少年漫画系
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名前は16を境にあまり笑わなくなった。呪術師だった大好きな両親が亡くなったからだ。それからの名前はバーサーカーのごとく呪霊を狩りまくり狩りまくり狩りまくり……。恋愛なんて眼中にないです、恋愛どころか呪霊以外は興味ありません。そんな顔で花のJK時代を過ごしていた。名前がそういう状態だった為に関係を進めるなんて出来るわけもなかった。
そして二十を少し過ぎた今日この頃。何故か名前は婚活に勤しんでいる。
「名前の情緒はどうなってるの?」
「さすがにもう落ち着いたんだろ。最近は色んな人間が集まるところに行ってるみたいだよ」
「それ婚活パーティーだろ」
「キミに遠慮して言葉を濁しただけだ。女性関係はふらふらしてるくせに未だに名前には未練タラタラだろう」
遠慮するところが違う。心でそう返して天井を仰いだ。確かに高専を卒業した辺りから落ちつき始め、最近ではあの不安定な鋭さはなりを潜めている。だからといって何故婚活。名前が分からない。
「呪霊の相手ばっかりしてたせいで“人”見知りもいいとこなのに」
「まあ元々穏やかな性格をしているからな名前は。元に戻って人並みに幸せを求めているんだろ」
「でもそれで結婚相手を探すって」
早すぎるだろ。段階を踏めよ段階を。ここにはいない名前に文句を言う。もっと言うならここにいるだろうちょうどいい存在が。
「キミはアウトオブ眼中だからな。名前にとっては異性の前に仲間だ」
「知ってるよ」
だから困ってるんだ。
***
「ちょ、悟っ! 重い!」
「んー」
「んーじゃない!」
突然私の部屋にやってきた悟。少し警戒してる私を見て「大丈夫。なにもしないよ」と手をふりふりさせたのでそのまま家に上げてしまった。馬鹿だ。相手は悟だぞ、と数分前の私の頭をひっぱ叩きたい。
玄関に身体を全て収めた瞬間に大きな身体でぎゅっと抱きしめられた。苦しい。苦しいし、胸が痛いし顔も身体もあつい。
「なにもしなくないじゃない!」
「だからなにもシないよって言ったでしょ。ちゃんと守ってるだろ」
「なにも、しない……?」
「うん。ナニもシない」
含まれている意味に気づいて全力で暴れる。「だからシないってば」と喉を鳴らす悟には無意味な抵抗だったみたいだけど。
「さすがにそれは名前の許可なく出来ないよ」
「それ以外も私の許可とって!」
「それ以外って?」
「こういうの!」
「こういうのって?」
「えっ、だ、から……あの、」
「こういうのって? なに名前」
耳元に口を寄せて聞いてくる悟。吐息が耳にかかって背筋から頭の天辺までなにかが走った。
「~~~っもおおお! こういうのはこういうの!」
両手で悟の胸を全力で押すとようやく少し距離が出来た。多分わざと力を抜いたから出来た距離だ。その証拠に腕はまだ腰に回っているし、何より私の反応に悟が爆笑している。
「可愛いね」
いつもの人をおちょくるような台詞と声色なのにこういう状態だからか、それ以外の理由なのか。胸がぎゅっと掴まれるような感覚になる。
「……可愛くないよ」
すごく困る。最近の私の身体は変だ。今みたいに触れ合ってなくても悟のことを頭に浮かべるだけでそうなってしまう。そうなったらどうしていいか分からなくなる。もう成人した大人なのに、迷子の子どもみたいな気持ちになって、すごく困っている。わけが分かんなくなって泣きそうになる。
そんな事を思っていると、ガバッと音を立てる勢いで突然悟が手を離して、私から距離を取った。
「?」
助かるけどあんなに楽しそうだったのに何で急に? と首を傾げていると、悟は少し気まずそうな声を出した。
「約束したでしょ」
「約束?」
「なにもしないって」
詐欺師の手法に約束もなにもない。そんな心境が顔に出ていたらしい。悟は言葉を続けた。
「なにかシそうになったから。涙目の名前見てたら」
「出て行っていただけますか!!」
全力の叫びに悟は「そうする」と笑いながら言った。
「充電させてもらったしね」
「充電って……」
「しばらく僕海外だから」
「変なお土産はいらないです」
「いってらっしゃいって言ってほしかったんだけど」
そんなこと言ったら調子に乗せそうな気がする。「新妻みたいでテンション上がるし」やっぱり!
「あ、名前。戸籍謄本とっておきなよ」
「えっなんで?」
「婚姻届出すのにいるでしょ?」
「婚姻届出す予定はないでしょ?」
真顔になった。まだそんなこと言ってたの悟。
「まだそんなこと言ってるの名前」
心の声が重なった。でも私の心境とは真逆の顔を悟はしていた。
「名前はもう僕のこと好きでしょ」
顔をゆっくりと近づけられる。よけてみろと言わんばかりの動きだったのに、身動きが出来なかった。
「名前、許可とってって言ってたけどさ。あんなの許可取ったらしてもいいって言ってるようなものだよ」
「っ」
「ね、名前」
キスしてもいい?
悟の静かな問いに口をぎゅっと結ぶ。結んで、開けて、また結んで。それを繰り返して、そっと瞼を閉じた。私の返答をきいた悟は少しだけ笑って「やっぱり名前は可愛いね」と言った。
海外から帰ってきた悟に「なんで戸籍謄本とってきてないの」と真顔に責められた。「結婚!? あいつと!? 騙されないで名前!!」と歌姫先輩に両肩を持ってブンブンされたのも理由のひとつだけど、もう少しだけ恋人同士をしていたいなぁと思ったからなんて恥ずかしくて悟には言えず、えへへとごまかした。誤魔化されてくれないだろうな、と思ってたけど意外にも悟はそれ以上追求せず、ぎゅっと抱きついてきただけだった。
(可愛すぎて困ってあれ以上文句言えなかった。僕のお嫁さんずるくない? )
(まだ籍は入れてないのでしょう)
(でももう僕のお嫁さんだから)
(というか仕事中に電話かけてこないで下さい)
(サラリーマンなら仕事中に電話かけても命に関わることないでしょ)
(命には関わりませんが業務に差し支えますし、どちらかと言うと名字さんへの憐れみの気持ちが強くて祝う気にはなれないのでこの時間は本当に無駄でしかないんですよ)
(ああん!? )
190703
そして二十を少し過ぎた今日この頃。何故か名前は婚活に勤しんでいる。
「名前の情緒はどうなってるの?」
「さすがにもう落ち着いたんだろ。最近は色んな人間が集まるところに行ってるみたいだよ」
「それ婚活パーティーだろ」
「キミに遠慮して言葉を濁しただけだ。女性関係はふらふらしてるくせに未だに名前には未練タラタラだろう」
遠慮するところが違う。心でそう返して天井を仰いだ。確かに高専を卒業した辺りから落ちつき始め、最近ではあの不安定な鋭さはなりを潜めている。だからといって何故婚活。名前が分からない。
「呪霊の相手ばっかりしてたせいで“人”見知りもいいとこなのに」
「まあ元々穏やかな性格をしているからな名前は。元に戻って人並みに幸せを求めているんだろ」
「でもそれで結婚相手を探すって」
早すぎるだろ。段階を踏めよ段階を。ここにはいない名前に文句を言う。もっと言うならここにいるだろうちょうどいい存在が。
「キミはアウトオブ眼中だからな。名前にとっては異性の前に仲間だ」
「知ってるよ」
だから困ってるんだ。
***
「ちょ、悟っ! 重い!」
「んー」
「んーじゃない!」
突然私の部屋にやってきた悟。少し警戒してる私を見て「大丈夫。なにもしないよ」と手をふりふりさせたのでそのまま家に上げてしまった。馬鹿だ。相手は悟だぞ、と数分前の私の頭をひっぱ叩きたい。
玄関に身体を全て収めた瞬間に大きな身体でぎゅっと抱きしめられた。苦しい。苦しいし、胸が痛いし顔も身体もあつい。
「なにもしなくないじゃない!」
「だからなにもシないよって言ったでしょ。ちゃんと守ってるだろ」
「なにも、しない……?」
「うん。ナニもシない」
含まれている意味に気づいて全力で暴れる。「だからシないってば」と喉を鳴らす悟には無意味な抵抗だったみたいだけど。
「さすがにそれは名前の許可なく出来ないよ」
「それ以外も私の許可とって!」
「それ以外って?」
「こういうの!」
「こういうのって?」
「えっ、だ、から……あの、」
「こういうのって? なに名前」
耳元に口を寄せて聞いてくる悟。吐息が耳にかかって背筋から頭の天辺までなにかが走った。
「~~~っもおおお! こういうのはこういうの!」
両手で悟の胸を全力で押すとようやく少し距離が出来た。多分わざと力を抜いたから出来た距離だ。その証拠に腕はまだ腰に回っているし、何より私の反応に悟が爆笑している。
「可愛いね」
いつもの人をおちょくるような台詞と声色なのにこういう状態だからか、それ以外の理由なのか。胸がぎゅっと掴まれるような感覚になる。
「……可愛くないよ」
すごく困る。最近の私の身体は変だ。今みたいに触れ合ってなくても悟のことを頭に浮かべるだけでそうなってしまう。そうなったらどうしていいか分からなくなる。もう成人した大人なのに、迷子の子どもみたいな気持ちになって、すごく困っている。わけが分かんなくなって泣きそうになる。
そんな事を思っていると、ガバッと音を立てる勢いで突然悟が手を離して、私から距離を取った。
「?」
助かるけどあんなに楽しそうだったのに何で急に? と首を傾げていると、悟は少し気まずそうな声を出した。
「約束したでしょ」
「約束?」
「なにもしないって」
詐欺師の手法に約束もなにもない。そんな心境が顔に出ていたらしい。悟は言葉を続けた。
「なにかシそうになったから。涙目の名前見てたら」
「出て行っていただけますか!!」
全力の叫びに悟は「そうする」と笑いながら言った。
「充電させてもらったしね」
「充電って……」
「しばらく僕海外だから」
「変なお土産はいらないです」
「いってらっしゃいって言ってほしかったんだけど」
そんなこと言ったら調子に乗せそうな気がする。「新妻みたいでテンション上がるし」やっぱり!
「あ、名前。戸籍謄本とっておきなよ」
「えっなんで?」
「婚姻届出すのにいるでしょ?」
「婚姻届出す予定はないでしょ?」
真顔になった。まだそんなこと言ってたの悟。
「まだそんなこと言ってるの名前」
心の声が重なった。でも私の心境とは真逆の顔を悟はしていた。
「名前はもう僕のこと好きでしょ」
顔をゆっくりと近づけられる。よけてみろと言わんばかりの動きだったのに、身動きが出来なかった。
「名前、許可とってって言ってたけどさ。あんなの許可取ったらしてもいいって言ってるようなものだよ」
「っ」
「ね、名前」
キスしてもいい?
悟の静かな問いに口をぎゅっと結ぶ。結んで、開けて、また結んで。それを繰り返して、そっと瞼を閉じた。私の返答をきいた悟は少しだけ笑って「やっぱり名前は可愛いね」と言った。
海外から帰ってきた悟に「なんで戸籍謄本とってきてないの」と真顔に責められた。「結婚!? あいつと!? 騙されないで名前!!」と歌姫先輩に両肩を持ってブンブンされたのも理由のひとつだけど、もう少しだけ恋人同士をしていたいなぁと思ったからなんて恥ずかしくて悟には言えず、えへへとごまかした。誤魔化されてくれないだろうな、と思ってたけど意外にも悟はそれ以上追求せず、ぎゅっと抱きついてきただけだった。
(可愛すぎて困ってあれ以上文句言えなかった。僕のお嫁さんずるくない? )
(まだ籍は入れてないのでしょう)
(でももう僕のお嫁さんだから)
(というか仕事中に電話かけてこないで下さい)
(サラリーマンなら仕事中に電話かけても命に関わることないでしょ)
(命には関わりませんが業務に差し支えますし、どちらかと言うと名字さんへの憐れみの気持ちが強くて祝う気にはなれないのでこの時間は本当に無駄でしかないんですよ)
(ああん!? )
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