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女主人公
男主人公(友情のみ)

「先生ぇ! リーチ兄弟のヤバい方が大暴れしてます!」
「どっちだ」
「あまり関わりたくない方です!」
「どっちだ」
「とにかく物騒な方!!」
「どっちだ」
「えーっと、……にやっと笑顔が怖い方です!!」

 ヨウはウツボ兄弟のヤバくて物騒であまり関わりたくなくてにやっと笑顔が怖い方を頭に浮かべようとしたが、両方の顔が同時にポンと出てきた。どっちだこれ。アワアワと目を回しながら医務室に飛び込んできた生徒に名前を言ってほしいと言うが混乱のあまりか、名前を言ったら殺されると思っているのか中々要領を得ない。まぁ暴れているという時点でどちらでも大差はない。

 さっさと現場に言った方がいいなと読んでいた新聞を閉じて立ち上がる。昼ドラを観ているピンク色の丸い背中に一声かけて医務室から出る。最近ハマっているらしく、チャンネルを替えると無言ではたかれる。地味に痛い為にその辺は自由にさせている。重傷人がでたらがんばってやる気になってもらおう。
 そんなことを考えながら足を進めていくと、わいわい騒いでる集団を発見した。野次馬が多い。止めなさいよ、とNRC生には到底無理なことを心でぼやきつつユニーク魔法を発動させ、四本腕の筋骨隆々の彼もしくは彼女を出す。不思議なことに生徒達はこの魔法生物を召喚するとさっとモーセのように道を空けるのだ。口でいうより何より早い。今回も例のごとく道を空けた。

 そして見つけたリーチ兄弟のヤバい方。なんとどちらがではなく両方だった。同じ顔で殴り合いをしていた。あの生徒の伝達能力には些か問題がある。

「カイリキー間にはいってくれ」

「リキッ」

 紳士な彼or彼女は身長は劣るが力じゃ負けない。海のギャングだろうとここは陸。圧倒的アドバンテージによってケンカは仲裁された。続いて鈴の形を持った魔法生物を召喚する。

「チリーン、いやしのはどう」

 ケンカによって血の上がった頭を落ちつかせる。鎮静作用のある鈴の音が響いていく。野次馬たちもウットリとし始めた。

「この音、オレキライ~。勝手に落ちつかせられるんだもん」

「それが目的だからな。リーチ兄のほうはどうだ」

「ええ、落ち着いてきました。クルーウェル先生もですが僕達に兄も弟もありませんよ」

「こっちが分かりやすいからいいんだ。あとケンカはアーシェングロットの前でやれ。学校ですんな」

「アズールは僕達のケンカには口を出さずに静観しますよ」

「手当てくらいは料金込みでやってくれんだろ」

「保健医とはおもえねー発言」 

 NRC生のケンカなんて日常茶飯事なんだから仕方がない。

 カイリキーに指示して両肩に俵持ちで運ばせた。リーチ弟は喜んでいたが兄のほうは微妙な顔をしていた。これも罰の一種である。ヨウにはよく分からないがこれもNRC生に効くのだ。そのまま保健室まで運び入れる。テレビを見ていたラッキーはこちらをいちべつしただけで何も言わなかった。仕事放棄にもほどがある。まあこのくらいの怪我の手当てはひとりで事足りるのだが。水魔法で傷口を雑に洗っていると不満そうにフロイドが口を尖らせる。

「スナメリせんせぇもっと優しくしてよ」

「自業自得の傷に配慮はしない」

「ユニーク魔法で治してください」

「厚かましい」

 にこにこしながら言うジェイドをばっさり切って消毒薬を浸したコットンを傷につけるとびくりと肩を揺らして黙った。普段の態度がどうだろうと消毒薬は皆に効くのである。

 そのまま傷薬を塗ってガーゼや絆創膏で傷を覆う。皮がめくれていた手の甲の傷は薬を塗ってそのままだ。包帯は嫌らしい。

「よし。おわり」

「さんきゅね~」

「ありがとうございます」

「おう」

 手当てに使ったものを仕舞っていく。ついでに補充もしておかないとな。そんなことを思いつつまだ医務室から出て行こうとしないリーチ兄弟を横目で見た。

「早く帰れよ」

「いいじゃん。誰もいないんだし」

「患者はいないがラッキーがテレビを観ている」

「優先順位が自分のユニーク魔法なんですね。悲しいです」

 悲しいといった顔は全く確認できない。ニコニコしてやがる。顔と一致させとけと適当にアドバイスしているとバシン! とテーブルを叩く音が響き渡った。台パン。ラッキーの技である。

「すまん。ラッキー」

「ラキ」

「こいつらすぐ追い出すから」

「自分の魔法なのに腰低くね?」

 リーチ弟が不満そうに言う。当たり前である。ヨウにとって友人であり家族であるのだから。ある程度の配慮は当然なのだ。

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 ユニーク魔法で目の瞑った魔法生物、ケーシィを出す。テレポートと指示して双子を追い出した。行き先はオクタヴィネル寮である。
 
「茶にするか」
 
「ラッキー」
 
「お、煎れてくれんのか。ありがとう」

 そういえば図書室に行く用事があることに茶を啜りながら思い出した。よし、とヨウは立ち上がった。
 
 
 ***
 
 アズールは動物言語も得意とする。犬、猫、鳥と順調にマスターしていった。元々特有の言語を扱う人魚であり、今まで触れ合ったことのない陸の動物の言葉を早々に覚えたというのは偏にアズールの努力の賜物である。そこで止まらず、次も汎用性の高い動物言語を学ぼうと図書館内のシラバスをめくっていた時だった。
 
「ピッカ、ピカぁ? ピカチュウ」

「緑色の本だ」

「ピカ!」

「そう、それだ。ありがとう」

「チャア」
 
 図書館なので潜めるような声だったがアズールの耳にはバッチリと届いていた。視線を前方斜めに向けると、白衣を着た男が黄色の生き物から本を受け取っているのが見えた。NRCの保健医である。側にいるのは彼のユニーク魔法の魔法生物だろう。また変な生き物を連れているなあの教師……と思った所でハタと気づく。彼の魔法生物の鳴き声。その一貫性のなさに。
 
 彼が医療助手としてよく出現させている卵のようなシルエットのピンクの生き物。これは「ラッキー」と鳴く。名前もそのままラッキーである。
 
 オクタヴィネルへの使いで度々やってくる黄色の抜けた顔をした二足歩行するアヒル。(なぜこのアヒルに仕事を任せるのか小一時間ほど問いただしたい)名前はコダック。「コパ?」とこれまた抜けた声で鳴く。
 
 岩に両手と顔がついたとしか言いようのない魔法生物。名前は確かイシツブテ。「ラッシャイ」と鳴く。なんだラッシャイって。
 
 一度気になってしまったら駄目だった。今まで目撃した彼の魔法生物達が頭に浮かんで流れていく。どれも珍妙な生き物だと常々思っていたが、見た目と能力が見合っていない。
 
 彼の出す魔法生物の力は甚大だ。保健医がマイペースかつ無気力な為に注目がいかないし、魔法生物がいってしまえば変な見た目なので他に着目されてしまう。だが人一人を軽々と吹き飛ばす水鉄砲を気軽に撃つのも、辺り一帯の天候を変えるのも、回復魔法が使えるのも、どれもこれも系統が違うというのに、効果が破格すぎるのだ。しかも魔力の消費は最初に魔法生物を出したときだけでその後の行動には依存しないときた。イデア風にいうとチート級のぶっこわれキャラだ。
 現に同期であるクルーウェルに本人のやる気があれば国盗りでさえ可能とまで言わしめたユニーク魔法だ。国はいらねえなぁと保健医は雑に返したらしいが。

「…………」

 一度気になってしまったらダメだった。あの謎が多い魔法生物に動物言語は通じるのか。そもそもあのユニーク魔法は何なのか。気になる。気になってしまう。頭で算盤を弾いてしまうほど、彼の能力は魅力的なのだ。

「リリ……」

「!?」

 足元から声がしてバッと視線をやると帽子のようなものを被った小さな生き物がそこにいた。なぜかブルブル震えている。見覚えのない生き物=保健医のユニーク魔法。その方程式通りこちらにゆったりと歩いてくるのは保健医だ。

「ミブリム、こっちおいで」

「リリー」

 ブルブル震えた身体を抱っこして撫でつけている。白衣の内側に無理やり身体を入り込もろうとしている。どこか怯えたような様子だ。

「アーシェングロット」

「はい」

「悪さはほどほどにしとけ」

「はい?」

「こいつはそういうのに・・・・・・敏感なんだ」

「……………」

 このチート野郎がよ。
 イデアの声が聞こえた気がした。
 
 
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