完結済み
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「もう何でこんなことするの!だからTくんは鏡夜くんに勝てないんだよ!」
「なっ、いつ俺が鳳鏡夜に劣った!?そしてなんだそのTくんとは!猛兄様と呼べと言ってるだろう!」
「何で劣ってないと思ってるの!?厚かましいなぁ!Tくんを兄なんて思ったことない!一生!いや、三回生まれ変わってもありえない!地球が割れてもありえない!!」
馨が目を覚まして真っ先に耳に入ったのはずっと謝りたいと思っていた女の子の怒った声だった。ああ、怒っててもかわいい…と呑気に感想を述べる馨の頭に手刀を入れたのは光だった。
「起きろ馨。首根っこもたれて落とされたのは覚えてるか?」
「首根っこ…?落とされた…?」
光の言葉にゆっくりと記憶を掘り起こす馨。光が部屋から飛び出してから別荘中を探していた時だった。
『おまえ…ッ!常陸院……どっちだ?』
『か、馨ですけど』
なにこの下まつげ長いオレンジ持ってる人…と馨は引いた。そして誰だこの人はと首を傾げていると目の前のオレンジ男は急に発狂した。「おまえのせいで名前が!」と。名前の名前を出されて反応が遅れた馨はオレンジ男に捕まった。
『ちょ!?あんた誰!?てか力強い!!』
『名前の敵め!!』
『…何をされているのですか?久瀬先輩』
最後に鏡夜の声を聞いてから馨の記憶は曖昧だ。あの人なんなの…と掴まれた首辺りをさすりながら身体を起こすと例の男と言い合いしていた名前がこちらを向いた。そして焦った顔で馨と光の元へ走ってきた。
「馨くん大丈夫!?あの下まつげアメフトしてるから馬鹿力なの。クラクラしない?」
「えっあ、ウン。大丈夫。」
「本当に?念のため病院行った方が…」
「その男に近づくな名前!!」
「うるさい!下まつげぬけちゃえ!馨くんに何かしたら絶交だから!」
「なっ…おまえそれが兄に対する言葉か!」
「私は一人っ子です。勘違いしないで」
なんだこれ。なんだこれ。
馨の頭にはこの言葉しか浮かばなかった。なぜ自分は名前にこうも心配されているんだ。さっき手首を掴んだだけで気絶されたというのに。そして何よりベッドに座る自分を眉を下げて覗き込む名前がかわいい。いや違う。いや違わないけど。何これ夢?
「おや、起きたのか馨」
「あ、おかえりー鏡夜先輩」
「鏡夜くんお医者さまは!?」
「あと20分ほどで来るそうだ。ついでにおまえも診てもらえ」
「え?どうして?」
「おまえも先ほど気絶しただろう。ああ、そういえば…」
仲直りはすんだようだな、とにっこり微笑む鏡夜。その言葉にゆっくりと顔を見合わせた名前と馨。そして一気に距離を取った。
「ち、ちかっ、かおるくんのお顔がこんなに近く…あっ」
「意識を飛ばすな面倒くさい。そしてまだだったのか」
「名前を殴るとは何事だ鳳!」
「唾が飛びます久瀬先輩」
なんだこれ。再び馨はそう思った。オレンジ男は鏡夜に突っかかり始めたし光はニヤニヤして一向に状況を説明してくれないし…名前は頬を押さえて下を向いている。とりあえず名前はかわいい。
「うぅ…言葉が出てこない…」
「言いたいことを言えばいいだろう」
「まとまらないの…」
そう言って馨の方をちらりと見た名前の顔は赤い。ばちりと目が合うとさらに赤くなった。なんだこれ。馨はもうこれしか言えなかった。
「あーもうっじゃあ馨から!名前に言いたいことあるでしょ!?」
「えっ」
グワッと顔を険しくした双子の兄。それにたじろいていると「もうこの機会逃すと一生言えないかもよ」と耳元で囁かれた。それは、嫌だ。震える手を布団で隠し、馨は名前と向き合った。
「え、と、名前…」
「は、はい」
唇をぎゅっと結んだ名前に馨は背筋を伸ばした。どれから言おう。幼稚舎で名前を追い払ったのは光だってこと?それとも初等部で覚えていない振りをしたこと?ああ手紙の件も謝らないと。ダメだ一杯有りすぎて言葉が纏まらない。幼稚舎のときは好きなことを好きなだけ話せたのに。幼稚舎に戻りたい。あのときは素直に言えたのに。明日も遊ぼうとか、お城を作ってあげるとか、お菓子わけてあげるとか、
「お嫁さんにもらってあげるとか」
「…………え」
馨が我に返ったのは赤くなりすぎてゆでだこのようになった名前とその後ろで髪を逆立てて怒り狂う久瀬先輩の姿を同時に視界に入れたときだった。サーッと血の気が引いていくのが分かった。何謝る前に告白してるんだ。いや、告白すっ飛ばして何プロポーズしてんだ。本当馬鹿、馬鹿!!自分の頭を叩きたい衝動に駆られていると僕の手を布団越しに触り、名前はにっこり笑った。
「……はい。お嫁さんにもらってください」
「!」
ああ、そうだ。あのときも名前はそう言った。それが懐かしくて、嬉しくて名前を抱きしめたくなって、手を伸ばす。
……が、
「馨、今日は仲直りの場だろう?抱きつきたいならもっと場所を選べ」
「………」
名前の背後に回った眼鏡を光らせている人とオレンジを握りつぶして大変なことになっている人に止められた。どちらもそれ以上触ったら殺すって目が言っていた。……久瀬先輩はともかく鏡夜先輩は……うん。最大の障壁になりそうだ。そんな眼差しにも気づかず名前は楽しそうに笑っている。
「馨くん!あのね、明日晴れたら海行きたいな。一緒に遊ぼう?」
「……うん、いいよ。二人っきりなら」
「ふ、二人っきり!?」
顔を一気に染め上げた名前。ああ、もう本当に可愛い。後ろの二人には早く妹離れしてもらおう。そう誓い、名前の頭をくしゃりと撫でた。
「なっ、いつ俺が鳳鏡夜に劣った!?そしてなんだそのTくんとは!猛兄様と呼べと言ってるだろう!」
「何で劣ってないと思ってるの!?厚かましいなぁ!Tくんを兄なんて思ったことない!一生!いや、三回生まれ変わってもありえない!地球が割れてもありえない!!」
馨が目を覚まして真っ先に耳に入ったのはずっと謝りたいと思っていた女の子の怒った声だった。ああ、怒っててもかわいい…と呑気に感想を述べる馨の頭に手刀を入れたのは光だった。
「起きろ馨。首根っこもたれて落とされたのは覚えてるか?」
「首根っこ…?落とされた…?」
光の言葉にゆっくりと記憶を掘り起こす馨。光が部屋から飛び出してから別荘中を探していた時だった。
『おまえ…ッ!常陸院……どっちだ?』
『か、馨ですけど』
なにこの下まつげ長いオレンジ持ってる人…と馨は引いた。そして誰だこの人はと首を傾げていると目の前のオレンジ男は急に発狂した。「おまえのせいで名前が!」と。名前の名前を出されて反応が遅れた馨はオレンジ男に捕まった。
『ちょ!?あんた誰!?てか力強い!!』
『名前の敵め!!』
『…何をされているのですか?久瀬先輩』
最後に鏡夜の声を聞いてから馨の記憶は曖昧だ。あの人なんなの…と掴まれた首辺りをさすりながら身体を起こすと例の男と言い合いしていた名前がこちらを向いた。そして焦った顔で馨と光の元へ走ってきた。
「馨くん大丈夫!?あの下まつげアメフトしてるから馬鹿力なの。クラクラしない?」
「えっあ、ウン。大丈夫。」
「本当に?念のため病院行った方が…」
「その男に近づくな名前!!」
「うるさい!下まつげぬけちゃえ!馨くんに何かしたら絶交だから!」
「なっ…おまえそれが兄に対する言葉か!」
「私は一人っ子です。勘違いしないで」
なんだこれ。なんだこれ。
馨の頭にはこの言葉しか浮かばなかった。なぜ自分は名前にこうも心配されているんだ。さっき手首を掴んだだけで気絶されたというのに。そして何よりベッドに座る自分を眉を下げて覗き込む名前がかわいい。いや違う。いや違わないけど。何これ夢?
「おや、起きたのか馨」
「あ、おかえりー鏡夜先輩」
「鏡夜くんお医者さまは!?」
「あと20分ほどで来るそうだ。ついでにおまえも診てもらえ」
「え?どうして?」
「おまえも先ほど気絶しただろう。ああ、そういえば…」
仲直りはすんだようだな、とにっこり微笑む鏡夜。その言葉にゆっくりと顔を見合わせた名前と馨。そして一気に距離を取った。
「ち、ちかっ、かおるくんのお顔がこんなに近く…あっ」
「意識を飛ばすな面倒くさい。そしてまだだったのか」
「名前を殴るとは何事だ鳳!」
「唾が飛びます久瀬先輩」
なんだこれ。再び馨はそう思った。オレンジ男は鏡夜に突っかかり始めたし光はニヤニヤして一向に状況を説明してくれないし…名前は頬を押さえて下を向いている。とりあえず名前はかわいい。
「うぅ…言葉が出てこない…」
「言いたいことを言えばいいだろう」
「まとまらないの…」
そう言って馨の方をちらりと見た名前の顔は赤い。ばちりと目が合うとさらに赤くなった。なんだこれ。馨はもうこれしか言えなかった。
「あーもうっじゃあ馨から!名前に言いたいことあるでしょ!?」
「えっ」
グワッと顔を険しくした双子の兄。それにたじろいていると「もうこの機会逃すと一生言えないかもよ」と耳元で囁かれた。それは、嫌だ。震える手を布団で隠し、馨は名前と向き合った。
「え、と、名前…」
「は、はい」
唇をぎゅっと結んだ名前に馨は背筋を伸ばした。どれから言おう。幼稚舎で名前を追い払ったのは光だってこと?それとも初等部で覚えていない振りをしたこと?ああ手紙の件も謝らないと。ダメだ一杯有りすぎて言葉が纏まらない。幼稚舎のときは好きなことを好きなだけ話せたのに。幼稚舎に戻りたい。あのときは素直に言えたのに。明日も遊ぼうとか、お城を作ってあげるとか、お菓子わけてあげるとか、
「お嫁さんにもらってあげるとか」
「…………え」
馨が我に返ったのは赤くなりすぎてゆでだこのようになった名前とその後ろで髪を逆立てて怒り狂う久瀬先輩の姿を同時に視界に入れたときだった。サーッと血の気が引いていくのが分かった。何謝る前に告白してるんだ。いや、告白すっ飛ばして何プロポーズしてんだ。本当馬鹿、馬鹿!!自分の頭を叩きたい衝動に駆られていると僕の手を布団越しに触り、名前はにっこり笑った。
「……はい。お嫁さんにもらってください」
「!」
ああ、そうだ。あのときも名前はそう言った。それが懐かしくて、嬉しくて名前を抱きしめたくなって、手を伸ばす。
……が、
「馨、今日は仲直りの場だろう?抱きつきたいならもっと場所を選べ」
「………」
名前の背後に回った眼鏡を光らせている人とオレンジを握りつぶして大変なことになっている人に止められた。どちらもそれ以上触ったら殺すって目が言っていた。……久瀬先輩はともかく鏡夜先輩は……うん。最大の障壁になりそうだ。そんな眼差しにも気づかず名前は楽しそうに笑っている。
「馨くん!あのね、明日晴れたら海行きたいな。一緒に遊ぼう?」
「……うん、いいよ。二人っきりなら」
「ふ、二人っきり!?」
顔を一気に染め上げた名前。ああ、もう本当に可愛い。後ろの二人には早く妹離れしてもらおう。そう誓い、名前の頭をくしゃりと撫でた。