完結済み
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窓側の席の後ろから三番目。昼を過ぎると日光が降りそそぐ席。春はぽかぽかしていて眠気を誘う。夏は地獄。そんな席に座っている彼は案の定暑そうに下敷きを扇いでいる。クーラーは申し訳程度にかかっているだけなので窓側から二つ離れた私の席でも暑い。節電の関係らしいが授業に集中できないのなら本末転倒だと思う。そしてこんなに暑いのにいびきをかいて寝ている人達は勇者である。お昼過ぎだから気持ちは分かるけどこんなに暑いと寝れる気がしない。
「資料集の百八ページを開いて──」
先生の指示に気持ち半分で資料集をぺらぺら開く。漢字が何個も連なった名前の変な形の刀。珊瑚のような形をしていて戦うには無理じゃないかな、と思っていたらどうやら祭事などで使っていたらしい。昔の人の考えはよく分からない。『おまつりで使ってた。暗殺用ではない』暑いせいでノートも適当だ。自分が分かればいいのだ。
日本史が終われば体育の時間。プールに入れる。そう考えると少し元気になってきた。友達は水着に着替えたくないと水泳の授業を嫌っているが私は大好きだ。小さい頃に水泳を習っていたから25メートルは楽々泳げる。泳げる人は先生も放置するから実質自由時間みたいなものである。早く日本史終わらないかなぁと顔を上げると、窓側の彼もそう思ったのか時計を忌々しげに見ていて、思わず笑ってしまった。
「おい出水、そんなに俺の授業はつまらないか」
「うえっ、」
先生の言葉に虚を突かれたのか変な声を出した彼に教室内から笑いが起きる。彼は必死に弁明していたので気がついてないみたいだ。恥ずかしそうに髪を触っている。お日様に当たってきらきら光る彼の髪はとても綺麗。セットしているのか分からないけどいつもサラサラの髪の毛をしていて少しうらやましい。でも真ん中に分けて目にかかった前髪は少し変だなぁと思う。おでこを出したいのかもしれない。そういえば、彼と仲良しのカチューシャの男の子もおでこを出している。今時の男の子の流行りなのかも。どうでもいいことに思考を巡らしていると授業終了のチャイムが鳴った。
「出水のせいで予定のページまで進まなかったな。どうしてくれる」
「俺のせいじゃないっすよ!」
先生のからかいに便乗したクラスメート達が「あーあ、日本史めっちゃ好きなのに出水に邪魔されたー」「続きが気になって水泳どころじゃなくなった。どうしてくれる」と楽しそうに文句を言い出した。「うるせえ!」と感情のままに叫ぶ彼にクラスの雰囲気は更に柔らかく、賑やかになった。
彼─出水くんの周りはいつも温かい。
「資料集の百八ページを開いて──」
先生の指示に気持ち半分で資料集をぺらぺら開く。漢字が何個も連なった名前の変な形の刀。珊瑚のような形をしていて戦うには無理じゃないかな、と思っていたらどうやら祭事などで使っていたらしい。昔の人の考えはよく分からない。『おまつりで使ってた。暗殺用ではない』暑いせいでノートも適当だ。自分が分かればいいのだ。
日本史が終われば体育の時間。プールに入れる。そう考えると少し元気になってきた。友達は水着に着替えたくないと水泳の授業を嫌っているが私は大好きだ。小さい頃に水泳を習っていたから25メートルは楽々泳げる。泳げる人は先生も放置するから実質自由時間みたいなものである。早く日本史終わらないかなぁと顔を上げると、窓側の彼もそう思ったのか時計を忌々しげに見ていて、思わず笑ってしまった。
「おい出水、そんなに俺の授業はつまらないか」
「うえっ、」
先生の言葉に虚を突かれたのか変な声を出した彼に教室内から笑いが起きる。彼は必死に弁明していたので気がついてないみたいだ。恥ずかしそうに髪を触っている。お日様に当たってきらきら光る彼の髪はとても綺麗。セットしているのか分からないけどいつもサラサラの髪の毛をしていて少しうらやましい。でも真ん中に分けて目にかかった前髪は少し変だなぁと思う。おでこを出したいのかもしれない。そういえば、彼と仲良しのカチューシャの男の子もおでこを出している。今時の男の子の流行りなのかも。どうでもいいことに思考を巡らしていると授業終了のチャイムが鳴った。
「出水のせいで予定のページまで進まなかったな。どうしてくれる」
「俺のせいじゃないっすよ!」
先生のからかいに便乗したクラスメート達が「あーあ、日本史めっちゃ好きなのに出水に邪魔されたー」「続きが気になって水泳どころじゃなくなった。どうしてくれる」と楽しそうに文句を言い出した。「うるせえ!」と感情のままに叫ぶ彼にクラスの雰囲気は更に柔らかく、賑やかになった。
彼─出水くんの周りはいつも温かい。