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・モブ目線
本部には優秀な技術者が多く存在する。彼女もその一員である。
「えー……だめなの? 緊急脱出のときに爆発する機能」
自分の力をまともな方向に使う場合のみであるが。彼女と連絡をとっている開発部部長の鬼怒田さんの怒声がここまで届く。怒り心頭状態だ。が、それに堪えた様子は見られない。彼女の神経は鋼鉄で紡がれていると言ったのは誰だっただろうか。
「緊急脱出するけどただじゃおかないぜ! ってコンセプトだったのに……」
至極残念そうな顔をする彼女を見て思わず加勢したくなる衝動に駆られた者がパッとみる限り五名ほど。部署を移動した者や新規採用の人間だ。なるほど騙されてるぞ、と声を高々にして言いたい。なまじ顔が整っているため最初は優しくしたり、対応を甘くしたりする者がほとんどだ。しかし彼女に慣れた人間はそんな命知らずなことはしない。怪我、入院、残業、罰金と負の連鎖が続くためである。
「今すぐ直せって言われても……あれ? 誰に爆発機能つけたっけ」
嫌な予感しかしない。彼女のその言葉に今まで和関せずを通していた技術者達が一斉に彼女の方に振り返った。全員の顔が漏れなく青ざめている。そのときだった。
「ゴラぁ!! 名字!!!」
技術部の扉を壊す勢いで開けたのは戦闘員の諏訪君だった。名前を呼ばれた張本人は「あ、諏訪さんのとこか」とのんびり納得した様子だ。もっと焦ってほしい。
「てめぇ、俺らのトリガーになにしやがった」
「緊急脱出のときに爆発する機能をつけてみました。どんなかんじでした?」
「暢気に感想聞いてんじゃねえよ! 日佐人が緊急脱出して爆発してその爆発で堤も緊急脱出しちまったじゃねえか!! 俺を殺す気か!」
「あ、仲間にも被害が及びましたか。改善の余地ありですね」
「改善じゃなくて元に戻せッ!!」
目の前で怒鳴られているのに計算式をノートに書き始めるマイペースさ。こっちの胃は張り裂けそうだというのに。
「おーい、なんだこの騒ぎは?」
「ふ、冬島さん!」
助かった! と誰かの声が聞こえた。半袖のツナギ着た人が神々しく見える。
「諏訪~どうした? 廊下まで聞こえてたぞ」
「どうしたもこうしたも……」
「あ、また名前がなんかしたか。次は何したんだ?」
「緊急脱出時に爆発する機能つけてみました」
「そりゃインパクトあんな」
はっはっは、と笑い飛ばす冬島さんに諏訪君の顔が更に凶悪化した。冬島さん後ろ後ろ! と必死にジェスチャーを送る。お願いですからこれ以上怒らせないでください。その願いが届いたのか冬島さんは彼女の頭に手を置き、話し始める。
「発想は面白いがまだ考案中なんだろ? 試作段階の物で隊員を危険に晒すことはしたらダメだな」
「………むー」
「名前、諏訪達のトリガー、戻せるな?」
「…………はーい、」
さすが冬島さん……!
技術者一同、ついて行きます……!!
(たく、冬島さん来なかったらどうなってたことか)
(諏訪さん)
(あ? もうおまえに整備頼むのだけはやんねーよ)
(……ごめんなさい)
(……………)
(……………)
(……う、嘘だからそんな目で見るな)
(あ、諏訪君騙されてる)
本部には優秀な技術者が多く存在する。彼女もその一員である。
「えー……だめなの? 緊急脱出のときに爆発する機能」
自分の力をまともな方向に使う場合のみであるが。彼女と連絡をとっている開発部部長の鬼怒田さんの怒声がここまで届く。怒り心頭状態だ。が、それに堪えた様子は見られない。彼女の神経は鋼鉄で紡がれていると言ったのは誰だっただろうか。
「緊急脱出するけどただじゃおかないぜ! ってコンセプトだったのに……」
至極残念そうな顔をする彼女を見て思わず加勢したくなる衝動に駆られた者がパッとみる限り五名ほど。部署を移動した者や新規採用の人間だ。なるほど騙されてるぞ、と声を高々にして言いたい。なまじ顔が整っているため最初は優しくしたり、対応を甘くしたりする者がほとんどだ。しかし彼女に慣れた人間はそんな命知らずなことはしない。怪我、入院、残業、罰金と負の連鎖が続くためである。
「今すぐ直せって言われても……あれ? 誰に爆発機能つけたっけ」
嫌な予感しかしない。彼女のその言葉に今まで和関せずを通していた技術者達が一斉に彼女の方に振り返った。全員の顔が漏れなく青ざめている。そのときだった。
「ゴラぁ!! 名字!!!」
技術部の扉を壊す勢いで開けたのは戦闘員の諏訪君だった。名前を呼ばれた張本人は「あ、諏訪さんのとこか」とのんびり納得した様子だ。もっと焦ってほしい。
「てめぇ、俺らのトリガーになにしやがった」
「緊急脱出のときに爆発する機能をつけてみました。どんなかんじでした?」
「暢気に感想聞いてんじゃねえよ! 日佐人が緊急脱出して爆発してその爆発で堤も緊急脱出しちまったじゃねえか!! 俺を殺す気か!」
「あ、仲間にも被害が及びましたか。改善の余地ありですね」
「改善じゃなくて元に戻せッ!!」
目の前で怒鳴られているのに計算式をノートに書き始めるマイペースさ。こっちの胃は張り裂けそうだというのに。
「おーい、なんだこの騒ぎは?」
「ふ、冬島さん!」
助かった! と誰かの声が聞こえた。半袖のツナギ着た人が神々しく見える。
「諏訪~どうした? 廊下まで聞こえてたぞ」
「どうしたもこうしたも……」
「あ、また名前がなんかしたか。次は何したんだ?」
「緊急脱出時に爆発する機能つけてみました」
「そりゃインパクトあんな」
はっはっは、と笑い飛ばす冬島さんに諏訪君の顔が更に凶悪化した。冬島さん後ろ後ろ! と必死にジェスチャーを送る。お願いですからこれ以上怒らせないでください。その願いが届いたのか冬島さんは彼女の頭に手を置き、話し始める。
「発想は面白いがまだ考案中なんだろ? 試作段階の物で隊員を危険に晒すことはしたらダメだな」
「………むー」
「名前、諏訪達のトリガー、戻せるな?」
「…………はーい、」
さすが冬島さん……!
技術者一同、ついて行きます……!!
(たく、冬島さん来なかったらどうなってたことか)
(諏訪さん)
(あ? もうおまえに整備頼むのだけはやんねーよ)
(……ごめんなさい)
(……………)
(……………)
(……う、嘘だからそんな目で見るな)
(あ、諏訪君騙されてる)