君煩い
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高校の修学旅行。場所は京都。近場すぎると不評だったけど着いたら着いたでみんな楽しそうにしていた。私はというと中学生のとき大阪京都奈良と回ったので三年ぶりの京都だった。そのときは侑と班が一緒で縁結びのお寺に行きたいという私以外の女子の意見を、私が言いだしっぺみたいになって侑に反感を食らった。……あれもヤキモチみたいなものだったのかな。侑の圧が強くて他の女子は言い返せなくて結局行かなかったけど。
でも今回の班の男子は治ちゃんと角名くんだ。同じ班の女子で私の友達のゆんちゃんが「縁結び! 縁結び! 可愛いお守りほしい!」と強く主張すると「別にええで」「いいんじゃない」と緩やかに合意をもらった。というかあまり興味なさそうだった。
世界遺産にもなっている神社に来て、森の中の長い参道歩いてついた縁結びの社でゆんちゃんは絵馬を買っていた。ゆんちゃんは私にも進めてくる。
「私はいいよ」
「あかん! せっかく来たんやし! あんたこのままやったら侑と夫婦になってそうやわ!」
「ゲホッ! なんで侑!?」
「侑の気持ち知ったんやろ? ナマエ流されそうやからここで悪縁切ったんねん!」
「侑、悪霊扱いされててウケる」
「まあ似たようなもんやわ」
「ええ……」
私以外が侑に対して辛辣でちょっと引いてしまった。そりゃ人でなしだし口悪いし性格悪いし……とそこまで考えて思考を止めた。侑のいいとこバレーと顔しかないとか思ってない。おかしい……奴は一応アイドル扱いされるくらい人気があるはず……。
ゆんちゃんに進められて買った絵馬。悩んだけど「いい縁に巡り会いますように」と無難なことを書いた。境内にあったお参りの仕方という張り紙に従って絵馬を奉納する。お社を二週半して絵馬掛けに絵馬をかけた。男性と女性でお社を回る向きが違うのに治ちゃん達は私達と一緒に女性側で回っていた。いいの? って聞いたら「絵馬奉納しないし散歩みたいなものだから」「腹減らして旨いもの食う」と返ってきた。縁結びに力を入れてる人に怒られそう。そう思いつつお社に帰ってきて二礼二拍手一礼する。
(……侑との縁は切れたくないです)
同じ気持ちを持ってないわがままな願いかもしれないけど。神様にそう祈ってしまっていた。
そのあとは授与所に行って着物の柄みたいな可愛いちりめん生地のお守りをゆんちゃんと買った。一つ一つが柄が違うので悩んで悩んで悩んで買った。「心願成就」「女性守護」「縁結び」の意味がある可愛いお守り。ゆんちゃんと治ちゃんからは「これで侑の魔の手から守ってもらい!」「これでツム以外と縁結んだらおもろいな」と反応し難いコメントをもらった。今さらだけど治ちゃんは侑の味方ではないらしい。勝手だけどちょっとほっとした。
「水みくじもやろうや!」
「水みくじってなに?」
「水に浮かべて文字が出てくるくじでしょ」
「女は好きやなあそういうの」
境内を歩いて水みくじを売っているところに着いた。くじは「願い事」「体調」「金運」「学業・仕事」「恋愛」「旅行」の項目があって川の水面に浮かべたらその項目に文字が出てくるらしい。
「文字が浮かばなかったらお先真っ白ってこと……?」
「ぶぶっそうかもね」
「上手いこというやんナマエ」
「アホなこと言っとらんでさっさと浮かばすで」
ゆんちゃんに言われてそっと川にくじを浮かべる。両手を合わせる。
「文字でろ文字でろ文字でろ」
「祈るとこそこちゃうやろ」
「出なかったらさすがに交換してくれるでしょ」
「あ! でた! ゆんちゃん文字でたよ! 大凶だった!」
「大凶でたテンションちゃうねん!」
「ナマエ逆に持っとるな」
「なかなかいないよね。大凶だす人」
川から取り出してパッとみたのは恋愛の項目。
『なせばなる』
……私次第ってこと? どうすればいいのか分からなくて悩んでるのに? 頭に浮かんだ二つの顔。侑と鉄くん。……どうすればいいかな。
しゃがんだまま悩んでいると治ちゃんに「他の人待っとるで」と頭をポンと叩かれた。立ち上がって場所を譲る。このくじ結んで帰ろう。なんだか逃げるみたいで心が落ちつかないけど。
「ナマエ」
「なに治ちゃん」
「今度の春高で鉄くんと会って話し。連れて行ったるから。それからツムのこと考えたらええねん。十年勝手に好きになっとったんやから、あと数ヶ月くらい待たしたらええねん。あんな告白する勇気のないヘタレ、ナマエが罪悪感持たんでええんよ」
まだ春高に行くって決まってないのに連れて行ってくれると言ってくれて、私の罪悪感に気づいて和らげる言葉をかけてくれた治ちゃんに、治ちゃんが誰の味方をしてくれているか分かってしまった。
「治ちゃん……」
「腹減ったから神社の門前にあった茶屋行こうや」
「……おごりますよ?」
治ちゃんは笑って手を伸ばして私の頭をぐしゃりと撫でた。侑と一緒の大きな手。でも意味合いは違っているただ私を安心させるだけの優しい手にふと笑みがこぼれた。
でも今回の班の男子は治ちゃんと角名くんだ。同じ班の女子で私の友達のゆんちゃんが「縁結び! 縁結び! 可愛いお守りほしい!」と強く主張すると「別にええで」「いいんじゃない」と緩やかに合意をもらった。というかあまり興味なさそうだった。
世界遺産にもなっている神社に来て、森の中の長い参道歩いてついた縁結びの社でゆんちゃんは絵馬を買っていた。ゆんちゃんは私にも進めてくる。
「私はいいよ」
「あかん! せっかく来たんやし! あんたこのままやったら侑と夫婦になってそうやわ!」
「ゲホッ! なんで侑!?」
「侑の気持ち知ったんやろ? ナマエ流されそうやからここで悪縁切ったんねん!」
「侑、悪霊扱いされててウケる」
「まあ似たようなもんやわ」
「ええ……」
私以外が侑に対して辛辣でちょっと引いてしまった。そりゃ人でなしだし口悪いし性格悪いし……とそこまで考えて思考を止めた。侑のいいとこバレーと顔しかないとか思ってない。おかしい……奴は一応アイドル扱いされるくらい人気があるはず……。
ゆんちゃんに進められて買った絵馬。悩んだけど「いい縁に巡り会いますように」と無難なことを書いた。境内にあったお参りの仕方という張り紙に従って絵馬を奉納する。お社を二週半して絵馬掛けに絵馬をかけた。男性と女性でお社を回る向きが違うのに治ちゃん達は私達と一緒に女性側で回っていた。いいの? って聞いたら「絵馬奉納しないし散歩みたいなものだから」「腹減らして旨いもの食う」と返ってきた。縁結びに力を入れてる人に怒られそう。そう思いつつお社に帰ってきて二礼二拍手一礼する。
(……侑との縁は切れたくないです)
同じ気持ちを持ってないわがままな願いかもしれないけど。神様にそう祈ってしまっていた。
そのあとは授与所に行って着物の柄みたいな可愛いちりめん生地のお守りをゆんちゃんと買った。一つ一つが柄が違うので悩んで悩んで悩んで買った。「心願成就」「女性守護」「縁結び」の意味がある可愛いお守り。ゆんちゃんと治ちゃんからは「これで侑の魔の手から守ってもらい!」「これでツム以外と縁結んだらおもろいな」と反応し難いコメントをもらった。今さらだけど治ちゃんは侑の味方ではないらしい。勝手だけどちょっとほっとした。
「水みくじもやろうや!」
「水みくじってなに?」
「水に浮かべて文字が出てくるくじでしょ」
「女は好きやなあそういうの」
境内を歩いて水みくじを売っているところに着いた。くじは「願い事」「体調」「金運」「学業・仕事」「恋愛」「旅行」の項目があって川の水面に浮かべたらその項目に文字が出てくるらしい。
「文字が浮かばなかったらお先真っ白ってこと……?」
「ぶぶっそうかもね」
「上手いこというやんナマエ」
「アホなこと言っとらんでさっさと浮かばすで」
ゆんちゃんに言われてそっと川にくじを浮かべる。両手を合わせる。
「文字でろ文字でろ文字でろ」
「祈るとこそこちゃうやろ」
「出なかったらさすがに交換してくれるでしょ」
「あ! でた! ゆんちゃん文字でたよ! 大凶だった!」
「大凶でたテンションちゃうねん!」
「ナマエ逆に持っとるな」
「なかなかいないよね。大凶だす人」
川から取り出してパッとみたのは恋愛の項目。
『なせばなる』
……私次第ってこと? どうすればいいのか分からなくて悩んでるのに? 頭に浮かんだ二つの顔。侑と鉄くん。……どうすればいいかな。
しゃがんだまま悩んでいると治ちゃんに「他の人待っとるで」と頭をポンと叩かれた。立ち上がって場所を譲る。このくじ結んで帰ろう。なんだか逃げるみたいで心が落ちつかないけど。
「ナマエ」
「なに治ちゃん」
「今度の春高で鉄くんと会って話し。連れて行ったるから。それからツムのこと考えたらええねん。十年勝手に好きになっとったんやから、あと数ヶ月くらい待たしたらええねん。あんな告白する勇気のないヘタレ、ナマエが罪悪感持たんでええんよ」
まだ春高に行くって決まってないのに連れて行ってくれると言ってくれて、私の罪悪感に気づいて和らげる言葉をかけてくれた治ちゃんに、治ちゃんが誰の味方をしてくれているか分かってしまった。
「治ちゃん……」
「腹減ったから神社の門前にあった茶屋行こうや」
「……おごりますよ?」
治ちゃんは笑って手を伸ばして私の頭をぐしゃりと撫でた。侑と一緒の大きな手。でも意味合いは違っているただ私を安心させるだけの優しい手にふと笑みがこぼれた。