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カセギゴールドの弱点のような長々しい台詞が頭に入ったような、入らなかったような。うん? と首を傾げた生駒に名前はにっこり笑った。
「だから、君の父さんの弟の愛娘の飼ってる猫ちゃんの飼い主の父親の義理のお姉さんの息子さんのことが好きなの」
やっぱり頭に入らない。もう一回と言うが「やーだ」ところころ笑って拒否された。カワイかった。
学年主席で生徒会に入っていた美人の人、である名前は生駒の友達だ。進学先も同じで学部は違うが共通科目で一緒になると「一緒に受けよ」とこれまたにこにこしながら誘ってくるカワイイ友達。女の子はすべからくカワイイが名前は一等カワイイ。生駒はよくそう思っている。
とにかく名前はよく笑う。何てない話もくだらない話を聞いてるときも、逆に名前が生駒にそういう話をするときも笑顔が絶えたことがない。美人は笑うとさらに破壊力が増す。その証拠に男と言わず女にもモテていた。高嶺の花的な意味で。男は言わずもがなだった。
しかし生駒の知る限り名前に恋人がいた記憶はない。生駒が彼女ほしいと呟いても「生駒ならすぐに出来るのになぁ」となんだかいつも余裕そうな言葉ばっかりだった。そういう話題は自分の事は話さず、たいてい生駒の事ばかり聞いて、話す。美人に太鼓判を押してもらっても生駒に恋人が出来たことは残念なことにない。むしろ太鼓判を押してもらうようになってからそういう縁とはぱったりだ。美人でカワイイ友達といると感覚が鈍るのか。いや、でも女の子がみんなカワイイと思うのは変わらない。名前が一番カワイイが。
「私も一番生駒がカッコいいと思ってるよ」
生駒がそういうと、いつもにこにこした笑顔に少し照れを加えて名前はこう返してくる。やっぱりカワイイな。何度思ったか分からない言葉を頭で呟く。いつもは口からするりと出るが、名前にカッコいいと言われるとなぜか言葉が詰まる。だから首を縦に振って返事をする。口下手とは無縁であるのにこの時だけは言葉が出ない。
「別にモテないよ」
珍しく名前とそういう話をしていたある日のこと。嵐山が告白されたと耳に入って、その流れで名前もモテる的な話を持ちかけた。何故かそのときの生駒は少し緊張していた。
しかし初っぱなから凄い嘘をつかれた。何人の男から告白されていたのを見たか。卒業式なんて告白者が殺到してオークション会場みたいになっていた。値段の競り合いもとい告白合戦場。業を煮やしたクラスメイトのひとりが名前を真ん中に置かれた机の上に乗せ「さあ告れ男共!!」と啖呵を切ったのが始まりだった。男達に囲まれ、ポジション的に少し高めの位置にいた名前は困った様子で教室中を見渡して、端っこで熱気から避難中の生駒や迅、嵐山達へと視線を向けた。じーっとこちらを見てくるので大変そうだと思って「がんばれ」と口パクで返した。そしたら名前は目を見開いて、口をぎゅっと結び、眉を寄せた。不機嫌です、という顔を全力で作ってきた。その顔に驚いた途端に「お付き合いはできません! ごめんなさい!!」と名前は大声で宣言した。告白合戦の終戦は割と早かった。
「今のは生駒っちが悪いよ」
迅からはなぜか批判を受けた。
まあそんなこんなで。
名前はとにかくモテる。大学に入ってからも変わらず。変わらずというか余計にモテ度が加速していた。高校時代には躊躇していたような一歩を大きく踏み進める人間がそれはそれは多い。「サークル入りたかった……」と残念そうに呟く名前の姿が記憶に新しい。それはあまりいいモテ方ではないと思うが、とにかく名前は好意を持たれやすい見た目と中身をしているのだ。しかし名前から出てきたのは「別にモテないよ」という言葉。何を言っているんだ。
「好きな人以外にモテても意味ないもの」
生駒の疑問を読み取った名前はそう言った。好きな人。口のなかでそう呟くと「そう、好きな人」と名前はにっこり笑う。
「好きな、人?」
「うん」
だれ、と訊ねる。喉がカラカラで声が出なかった。
そして返ってきたのはカセギゴールドの弱点。頭がこんがらがって上手く回らない。
「兄の妹の猫が飼ってる愛娘の……?」
「猫は愛娘飼っちゃだめでしょ」
指を使って一つずつ頑張って思い出す生駒。この謎が解けるのは鞄からルーズリーフを取り出してめちゃくちゃお願いして一つずつ教えてもらう30分後のことだった。
(君の父さんの弟の愛娘の飼ってる猫ちゃんの飼い主の父親の義理のお姉さんの息子さんのことが好きみたい)
「だから、君の父さんの弟の愛娘の飼ってる猫ちゃんの飼い主の父親の義理のお姉さんの息子さんのことが好きなの」
やっぱり頭に入らない。もう一回と言うが「やーだ」ところころ笑って拒否された。カワイかった。
学年主席で生徒会に入っていた美人の人、である名前は生駒の友達だ。進学先も同じで学部は違うが共通科目で一緒になると「一緒に受けよ」とこれまたにこにこしながら誘ってくるカワイイ友達。女の子はすべからくカワイイが名前は一等カワイイ。生駒はよくそう思っている。
とにかく名前はよく笑う。何てない話もくだらない話を聞いてるときも、逆に名前が生駒にそういう話をするときも笑顔が絶えたことがない。美人は笑うとさらに破壊力が増す。その証拠に男と言わず女にもモテていた。高嶺の花的な意味で。男は言わずもがなだった。
しかし生駒の知る限り名前に恋人がいた記憶はない。生駒が彼女ほしいと呟いても「生駒ならすぐに出来るのになぁ」となんだかいつも余裕そうな言葉ばっかりだった。そういう話題は自分の事は話さず、たいてい生駒の事ばかり聞いて、話す。美人に太鼓判を押してもらっても生駒に恋人が出来たことは残念なことにない。むしろ太鼓判を押してもらうようになってからそういう縁とはぱったりだ。美人でカワイイ友達といると感覚が鈍るのか。いや、でも女の子がみんなカワイイと思うのは変わらない。名前が一番カワイイが。
「私も一番生駒がカッコいいと思ってるよ」
生駒がそういうと、いつもにこにこした笑顔に少し照れを加えて名前はこう返してくる。やっぱりカワイイな。何度思ったか分からない言葉を頭で呟く。いつもは口からするりと出るが、名前にカッコいいと言われるとなぜか言葉が詰まる。だから首を縦に振って返事をする。口下手とは無縁であるのにこの時だけは言葉が出ない。
「別にモテないよ」
珍しく名前とそういう話をしていたある日のこと。嵐山が告白されたと耳に入って、その流れで名前もモテる的な話を持ちかけた。何故かそのときの生駒は少し緊張していた。
しかし初っぱなから凄い嘘をつかれた。何人の男から告白されていたのを見たか。卒業式なんて告白者が殺到してオークション会場みたいになっていた。値段の競り合いもとい告白合戦場。業を煮やしたクラスメイトのひとりが名前を真ん中に置かれた机の上に乗せ「さあ告れ男共!!」と啖呵を切ったのが始まりだった。男達に囲まれ、ポジション的に少し高めの位置にいた名前は困った様子で教室中を見渡して、端っこで熱気から避難中の生駒や迅、嵐山達へと視線を向けた。じーっとこちらを見てくるので大変そうだと思って「がんばれ」と口パクで返した。そしたら名前は目を見開いて、口をぎゅっと結び、眉を寄せた。不機嫌です、という顔を全力で作ってきた。その顔に驚いた途端に「お付き合いはできません! ごめんなさい!!」と名前は大声で宣言した。告白合戦の終戦は割と早かった。
「今のは生駒っちが悪いよ」
迅からはなぜか批判を受けた。
まあそんなこんなで。
名前はとにかくモテる。大学に入ってからも変わらず。変わらずというか余計にモテ度が加速していた。高校時代には躊躇していたような一歩を大きく踏み進める人間がそれはそれは多い。「サークル入りたかった……」と残念そうに呟く名前の姿が記憶に新しい。それはあまりいいモテ方ではないと思うが、とにかく名前は好意を持たれやすい見た目と中身をしているのだ。しかし名前から出てきたのは「別にモテないよ」という言葉。何を言っているんだ。
「好きな人以外にモテても意味ないもの」
生駒の疑問を読み取った名前はそう言った。好きな人。口のなかでそう呟くと「そう、好きな人」と名前はにっこり笑う。
「好きな、人?」
「うん」
だれ、と訊ねる。喉がカラカラで声が出なかった。
そして返ってきたのはカセギゴールドの弱点。頭がこんがらがって上手く回らない。
「兄の妹の猫が飼ってる愛娘の……?」
「猫は愛娘飼っちゃだめでしょ」
指を使って一つずつ頑張って思い出す生駒。この謎が解けるのは鞄からルーズリーフを取り出してめちゃくちゃお願いして一つずつ教えてもらう30分後のことだった。
(君の父さんの弟の愛娘の飼ってる猫ちゃんの飼い主の父親の義理のお姉さんの息子さんのことが好きみたい)