完結済み
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学園祭シーズンがやってきた。私の学校の後に司の学校だ。時期がずれててよかったねというと「え、別に俺は名前の学校の学園祭に興味はないよ」とか抜かしたので今年は行かないから司も絶対に来ないで!としばらく連絡を絶っている。ほんと心ない。しかもあの台詞のあとには「でも名前は来るだろう?」が続いている。自信家サイコパスめ。学園祭が終わるまで絶対連絡しないからな。
「名前ー彼氏が来てるよー」
とか考えていたら司の方からやってきた。おどおどして居心地悪そうに喫茶スペースに座っている。その光景に持っていたお盆を落としそうになった。え?本物?
「お客様、ここは遠月ではありませんが場所をお間違えじゃありませんか」
「ごめん…」
「どーせ竜胆ちゃんに言われて来たんでしょ。『司それはダメだぞー!』って」
「…………」
図星だったらしい。見事に黙った。ちょっと分かりやすすぎないかな遠月の一番さん。……でも人見知り激しいのに来てくれたんだよね。
「…………もー仕方ないな。休憩入るから適当に何か買って静かなとこ行こう」
「…うん、ごめん名前」
「けっこう傷ついたからあの言い方もうやめてね」
「うん、分かったよ」
本当に?と疑問は尽きなかったけど珍しく司から仲直りしに来てくれたんだ。これ以上怒ってたらもったいない。だから「この焼きそば美味しくないな」と真顔で言われたけど我慢した。うちは普通の一般高なんだよ。国を誇るお料理学校のレベルを持ってくるな。学園祭のご飯なんて口に合うわけがない。そこ自覚して。
「私が作ってもこんなもんだよ」
「そうか…?名前も料理は全く上手じゃないけどまだ食べられるよ」
「司には一生私のご飯作らないから」
「俺が一生作るから大丈夫だよ」
たぶん今の言葉には「だからもう俺に作らないでいいよ」の意味が続く。多分。司に悪気もそれ以上の意味もない。だから口元緩むな。深い意味ないんだって。緩むな。
「名前?どうした?」
「べ、べつに」
焼きそばの味が分かんなくなってきた。何だか変な空気になりそうだったので話を司の学校の学園祭のことに変える。するとちょうど良かったと司がガイドブックをくれた。うちの学校のガイドブックと違って表紙が立派だった。さすがお金持ち学校。
「山の手エリア?あれ?前ってもっと学校の真ん中辺りに模擬店出してなかったっけ」
「今年は中央エリアは止めたんだ。…人手を多く確保するとミスも増える。そうなったら心労で料理どころじゃなくなるから…………はあ」
去年の大変さを思い出してか司の顔がどんどん曇っていく。去年エリア売り上げ一位だったもんね。とんでもない売り上げだった気がする。一生徒が学園祭で出す金額じゃなかった。そう思いながら月饗祭ガイドブックをペラペラ捲る。そして山の手エリアまで来たところでピタリと手が止まった。松チケットが一枚、二枚、三枚、四枚………。ちなみに松チケットは一枚で一万円。
「司、私今年はやめとく…」
「えっどうして」
「山の手エリア高い…ていうか学園祭なのに何でドレスコード…意味分からん…中央エリアまで行って美味しいもの食べて帰るよ」
「そこまで来て帰るの!?」
「山の手エリアなんて絶対足を踏み入れないんだから!」
いつもの俺が払うから攻撃にも屈さず断固拒否の姿勢をとった。司が作って司に払ってもらうって本当に意味が分からない。無理。甘ったれんな。そういうとこちゃんとしなきゃ駄目。お家デートはうやむやになってる分余計に。あとドレスコードあるようなお店って緊張する。学園祭にそういう緊張感いらない。
「本当に来ないの…?」
「顔は見に行きたいけど司は今年はぼっちなんでしょ?絶対忙しいよ」
「その言い方やめて…本当のことだけど…」
「あ、ごめんね。言い方悪かった」
「いいよ…本当のことだから、」
しまったイジイジモードだ。司が自分以外の調理スタッフいらないって言ったくせに落ち込むんだから勝手だ。「俺なんて人望ないから」いやあなたが断ったんだって。遂に記憶を捏造し始めた。面倒くさいなイジイジモード。うーん仕方ない。俯く司の顔を無理やり上げる。
ちゅ
「……………」
「元気でた?」
「……………………でた」
それはよかった。
181204
「名前ー彼氏が来てるよー」
とか考えていたら司の方からやってきた。おどおどして居心地悪そうに喫茶スペースに座っている。その光景に持っていたお盆を落としそうになった。え?本物?
「お客様、ここは遠月ではありませんが場所をお間違えじゃありませんか」
「ごめん…」
「どーせ竜胆ちゃんに言われて来たんでしょ。『司それはダメだぞー!』って」
「…………」
図星だったらしい。見事に黙った。ちょっと分かりやすすぎないかな遠月の一番さん。……でも人見知り激しいのに来てくれたんだよね。
「…………もー仕方ないな。休憩入るから適当に何か買って静かなとこ行こう」
「…うん、ごめん名前」
「けっこう傷ついたからあの言い方もうやめてね」
「うん、分かったよ」
本当に?と疑問は尽きなかったけど珍しく司から仲直りしに来てくれたんだ。これ以上怒ってたらもったいない。だから「この焼きそば美味しくないな」と真顔で言われたけど我慢した。うちは普通の一般高なんだよ。国を誇るお料理学校のレベルを持ってくるな。学園祭のご飯なんて口に合うわけがない。そこ自覚して。
「私が作ってもこんなもんだよ」
「そうか…?名前も料理は全く上手じゃないけどまだ食べられるよ」
「司には一生私のご飯作らないから」
「俺が一生作るから大丈夫だよ」
たぶん今の言葉には「だからもう俺に作らないでいいよ」の意味が続く。多分。司に悪気もそれ以上の意味もない。だから口元緩むな。深い意味ないんだって。緩むな。
「名前?どうした?」
「べ、べつに」
焼きそばの味が分かんなくなってきた。何だか変な空気になりそうだったので話を司の学校の学園祭のことに変える。するとちょうど良かったと司がガイドブックをくれた。うちの学校のガイドブックと違って表紙が立派だった。さすがお金持ち学校。
「山の手エリア?あれ?前ってもっと学校の真ん中辺りに模擬店出してなかったっけ」
「今年は中央エリアは止めたんだ。…人手を多く確保するとミスも増える。そうなったら心労で料理どころじゃなくなるから…………はあ」
去年の大変さを思い出してか司の顔がどんどん曇っていく。去年エリア売り上げ一位だったもんね。とんでもない売り上げだった気がする。一生徒が学園祭で出す金額じゃなかった。そう思いながら月饗祭ガイドブックをペラペラ捲る。そして山の手エリアまで来たところでピタリと手が止まった。松チケットが一枚、二枚、三枚、四枚………。ちなみに松チケットは一枚で一万円。
「司、私今年はやめとく…」
「えっどうして」
「山の手エリア高い…ていうか学園祭なのに何でドレスコード…意味分からん…中央エリアまで行って美味しいもの食べて帰るよ」
「そこまで来て帰るの!?」
「山の手エリアなんて絶対足を踏み入れないんだから!」
いつもの俺が払うから攻撃にも屈さず断固拒否の姿勢をとった。司が作って司に払ってもらうって本当に意味が分からない。無理。甘ったれんな。そういうとこちゃんとしなきゃ駄目。お家デートはうやむやになってる分余計に。あとドレスコードあるようなお店って緊張する。学園祭にそういう緊張感いらない。
「本当に来ないの…?」
「顔は見に行きたいけど司は今年はぼっちなんでしょ?絶対忙しいよ」
「その言い方やめて…本当のことだけど…」
「あ、ごめんね。言い方悪かった」
「いいよ…本当のことだから、」
しまったイジイジモードだ。司が自分以外の調理スタッフいらないって言ったくせに落ち込むんだから勝手だ。「俺なんて人望ないから」いやあなたが断ったんだって。遂に記憶を捏造し始めた。面倒くさいなイジイジモード。うーん仕方ない。俯く司の顔を無理やり上げる。
ちゅ
「……………」
「元気でた?」
「……………………でた」
それはよかった。
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