くん。パンが潰れる…!反射的に受け取ると「よし」と満足げに笑う出水くん。なので好意に甘えることにした。
「ありがとう出水くん。これいくら?」
「いらねーから」
「うえ…それは駄目だよ」
「俺一応働いてるから。つーかうえってなんだうえって」
「同い年なのに気前いいなって…」
「尚更うえっておかしいだろ!」
やっぱ返せ!と怒っていた出水くんだったが私のお腹が再び鳴ったことで何も言わなくなった。素直すぎるよ私のお腹。
「……そんなに仲良かったか?」
訝しげに出水くんを見ながら言う米屋くん。するとばつが悪そうに視線を逸らす出水くん。
「べ、別に普通だろ」
「普通じゃねえだろ。散々俺に、」
「あー!!おまえうるさい!じゃあな名字!!」
そう言って米屋くんの口を押さえて連れて行った出水くん。何だったのかなぁ。そう思いつつもらったパンを眺める。メロンパン、カロリー420。……男の子はカロリー気にしないのかな。