完結済み
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「ううぅ……二宮さんこわいです……人さらいです……なまはげです……」
「もう大丈夫だから、ほら泣くな名前、」
「夢にでてきそうです……っふぅ、」
鼻を鳴らして泣き続ける名前をオロオロしながら慰める辻。そして二宮隊の作戦室の外から聞こえる「二宮さんが名前を誘拐したぞ!」「二宮なにしてんだアイツ」「名字先輩大泣きしてたな……」「東隊の作戦室から拉致したらしいよ」「あんないたいけな児童を、鬼だな」とわいわい集まるガヤたち。そして噂の張本人である二宮はガヤに紛れた東に「理由があるなら、な? ちゃんと言ってくれたら名字も素直について行ったと思うしこんな誤解を受けずにすんだと思うぞ」と諭されている。二宮を苦虫を踏み潰したような顔をしつつ一切反論しなかった。周りのガヤには睨みを利かせていたが。
「他の国に売られるかとおもいました……っ」
「大丈夫、大丈夫だ。絶対に売らせなんかしない」
「新ちゃん……!」
何だろうこれ。犬飼はそう思った。
二宮の肩に抱えられて現れた名前(号泣)。ポイッと名前を辻に放り出した二宮は「さっさと片付けろ」それのみを言って二宮について来た(追いかけてきた)ガヤたちの相手をしに行った。……多分辻ちゃんのためだろうなぁと不器用な自隊の隊長に生暖かい視線を送る犬飼。優しいところもあるんだよね、とうんうん頷く。辻にも名前にも外にいるガヤたちにも伝わっていないが、「二宮さんってロリコンだったのか……」と不名誉極まりない言葉がガヤの中から聞こえるが、犬飼はほっこりした気持ちでガヤ連中に野次られる二宮を見守った。
「名前、大丈夫だから。ほら目こすったら明日痛くなるよ」
「はい……」
「………」
そして誘拐騒ぎに乗じて普通に話せていることに今更気づき、顔を綻ぼす辻にもほっこりする犬飼。良かったねぇ辻ちゃん。やっぱりペットが返ってきてホッとする飼い主にしか見えないけど良かったねぇ辻ちゃん。と孫を見るような眼差しの犬飼。
「名前」
「はい?」
「好きだよ」
そして目を見開いた。
「言葉足らずでごめん。でも名前を妹と思ったことは一度もない。名前がいないと凄く寂しい。そのくらい名前が好きだ」
「新ちゃん……」
少し収まりかけていた涙が瞬く間に崩壊し「ごべんな“ざいじんち“ゃん~っ!!!」と辻に飛びつくのはすぐだった。
***
「二宮さんが誘拐犯になっておまえと辻が仲直りしたって聞いたが本当なのか」
「あってます! 誘拐も仲直りもしました!」
あってるのか。誘拐って何があったんだ。二宮さんがこんな駄目わんこ誘拐して何になる、そもそも本当なのかと懐疑的な表情の奈良坂だったが「よかったねぇ仲直りできてよかったねぇ!」と何故か泣いているクラスメイトたちを見ていたらどうでもよくなった。日にちにしてたった2日。二度も言うがたった2日。そこまで長引かないだろうと踏んでいたのだがここまで早いと思わなかった。あの騒ぎは何だったんだ。
「奈良坂くんにはお世話になりました。ありがとうございます」
「俺はいいから辻にはちゃんと謝るんだぞ」
「はい! いっぱい謝りました。謝ったあとにわたしも告白して正式に恋人同士になりました!」
「ならいい。………恋人同士?」
奈良坂の疑問の言葉に騒がしかった教室内がピタリと止まった。
「恋人、同士……?」
「はい!」
「辻と、」
「わたしです!」
本当に何が起きた。クラス中が理解に戸惑っていると不自然に静かな教室に疑問符を浮かべながら辻がやってきた。
「何かあったのか……?」
「ちょっと辻ちゃん顔貸してよ」
「!?」
そして即座にクラスメイトに捕まった。
「うちの、……うちの子とお付きあいしてるって本当に?」
「えっ!? ほ、んとうだけど、」
「敵だー!!」
「!??」
すぐさま手のひらを返したクラスメイト達。おまえら名字の味方じゃなかったのか。……親目線だから気に入らないのか。小姑のように。人のことを母親だなんだいっておいてやつらはこれだ。
「!? 反乱がおきました!」
「おまえのせいだから止めてこい」
「よく分からないけど分かりました! ケンカはやめなさーい!」
小さいのが騒ぎの中心へ走っていく。しかし恋人とは。二人が並ぶ姿を想像する。今までのペット飼い主関係のせいか、あまり違和感はない。今も小さい体で辻を庇っている。小さいせいで防御になっていないが。
まあ出るとこに収まったということか。奈良坂はそう納得し、一時限目の用意を始めた。
「新ちゃんを苛める子はゆるしませんー!」
2023.07.23 完
「もう大丈夫だから、ほら泣くな名前、」
「夢にでてきそうです……っふぅ、」
鼻を鳴らして泣き続ける名前をオロオロしながら慰める辻。そして二宮隊の作戦室の外から聞こえる「二宮さんが名前を誘拐したぞ!」「二宮なにしてんだアイツ」「名字先輩大泣きしてたな……」「東隊の作戦室から拉致したらしいよ」「あんないたいけな児童を、鬼だな」とわいわい集まるガヤたち。そして噂の張本人である二宮はガヤに紛れた東に「理由があるなら、な? ちゃんと言ってくれたら名字も素直について行ったと思うしこんな誤解を受けずにすんだと思うぞ」と諭されている。二宮を苦虫を踏み潰したような顔をしつつ一切反論しなかった。周りのガヤには睨みを利かせていたが。
「他の国に売られるかとおもいました……っ」
「大丈夫、大丈夫だ。絶対に売らせなんかしない」
「新ちゃん……!」
何だろうこれ。犬飼はそう思った。
二宮の肩に抱えられて現れた名前(号泣)。ポイッと名前を辻に放り出した二宮は「さっさと片付けろ」それのみを言って二宮について来た(追いかけてきた)ガヤたちの相手をしに行った。……多分辻ちゃんのためだろうなぁと不器用な自隊の隊長に生暖かい視線を送る犬飼。優しいところもあるんだよね、とうんうん頷く。辻にも名前にも外にいるガヤたちにも伝わっていないが、「二宮さんってロリコンだったのか……」と不名誉極まりない言葉がガヤの中から聞こえるが、犬飼はほっこりした気持ちでガヤ連中に野次られる二宮を見守った。
「名前、大丈夫だから。ほら目こすったら明日痛くなるよ」
「はい……」
「………」
そして誘拐騒ぎに乗じて普通に話せていることに今更気づき、顔を綻ぼす辻にもほっこりする犬飼。良かったねぇ辻ちゃん。やっぱりペットが返ってきてホッとする飼い主にしか見えないけど良かったねぇ辻ちゃん。と孫を見るような眼差しの犬飼。
「名前」
「はい?」
「好きだよ」
そして目を見開いた。
「言葉足らずでごめん。でも名前を妹と思ったことは一度もない。名前がいないと凄く寂しい。そのくらい名前が好きだ」
「新ちゃん……」
少し収まりかけていた涙が瞬く間に崩壊し「ごべんな“ざいじんち“ゃん~っ!!!」と辻に飛びつくのはすぐだった。
***
「二宮さんが誘拐犯になっておまえと辻が仲直りしたって聞いたが本当なのか」
「あってます! 誘拐も仲直りもしました!」
あってるのか。誘拐って何があったんだ。二宮さんがこんな駄目わんこ誘拐して何になる、そもそも本当なのかと懐疑的な表情の奈良坂だったが「よかったねぇ仲直りできてよかったねぇ!」と何故か泣いているクラスメイトたちを見ていたらどうでもよくなった。日にちにしてたった2日。二度も言うがたった2日。そこまで長引かないだろうと踏んでいたのだがここまで早いと思わなかった。あの騒ぎは何だったんだ。
「奈良坂くんにはお世話になりました。ありがとうございます」
「俺はいいから辻にはちゃんと謝るんだぞ」
「はい! いっぱい謝りました。謝ったあとにわたしも告白して正式に恋人同士になりました!」
「ならいい。………恋人同士?」
奈良坂の疑問の言葉に騒がしかった教室内がピタリと止まった。
「恋人、同士……?」
「はい!」
「辻と、」
「わたしです!」
本当に何が起きた。クラス中が理解に戸惑っていると不自然に静かな教室に疑問符を浮かべながら辻がやってきた。
「何かあったのか……?」
「ちょっと辻ちゃん顔貸してよ」
「!?」
そして即座にクラスメイトに捕まった。
「うちの、……うちの子とお付きあいしてるって本当に?」
「えっ!? ほ、んとうだけど、」
「敵だー!!」
「!??」
すぐさま手のひらを返したクラスメイト達。おまえら名字の味方じゃなかったのか。……親目線だから気に入らないのか。小姑のように。人のことを母親だなんだいっておいてやつらはこれだ。
「!? 反乱がおきました!」
「おまえのせいだから止めてこい」
「よく分からないけど分かりました! ケンカはやめなさーい!」
小さいのが騒ぎの中心へ走っていく。しかし恋人とは。二人が並ぶ姿を想像する。今までのペット飼い主関係のせいか、あまり違和感はない。今も小さい体で辻を庇っている。小さいせいで防御になっていないが。
まあ出るとこに収まったということか。奈良坂はそう納得し、一時限目の用意を始めた。
「新ちゃんを苛める子はゆるしませんー!」
2023.07.23 完