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「今度飯でも行かない?」
顔を染めながらそう尋ねた男に心底同情した。
共通科目で同じ授業をとっていた名字。お互い任務のときなどはノートの貸し借りをするが一緒に授業を受けることはなかった。あいつも俺も学部の友人といる上、生活習慣が似寄り過ぎてほぼ毎日一緒にいるような感覚に陥りそうだったからだ。任務、学校、任務の毎日。ただでさえ基地で顔を合わせるんだ。学校くらいは距離を取っておきたい。はっきり言って見飽きた。風間、太刀川辺りも同様に。
それ故に、学校でのあいつを見ると寒気がした。
「任務で忙しいからちょっと無理かな。ごめんなさい」
申しわけなさそうな顔をして男の誘いを断る名字。どこか儚げな雰囲気を漂わせているのはギャグか何かとしか思えない。ボーダー関係者だったらそう力強く言うだろう。なんせ15才以下の子供を追いかけ回し、愛でることに喜びを感じるような女だ。儚げなんて言葉が出ること自体がありえない。それを学部の友人に言うと「失礼なこと言ってんじゃねえよ! バカか! 煙草吸いすぎだろ! バカか!」と散々罵られた。
大学にはロリもショタもいない。当たり前のことだがあの変態にはこうも影響する。本人ではなく周りの人間に。
「に、任務の後でもいいから」
断られてなお引き下がる様子のない男。首の後ろをかき、軽く汗をかいているのは緊張しているからだろうか。そんな大層な人間じゃねえぞと声を高々にして言いたい。
名字は学校では大人しい。理由は言うまでもなくロリもショタもいないから。大のお気に入りである風間はというと「近づくな話しかけてくるな抱きついてくるな」の一言より一定の距離感が(無理やり)保たれている。これを破ったら一週間接触を絶たれるらしい。心底どうでもいい。「ご褒美だと思うことにしてみたけど無理だった」とやけに達観した顔の名字がいたがただ気持ち悪かった。
そんな変態丸出しの生き物であるが大学ではその変態要素を完全にオフモードにしているからか見た目に騙された人間が一定数存在する。曰わく美人で気遣いもできる大和撫子らしい。大和撫子に土下座しろ。
「うーん……でも任務終わるの夜中とかだし、訓練しなくちゃいけないし、後輩の子達のお世話をしてあげたいから。やっぱり行けないや」
「後輩の面倒も見てあげてるんだな……さすが名字さんだ」
「そんなことないよ。私が好きでやっていることだから」
名字の言葉に感動したらしい表情の男。後輩のお世話の意味を理解していないからだろうが滑稽すぎる。そしてある意味名字も一切嘘をついていないのが神格化されている要因となっているのだろう。(ロリショタをあらゆる危機から救うために)訓練し、後輩たちのお世話を(全力で愛でながら)しなくてはいけない。詐欺にもほどがある。名字と話している男とその様子を窺ってこっそり話を聞いている男たちが本当に哀れだ。
この茶番劇を遠目で見ているとひとりの人物が教室に入ってきた。そしてやけにざわめいている教室に怪訝そうな表情を作り、その中心にいる人間を見つけて面白いくらいに顔を歪め、俺の所へやって来た。
「なんだあの群れは」
「名字に騙された男達だ。可哀想なやつらだからそんな顔してやんな」
「あの変態に鼻の下伸ばす人間などに気を使う必要などない」
そう言って風間は睨みつけるように集団へ視線を向けた。普段全力で拒否しているくせにこの態度なのが腹が痛い。そして見た目を覆い隠すほどの強烈な中身を完全に知り尽くしているのにそういった感情を持っているこいつが一番哀れなのかもしれない。
「名字」
「! 風間……!?」
風間の呼びかけに心底驚いた様子の名字。なんせ大学では徹底して避けられて、接触を禁じられていたんだ。「なんで? なんで風間? 呼んだの風間だよね?」と見るからに混乱している。そして盛大にソワソワし出した。犬かあいつは。期待した目をして身体を揺らす名字に一瞬だけ風間の口角が緩んだ。そして口を開く。
「任務終わりに飯でも「行くッ!!! 絶対行く! 2ヶ月と7日ぶりの風間とのご飯……っ! 何がいい? カレー? シチュー? オムライス? 想像するだけでお腹いっぱいです。もうなにこのご褒美! 生きてて良かった。ありがとう神様。任務さっさと終わらせるからね。今ならトリオン兵ばったばた倒しちゃうよ!」……分かったから抱きつくな」
一気にこちらに飛んできた名字はその勢いのまま風間に抱きついた。高い靴を履いてるせいで身長差がえらいことになっている。風間を今にも押しつぶしそうだ。胸で顔を圧迫されていた風間は右手で名字の服つかみ、引き剥がした。少し顔が赤いのが笑えた。そして完全に置いていかれた男達はと言うと「え……? 名字、さん?」とかなり狼狽している。目が覚めて良かったな。これがこの女の本性だ。キレイに微笑んでいたときと真逆のデレデレに緩んだ顔の名字。俺としてはこっちの表情がデフォルトだがあいつらにとったら違うのだろう。
「あ、なんだ諏訪もいたんだ」
「うるせえ。目立って仕方ねーだよお前ら」
「風間の存在は奇跡だもの! 21才になってもこのベビーフェイスを保ってるなんて目立たない訳ないわ!」
「うるせえ! 興奮すんな!!」
鼻息荒く風間を絶賛する名字。その姿に絶望した顔の男達を後目に名字は心底幸せそうに顔を綻ばせ風間に寄り添った。
顔を染めながらそう尋ねた男に心底同情した。
共通科目で同じ授業をとっていた名字。お互い任務のときなどはノートの貸し借りをするが一緒に授業を受けることはなかった。あいつも俺も学部の友人といる上、生活習慣が似寄り過ぎてほぼ毎日一緒にいるような感覚に陥りそうだったからだ。任務、学校、任務の毎日。ただでさえ基地で顔を合わせるんだ。学校くらいは距離を取っておきたい。はっきり言って見飽きた。風間、太刀川辺りも同様に。
それ故に、学校でのあいつを見ると寒気がした。
「任務で忙しいからちょっと無理かな。ごめんなさい」
申しわけなさそうな顔をして男の誘いを断る名字。どこか儚げな雰囲気を漂わせているのはギャグか何かとしか思えない。ボーダー関係者だったらそう力強く言うだろう。なんせ15才以下の子供を追いかけ回し、愛でることに喜びを感じるような女だ。儚げなんて言葉が出ること自体がありえない。それを学部の友人に言うと「失礼なこと言ってんじゃねえよ! バカか! 煙草吸いすぎだろ! バカか!」と散々罵られた。
大学にはロリもショタもいない。当たり前のことだがあの変態にはこうも影響する。本人ではなく周りの人間に。
「に、任務の後でもいいから」
断られてなお引き下がる様子のない男。首の後ろをかき、軽く汗をかいているのは緊張しているからだろうか。そんな大層な人間じゃねえぞと声を高々にして言いたい。
名字は学校では大人しい。理由は言うまでもなくロリもショタもいないから。大のお気に入りである風間はというと「近づくな話しかけてくるな抱きついてくるな」の一言より一定の距離感が(無理やり)保たれている。これを破ったら一週間接触を絶たれるらしい。心底どうでもいい。「ご褒美だと思うことにしてみたけど無理だった」とやけに達観した顔の名字がいたがただ気持ち悪かった。
そんな変態丸出しの生き物であるが大学ではその変態要素を完全にオフモードにしているからか見た目に騙された人間が一定数存在する。曰わく美人で気遣いもできる大和撫子らしい。大和撫子に土下座しろ。
「うーん……でも任務終わるの夜中とかだし、訓練しなくちゃいけないし、後輩の子達のお世話をしてあげたいから。やっぱり行けないや」
「後輩の面倒も見てあげてるんだな……さすが名字さんだ」
「そんなことないよ。私が好きでやっていることだから」
名字の言葉に感動したらしい表情の男。後輩のお世話の意味を理解していないからだろうが滑稽すぎる。そしてある意味名字も一切嘘をついていないのが神格化されている要因となっているのだろう。(ロリショタをあらゆる危機から救うために)訓練し、後輩たちのお世話を(全力で愛でながら)しなくてはいけない。詐欺にもほどがある。名字と話している男とその様子を窺ってこっそり話を聞いている男たちが本当に哀れだ。
この茶番劇を遠目で見ているとひとりの人物が教室に入ってきた。そしてやけにざわめいている教室に怪訝そうな表情を作り、その中心にいる人間を見つけて面白いくらいに顔を歪め、俺の所へやって来た。
「なんだあの群れは」
「名字に騙された男達だ。可哀想なやつらだからそんな顔してやんな」
「あの変態に鼻の下伸ばす人間などに気を使う必要などない」
そう言って風間は睨みつけるように集団へ視線を向けた。普段全力で拒否しているくせにこの態度なのが腹が痛い。そして見た目を覆い隠すほどの強烈な中身を完全に知り尽くしているのにそういった感情を持っているこいつが一番哀れなのかもしれない。
「名字」
「! 風間……!?」
風間の呼びかけに心底驚いた様子の名字。なんせ大学では徹底して避けられて、接触を禁じられていたんだ。「なんで? なんで風間? 呼んだの風間だよね?」と見るからに混乱している。そして盛大にソワソワし出した。犬かあいつは。期待した目をして身体を揺らす名字に一瞬だけ風間の口角が緩んだ。そして口を開く。
「任務終わりに飯でも「行くッ!!! 絶対行く! 2ヶ月と7日ぶりの風間とのご飯……っ! 何がいい? カレー? シチュー? オムライス? 想像するだけでお腹いっぱいです。もうなにこのご褒美! 生きてて良かった。ありがとう神様。任務さっさと終わらせるからね。今ならトリオン兵ばったばた倒しちゃうよ!」……分かったから抱きつくな」
一気にこちらに飛んできた名字はその勢いのまま風間に抱きついた。高い靴を履いてるせいで身長差がえらいことになっている。風間を今にも押しつぶしそうだ。胸で顔を圧迫されていた風間は右手で名字の服つかみ、引き剥がした。少し顔が赤いのが笑えた。そして完全に置いていかれた男達はと言うと「え……? 名字、さん?」とかなり狼狽している。目が覚めて良かったな。これがこの女の本性だ。キレイに微笑んでいたときと真逆のデレデレに緩んだ顔の名字。俺としてはこっちの表情がデフォルトだがあいつらにとったら違うのだろう。
「あ、なんだ諏訪もいたんだ」
「うるせえ。目立って仕方ねーだよお前ら」
「風間の存在は奇跡だもの! 21才になってもこのベビーフェイスを保ってるなんて目立たない訳ないわ!」
「うるせえ! 興奮すんな!!」
鼻息荒く風間を絶賛する名字。その姿に絶望した顔の男達を後目に名字は心底幸せそうに顔を綻ばせ風間に寄り添った。