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「おれには未来が見えるんだ」
初対面にも関わらずそう堂々と言い放つ同年代の男の人。飄々とした笑み、軽い口調。そこで全て悟った。
この人危ない人だ…!
「京ちゃんお願いだからお姉ちゃんのいうこと聞いて!」
「…だから、迅さんは危ない人じゃないって」
そう言ってため息をつく高校生の弟。口調は呆れかえっているけど京ちゃんの腕を掴む私の手を払おうとはしない。そんな優しい弟。ぶっきらぼうだけど家族思いのとってもいい子。
京ちゃんが所属するボーダーの支部に行ったのはこの間がはじめてだった。関係者以外は来てはいけないと言われていたけどどうしても京ちゃんに直接伝えなくてはいけないことがあり、玉狛支部を訪れた。そして会ったのが、あの人だった。
「あ…!こ、こんにちは!私、」
「ああ、京介のお姉さん。思っていたより来るの早かったね」
「お、思っていたより…?というか何故私が京ちゃんの姉だと分かったんですか?」
そこで返されたのが最初の言葉だ。あまりの言葉に動揺してしまい「そ、そうなんですか…超能力、……はい、おめでとうございます。想像するのは自由ですからね!」と言って帰って来てしまった。足をガクガクさせながら必死に走った。
電波さんだ…!京ちゃんの仕事場に電波さんがいる!と心の底から恐怖を感じた。幸いにも支部から外出していた京ちゃんと途中会い、要件を伝えることに成功した。そしてさり気なく、支部にいた電波さんのことを聞き出す。
「さ、さっきね、京ちゃんの仕事場の人で『おれには未来見えてるんだぜぇ』とか言ってる人いたんだけど…!」
「ああ、迅さんのこと。たぶんそんな口調じゃないと思うけど」
「迅さんって言うのね、あの人」
「うん。先輩」
「先輩なの…!?」
どうしよう。先輩なら何を言われても京ちゃんは拒否することは出来ない。
「未来が見えるって……いつもの(言ってる)ことなの?」
「そうだけど」
「!!?」
やっぱりそうだった!
私の、可愛い、京ちゃんが、電波さんに、害されてしまう!!
「京ちゃんあの人に近づいたらダメよ!」
「は?」
「きょ、京ちゃんが…!電波さんに…!!」
「姉さん落ちついて」
それからというもの京ちゃんが玉狛支部へ行く前はこうやって言い争いをしている。「危ない人がいる場所に弟を行かせられないわ!」「迅さんは普通の人だって」「普通の人は未来見えるなんて言いません!」「だからそれはサイドエフェクトって言って…」「またそうやってあの人のこと庇って…っ!」「違うってば」とここ最近このやりとりが頻繁に勃発する。でも京ちゃんが折れてくれたことは一回もない。
「うーん…姉さんはどうやったら分かってくれるの?」
「私があの人のことを理解したときは洗脳されたときです…!」
「そんな苦しそうな顔で言わないで」
困ったな、とアゴに手を置く京ちゃん。さすがイケメンさんだ。とっても絵になる。自慢の弟に少し顔が緩みそうになるけどぎゅっと押さえる。今日こそは説得してみせる…!そう意気込んだときだった。
ーーピンポーン
「あ、はーい」
家のチャイムが鳴る。朝からうるさかったかも…とお隣さんごめんなさいと心で謝りながらドアを開けた。
「おはよう京介とおねえs」
そして閉めた。
「京ちゃん。今日はお外に出ちゃダメです」
「姉さんとりあえず携帯置いて」
110番!とボタンを押そうとしたら京ちゃんから取り上げられた。
「京ちゃんそれお姉ちゃんに返して?」
「却下します」
「あ、開けちゃダメ!」
健闘むなしく京ちゃんの手によって開けられたドア。片手で簡単に押さえ込まれてしまった。大きくなったね京ちゃん…!……じゃなくて!
「お姉さん酷いなぁ。人の顔見て閉めるんだから」
「かっ家族を守るのが姉のつとめです!」
「お姉さんおれ変質者じゃないからね?」
「似たようなものです!」
「京介、家でおれの悪口言ってるの?」
「言ってませんけどほぼ迅さんの自業自得です」
「全く身に覚えがないんだけど」
身に、覚えが、ない……!?
無意識であんなことを言ってるの!?お、恐ろしい電波さん…!
電波さんの言葉に絶句していると私の携帯をしまいながら京ちゃんが「こんな朝からどうしたんすか約束してましたっけ?」と電波さんに質問した。
「ああ…ちょっと、な」
そう言って私たちを見る電波さん。とっさに京ちゃんの前に出て腕をばっ!と広げる。「なにやってるの姉さん」と後ろの京ちゃんが言う。京ちゃんはお姉ちゃんが守るからね…!
私に出来る限りの眼力で電波さんを睨む。電波さんは京ちゃんより大きい。威圧感がある。…ま、負けるもんか。
「~~~っ!」
「……あの、お姉さん…あー、」
「~~~っ!!(負けない!)」
「………」
すると口元を押さえて顔を逸らす電波さん。勝った!勝ったよ京ちゃん!振り返って京ちゃんを見るとなぜか呆れた目を私と電波さんに交互に向ける。ど、どうしたの京ちゃん。
「迅さん…今日来た理由って、」
「ちょ、言わないで京介…」
「そういえば姉さんが玉狛に来た日もやけにそわそわしてましたね」
「いやぁ…」
「俺のバイト先に来た姉さんのこと一回見てますよね。そのときからですか」
「な!なんで、」
「姉さんドア閉めていいよ」
無表情でそう言った京ちゃん。なんか怒ってる…!怒っている京ちゃんは電波さんがなにか言ってたけど無視してドアを閉めた。すごい音したけど大丈夫かな…?というかさっきまで電波さんのこと庇ってたのに京ちゃん。どうしたのかな。
ドアの向こうでは電波さんがまだなにか話している。……なんか少し可哀想かもしれない。
「姉さん、同情しなくていいから」
「え、でも…ちょっと可哀想かも…」
「名前ちゃん」
「!」
「俺のいうこときいてくれないの?」
そう言って京ちゃんは私の袖を掴み、首を傾げた。か、可愛い!!!それに!小学生以来の、名前呼びッ!!!
「~~~っ京ちゃん!今日の晩御飯なにがいい!?お姉ちゃんなんでも作っちゃうよ!」
「トンカツがいい」
「うんうん!頑張って作るね!」
「ありがとう名前ちゃん」
幸せだ…!
(京介、おまえ…!)
(姉さんに色恋はまだ早いです)
(もう21でしょお姉さん)
(じゃあ言い方変えます。迅さんに姉さんはあげたくないです)
(なんで!)
(女性の尻触って喜んでいる人に大切な姉を差し出すと思いますか)
(好きな子にはしないって!)
(でもそれ以上のことしたいんでしょう?)
(……いや、まぁ………うん)
(姉さんには風間さんを紹介しときます)
(ちょっと本当にやめて!)
初対面にも関わらずそう堂々と言い放つ同年代の男の人。飄々とした笑み、軽い口調。そこで全て悟った。
この人危ない人だ…!
「京ちゃんお願いだからお姉ちゃんのいうこと聞いて!」
「…だから、迅さんは危ない人じゃないって」
そう言ってため息をつく高校生の弟。口調は呆れかえっているけど京ちゃんの腕を掴む私の手を払おうとはしない。そんな優しい弟。ぶっきらぼうだけど家族思いのとってもいい子。
京ちゃんが所属するボーダーの支部に行ったのはこの間がはじめてだった。関係者以外は来てはいけないと言われていたけどどうしても京ちゃんに直接伝えなくてはいけないことがあり、玉狛支部を訪れた。そして会ったのが、あの人だった。
「あ…!こ、こんにちは!私、」
「ああ、京介のお姉さん。思っていたより来るの早かったね」
「お、思っていたより…?というか何故私が京ちゃんの姉だと分かったんですか?」
そこで返されたのが最初の言葉だ。あまりの言葉に動揺してしまい「そ、そうなんですか…超能力、……はい、おめでとうございます。想像するのは自由ですからね!」と言って帰って来てしまった。足をガクガクさせながら必死に走った。
電波さんだ…!京ちゃんの仕事場に電波さんがいる!と心の底から恐怖を感じた。幸いにも支部から外出していた京ちゃんと途中会い、要件を伝えることに成功した。そしてさり気なく、支部にいた電波さんのことを聞き出す。
「さ、さっきね、京ちゃんの仕事場の人で『おれには未来見えてるんだぜぇ』とか言ってる人いたんだけど…!」
「ああ、迅さんのこと。たぶんそんな口調じゃないと思うけど」
「迅さんって言うのね、あの人」
「うん。先輩」
「先輩なの…!?」
どうしよう。先輩なら何を言われても京ちゃんは拒否することは出来ない。
「未来が見えるって……いつもの(言ってる)ことなの?」
「そうだけど」
「!!?」
やっぱりそうだった!
私の、可愛い、京ちゃんが、電波さんに、害されてしまう!!
「京ちゃんあの人に近づいたらダメよ!」
「は?」
「きょ、京ちゃんが…!電波さんに…!!」
「姉さん落ちついて」
それからというもの京ちゃんが玉狛支部へ行く前はこうやって言い争いをしている。「危ない人がいる場所に弟を行かせられないわ!」「迅さんは普通の人だって」「普通の人は未来見えるなんて言いません!」「だからそれはサイドエフェクトって言って…」「またそうやってあの人のこと庇って…っ!」「違うってば」とここ最近このやりとりが頻繁に勃発する。でも京ちゃんが折れてくれたことは一回もない。
「うーん…姉さんはどうやったら分かってくれるの?」
「私があの人のことを理解したときは洗脳されたときです…!」
「そんな苦しそうな顔で言わないで」
困ったな、とアゴに手を置く京ちゃん。さすがイケメンさんだ。とっても絵になる。自慢の弟に少し顔が緩みそうになるけどぎゅっと押さえる。今日こそは説得してみせる…!そう意気込んだときだった。
ーーピンポーン
「あ、はーい」
家のチャイムが鳴る。朝からうるさかったかも…とお隣さんごめんなさいと心で謝りながらドアを開けた。
「おはよう京介とおねえs」
そして閉めた。
「京ちゃん。今日はお外に出ちゃダメです」
「姉さんとりあえず携帯置いて」
110番!とボタンを押そうとしたら京ちゃんから取り上げられた。
「京ちゃんそれお姉ちゃんに返して?」
「却下します」
「あ、開けちゃダメ!」
健闘むなしく京ちゃんの手によって開けられたドア。片手で簡単に押さえ込まれてしまった。大きくなったね京ちゃん…!……じゃなくて!
「お姉さん酷いなぁ。人の顔見て閉めるんだから」
「かっ家族を守るのが姉のつとめです!」
「お姉さんおれ変質者じゃないからね?」
「似たようなものです!」
「京介、家でおれの悪口言ってるの?」
「言ってませんけどほぼ迅さんの自業自得です」
「全く身に覚えがないんだけど」
身に、覚えが、ない……!?
無意識であんなことを言ってるの!?お、恐ろしい電波さん…!
電波さんの言葉に絶句していると私の携帯をしまいながら京ちゃんが「こんな朝からどうしたんすか約束してましたっけ?」と電波さんに質問した。
「ああ…ちょっと、な」
そう言って私たちを見る電波さん。とっさに京ちゃんの前に出て腕をばっ!と広げる。「なにやってるの姉さん」と後ろの京ちゃんが言う。京ちゃんはお姉ちゃんが守るからね…!
私に出来る限りの眼力で電波さんを睨む。電波さんは京ちゃんより大きい。威圧感がある。…ま、負けるもんか。
「~~~っ!」
「……あの、お姉さん…あー、」
「~~~っ!!(負けない!)」
「………」
すると口元を押さえて顔を逸らす電波さん。勝った!勝ったよ京ちゃん!振り返って京ちゃんを見るとなぜか呆れた目を私と電波さんに交互に向ける。ど、どうしたの京ちゃん。
「迅さん…今日来た理由って、」
「ちょ、言わないで京介…」
「そういえば姉さんが玉狛に来た日もやけにそわそわしてましたね」
「いやぁ…」
「俺のバイト先に来た姉さんのこと一回見てますよね。そのときからですか」
「な!なんで、」
「姉さんドア閉めていいよ」
無表情でそう言った京ちゃん。なんか怒ってる…!怒っている京ちゃんは電波さんがなにか言ってたけど無視してドアを閉めた。すごい音したけど大丈夫かな…?というかさっきまで電波さんのこと庇ってたのに京ちゃん。どうしたのかな。
ドアの向こうでは電波さんがまだなにか話している。……なんか少し可哀想かもしれない。
「姉さん、同情しなくていいから」
「え、でも…ちょっと可哀想かも…」
「名前ちゃん」
「!」
「俺のいうこときいてくれないの?」
そう言って京ちゃんは私の袖を掴み、首を傾げた。か、可愛い!!!それに!小学生以来の、名前呼びッ!!!
「~~~っ京ちゃん!今日の晩御飯なにがいい!?お姉ちゃんなんでも作っちゃうよ!」
「トンカツがいい」
「うんうん!頑張って作るね!」
「ありがとう名前ちゃん」
幸せだ…!
(京介、おまえ…!)
(姉さんに色恋はまだ早いです)
(もう21でしょお姉さん)
(じゃあ言い方変えます。迅さんに姉さんはあげたくないです)
(なんで!)
(女性の尻触って喜んでいる人に大切な姉を差し出すと思いますか)
(好きな子にはしないって!)
(でもそれ以上のことしたいんでしょう?)
(……いや、まぁ………うん)
(姉さんには風間さんを紹介しときます)
(ちょっと本当にやめて!)