完結済み
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「そ、卒業したら一緒に住まない?」
「えっ司って日本にいるの?ほとんど海外でしょ?無理じゃない?実質ひとり暮らしじゃん」
私の失敗は最初に否定から入ったことだった。忘れちゃいけない(料理以外の)司のへぼメンタルをすっかりと忘れ、ばっさり切り捨ててしまった。あっしまった、と思ったときにはすでに遅く、安定のイジイジモードに突入していた。
「ごーめーんーってばー」
「いいよ…名前は俺がいなくても大丈夫そうだし…」
「司だって私から連絡なくても平気って言ってたじゃん」
「料理中や料理のことを考えてるときは全然平気だけど、俺も24時間その事だけってわけじゃないし…何ヶ月もずっと平気って意味じゃないよ……はあ…」
うーんめんどくさい。にしても三角座りがよく似合う。場違いにそう思いつつ司の正面に回る。「ちゅーしませんか」直球で行ってみる。この前はこれでいけたとかそんな理由じゃない。
「……しない」
「ちょっと迷ったね」
「ご機嫌とりって分かってるから」
「でも迷ったよね」
言葉を詰まらせた司にあとちょっとでいけるなと確信を持つ私。そしてふと気づく。男女逆転してないこれ。内容はともかく完全にご機嫌ナナメな彼女を慰める彼氏の図だ。
「……ちゅーしてくれませんか」
「し、しないってば」
「いや私から司にじゃなくて司からのを所望しています」
「?……!!?」
「なにその反応。私の初めて全部奪った男のする反応か」
「おお女の子がそんなこというなよ…!」
白い頬をじんわりと染める司に本当にいくつもの顔を持ってる男だなぁとしみじみ思った。普段の弱気な顔、料理中の冷静で自信満々な顔、人の物も俺の物な顔、……多重人格だろうか。ギャップがひどい。ギャップ萌って言葉があるけどこんなに高低差があったら萌どころじゃない。普通に風邪をひく。その上最後のやつなんか幼少期からずっとだ。あれだあれ、絵の具窃盗同級生どん引き事件。名前にしたらもっとひどかった。あの子元気かな。未確認生物に噛まれただけと思ってたくましく生きててほしい。…割と惨事かもしれない。
昔の記憶を懐かしみつつジッと司を見つめる。「うっ…」という顔をして反らされた。耳が赤い。もっと凄いことをするときは全くもって平気そうな癖にキスだと駄目なのか。基準がよくわからない。普通逆じゃないのかな。
「ちゅーしないの?」
「そんな堂々とされたら逆にし難いよ…」
「家の中なんだから気にしなくてもいいのに。軽いやつ。ちゅっ、くらいで私は満足です」
「ううーん…」
「フレンチの料理人ならフレンチキスくらいちゃちゃっとさー」
「ぶっ」
何故か司が吹き出した。
「……フレンチ…?」
「? キス?」
「………フレンチキスがいいの…?」
「うん」
さっきから言ってるじゃん。そう返すと司の様子がガラリと変わった。目がスッと静かになり、こちらを見据える。司の細長い指が頬を流れた。見覚えのある空気にあれ?と思った瞬間、唇が重なった。司が最初から少し唇を空けていたのでしっとりとした感触が伝わってくる。二度目のあれ?が来たと同時に舌が入ってきた。
「!!?」
「ん」
軽くって!軽くって!!と目で訴えるも「集中して」と言わんばかりの返事が返ってきただけで。司の唇が完全に離れたのはしばらく経ってからだった。背中がぞわぞわする…。
「なんで」
「フレンチキスは深い方のキスだよ」
「えっ嘘」
「本当。そう言われるようになった由来はあんまりいい意味じゃないから使わない方がいいかもな」
「……口で言えばよくない?」
「口でいった」
「意味が違うでしょ!」
弾けるように私がいうと、さっきの照れ顔はどこ行ったのか「ねだられるから嬉しくて」と輝く笑顔で司はそう言った。多重人格サイコパスめ…
「もう絶対使わない…」
「俺の前以外はそうした方がいい。うーん…名前は外国に住む前からいろいろ教えてた方がいいな。ちょっと心配になる」
「司の前でも…って私外国に住む予定ないけど」
「?俺が海外で店を出したら名前も来るだろう?」
「?そりゃあ行けるなら行きたいけど」
「え?」
「えっ?」
話が噛み合わない。首を傾げていると最初は疑問符を出していた司だったけど何か合点がいったらしく「あー…」と苦笑いを浮かべていた。「ひとりで納得しないで教えてよ」と言うと余計に苦笑が深くなった。
「俺はけっこう、名前には将来のことを話してるつもりだったけど」
「うん。卒業したら海外回って武者修行するんでしょ?」
「それはそうなんだけど、その先というか…」
「そのさき」
「えっと先というか終着点というか…あっ終着点は墓場か」
「えっ私のこと殺したいの?」
思わず距離を取ると「違う!違うから逃げないで!」と必死な司。その必死さが余計にあれなんだけど。「俺の隣で眠ってほしいってやつで、」やっぱり駄目なやつじゃないですか!!
「まって、そういうのは流石に受けとめきれない。サイコパスって知ってるけど、知ってたけど、わああ私かえる!家にかえる!」
「名前は勘違いしてるから、本当に待って」
「触らないで!殺さないで!」
「ちょ、それは傷つく…」
「あ、ごめん」
いつもの調子で謝ったけど私と司の距離は離れている。ソファの周りをぐるぐる回って今は端と端に落ちついている。司の顔はズーンと暗くなっていて今にもイジイジモードに移行しそうだ。でも怖いから近くにいけない。
「俺が名前を殺すわけないだろ…」
「…………」
「俺のことどう思ってるの…?」
サイコパス料理人です。心でそう返したけど司には伝わったようで「どうせ俺は共感力のないサイコパスだよ…」とソファの手を置くところに額を付けた。
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
えっ泣かした?
司を落ち込ませることは多々あるけど泣かしたこと、というか司が泣いているところは見たことがない。私が感動の人と動物の映画を観て号泣していたときでも「まあ結局は別の生き物同士だからな」と表情も言葉もカラッカラだった。渇ききっていた。そんな司が、泣いているかもしれない。そう思うと途端に罪悪感が湧いてきた。恐る恐る司の下に行く。
「つ、司?」
「…………」
「ご、ごめんね司。でも私殺されたくないよ」
「…………」
「ううう…ごめんなさい」
「ふっ」
笑ってるかのような吐息が漏れたと思ったら腕をグイッと掴まれて、
「……だまされた!」
腕の中にホールドされた。抵抗してみたけどビクともしない。料理ってパワー仕事な面もあるからか司は見た目とは裏腹に力がある。
「泣いてないじゃんか!」
「泣いてるなんて一言も言ってない」
「雰囲気が泣いてたもん」
「それは彼女に殺人鬼呼ばわりされたら悲しくなるよ」
「………殺さ、」
「ずっと一緒にいたい相手を殺すわけないだろ」
真っ直ぐにそう告げられてやっと司の言いたかったことが分かった。墓場ってそういう……勘違いと照れくささから顔が熱くなる。誤魔化すように顔を司の首もとにすりつけた。
「くすぐったいよ」
吐息と共にこぼれた言葉が柔らかくて、優しくて、瞼があつくなった。
──ピンポーン
そんなときだった。司の家のチャイムが鳴った。いいところなのに…と少しムッとしていると、司もそう思ったらしく「無視しよう」と顔を寄せてきた。
─ピンポーンピンポーンピンポーン
三回も鳴った。思わず二人とも動きが止まる。「竜胆かな…?」ああそんなかんじする。竜胆ちゃんなら仕方ない。司の上からどくと「ごめんな」と苦笑気味に謝られた。
「いいよ。私もひさびさに竜胆ちゃんに会いたかっ「○○交番の者ですがー。司さんいらっしゃいますよねー?」………警察?」
一気に空気が固まった。
「通報がありましてね、女性の声で「殺される!」と悲鳴が聞こえたと」
「ああ…それは…ああ……」
一人で玄関まで行って応対している司の困惑した様子が手に取るように分かった。そういえば窓開けっ放しだった…本当にごめん司…。
「女性の方、いらっしゃいますか?」
「はい…奥に恋人が」
「出てきてもらえますか?」
「えっとそれは…」
いやそこで渋ったら怪しまれるから!「出てこられない理由でも?」ほらあ!すぐさま立ち上がってリビングから玄関の廊下に続く扉に手をかける。
「すみません、プロポーズの練習というか、予習と言うか……その言い方が悪かったようで…一緒の墓に入りたいっていったら、あの…勘違いされて」
「ぶっ……そ、そうだったんですか。それはその…ご愁傷様でした」
だけど司が素直に事情を話したせいで出て行くことが出来なくなった。笑われた…しかも哀れみを受けてる…本気でごめん司……罪悪感に顔を覆う。
「こちらこそご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いえいえ。あの、頑張ってくださいね」
しかも応援されてる…警察が私の罪悪感をどんどん積み上げていく…やめて…
「はい。初恋の相手なので、がんばります」
………………え?
(えいしくん、人の絵の具勝手にとっちゃ駄目だよ。どん引きしたよ)
(どん引きしたのに普通に話しかけてきたね…?)
(? それとこれとは別じゃん。えいしくんがすんごく変な人でも話しかけちゃダメとかそんなルールないし)
(……みんなおれを避けてるけど)
(だってえいしくんやべーやつだもん。そりゃ避けるよ)
(名前ちゃん変わってるね…)
(えいしくんに言われたくないよ。あっ今度のごはん実習一緒にしようよ。えいしくん料理上手だし)
(……うん、いいよ)
181216 完
「えっ司って日本にいるの?ほとんど海外でしょ?無理じゃない?実質ひとり暮らしじゃん」
私の失敗は最初に否定から入ったことだった。忘れちゃいけない(料理以外の)司のへぼメンタルをすっかりと忘れ、ばっさり切り捨ててしまった。あっしまった、と思ったときにはすでに遅く、安定のイジイジモードに突入していた。
「ごーめーんーってばー」
「いいよ…名前は俺がいなくても大丈夫そうだし…」
「司だって私から連絡なくても平気って言ってたじゃん」
「料理中や料理のことを考えてるときは全然平気だけど、俺も24時間その事だけってわけじゃないし…何ヶ月もずっと平気って意味じゃないよ……はあ…」
うーんめんどくさい。にしても三角座りがよく似合う。場違いにそう思いつつ司の正面に回る。「ちゅーしませんか」直球で行ってみる。この前はこれでいけたとかそんな理由じゃない。
「……しない」
「ちょっと迷ったね」
「ご機嫌とりって分かってるから」
「でも迷ったよね」
言葉を詰まらせた司にあとちょっとでいけるなと確信を持つ私。そしてふと気づく。男女逆転してないこれ。内容はともかく完全にご機嫌ナナメな彼女を慰める彼氏の図だ。
「……ちゅーしてくれませんか」
「し、しないってば」
「いや私から司にじゃなくて司からのを所望しています」
「?……!!?」
「なにその反応。私の初めて全部奪った男のする反応か」
「おお女の子がそんなこというなよ…!」
白い頬をじんわりと染める司に本当にいくつもの顔を持ってる男だなぁとしみじみ思った。普段の弱気な顔、料理中の冷静で自信満々な顔、人の物も俺の物な顔、……多重人格だろうか。ギャップがひどい。ギャップ萌って言葉があるけどこんなに高低差があったら萌どころじゃない。普通に風邪をひく。その上最後のやつなんか幼少期からずっとだ。あれだあれ、絵の具窃盗同級生どん引き事件。名前にしたらもっとひどかった。あの子元気かな。未確認生物に噛まれただけと思ってたくましく生きててほしい。…割と惨事かもしれない。
昔の記憶を懐かしみつつジッと司を見つめる。「うっ…」という顔をして反らされた。耳が赤い。もっと凄いことをするときは全くもって平気そうな癖にキスだと駄目なのか。基準がよくわからない。普通逆じゃないのかな。
「ちゅーしないの?」
「そんな堂々とされたら逆にし難いよ…」
「家の中なんだから気にしなくてもいいのに。軽いやつ。ちゅっ、くらいで私は満足です」
「ううーん…」
「フレンチの料理人ならフレンチキスくらいちゃちゃっとさー」
「ぶっ」
何故か司が吹き出した。
「……フレンチ…?」
「? キス?」
「………フレンチキスがいいの…?」
「うん」
さっきから言ってるじゃん。そう返すと司の様子がガラリと変わった。目がスッと静かになり、こちらを見据える。司の細長い指が頬を流れた。見覚えのある空気にあれ?と思った瞬間、唇が重なった。司が最初から少し唇を空けていたのでしっとりとした感触が伝わってくる。二度目のあれ?が来たと同時に舌が入ってきた。
「!!?」
「ん」
軽くって!軽くって!!と目で訴えるも「集中して」と言わんばかりの返事が返ってきただけで。司の唇が完全に離れたのはしばらく経ってからだった。背中がぞわぞわする…。
「なんで」
「フレンチキスは深い方のキスだよ」
「えっ嘘」
「本当。そう言われるようになった由来はあんまりいい意味じゃないから使わない方がいいかもな」
「……口で言えばよくない?」
「口でいった」
「意味が違うでしょ!」
弾けるように私がいうと、さっきの照れ顔はどこ行ったのか「ねだられるから嬉しくて」と輝く笑顔で司はそう言った。多重人格サイコパスめ…
「もう絶対使わない…」
「俺の前以外はそうした方がいい。うーん…名前は外国に住む前からいろいろ教えてた方がいいな。ちょっと心配になる」
「司の前でも…って私外国に住む予定ないけど」
「?俺が海外で店を出したら名前も来るだろう?」
「?そりゃあ行けるなら行きたいけど」
「え?」
「えっ?」
話が噛み合わない。首を傾げていると最初は疑問符を出していた司だったけど何か合点がいったらしく「あー…」と苦笑いを浮かべていた。「ひとりで納得しないで教えてよ」と言うと余計に苦笑が深くなった。
「俺はけっこう、名前には将来のことを話してるつもりだったけど」
「うん。卒業したら海外回って武者修行するんでしょ?」
「それはそうなんだけど、その先というか…」
「そのさき」
「えっと先というか終着点というか…あっ終着点は墓場か」
「えっ私のこと殺したいの?」
思わず距離を取ると「違う!違うから逃げないで!」と必死な司。その必死さが余計にあれなんだけど。「俺の隣で眠ってほしいってやつで、」やっぱり駄目なやつじゃないですか!!
「まって、そういうのは流石に受けとめきれない。サイコパスって知ってるけど、知ってたけど、わああ私かえる!家にかえる!」
「名前は勘違いしてるから、本当に待って」
「触らないで!殺さないで!」
「ちょ、それは傷つく…」
「あ、ごめん」
いつもの調子で謝ったけど私と司の距離は離れている。ソファの周りをぐるぐる回って今は端と端に落ちついている。司の顔はズーンと暗くなっていて今にもイジイジモードに移行しそうだ。でも怖いから近くにいけない。
「俺が名前を殺すわけないだろ…」
「…………」
「俺のことどう思ってるの…?」
サイコパス料理人です。心でそう返したけど司には伝わったようで「どうせ俺は共感力のないサイコパスだよ…」とソファの手を置くところに額を付けた。
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
えっ泣かした?
司を落ち込ませることは多々あるけど泣かしたこと、というか司が泣いているところは見たことがない。私が感動の人と動物の映画を観て号泣していたときでも「まあ結局は別の生き物同士だからな」と表情も言葉もカラッカラだった。渇ききっていた。そんな司が、泣いているかもしれない。そう思うと途端に罪悪感が湧いてきた。恐る恐る司の下に行く。
「つ、司?」
「…………」
「ご、ごめんね司。でも私殺されたくないよ」
「…………」
「ううう…ごめんなさい」
「ふっ」
笑ってるかのような吐息が漏れたと思ったら腕をグイッと掴まれて、
「……だまされた!」
腕の中にホールドされた。抵抗してみたけどビクともしない。料理ってパワー仕事な面もあるからか司は見た目とは裏腹に力がある。
「泣いてないじゃんか!」
「泣いてるなんて一言も言ってない」
「雰囲気が泣いてたもん」
「それは彼女に殺人鬼呼ばわりされたら悲しくなるよ」
「………殺さ、」
「ずっと一緒にいたい相手を殺すわけないだろ」
真っ直ぐにそう告げられてやっと司の言いたかったことが分かった。墓場ってそういう……勘違いと照れくささから顔が熱くなる。誤魔化すように顔を司の首もとにすりつけた。
「くすぐったいよ」
吐息と共にこぼれた言葉が柔らかくて、優しくて、瞼があつくなった。
──ピンポーン
そんなときだった。司の家のチャイムが鳴った。いいところなのに…と少しムッとしていると、司もそう思ったらしく「無視しよう」と顔を寄せてきた。
─ピンポーンピンポーンピンポーン
三回も鳴った。思わず二人とも動きが止まる。「竜胆かな…?」ああそんなかんじする。竜胆ちゃんなら仕方ない。司の上からどくと「ごめんな」と苦笑気味に謝られた。
「いいよ。私もひさびさに竜胆ちゃんに会いたかっ「○○交番の者ですがー。司さんいらっしゃいますよねー?」………警察?」
一気に空気が固まった。
「通報がありましてね、女性の声で「殺される!」と悲鳴が聞こえたと」
「ああ…それは…ああ……」
一人で玄関まで行って応対している司の困惑した様子が手に取るように分かった。そういえば窓開けっ放しだった…本当にごめん司…。
「女性の方、いらっしゃいますか?」
「はい…奥に恋人が」
「出てきてもらえますか?」
「えっとそれは…」
いやそこで渋ったら怪しまれるから!「出てこられない理由でも?」ほらあ!すぐさま立ち上がってリビングから玄関の廊下に続く扉に手をかける。
「すみません、プロポーズの練習というか、予習と言うか……その言い方が悪かったようで…一緒の墓に入りたいっていったら、あの…勘違いされて」
「ぶっ……そ、そうだったんですか。それはその…ご愁傷様でした」
だけど司が素直に事情を話したせいで出て行くことが出来なくなった。笑われた…しかも哀れみを受けてる…本気でごめん司……罪悪感に顔を覆う。
「こちらこそご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いえいえ。あの、頑張ってくださいね」
しかも応援されてる…警察が私の罪悪感をどんどん積み上げていく…やめて…
「はい。初恋の相手なので、がんばります」
………………え?
(えいしくん、人の絵の具勝手にとっちゃ駄目だよ。どん引きしたよ)
(どん引きしたのに普通に話しかけてきたね…?)
(? それとこれとは別じゃん。えいしくんがすんごく変な人でも話しかけちゃダメとかそんなルールないし)
(……みんなおれを避けてるけど)
(だってえいしくんやべーやつだもん。そりゃ避けるよ)
(名前ちゃん変わってるね…)
(えいしくんに言われたくないよ。あっ今度のごはん実習一緒にしようよ。えいしくん料理上手だし)
(……うん、いいよ)
181216 完