完結済み
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「不毛だわ」
友達が苦々しい顔で、吐き捨てるようにそう言った。ゴーグルを忘れたと元々不機嫌だった彼女だが先ほどより不機嫌度が上がっている。自由時間と化したプールの三コースエリア。他のコースでは泳げない人達に先生が声を張り上げて指導している。ビート板でぷかぷか浮いていた私は彼女の言葉に少し思考を巡らせて口を開いた。
「浮かぶの飽きちゃった?競争する?」
「ゴーグル忘れた私へのあてつけか。あれのことよ」
彼女が顎で差した方向を見ると七コースエリアが何やら賑やかだ。私たちと同じく自由時間を獲得した子達がプールから上がって男子エリアで楽しそうに騒いでいた。ちなみに一から三が女子、四から七が男子となっている。どうやら男子は競泳をやっているようだ。
「応援かな。楽しそうだね」
「同い年の男なんて何がいいのか」
再び吐き捨てるように言った彼女は無類の年上好きだ。おじ様世代が好みらしい。そこと同級生の男の子を比較したらさすがに可哀想な気がする。
「特に出水と米屋なんてクールで素敵!…みたいにもてはやされてるのが意味不明」
「うーん…確かにクールとは違うような」
視線の先には高らかにガッツポーズをする米屋くんと悔しそうな表情を浮かべる出水くんがいた。お昼時間や休み時間も楽しそうにじゃれあっている二人。おかずのとりあいっこしたり、マンガの貸し借りをしたり。どこにでもいる普通の高校生だ。二人とも顔立ちが涼やかだからそう思われるのかなぁ。
「名字!お手本になって少し泳いでくれ」
「はーい」
先生に呼ばれ、コースロープを潜って一コースエリアまで行く。「名字さんごめんね~」と先生にずっと指導されていた子達に謝られた。泳ぐのは好きなので気にしないでと返す。誰だって向き不向きはあるもの。
ゴーグルをつけて壁をキックする。水をかき分けて進んでいくこの感覚が気持ちいい。指先が水面から入り再び空中に。顔を水中から出し息を吐く。そう言えば息継ぎのタイミングが難しいって習った気がする。後で教えてあげたほうがいいかな、と思っていると気がつけば25メートル泳ぎ切ってしまった。「どこまで行くんだー!」とスタート地点にいる先生に言われ、ごまかすように後頭部を触る。戻ると「名字さん速すぎだよ」と笑われてしまった。次は笑ってごまかしているとふと反対のコース、七コースに視線がいく。バチリと視線がかち合ったのは水泳帽を脱ぎ、プールサイドに座っていた出水くんだった。
教室でさらさらだった髪は水で固まっていて。それでも太陽の光でキラキラ光って見えるのだから出水くんの髪の毛は不思議だ。思わずじっと見ていると出水くんが気まずそうに頬をかき始めてそこでやっと視線を逸らした。やってしまった。
友達が苦々しい顔で、吐き捨てるようにそう言った。ゴーグルを忘れたと元々不機嫌だった彼女だが先ほどより不機嫌度が上がっている。自由時間と化したプールの三コースエリア。他のコースでは泳げない人達に先生が声を張り上げて指導している。ビート板でぷかぷか浮いていた私は彼女の言葉に少し思考を巡らせて口を開いた。
「浮かぶの飽きちゃった?競争する?」
「ゴーグル忘れた私へのあてつけか。あれのことよ」
彼女が顎で差した方向を見ると七コースエリアが何やら賑やかだ。私たちと同じく自由時間を獲得した子達がプールから上がって男子エリアで楽しそうに騒いでいた。ちなみに一から三が女子、四から七が男子となっている。どうやら男子は競泳をやっているようだ。
「応援かな。楽しそうだね」
「同い年の男なんて何がいいのか」
再び吐き捨てるように言った彼女は無類の年上好きだ。おじ様世代が好みらしい。そこと同級生の男の子を比較したらさすがに可哀想な気がする。
「特に出水と米屋なんてクールで素敵!…みたいにもてはやされてるのが意味不明」
「うーん…確かにクールとは違うような」
視線の先には高らかにガッツポーズをする米屋くんと悔しそうな表情を浮かべる出水くんがいた。お昼時間や休み時間も楽しそうにじゃれあっている二人。おかずのとりあいっこしたり、マンガの貸し借りをしたり。どこにでもいる普通の高校生だ。二人とも顔立ちが涼やかだからそう思われるのかなぁ。
「名字!お手本になって少し泳いでくれ」
「はーい」
先生に呼ばれ、コースロープを潜って一コースエリアまで行く。「名字さんごめんね~」と先生にずっと指導されていた子達に謝られた。泳ぐのは好きなので気にしないでと返す。誰だって向き不向きはあるもの。
ゴーグルをつけて壁をキックする。水をかき分けて進んでいくこの感覚が気持ちいい。指先が水面から入り再び空中に。顔を水中から出し息を吐く。そう言えば息継ぎのタイミングが難しいって習った気がする。後で教えてあげたほうがいいかな、と思っていると気がつけば25メートル泳ぎ切ってしまった。「どこまで行くんだー!」とスタート地点にいる先生に言われ、ごまかすように後頭部を触る。戻ると「名字さん速すぎだよ」と笑われてしまった。次は笑ってごまかしているとふと反対のコース、七コースに視線がいく。バチリと視線がかち合ったのは水泳帽を脱ぎ、プールサイドに座っていた出水くんだった。
教室でさらさらだった髪は水で固まっていて。それでも太陽の光でキラキラ光って見えるのだから出水くんの髪の毛は不思議だ。思わずじっと見ていると出水くんが気まずそうに頬をかき始めてそこでやっと視線を逸らした。やってしまった。