君煩い
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侑に好かれてる説を頭の中で思い浮かべる。出てたのはお風呂でばったり事故。……好きな相手のそういうところみて出てくる言葉が「俺やって見たくなかったんじゃボケ!」……絶対好き違う。そう思うのに最近の侑は様子が違っていた。無理やり教科書持って行かなくなったし、私達の教室にきて何かとつっかかってきて頭ぐりぐりされてたのが無くなったし、話し方が柔らかくなった……気がする。
「最近の侑おかしくない?」
「そりゃ北さんっていう最大の壁が出来そうになったんだからそれなりに焦るでしょ」
「北さん……最大の壁……」
角名くんは当然といった顔でそう言う。まるで侑が私のことを好きなのは当然みたいな態度で。治ちゃんはオレンジジュースを飲んでコクンと頷いた。
「試合と一緒で精神年齢下がってたのがようやっと年相応になってきたんやろ」
「あの、勘違いだったら笑っていいんだけど」
「なに?」
「侑って私のこと好き……?」
治ちゃんと角名くんは目を見開いて静かになった。
「や、やっぱり勘違い……」
「やっと気づいたんかい」
「名字が成長してる」
「!?」
机に手をついてガタンと椅子から立って数秒立ち上がる。そして静かに座ると治ちゃんから「なんやねん今の」とツッコミが入った。
「私はいま混乱してます」
「みたいだね」
「あつ、侑が、私を好き……? ……え? いつから知ってたの治ちゃん」
「7歳くらい」
「7歳くらい!?」
「侑あんなんだけど一途だよね」
「あんなんだけど一途……」
「ちなみにおまえ以外の全員が侑の気持ち知っとる」
「全員が知ってる!?」
「復唱しか出来てないよ名字」
頭を抱える。事態は思ってる以上に深刻だった。今までの侑を思い出す。
『そんな髪の毛いじっても変わらんっちゅうねん』
『侑ちゃん呼びやめろや、だっさいわ』
『おまえなんかごく一部のマニアにしか好かれん体系してんねん。勘違いするんとちゃうぞ』
『隣のクラスのやつに告られたわ。あ、ナマエちゃんはモテへんかったなぁ。すまんすまん』
『修学旅行で何で縁結びの寺行かなあかんねん。自力でどうにかせえよ見る目なし女』
「…………私、侑にバカにされてること多くない?」
なんか腹立ってきた。治ちゃんは私の心情を察したのかぽんぽん頭を撫でて言う。
「ツムのナマエへの態度は小学生のときからのクソガキ具合が一向に減らんかってん」
「なんで」
「片思い十年で恋愛偏差値が上がらんかったアホやから」
アホやから。その一言で納得がいった。侑はバレー凄いくせに唐突に突拍子のないことをやり始める無鉄砲さがある。人によってはアホと呼ばれることをする。ありえそう。ありえそう……っ!
「あの人私の体系はマニアしか好きじゃないって言ったくせに!」
「年頃にそういう話題振るのやめなよ」
「おまえが振るから言うけどぺったんこのガキんときから好きなんやから関係ないんやろ」
「今もぺったんこですが……」
「好きな女なら気にせえへん」
「治ちゃん……」
「いや今、治にときめく場面じゃないからね名字。侑もそうだって話してるから」
「あの人は起伏の薄い胸とか罵ったので説得力ありません」
「クソガキやなほんまに」
治ちゃんは呆れたように言った。
「で、どうするの名字」
「どうするとは」
「侑と付き合うかどうか」
「侑と付き合う……?」
「全然ピンときてないやつだこれ」
それは当たり前だ。だって侑は幼なじみでそれ以下でも以上でもなくて。恋愛対象として見るなんて考えもしなかった。でも侑はそうじゃなくて。ずっと私をそういう対象として見続けてきた。十年も。十年。侑がバレーやっている年月と変わらない。あのバレー馬鹿の侑が同じ年月の間私を想っててくれた。
そう思ってもまだ私の頭の中には侑と付き合うという光景は思い浮かばなかった。それがどうしても薄情に感じて、そう感じた自分が嫌になった。
「……私よく考えたら初恋以外に人を好きになったことないや」
「鉄くん?」
「うん。…………なんで角名くんが私の初恋知ってんの? 前も鉄くんの話題乗ってたけど」
「治から聞いた」
「治ちゃん!」
「別にアランくんも知っとるんやからええやろ。バレー教室の初恋暴露大会で意気揚々と語っとったやん」
「意気揚々と……? そうだっけ?」
「まだ好きなんかってくらい嬉しそうに語っとった。……まだ鉄くんが心におるんやないか?」
鉄くんが心にいる。治ちゃんの言葉に戸惑っていると「ナマエ、教科書かしてや」と今一番来てほしくない相手が教室に入ってきた。
「侑」
「英語かして? 落書きせえへんから」
「それは当たり前でしょ」
いつも通りを心がけた。引き出しから教科書をとって侑に渡す。いつも通り。いつも通り。そう念じてたのに侑はふんわりと嬉しそうに笑った。
「ありがとおな」
ぽんぽん。さっきの治ちゃんのように頭を撫でて教室から出て行った侑。撫でられた頭を触る。別にそこに侑の熱は残っていないのに、しばらく手が降ろせなかった。
鉄くんと侑。
二人の顔を思い浮かべて目をぎゅっと閉じた。
「最近の侑おかしくない?」
「そりゃ北さんっていう最大の壁が出来そうになったんだからそれなりに焦るでしょ」
「北さん……最大の壁……」
角名くんは当然といった顔でそう言う。まるで侑が私のことを好きなのは当然みたいな態度で。治ちゃんはオレンジジュースを飲んでコクンと頷いた。
「試合と一緒で精神年齢下がってたのがようやっと年相応になってきたんやろ」
「あの、勘違いだったら笑っていいんだけど」
「なに?」
「侑って私のこと好き……?」
治ちゃんと角名くんは目を見開いて静かになった。
「や、やっぱり勘違い……」
「やっと気づいたんかい」
「名字が成長してる」
「!?」
机に手をついてガタンと椅子から立って数秒立ち上がる。そして静かに座ると治ちゃんから「なんやねん今の」とツッコミが入った。
「私はいま混乱してます」
「みたいだね」
「あつ、侑が、私を好き……? ……え? いつから知ってたの治ちゃん」
「7歳くらい」
「7歳くらい!?」
「侑あんなんだけど一途だよね」
「あんなんだけど一途……」
「ちなみにおまえ以外の全員が侑の気持ち知っとる」
「全員が知ってる!?」
「復唱しか出来てないよ名字」
頭を抱える。事態は思ってる以上に深刻だった。今までの侑を思い出す。
『そんな髪の毛いじっても変わらんっちゅうねん』
『侑ちゃん呼びやめろや、だっさいわ』
『おまえなんかごく一部のマニアにしか好かれん体系してんねん。勘違いするんとちゃうぞ』
『隣のクラスのやつに告られたわ。あ、ナマエちゃんはモテへんかったなぁ。すまんすまん』
『修学旅行で何で縁結びの寺行かなあかんねん。自力でどうにかせえよ見る目なし女』
「…………私、侑にバカにされてること多くない?」
なんか腹立ってきた。治ちゃんは私の心情を察したのかぽんぽん頭を撫でて言う。
「ツムのナマエへの態度は小学生のときからのクソガキ具合が一向に減らんかってん」
「なんで」
「片思い十年で恋愛偏差値が上がらんかったアホやから」
アホやから。その一言で納得がいった。侑はバレー凄いくせに唐突に突拍子のないことをやり始める無鉄砲さがある。人によってはアホと呼ばれることをする。ありえそう。ありえそう……っ!
「あの人私の体系はマニアしか好きじゃないって言ったくせに!」
「年頃にそういう話題振るのやめなよ」
「おまえが振るから言うけどぺったんこのガキんときから好きなんやから関係ないんやろ」
「今もぺったんこですが……」
「好きな女なら気にせえへん」
「治ちゃん……」
「いや今、治にときめく場面じゃないからね名字。侑もそうだって話してるから」
「あの人は起伏の薄い胸とか罵ったので説得力ありません」
「クソガキやなほんまに」
治ちゃんは呆れたように言った。
「で、どうするの名字」
「どうするとは」
「侑と付き合うかどうか」
「侑と付き合う……?」
「全然ピンときてないやつだこれ」
それは当たり前だ。だって侑は幼なじみでそれ以下でも以上でもなくて。恋愛対象として見るなんて考えもしなかった。でも侑はそうじゃなくて。ずっと私をそういう対象として見続けてきた。十年も。十年。侑がバレーやっている年月と変わらない。あのバレー馬鹿の侑が同じ年月の間私を想っててくれた。
そう思ってもまだ私の頭の中には侑と付き合うという光景は思い浮かばなかった。それがどうしても薄情に感じて、そう感じた自分が嫌になった。
「……私よく考えたら初恋以外に人を好きになったことないや」
「鉄くん?」
「うん。…………なんで角名くんが私の初恋知ってんの? 前も鉄くんの話題乗ってたけど」
「治から聞いた」
「治ちゃん!」
「別にアランくんも知っとるんやからええやろ。バレー教室の初恋暴露大会で意気揚々と語っとったやん」
「意気揚々と……? そうだっけ?」
「まだ好きなんかってくらい嬉しそうに語っとった。……まだ鉄くんが心におるんやないか?」
鉄くんが心にいる。治ちゃんの言葉に戸惑っていると「ナマエ、教科書かしてや」と今一番来てほしくない相手が教室に入ってきた。
「侑」
「英語かして? 落書きせえへんから」
「それは当たり前でしょ」
いつも通りを心がけた。引き出しから教科書をとって侑に渡す。いつも通り。いつも通り。そう念じてたのに侑はふんわりと嬉しそうに笑った。
「ありがとおな」
ぽんぽん。さっきの治ちゃんのように頭を撫でて教室から出て行った侑。撫でられた頭を触る。別にそこに侑の熱は残っていないのに、しばらく手が降ろせなかった。
鉄くんと侑。
二人の顔を思い浮かべて目をぎゅっと閉じた。