少年漫画系
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「また駄目だったの?」
「うるさいバカ」
婚活サイトをガン見していたら悟がやってきた。今週は海外じゃなかったっけと少し疑問に思ったけど、スルーしてスマホ画面をスライドさせる。「名前は人見知りだから根本的に向いてないよね婚活」うるさいな。
「私は硝子みたいに綺麗じゃないし一般受けするものもないんだから20代の内から戦わないといけないの」
「ふーん」
「あ、こら! 返して!」
ひょい、と私からスマホを抜き取った悟は私の手の届かない所で操作をはじめた。
「年齢、職業、年収に理想のタイプ……こんなこと聞いてくるの?」
「だって結婚相手だもん。大切なことでしょ」
「名前のは、と」
「もうっ怒るよ悟!」
「もう怒ってるからいいでしょ」
「どんな理屈!」
手を伸ばしてスマホを取ろうとするけど如何せん悟は身長が高い。「はいはい、ちょっと待ってね」とスマホを持つ逆の手で私の頭を撫ではじめるくらい余裕がある。む、むかつく……
「職業……呪術師……で年収は、へーこのくらいなんだ。理想のタイプは真面目で優しい人、ねぇ」
「な、なによ」
「名前ひとつ言ってもいい?」
はい、と返されたスマホをもう取られないようにジャケットの内に仕舞いつつ頷く。珍しく神妙な顔をしている悟に少し身構えてしまう。な、なんだろう。
「素直に呪術師って書いてるけどそれ見て結婚相手に! ……ってなる一般人そうそういないと思うんだけど」
「………………」
「目から鱗って顔してるね」
「だ、だって嘘つくのはダメでしょ……?」
「それにしたって書きようがあるだろ」
悟の言葉に今までの婚活相手を思い出す。そういえば何だか胡散臭いわ~って顔してたりちょっと引いてたりしてた、かも。…………今までの苦労はいったい。私は静かにその場に崩れ込んだ。
「ううう、何で言ってくれないの……婚活事務所の人たち」
「そこを突っ込んだらヤバいって思ってたんじゃない」
「ひどい……誰のために身を粉にして戦ってると思ってるの……泣けてきた……」
「はいはい泣かないおいでー」
「悟の腕で泣くのはいや……硝子のとこいってくる……」
「ああ?」
何が気に障ったのか無理やり悟の腕にくるまれた。かたい……癒されない……。
「でかい……おもい……」
「これは愛の重さだから」
「そんなギャグいらないから……」
「…………」
「いたいいたいいたい」
「10年以上の付き合いってのも考えものだ」
「いたいいたいいたい」
私の訴えは聞く気がないらしく悟は頭にあごを乗せて「あー傷ついた」とわざとらしく呟く。現在進行で私に危害を加えている人間の言葉とは思えない。硝子助けて……
「呪術師は呪術師のルート使って結婚相手見つけないと一緒独身だよ」
「早くいってよ……」
「言ったよ。『名前には向いてない』って」
「それで分かるかぁ……時間は有限なんだよ……無駄にした……領域展開……」
力のない声で「婚活成功也……ああたすけて……」と言うと悟の喉が鳴った。ウケたやったね。……心が虚しい。
「僕の苗字あげよっか?」
「うーん五条名前? 割といいかもしんない」
「えっ」
「でも悟が旦那さんかぁ……うーん、真面目な人が好きなんだよねぇ」
「真面目でしょすっごく」
「なんか圧がすごい。真面目っていうのはね、七海くんみたいな……七海くんいいなぁ」
「は?」
「なんかキレられた……」
可愛い後輩でしょうに、というと「それとこれとは別」と返ってきた。今日の悟はなんだか余裕がない。というかいつまでこの体勢でいるの。背中をぽんぽん、と叩いて離してと意思表示する。「もうちょっと」もうちょっとらしい。……本当に珍しくて少し心配になってきた。
「悟なにかあった?」
「んー……なにかあったというか何かされたというか」
「悟に危害を加えるなんて命しらずな……」
「僕のことなんだと思ってるの? そもそも名前のせいなんだけどね」
「えっ」
寝耳に水。いつもの冗談かと思ったけど、声色は思いの外真剣で。
「なにか、したっけ……?」
「慰謝料請求したいくらいされたね」
「えええ……お、おいくらですか」
「払うのかよ」
悟は吹き出した後、うーんと少し唸って何故か目の布を引き下げた。相変わらず綺麗な目だなぁと思ってると「ガン見されるとやりにくい」と頬をかいた。
「?」
「十数年分の、まあひと月分くらい返して貰おうかな」
「十数年……!?」
もしかして昔借りてたお金でもあったのだろうか、そう思ったときだった。ふわりと唇に柔らかいものがあたった。すぐ側には悟の綺麗な瞳がある。瞬きもできずにその状態のままでいると、少ししてスッと離れていった。
「…………」
「駄目だ」
「な、なにがですの?」
「(ですの? )いや、一気に返済してほしくなったから」
「一気に……」
「うん。C辺りまで」
「!!?」
「あ、いっておくけど好きだから。恋愛的な意味で」
「このタイミングでいうの!?」
「気づかなかった方が悪い」
じゃあ慰謝料完済までよろしく、もう婚活はやめてね。そういって呪術師最強は愉しげに笑った。……硝子助けて……逃げられる気がしない……
「仲人は学長に頼もうか」
「話が勝手にすごく先まで進んでる」
「いつか通る道だしいいでしょ」
「誰と通るかは決めてなかったんですが……」
「やっぱり新婚旅行は海外かな」
「聞いて……」
「うるさいバカ」
婚活サイトをガン見していたら悟がやってきた。今週は海外じゃなかったっけと少し疑問に思ったけど、スルーしてスマホ画面をスライドさせる。「名前は人見知りだから根本的に向いてないよね婚活」うるさいな。
「私は硝子みたいに綺麗じゃないし一般受けするものもないんだから20代の内から戦わないといけないの」
「ふーん」
「あ、こら! 返して!」
ひょい、と私からスマホを抜き取った悟は私の手の届かない所で操作をはじめた。
「年齢、職業、年収に理想のタイプ……こんなこと聞いてくるの?」
「だって結婚相手だもん。大切なことでしょ」
「名前のは、と」
「もうっ怒るよ悟!」
「もう怒ってるからいいでしょ」
「どんな理屈!」
手を伸ばしてスマホを取ろうとするけど如何せん悟は身長が高い。「はいはい、ちょっと待ってね」とスマホを持つ逆の手で私の頭を撫ではじめるくらい余裕がある。む、むかつく……
「職業……呪術師……で年収は、へーこのくらいなんだ。理想のタイプは真面目で優しい人、ねぇ」
「な、なによ」
「名前ひとつ言ってもいい?」
はい、と返されたスマホをもう取られないようにジャケットの内に仕舞いつつ頷く。珍しく神妙な顔をしている悟に少し身構えてしまう。な、なんだろう。
「素直に呪術師って書いてるけどそれ見て結婚相手に! ……ってなる一般人そうそういないと思うんだけど」
「………………」
「目から鱗って顔してるね」
「だ、だって嘘つくのはダメでしょ……?」
「それにしたって書きようがあるだろ」
悟の言葉に今までの婚活相手を思い出す。そういえば何だか胡散臭いわ~って顔してたりちょっと引いてたりしてた、かも。…………今までの苦労はいったい。私は静かにその場に崩れ込んだ。
「ううう、何で言ってくれないの……婚活事務所の人たち」
「そこを突っ込んだらヤバいって思ってたんじゃない」
「ひどい……誰のために身を粉にして戦ってると思ってるの……泣けてきた……」
「はいはい泣かないおいでー」
「悟の腕で泣くのはいや……硝子のとこいってくる……」
「ああ?」
何が気に障ったのか無理やり悟の腕にくるまれた。かたい……癒されない……。
「でかい……おもい……」
「これは愛の重さだから」
「そんなギャグいらないから……」
「…………」
「いたいいたいいたい」
「10年以上の付き合いってのも考えものだ」
「いたいいたいいたい」
私の訴えは聞く気がないらしく悟は頭にあごを乗せて「あー傷ついた」とわざとらしく呟く。現在進行で私に危害を加えている人間の言葉とは思えない。硝子助けて……
「呪術師は呪術師のルート使って結婚相手見つけないと一緒独身だよ」
「早くいってよ……」
「言ったよ。『名前には向いてない』って」
「それで分かるかぁ……時間は有限なんだよ……無駄にした……領域展開……」
力のない声で「婚活成功也……ああたすけて……」と言うと悟の喉が鳴った。ウケたやったね。……心が虚しい。
「僕の苗字あげよっか?」
「うーん五条名前? 割といいかもしんない」
「えっ」
「でも悟が旦那さんかぁ……うーん、真面目な人が好きなんだよねぇ」
「真面目でしょすっごく」
「なんか圧がすごい。真面目っていうのはね、七海くんみたいな……七海くんいいなぁ」
「は?」
「なんかキレられた……」
可愛い後輩でしょうに、というと「それとこれとは別」と返ってきた。今日の悟はなんだか余裕がない。というかいつまでこの体勢でいるの。背中をぽんぽん、と叩いて離してと意思表示する。「もうちょっと」もうちょっとらしい。……本当に珍しくて少し心配になってきた。
「悟なにかあった?」
「んー……なにかあったというか何かされたというか」
「悟に危害を加えるなんて命しらずな……」
「僕のことなんだと思ってるの? そもそも名前のせいなんだけどね」
「えっ」
寝耳に水。いつもの冗談かと思ったけど、声色は思いの外真剣で。
「なにか、したっけ……?」
「慰謝料請求したいくらいされたね」
「えええ……お、おいくらですか」
「払うのかよ」
悟は吹き出した後、うーんと少し唸って何故か目の布を引き下げた。相変わらず綺麗な目だなぁと思ってると「ガン見されるとやりにくい」と頬をかいた。
「?」
「十数年分の、まあひと月分くらい返して貰おうかな」
「十数年……!?」
もしかして昔借りてたお金でもあったのだろうか、そう思ったときだった。ふわりと唇に柔らかいものがあたった。すぐ側には悟の綺麗な瞳がある。瞬きもできずにその状態のままでいると、少ししてスッと離れていった。
「…………」
「駄目だ」
「な、なにがですの?」
「(ですの? )いや、一気に返済してほしくなったから」
「一気に……」
「うん。C辺りまで」
「!!?」
「あ、いっておくけど好きだから。恋愛的な意味で」
「このタイミングでいうの!?」
「気づかなかった方が悪い」
じゃあ慰謝料完済までよろしく、もう婚活はやめてね。そういって呪術師最強は愉しげに笑った。……硝子助けて……逃げられる気がしない……
「仲人は学長に頼もうか」
「話が勝手にすごく先まで進んでる」
「いつか通る道だしいいでしょ」
「誰と通るかは決めてなかったんですが……」
「やっぱり新婚旅行は海外かな」
「聞いて……」
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