少年漫画系
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
うつむいて名前もうまく言えない姿がなんとなく好きだなぁと思った。これを本人に話したら悪趣味だと引かれ、共通の親友には「そんな始まりもありなんじゃないかな!」と前向きな言葉をもらった。
「ミリオの言葉は勇気がでるよね。子どものときからずっと思ってたけど」
「唐突にどうしたの!?ありがとう!」
「どういたしまして。ところで通算何百回目か分からないほどふられている私を元気づけてほしい」
「がんばれ!」
「がんばる。そういうわけで大好きだよ環」
「どういうわけなんだ……」
げっそりした顔でそう呟く環。駄目だなぁ。こういう顔も好きだから悪趣味って言われちゃうんだ。
「名前、その…学校でそういうことを言うのはあまり」
「つまり個室で二人っきりならいいと?」
「そうじゃない」
どんよりしながらも切羽詰まったような声を出す環。「個性のおかげか環って結構器用だよね」「また話が飛んだ…」「いつものことだよね!」ミリオにグッと親指を見せられた。お返しにグッと返す。
「ミリオの親指グーは大丈夫だよと言われているみたいで安心するよね。プロになったら全面的にこれを推していったらどうかな。敵を倒しながらとか」
「狂気の沙汰って言われそうだね!」
「それはよくない」
ミリオはすごいプロヒーローになるのだ。そこにいるだけで皆が安心するような。狂瀾怒濤!みたいなキャッチフレーズは性格的にも合わない。
子どものときからの夢。ミリオがナンバーワンヒーローになる手助けをすること。経営科に入って三年目。その夢は現実に近付いてきた。企業するまではまだまだ時間がかかるだろうけど、こうやって些細なことでも未来のことを考えるのは楽しい。
「あっ先生のとこ寄らないといけないんだった。またねミリオ、環」
「ああ!またね名前」
「…………また」
今日も環を困らせてしまったみたいだ。顔がそれを物語っていた。うーん、夢は現実になってきたけど恋は全く上手くいかない。前途多難だ。
***
「…………………………………はああ」
「間が長いね!」
「好きなんて言わないでほしい、期待してしまう」
「期待しろよ。いつも言ってるけど」
「…………名前は、間違っている」
俺への感情は“好き”じゃない。
今にも消え失せそうな声でそう呟く親友にミリオは小首を傾げる。どうしたものか。
お互いを想い合っているのに毎日のようにすれ違っている幼なじみ達。片や真っ直ぐに感情を伝えているのにもう片方はその感情自体が間違いだと言う。それは名前に対して失礼だと言ったことがある。初めて出会ったときから名前は環のことが好きだ。本人もそう言っていたし、“あの”姿からは疑いようもない。
『名前が、一番輝いているときはミリオの話をしているときだ』
それでも環は名前の感情を認めようとはしない。認めてしまったら、それを失ったらと悪い方向に考えているのもあるだろう。それにしたって夢と恋の違いくらい分かっているだろうに。この幼なじみは自分のことを過小評価し過ぎている。本当はすごいやつなのに。
「…………最近」
「うん?」
「名前に……好きだと言われるとき、無を取り繕えなくなってきた。すごく困っている」
「いや取り繕うなよ」
思わずそんな突っ込みをいれていた。何を頑張っているのだと。
「…………………はあ」
腕で顔を隠して環は息を漏らした。先ほどよりも憂いがこもったため息だった。
「環」
「……なんだミリオ」
「耳が赤い」
指摘するとずるずると机にうなだれて頭ごと隠してしまった。
「困るんだ…これ以上、好きにさせないでほしい。期待させて……今以上を求めるなんて身の程知らずだ」
好きだと言うだけでこんなにも熱を込めてしまうのに求めないでいられるのだろうか。そう思って、ふと思い出した。
『ミリオずるい!わたしも天喰くんに話しかけたかったのに!』
転校してきた環に話しかけたその日の帰り道。なぜか拗ねた様子の幼なじみに話しかければよかったのにと言うと、うっと言葉を詰まらせた。
『だ、だってなんか恥ずかしかったから』
『? だったら明日一緒に遊ぶかい?』
『…………むり恥ずかしい』
『???』
話しかけたいのに恥ずかしく、一緒にと言っても恥ずかしいという幼なじみに疑問符が浮かぶ。
『仲良くしたい、んだよね?』
『……わかんない』
『えっ』
『わかんないけど…ずっと下をみてたからちゃんと顔をみて話したいなって思って、でもちゃんと話せるかなってなって……』
そのときの名前は今の環と同じだった。不安と好意がごちゃ混ぜになって前に進めなくなっている。でもそこを乗り切った名前の行動は早かった。一歩踏み出したらきっと環も…そう思っていたときだった。職員室に行ったはずの名前が戻ってきたのだ。
「ただいまーお弁当箱忘れてたー……って環どうしたの?」
「っ名前」
「えっ顔赤い」
「なんでもない」
「なんでもなくない。えっ初めてみた。えっ可愛い」
「可愛くない。ち、近寄らないでくれ」
「ああもう好き。大好き」
「~~~っミリオ、」
「がんばれ!」
本当に頑張れ。俺は二人が並んでるところを見るのが好きなんだ。ミリオは心でそう呟いて親指をぐっと立てた。
181030
「ミリオの言葉は勇気がでるよね。子どものときからずっと思ってたけど」
「唐突にどうしたの!?ありがとう!」
「どういたしまして。ところで通算何百回目か分からないほどふられている私を元気づけてほしい」
「がんばれ!」
「がんばる。そういうわけで大好きだよ環」
「どういうわけなんだ……」
げっそりした顔でそう呟く環。駄目だなぁ。こういう顔も好きだから悪趣味って言われちゃうんだ。
「名前、その…学校でそういうことを言うのはあまり」
「つまり個室で二人っきりならいいと?」
「そうじゃない」
どんよりしながらも切羽詰まったような声を出す環。「個性のおかげか環って結構器用だよね」「また話が飛んだ…」「いつものことだよね!」ミリオにグッと親指を見せられた。お返しにグッと返す。
「ミリオの親指グーは大丈夫だよと言われているみたいで安心するよね。プロになったら全面的にこれを推していったらどうかな。敵を倒しながらとか」
「狂気の沙汰って言われそうだね!」
「それはよくない」
ミリオはすごいプロヒーローになるのだ。そこにいるだけで皆が安心するような。狂瀾怒濤!みたいなキャッチフレーズは性格的にも合わない。
子どものときからの夢。ミリオがナンバーワンヒーローになる手助けをすること。経営科に入って三年目。その夢は現実に近付いてきた。企業するまではまだまだ時間がかかるだろうけど、こうやって些細なことでも未来のことを考えるのは楽しい。
「あっ先生のとこ寄らないといけないんだった。またねミリオ、環」
「ああ!またね名前」
「…………また」
今日も環を困らせてしまったみたいだ。顔がそれを物語っていた。うーん、夢は現実になってきたけど恋は全く上手くいかない。前途多難だ。
***
「…………………………………はああ」
「間が長いね!」
「好きなんて言わないでほしい、期待してしまう」
「期待しろよ。いつも言ってるけど」
「…………名前は、間違っている」
俺への感情は“好き”じゃない。
今にも消え失せそうな声でそう呟く親友にミリオは小首を傾げる。どうしたものか。
お互いを想い合っているのに毎日のようにすれ違っている幼なじみ達。片や真っ直ぐに感情を伝えているのにもう片方はその感情自体が間違いだと言う。それは名前に対して失礼だと言ったことがある。初めて出会ったときから名前は環のことが好きだ。本人もそう言っていたし、“あの”姿からは疑いようもない。
『名前が、一番輝いているときはミリオの話をしているときだ』
それでも環は名前の感情を認めようとはしない。認めてしまったら、それを失ったらと悪い方向に考えているのもあるだろう。それにしたって夢と恋の違いくらい分かっているだろうに。この幼なじみは自分のことを過小評価し過ぎている。本当はすごいやつなのに。
「…………最近」
「うん?」
「名前に……好きだと言われるとき、無を取り繕えなくなってきた。すごく困っている」
「いや取り繕うなよ」
思わずそんな突っ込みをいれていた。何を頑張っているのだと。
「…………………はあ」
腕で顔を隠して環は息を漏らした。先ほどよりも憂いがこもったため息だった。
「環」
「……なんだミリオ」
「耳が赤い」
指摘するとずるずると机にうなだれて頭ごと隠してしまった。
「困るんだ…これ以上、好きにさせないでほしい。期待させて……今以上を求めるなんて身の程知らずだ」
好きだと言うだけでこんなにも熱を込めてしまうのに求めないでいられるのだろうか。そう思って、ふと思い出した。
『ミリオずるい!わたしも天喰くんに話しかけたかったのに!』
転校してきた環に話しかけたその日の帰り道。なぜか拗ねた様子の幼なじみに話しかければよかったのにと言うと、うっと言葉を詰まらせた。
『だ、だってなんか恥ずかしかったから』
『? だったら明日一緒に遊ぶかい?』
『…………むり恥ずかしい』
『???』
話しかけたいのに恥ずかしく、一緒にと言っても恥ずかしいという幼なじみに疑問符が浮かぶ。
『仲良くしたい、んだよね?』
『……わかんない』
『えっ』
『わかんないけど…ずっと下をみてたからちゃんと顔をみて話したいなって思って、でもちゃんと話せるかなってなって……』
そのときの名前は今の環と同じだった。不安と好意がごちゃ混ぜになって前に進めなくなっている。でもそこを乗り切った名前の行動は早かった。一歩踏み出したらきっと環も…そう思っていたときだった。職員室に行ったはずの名前が戻ってきたのだ。
「ただいまーお弁当箱忘れてたー……って環どうしたの?」
「っ名前」
「えっ顔赤い」
「なんでもない」
「なんでもなくない。えっ初めてみた。えっ可愛い」
「可愛くない。ち、近寄らないでくれ」
「ああもう好き。大好き」
「~~~っミリオ、」
「がんばれ!」
本当に頑張れ。俺は二人が並んでるところを見るのが好きなんだ。ミリオは心でそう呟いて親指をぐっと立てた。
181030