いろいろ
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ねえねえ、と言うと目尻が少し垂れた目で「ん、どうした?」って返してくれるときの顔が好きだ。図書室で隣り合わせで座って勉強しているときにふとそう思って、じーっと視線を送っているとノートに向かっていた顔がこちらに向いた。そして思っていた通りにどうした?って顔をしてくれて、何だかそれがすごく嬉しくて、そのまま距離を詰めてしまった。我に返ったのは唇が離れて中吉が二度ほど瞬きをしてからだった。
「…………」
「…………」
やってしまった。
****
「きょっきょうごちゃん…!わたしは、なんてことを……!!」
「名前お姉ちゃん泣かないで」
小学一年生にあやされる高校一年生の図に公園の前を通りかかった方々がぎょっとした様子だったけど、それどころではなかった。
中吉にキスをしてしまった
何より重要なのが私と中吉が恋人同士ではなく友だち同士だと言うことで。一番仲のいい男友だちが中吉で、中吉にとって一番仲のいい女友だちが多分私だった。だからよく「根津くんと名字さんって付き合っているの?」と聞かれて「違うよ~フレンドだよ~ね?」「そうだな」と返すのが常だった。ごめんなさい嘘でした。フレンドにあんな事しない。格好いいな、好きだなって思った瞬間に襲うって節操無さ過ぎて泣くしかない。
「だめだもうだめだ…」
あんな無理やりが許されるのは少女漫画の格好いいヒーローだけだ。それ以外はただのセクハラ。わいせつ行為で、犯罪だ。「ごめんあそばせ!!」と言って逃げてきたから有罪判決待ったなしだ。そして偶然会った被害者家族の恭子ちゃんに慰めてもらうって何かこう、ずるいと思う。ずるいと思うけど「どうしたの?元気ない…?」と中吉に似た顔で心配されたらすがりついてしまう。
「名前ねーちゃん、その顔はやばいと思うぜ」
「名前ねーちゃん、その顔は可愛くない」
そして中吉と似た顔で追い詰めてくる双子たち。真ん中天使、両脇には小悪魔。みんな中吉似。頭痛くなってきた。
無自覚に追い詰めてくるけど「中吉にーちゃんなら謝ったら許してくれるぞ」とお兄ちゃん大好き双子たちが私を責めるより慰めてくれているんだからよほど凄い顔をしているんだろう。でもさ…この子たち私が中吉にしたこと知らないんだよ。「中吉に、ヒドいこと、した」と震えながら語った内容で慰めてくれている。「お兄ちゃんにちゅーして逃げて来ちゃった!」なんて言えるわけないんだけど、これではフェアじゃない気がする。意を決して涙を拭って顔を上げる。
「吉、末吉よ…大前提として、お兄ちゃんは悪くない」
「知ってるよ!」
「中吉にーちゃんが名前ねーちゃんが嫌がることするわけないよ!」
「うん知ってる。私がしたことは、あの、えーっと………………下手したら捕まる」
詳しいことはぼかして最悪の結果だけを伝えた。…ら三人の顔がサーッと青くなった。しまった間違えた。
「名前お姉ちゃん捕まっちゃうの…?」
「ねーちゃん何したんだよ!」
全くの疑問を同時にぶつけてくる双子と今にも泣きそうな顔の恭子ちゃんに「違うの!最悪捕まっちゃうかもって話なの!」と弁明するが火に油だった。「じょーじょーしゃくほうを目指して交番いこう!」と色々混ざっている双子に腕を引っ張られていたときだった。
「何やってんだ」
「中吉にーちゃん!」
連行されている私と連行中の双子とその後ろでオロオロしている恭子ちゃんという謎の光景にはぁ、と短く息を吐いてる中吉がそこにいた。そして半べそをかいている吉と末吉、恭子ちゃんの頭をよしよしと撫でて、最後に私の頭をポンと叩く。
「気にしてないから泣かなくていい。吉たちも交番なんて行く必要ないぞ」
「……名前ねーちゃん捕まらない?」
「捕まらない」
「……中吉お兄ちゃん、名前お姉ちゃんのこと怒らない?」
「怒らない。怒るようなことされてないしな」
鶴の一声ならぬ兄の一声で、三人の顔はぱあっと輝いた。中吉はそんな三人に口角を上げて再び頭を撫でていた。その光景に胸がきゅうとなる。だめだ、些細なことでときめいてしまう。反省しろ、と軽くぺちぺち頬を叩いていると一瞬中吉と目があう。
「吉、末吉、恭子。今日は名前もご飯食べていくから、買い物とご飯作るの手伝って」
「えッ!?」
素っ頓狂な声を上げる私とは反対に三人は嬉しそうに大きく頷いていた。ダメだこのままじゃ罪悪感で断れなくなる。三人はスーパーに行こうと意気揚々と歩き出し、それを見ながら「ほら名前も行くぞ」と誘ってくれる中吉に断りの言葉を返そうと口を開く。
「いや、私は行かな」
「家に連絡して。はい携帯」
「あ、図書室に忘れてた。ありがとう」
「どういたしまして。帰りは送るから心配しなくて大丈夫ですって伝えておいて」
「分かったありがとう。……いやいや流されないよ!」
流れるようにメールを打たせようとする中吉に待ったをかける。
「あの、私がいうのも何だけど、この流れおかしくない?」
「こうでもしないとまた逃げられる」
そう言ってぎゅっと右手を掴まれる。ときめくから止めてほしい。外そうとモゾモゾしていたら「嫌なら止めるけど」とじっと見つめながら言われた。
「いや、じゃないけど」
「ならいいな」
「……中吉、あの…」
「ああそうだ」
中吉は前を歩く三人をちらりと見て再び私へ視線を戻した。そしてすっと顔を近づけて軽く、本当に軽くだったけど唇が重なった。
「怒ってないけどされっぱなしはちょっとな」
穏やかな中吉らしくない少し好戦的というか、挑発的というか、とにかく格好いい笑みに腰が抜けるかと思った。
その後、根津家で恭子ちゃんの漏らした「名前お姉ちゃんが中吉お兄ちゃんの恋人だったらなぁ」という言葉に対して「さっき恋人になったけど」とさらりと返した中吉に味噌汁をむせた私と、びっくりしてお箸を割った大吉くんのせいでいつも以上に賑やかな食卓になった。中吉ママと恭子ちゃんの笑顔が眩しくて直視できない。
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「…………」
「…………」
やってしまった。
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「きょっきょうごちゃん…!わたしは、なんてことを……!!」
「名前お姉ちゃん泣かないで」
小学一年生にあやされる高校一年生の図に公園の前を通りかかった方々がぎょっとした様子だったけど、それどころではなかった。
中吉にキスをしてしまった
何より重要なのが私と中吉が恋人同士ではなく友だち同士だと言うことで。一番仲のいい男友だちが中吉で、中吉にとって一番仲のいい女友だちが多分私だった。だからよく「根津くんと名字さんって付き合っているの?」と聞かれて「違うよ~フレンドだよ~ね?」「そうだな」と返すのが常だった。ごめんなさい嘘でした。フレンドにあんな事しない。格好いいな、好きだなって思った瞬間に襲うって節操無さ過ぎて泣くしかない。
「だめだもうだめだ…」
あんな無理やりが許されるのは少女漫画の格好いいヒーローだけだ。それ以外はただのセクハラ。わいせつ行為で、犯罪だ。「ごめんあそばせ!!」と言って逃げてきたから有罪判決待ったなしだ。そして偶然会った被害者家族の恭子ちゃんに慰めてもらうって何かこう、ずるいと思う。ずるいと思うけど「どうしたの?元気ない…?」と中吉に似た顔で心配されたらすがりついてしまう。
「名前ねーちゃん、その顔はやばいと思うぜ」
「名前ねーちゃん、その顔は可愛くない」
そして中吉と似た顔で追い詰めてくる双子たち。真ん中天使、両脇には小悪魔。みんな中吉似。頭痛くなってきた。
無自覚に追い詰めてくるけど「中吉にーちゃんなら謝ったら許してくれるぞ」とお兄ちゃん大好き双子たちが私を責めるより慰めてくれているんだからよほど凄い顔をしているんだろう。でもさ…この子たち私が中吉にしたこと知らないんだよ。「中吉に、ヒドいこと、した」と震えながら語った内容で慰めてくれている。「お兄ちゃんにちゅーして逃げて来ちゃった!」なんて言えるわけないんだけど、これではフェアじゃない気がする。意を決して涙を拭って顔を上げる。
「吉、末吉よ…大前提として、お兄ちゃんは悪くない」
「知ってるよ!」
「中吉にーちゃんが名前ねーちゃんが嫌がることするわけないよ!」
「うん知ってる。私がしたことは、あの、えーっと………………下手したら捕まる」
詳しいことはぼかして最悪の結果だけを伝えた。…ら三人の顔がサーッと青くなった。しまった間違えた。
「名前お姉ちゃん捕まっちゃうの…?」
「ねーちゃん何したんだよ!」
全くの疑問を同時にぶつけてくる双子と今にも泣きそうな顔の恭子ちゃんに「違うの!最悪捕まっちゃうかもって話なの!」と弁明するが火に油だった。「じょーじょーしゃくほうを目指して交番いこう!」と色々混ざっている双子に腕を引っ張られていたときだった。
「何やってんだ」
「中吉にーちゃん!」
連行されている私と連行中の双子とその後ろでオロオロしている恭子ちゃんという謎の光景にはぁ、と短く息を吐いてる中吉がそこにいた。そして半べそをかいている吉と末吉、恭子ちゃんの頭をよしよしと撫でて、最後に私の頭をポンと叩く。
「気にしてないから泣かなくていい。吉たちも交番なんて行く必要ないぞ」
「……名前ねーちゃん捕まらない?」
「捕まらない」
「……中吉お兄ちゃん、名前お姉ちゃんのこと怒らない?」
「怒らない。怒るようなことされてないしな」
鶴の一声ならぬ兄の一声で、三人の顔はぱあっと輝いた。中吉はそんな三人に口角を上げて再び頭を撫でていた。その光景に胸がきゅうとなる。だめだ、些細なことでときめいてしまう。反省しろ、と軽くぺちぺち頬を叩いていると一瞬中吉と目があう。
「吉、末吉、恭子。今日は名前もご飯食べていくから、買い物とご飯作るの手伝って」
「えッ!?」
素っ頓狂な声を上げる私とは反対に三人は嬉しそうに大きく頷いていた。ダメだこのままじゃ罪悪感で断れなくなる。三人はスーパーに行こうと意気揚々と歩き出し、それを見ながら「ほら名前も行くぞ」と誘ってくれる中吉に断りの言葉を返そうと口を開く。
「いや、私は行かな」
「家に連絡して。はい携帯」
「あ、図書室に忘れてた。ありがとう」
「どういたしまして。帰りは送るから心配しなくて大丈夫ですって伝えておいて」
「分かったありがとう。……いやいや流されないよ!」
流れるようにメールを打たせようとする中吉に待ったをかける。
「あの、私がいうのも何だけど、この流れおかしくない?」
「こうでもしないとまた逃げられる」
そう言ってぎゅっと右手を掴まれる。ときめくから止めてほしい。外そうとモゾモゾしていたら「嫌なら止めるけど」とじっと見つめながら言われた。
「いや、じゃないけど」
「ならいいな」
「……中吉、あの…」
「ああそうだ」
中吉は前を歩く三人をちらりと見て再び私へ視線を戻した。そしてすっと顔を近づけて軽く、本当に軽くだったけど唇が重なった。
「怒ってないけどされっぱなしはちょっとな」
穏やかな中吉らしくない少し好戦的というか、挑発的というか、とにかく格好いい笑みに腰が抜けるかと思った。
その後、根津家で恭子ちゃんの漏らした「名前お姉ちゃんが中吉お兄ちゃんの恋人だったらなぁ」という言葉に対して「さっき恋人になったけど」とさらりと返した中吉に味噌汁をむせた私と、びっくりしてお箸を割った大吉くんのせいでいつも以上に賑やかな食卓になった。中吉ママと恭子ちゃんの笑顔が眩しくて直視できない。
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